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地方大学の研究者だった彼が語る医療業界コンサルタントの社会貢献とは

プロフィール

大畠吉裕/コンサルタント
2019年新卒入社。広島県出身。入社以来、化学、製薬業界に特化したコンサルタントとして600件以上の案件に携わってきた。現在はインナーコミュニケーション戦略の策定や企画のディレクション、マーケティング活動の媒体制作支援など、幅広い分野で活躍している。

1/学生時代にどんなことをしていましたか?

広島大学院の生物系学科でがんの研究に励む

私は高校時代までを広島県で過ごし、大学も地元の広島大学の生物系の学科へと進学しました。生物系学科を選んだ理由は、がんに関する研究がしたかったから。家族が大腸がんにかかったことがきっかけで、がんによって苦しむ人を一人でも少なくしたいという強い思いを持っていました。大学院まで進学し、がんの研究に励みました。

大学時代にもう一つ注力していたのが、東日本大震災のボランティアサークルでの活動です。2011年の震災当時、高校生だった私はテレビで被災地の様子を見て、自然災害という理不尽によってつらい思いをしている人のために、何かしてあげられないかと考えていました。大学でサークルを見つけた時、これだ!と感じてすぐに入部。気仙沼でイベントの手伝いをしたり、市役所の方々と一緒に高齢化が進む土地を支えるプランを考えたり。被災地の方々が喜ぶ姿を見ることが自分にとって何よりのやりがいでした。

2/JBAに入社した経緯を教えてください

医療の発展に貢献できる道を探したいと考え、一般企業へ就職

大学院を修了した後、何かしら医療の発展に貢献できる仕事に就きたいと考えていたのですが、研究職に進むか、一般企業に就職するかで悩んでいた時期がありました。その時に自分のやりたいことを今一度見つめ直したところ、私は東北でのボランティアのように、誰かの役に立っていることをリアルに感じられる仕事がしたいのではないかと思うようになりました。研究職は医療の発展に不可欠ですが、不特定多数の人相手に価値を提供する仕事です。それよりも、生身の人に価値を届けられる一般企業で、医療の発展に貢献できる道を探したい。そう考え、一般企業への就職を目指して就活を始めました。

JBAを知ったきっかけは広島大学で行われた説明会。大手製薬会社と直接取引を行っていることを知り、医療の発展に貢献する仕事ができるのではないかと興味を持ちました。コンサルや製薬会社の営業職など3社から内定をいただきましたが、最終的にはJBAを選ぶことに。その一番の理由は、JBAで働いている人が、皆社会に対して影響を与えたいという強い思いを持っていると感じたことです。「多くの日本企業の価値を高めて、日本経済を復活させたい。」「この業界を自分の手でよくしていきたい。」など、JBAで働いている人たちは、自分が社会にどんな価値を出したいのかを明確にし、その目標に向かって突き進んでいました。企業で働く生身の人を相手に価値を提供し、それを通じて企業や社会にいい影響を与えていく。まさに自分が望んだ働き方ができると確信しました。

Project story 2|経営層と二人三脚で挑んだグローバル展開を加速させるブランド戦略 | 日本ビジネスアート株式会社
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3/挫折したことや苦労したことはありますか?

どのようにして経営方針を社員に理解してもらうのか

入社してからは製薬会社の案件を中心に複数の案件に参画し、経験を積みました。企業と直接やりとりし、お客様のために戦略を考え、課題解決を主導するコンサルタントという仕事に、大きなやりがいを感じていました。

入社3年目の時、大手製薬会社A社の案件を担当することになりました。当時、経営方針の一新を行なっている最中だったA社は、一新した経営方針をどのように社員に伝えていくのか、という課題を抱えていました。A社は世界中に10,000人程の社員を抱える大企業であり、定めた経営方針を社内全体に周知し、浸透させることは、簡単なことではありません。難しいトピックをどうわかりやすく伝えるのか、文化の異なる海外社員に対する伝え方をどうするかなど、乗り越えなければいけない壁を上げればキリがありませんでした。

「経営方針が企業全体に浸透すれば絶対にA社はよくなる。A社のために、企業の理解から徹底的にやりつくそう。」そう考えた私は、新しい経営方針とそれが設定された経営的背景を理解するのは勿論のこと、A社のこれまでの歴史や、業界内でどのような立ち位置で、どのような戦略で売上を上げてきたのかなど、インターネット上の情報をくまなく見たり、企業の歴史をまとめた社史を読んだり、300時間以上もの時間をかけて分析しました。そして、A社の組織構造に着目し、マネージャー社員に経営方針を理解していただいたうえで、それをマネージャー社員の方々から現場で働く社員へと伝えていただく戦略を立てました。どのようにマネージャー社員の方に経営方針を理解していただくのか、現場社員への伝え方はどうするのか、伝えた後、どの様に経営方針を浸透させていくのか、事細かに戦略を立て、A社に提案を行いました。A社のことを徹底的に理解し、綿密に立てた戦略。正直、上手くいかないはずがないと思っていました。

