毎週土曜日恒例のSendee book club(SBC)が開催されました。
11月26日に発表された本は以下の3冊!
哲学のモノサシ – 西研
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫) – マックス ヴェーバー, 大塚 久雄
ピクサー流 創造するちから – エド・キャットムル、エイミー・ワラス、石原薫 訳
哲学のモノサシ
哲学とは「自分の内側から聞こえてきた問いかけに耳を澄まし、 <問い>の形にして、しつこく考えてみようとすること」です。
人間が新たな価値観や世界観をつくりあげていくときの原動力は何か。
<価値ある自分であろうとすること>
人間はそれぞれモノサシを持っていて、価値ある自分であるという判断に自分のモノサシを使います。
そのモノサシを育てていくためには、他者に認められることも大切で、
肯定されることを経て自分のモノサシを検証しながら育てていくこと。
これを哲学のモノサシと呼んでいます。
人間は善悪・美醜・好悪のルール(モノサシ)の束である。だれかが(恋人なり友人なりが)じぶんの存在を受け入れている、という感覚が得られてはじめて、人はじぶんの感受性を肯定できるようになる。そして感受性の肯定ができて初めて、その人はじぶんの感受性を検証しながら自覚的にじぶんのモノサシを育てていくことができるようになる。
ピクサー流 創造するちから
ピクサーがいかにしてヒット作を連発しているかについて、その源は…
「ブレイントラスト」
だといいます。これは簡単に言えば全員参加型のざっくばらんな議論です。
とにかく自分の意見を出すことで監督のアイデアがどんどん磨かれていくようです。
最初のモチーフですら変わってしまうことは日常茶飯事。
とにかく良い作品、伝わる作品にするために全員が意見を出してそれを取り込んでいきます。
また、ピクサーもれっきとした営利企業なので当然にヒットが必要です。
その際はヒット作の続編と新しい作品をバランス良く出すことで、ビジネスとのバランスを図っているのです。
こうした企業文化があれだけの心に残る作品を作る源になっているのですね。
ちなみにジョブズ自身は映画製作には関与しなかったそうです。
ピクサーが継続的にヒット作を想像できる理由はその企業文化にある。その企業文化を一言で表すなら、それは率直さとなる。ここで言う率直さとは立場、相手の心情などにとらわれず、感じたことをそのままに伝えるということである。この率直さが徹底されているからこそ、ピクサーは集団で素晴らしい作品を継続的に生み出すことが可能なのである。
- ピクサーは、企業は継続して売上を上げることも大事だが、独創的な作品を作ることも必要だと説く。これを野獣と赤ん坊の両立と著者は表現する。企業は成長するに従い野獣に囚われ赤ん坊を失っていくが、それでは企業の持続性は望めない。ピクサーではこの赤ん坊は絶やさないために、失敗を必要なものと見做す文化を作っている。
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
資本主義の発展にはプロテスタントの教えが強く影響しているという主張です。
この本はマックス・ウェーバーの代表的な著書であり、社会科学の古典とも言えます。
合理的禁欲が人間を経済に向かわせたという主張は面白いですね。
キリスト教は人間の動物的な衝動を理性で封じ込めようとしていますよね。
アダムとイブの話もそうですが、人間が自然に持つ欲望をきたないものとみなすことで、それを罪とみなして神に対して祈る。
こうした禁欲が勤勉に人間を向かわせたと考えるのは面白い仮説ですね。
それでは、ここで問いを立てましょう。
プロテスタント以外に禁欲を求めた宗教の地域では経済発展が進んだのでしょうか?
カトリック信徒とプロテスタント信徒で経済格差は今でもあるのでしょうか?
ということはエコノミックアニマルはこうした勤勉さの負の側面?
他にもいろんな疑問が出てくると思います。
こういった考える癖というのが、科学のベース、つまり先程の哲学になると思います。
こうして考えてみると世の中には哲学が溢れているように感じます!
- 統計的に比較すると、かつてカトリック信徒は手工業にとどまる一方プロテスタントは工場労働に流入する傾向にあったことがわかる。そこには、カルヴィニズムの特徴的な教えである「予定説」に対する不安を、純粋な信仰ではなく天職(職業労働)によって救いの確信を求めた。
- この天職観念に加えて、資本主義を形成した概念として合理的禁欲がある。衝動的な快楽を敵視し、財の獲得・節約、つまり利潤の追求を合法化した。
今回はこれら3冊が発表されました。次回の発表図書は未定です。
次回のSBCは12月3日(土曜)です。下記Connpassより誰でも参加申し込み可能です!
土曜の午前中から代官山で知的な会話を楽しみたい方。
おいしいコーヒーを飲みながら好きな本について発表したい方。
誰でも歓迎します。ぜひ参加してください!