「有限会社柳井工業の創業者である父の病気をきっかけに、今まで全く関わってこなかったプラント会社へ転身しました」。そう答えるのは、柳井工業・常務取締役の柳井寿栄です。
前職は野村證券でリテール営業を経験。その後に事業継承の道を決意します。今回はそんな柳井に、事業継承のきっかけ、柳井工業が必要とする人、就活生・求職者へのメッセージを聞いてみました。
柳井寿栄(やないひさよし):柳井工業・常務取締役。立教大学卒業後、野村證券株式会社にて2年間、リテール営業を務める。柳井工業・創業者の父の病気をきっかけに、事業継承を決意。「プラント企業をより良くする」をビジョンに、常務として柳井工業の課題に向き合っている。
やりたいことが無かったこそ、ぐんと成長できる野村證券へ。父の病気を境に、事業継承を目指す
━━柳井さんは新卒で野村證券に入社されたんですよね。入社の決めては何でしたか?
はい、新卒入社で2年ほど勤めていました。主にリテール営業を担当していて、資産運用の提案をしていましたね。
就活生の頃は、自分がやりたいことや得意なことが全然わからなかったんです…。ただ、向上心はあったので「せっかくなら新卒からぐんと成長できる環境に身を置きたい」と思い、当時第一志望だった野村證券に入社しました。
野村證券での経験は、今でも大きな財産です。2年間で学べたスキルを別記事にてお伝えしているので、よかったら一緒にご覧ください。
━━プラント業界とは大きく異なる業界ですよね。野村證券から柳井工業へ転身した理由はなんでしたか?
社長だった父の病気が発覚しました。ステージ4の胃がんでした。そこで「柳井工業をどうしよう……」と、身内内で話し合いました。
実は、ずっと”柳井工業”に対して関心がなかったんです。ただちょうど証券会社で働いていたので、「客観的に柳井工業ってどんな会社なのか知ってみたい」と思い色々と調べました。
すると、数々のプラント企業が潰れている中、柳井工業だけは黒字を保っていて業績がよかったんです。「せっかく父が頑張って築いた会社を潰すのはもったいないな…」と思い、自分が継承しようと決心しました。
━━なるほど…。社会人になって客観的に柳井工業を見たときに、「いい会社だったんだ」と思えたんですね。
まさに、その通りです。野村證券での仕事も少しずつ慣れてきて、存続するか柳井工業へ転身するか本当に迷いました。
ただ、尊敬する上司や先輩に相談したところ「迷ったらすぐに、茨の道に行った方が大成する」と助言してくれて。事業継承の方が自分にとって大変な道だと思ったので、柳井工業へ転身しました。
事業継承のストーリーをnoteで連載しています。合わせてご覧いただけると、より深く知っていただけます。
「失敗したって、大丈夫」。目先の損失よりも、”柳井工業のキーパーソン”を大切にしたい
━━常務目線で感じる、"柳井工業の魅力"は何だと思いますか?
・若手からでも活躍できる環境がある
・裁量権がある
・失敗しても大丈夫な環境がある
この3つが柳井工業の魅力だと思っています。
━━たしかに、若手の私も幅広く担当できて刺激的です。若手でも仕事を任せる風潮が、柳井工業にはありますよね。
伝わってくれてうれしいです。年齢問わずに仕事を任せるのは、特に意識していることですね。自分が柳井工業に転職してきた頃、単調な作業の繰り返しで気分が下がってしまって(笑)。
━━そうだったんですね。
プラント企業は、特に「古き良き」を大切にしていて、年功序列や徹底した上下関係がありますよね。ただ、私はこれが善だとは思っていません。
若い方でも優秀な方はいらっしゃいますし、向上心がある方にはどんどん仕事をお任せしたいです。下積みももちろん大切ですが、はじめから数をこなして失敗することで、最短距離で成長ができると思っています。
━━実際に私も入社してみて、柳井工業の社風には驚きました。
プラントの1つ1つの機器はとても高く、特に経営者は「壊されたらどうしよう…」と思って、若手の方に任せられない方が結構いるんですね。でも最悪、失敗しても大丈夫です。
多少”失敗”というリスクを取ってでも、失敗から学んでほしい。目先の利益を考えて”損失”を考えるよりも、早く成長してもらって”柳井工業のキーパーソン”になってほしいという願いもあります。
世代の差が広がるプラント業界。柳井工業求めるのは”自己主張ができる人”
━━最近採用に力を入れている弊社ですが、柳井さんが考える「柳井工業が必要な人」とはどんな方でしょうか…?
最近、人事と話す機会が増えたんですが、やっぱり”自己主張ができる人”ですね。
━━自己主張ですか……。少し意外でした。
プラント業界って年配の職人さんやお客さんは沢山いますが、若者層って少ないんです。やはり今だと、IT関係の職に就く人が多いですからね。
なので必然的に世代の差が広がっています。そうすると、”遠慮して考えを伝えられない人”が増えてしまうんです。どうしても年配の方を相手していると、「自分はこう思っているけど伝えたら失礼だよね……」と控え目になってしまいますよね。
━━なるほど。たしかにそうかもしれないですね。
せっかく素敵な意見を持っていても、言えないのはとてももったいない。役員の私からしても、若い方の意見を積極的に聞きたいんです。
もちろん、先輩を敬ったり、配慮は大切です。そして、相手の意見を受け入れることも社会人としてのマナー。ただ「年上だから従わなきゃ」は違うんですよね。
相手の意見を尊重しつつ、時には自分の意見を伝える。このバランス感覚を持てる方と、ぜひ一緒にお仕事をしたいです。
焦って「やりたいことを見つける必要」はない。まずは「幅広く挑戦できる環境」を選ぼう
━━では最後に、就活生や求職者に向けてメッセージをお願いします。
「人生の向き不向きはすぐには見つからない」ということを、まずは伝えたいです。
よく「やりたいことを仕事にしよう」や「自己分析をして自分の向き不向きを見つけよう」と言われることが多いですが、そう簡単には見つからないんですよ。
━━私も就活生の頃、「自分のやりたいことを見つけなきゃ!」って焦っていました。
焦りますよね……。焦った結果「自分のしたい仕事をしていないと負け」と、自己否定に繋がってしまいます。
就活中で自分の適性を、無理に見つける必要はありません。また、経験なしで「これは自分には向いてない」と早急に決めつけるのも、損失に繋がる可能性があります。
なので、まずは色んな経験をさせてもらえる企業を、ぜひ選んでみてください。社会に出ることで、自分を知れるようになってきます。
柳井工業を”自分の可能性を広げる環境”として選んでもらえたらうれしいですし、もしそんな方がいらっしゃれば、全力でサポートさせていただきます。