しかし、経営方針の発信は、一筋縄ではいきませんでした。戦略の効果検証のフェーズで、経営方針の理解度に関するアンケート調査を実施したところ、研究開発現場で働く社員の方々の経営方針への理解度のスコアがほとんど上昇していないことが判明したのです。「発信戦略に問題はなかったはず。なぜ現場で働く社員の方には伝わっていないのだろう。」疑問に思った私は、研究開発現場に直接ヒアリングをさせていただくことに。そこで現場のリアルを知った私は愕然としました。というのも、取材に行った研究開発現場で働く社員の方のほとんどが、新しい経営方針のことをほとんど認知すらしていなかったのです。その原因は、マネジメント職の方々が、自分の言葉で説明できるレベルで方針を理解できていなかったこと、そして、現場でのコミュニケーションが希薄になっており、方針理解のためのコミュニケーションが十分に行われていなかったことでした。

問題を受けて私たちは、戦略を提供しても課題の根本解決までは至らない。実際に従業員に伝えるところまで、すなわち実行支援まで行おうと考えました。そこでまず、課長以上の役職者に全員出席していただくワークショップを企画し、マネージャーの方々一人ひとりと対話し、自分の言葉で経営方針を部下に伝えることが出来るように、深く理解していただきました。そして、コミュニケーションが希薄となっている現場の社員にも伝えるために、研究開発現場の社員の方々に読んでいただくコンテンツの企画、作成を行いました。現場ヒアリングを実施し、効果が出ていることを確認しながら経営方針の浸透を進めていきました。実行支援まで行い、実際に組織を変えていく様を見れたことは、今でも仕事に取り組むためのモチベーションになっています。

この経験で痛感したのは、ただ戦略を提供するだけでは、企業の役に立ったとは言えないということ。戦略はあくまでこうやったら良くなるという理論でしかありません。現場の状況を確認して効果を検証し、伝わるまで何度でも発信を繰り返して初めて、企業を本当に変えることができます。生きた組織に対して戦略を実行するのは本当に骨の折れることです。しかし、成果が出るまでやり切らなくては全く意味がないということは、今でも仕事をする時は常に念頭に置いています。

現在は、経営方針の社外発信支援を行っている真っ最中。社外発信は社内発信以上に難しい取り組みです。そんな中で、経営層から研究開発現場で働く社員の方々まで、あらゆる方と接点をとり、A社を知り尽くした私たちだからこそ出せる価値を提供していきたいと考えています。

4/現在はどんなことを目指されていますか?

実行支援まで行うことで、ともに組織を変えていきたい

世の中には、医療の進歩に多大な貢献をしている企業がたくさんあります。それらの企業は、利益を上げ続け、株主や社会、顧客など様々な関係者にその取り組みを認めてもらう必要があるため、開発以外の部分に、自社だけでは解決しきれない様々な課題を抱えています。私たちの仕事は企業の発展を妨げるそれらの課題を解決すること。それによって企業が持つポテンシャルを最大限発揮できるようにすることで、医療の発展の一助になれるのではないかと思います。私が現在構想しているのは、支援させていただいている大手製薬企業をJBAの手で繋いでオープンイノベーションを実現すること。それぞれの企業の持つ高い技術力を掛け合わせることができれば、製薬技術は大きく進歩すると考えています。実現のためには、会社同士のコミュニケーションや利害関係の課題を解決する必要があります。そこにJBAが関わることで、医療の飛躍的な発展に貢献したいと考えています。

5/最後に学生の方に伝えたいことはありますか?

業界の発展に貢献できるのは研究者だけではない

私は研究ではなくビジネスという側面から医療に貢献することを選んだわけですが、この選択は間違っていなかったと自信を持って言えます。確かに研究は医療の発展にとって必要不可欠ですが、医療の発展に大きく貢献する企業の抱える課題を解決することもまた、医療の発展には必要なことです。多くの人の役に立つことができる上に、価値を提供する相手がいるため、それをリアルに感じることができる。この上なく価値もやりがいもある仕事だと思っています。今研究をしていて、自分の研究している業界の発展に貢献したいと考えている人がいたら、ビジネスの側面からアプローチするという方法もあるのだと知ってもらいたいですね。

今回紹介した大畠が中心となって行ったプロジェクトの紹介はこちら!

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