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データを駆使した情報分析の標準化が、採用活動の未来を変える

超売り手市場が続く中、競争がますます激しさを増す採用市場。天職市場はこうした状況下にあって、採用自体の本質を見極め、提案の価値をさらに高めようとしている。その活動の中心となっているのがクライアントサクセスチームの島孝弘だ。彼の想いをひも解きながら、クライアントサクセスチームが目指す未来を伝える。

精度の高い分析と提案で、他社との差別化を図る


2019年4月、天職市場では採用難の市況感をふまえ、「クライアントサクセスチーム」を再編成した。目的は、クライアントの状況をさまざまなデータを駆使して分析し、その結果をもとに、採用成功に向けた課題解決提案を行うためだ。

天職市場が考える“クライアントサクセス”とは、質の高い採用マッチングが成立することである。企業においては発展を促進する人材であるかどうか、求職者においては天職となる仕事であるかどうか、この両側面のマッチングが実現することを目指し、単なるアクセス数値だけではないさまざまなデータを活用した課題解決を強化している。

新たにチームのリーダーとなったのは、2012年に入社した島孝弘。もともと営業職だった島は、営業メンバーの中でもデータ集計や分析に長けており、普段から相談を受けアドバイスをしていた。その実績を評価されての抜てきだった。島はもともとWebマーケティングを学んでいたわけではなかった。大学は薬学部で、生物系の研究を行っていたという、いわば異色のマーケター。

島 「 Webマーケティングの経験はありませんでした。ただ、仮説と検証を繰り返して、あるひとつのセオリーを導き出し、そのセオリーを実証してフィードバックするといった作業は研究と同じなんです」

研究をしていたころの基本的な考え方をマーケティングに応用する思考方法。それが、島自身の強みだ。

島 「チームを再編する具体的な話が出たのは半年ほど前ですが、どうしたらもっと改善提案の質が良くなるだろうという話はそれ以前からしていました。

採用のウェブ広告が増えている中で、媒体に出すにせよ、別の手法を打つにせよ、広告はアクセス結果だけでなく、プロセス数値から因果関係を探り、ノウハウを蓄積していく必要があります。そうでなければ、クライアント自身の採用力が積み上がっていかず、人材会社に依存した採用を続けてしまうからです」

実際にこれまで天職市場では、運用と数値分析を行うクライアントサクセスチームが存在していた。一般的な数値と比較しながら、施策の善し悪しを検証し、求人効果を最大化する施策が認められ、Indeed公認パートナーで最も優れているゴールドパートナーの認定も受けている。その背景にはクライアントサクセスチームだけでなく、フロントに立つ営業担当が分析から提案、運用まで関わり、手厚いフォローを行っていたことが大きい。

一方で、近年の転職市場は超売り手市場となっており、もはや広告を出せば採用できる時代ではなくなっている。この状況下で、クライアントに最適な結果をもたらすためには、リアルタイムでデータに基づいた改善施策を提供する必要があった。

そこで、今まで蓄積した業種、職種、エリア、条件における反響数値のトレンドと、改善提案や工夫しやすい領域である求人原稿内容、キャッチコピー、画像や動画、広告出稿方法などの改善効果の実績データを組み合わせ、AI活用によるリアルタイムの採用サポートプロジェクトを始めたのだ。

島 「クライアントに対して、『うちを使ってもらえばできますよ』というだけでは、どの会社でもできます。データを基にした確かな分析とスピードが、他社との差別化という意味でも、天職市場を選んでもらえる大きな武器になると考えています」

営業時代から、今の採用活動に足りないものは何かと、常に自問自答してきた島だからこそ、たどり着いた結論であった。

理想とする採用に向けて直面した課題──ミスマッチ率の改善が進まない



チーム再編から3カ月、もちろん順風満帆ではなく、解決すべき大きな課題に直面した。

それは“ミスマッチ率の改善”だ。広告によるアクセスアップや集客の数は増加していても、そこから採用し入社をする確率が母数が増える分だけ下がってしまう。Webマーケティングの領域では一見当たり前のことであっても、島が目指すクライアントサクセスとは違った。

島 「理想は 1応募 1採用です。的確なターゲットに情報を届け、高い共感を醸成した上で応募、採用に至ること、それがクライアントにとっても、求職者にとっても良いことだと思っています。応募数の改善はほとんどのクライアントで実現できたのですが、不採用や内定者が辞退してしまうというミスマッチも増えてしまいました」

営業メンバーからも「応募数があがった反面、面接率や採用率が下がり、工数は上がってしまった」というクライアントの声を多く聴くことになった。反響が良いキーワードや表現の情報提供ができたとしても、各企業ごとの魅力を表現できる情報がなければ、マッチングは成立しない。一般的な情報と各企業の特徴を組み合わせた広告表現やコンテンツを精製し、ターゲットである求職者へもパーソナライズされた求人表現が必要だということに、改めて気づかされたのだ。

島 「いつの間にか平準化することにだけに意識が向かい、大切なクライアントサクセスに向けた取り組みができていなかったことに気づけました。今までは営業がクライアントへの細かい改善提案を担っていたからこそ、データが生きていたんだと。当時はネガティブな反応が出てきて相当焦りましたけどね」

立てた仮説に対する現実のギャップ。島にとってそれは、苦悩ではなく、ゴールに近づいているという喜びに近いものだった。そして、この経験から島が率いるクライアントサクセスチームは、他社とは違う独自のチーム構想を描くことになるのだ。

パーソナライズド・リクルーティング・オートメーションという新たな構想



今、日本国内に顕在化している求人件数は約150万件/月を超えている。求職者はもちろんすべての求人を見ることができないため、志向性や条件などに基づいた検索から表示された情報を見て求人を探している。

天職市場は約300万人ほどの求職者の閲覧データを蓄積しているため、求職者の志向性や閲覧履歴、就業履歴などを基にしたパーソナライズ化されたリコメンド機能を実装し始めている。

島 「求職者が本当に欲しい情報を解析して AIに自動判断させるように開発を進めています。さらに、企業の採用履歴、定着履歴などのデータを分析し、クライアントにとって本当のターゲットになりうる人材と関連性が高い人材へ、反響のいいコンテンツアやキーワードを盛り込んだ求人を自動的に配信する。当社ではパーソナライズド・リクルーティング・オートメーションの開発を進めています」

採用担当がターゲットを設定することで、自動的に企業の魅力や強みを再構築し、求人情報を届ける。そうすると、採用担当は求職者に直接自社の魅力を伝えることに注力でき、自社に共感した人材にしっかりとアプローチすることができるようになる。

島 「採用が楽になる、誰でもできるようになる、コストが浮く。そういったことがメインテーマではありません。あくまでも、採用担当者が採用の本質を考える、自社にどういった人材が必要で、どんな魅力が提供できるのか。そこに力を注げる環境になることに意味があると思っています」

この仕組み自体の完成はまだ先だが、複数の企業で効果が出始めている。

島 「ある物流企業様では、物流のドライバー採用しか行っていませんでしたが、さらに事業を発展させるために Webデザイナーの採用をすることを企画し、成功したんです。それにともなって自社の魅力の棚卸や、企業ビジョンの再整理など企業経営に大きなインパクトを与えられたと感じた瞬間でした」

「人が足りないから採用する」という考えから、「会社の目指す方向に対して必要な人材を採用する」といった思考の変化が、企業の活性化につながっている。

価値あるデータが、企業の採用スタンスにも変革をもたらす



徐々に成果が出始めているが、クライアントサクセスチームには課題がたくさんある。今は、できるだけ多くのデータの蓄積に力を入れていかなければならないと語る島。ウェブ広告から測れるさまざまな数字の指標はもちろん、現状個人が持っている知見や成功事例、あるいは気づきといった情報までを蓄積していきたいと考えている。

島 「そうすることで、各企業の環境に応じた提案に、より生きてくると思うんです。競合という意味においては、最終的にはデータ量がものを言うと私は思っています」

一方で、価値の高いデータを提供していく上ではクライアントである企業自身が、採用の本質を考える必要があると語る。

島 「この媒体は人が多く集まるとか、ここの媒体に出せば良い人材がとれるという話ではありません。企業自身が採用のターゲットを明確にし、そのターゲットにアプローチするためには何が必要なのかを考えてほしいということです」

多くのクライアントから耳にすることは、「応募が来ない」といった表層的な部分が多い。ただ、単に応募数を上げる施策を打つのではなく、欲しい人材にアプローチをするためには何をすべきかという選択肢を企業にしっかり提供することが、天職市場の役割だと島は語る。

そして企業側も「良い人材を連れて来てほしい」という受け身の姿勢ではなく、提案した選択肢の中で、自社の採用のためにはどのような手法が最適なのかを真剣に考えなければならない。

島 「『人を採用するには、媒体に情報を出さなければいけない』と考えている企業は、まだまだいらっしゃいます。そうした受け身の姿勢を変えていけると、企業側の採用活動も、もっと本質的になるのではないでしょうか」

島自身、営業時代には担当している企業が受け身になってしまい、広告運用はうまくいくものの、成果に結びつかないといった苦い経験を持っている。だからこそ、企業が採用活動の本質に気づく重要性を身にしみて感じている。

世の中の企業が採用の本質を考える方向に変わると、天職市場が提供するデータや提案の持つ価値もさらに高まる。そして天職市場がより質の高い情報を提供することで、こうした考え方が、企業側も浸透していく。島が目指すのはそんな採用活動だ。

目先の数字に目を向けて一喜一憂するのではなく、その裏には何があるかを考える。小手先の手法に頼らず、物事の本質をとらえられるメンバーとともに価値のあるデータを生み出し、それをクライアントと共有することで、企業自身が採用の本質を考え、活動できる環境を実現していく。

採用という仕事をより深く追求する、島をはじめクライアントサクセスチームの挑戦が、今、業界に新たな風を起こしつつある。

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