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「世の中から"関係ない"をなくす」WORLD FESTIVAL Inc. 創業ストーリー

こんにちわ。WORLD FESTIVAL Inc. 代表の近藤祐希です。

僕たちの願いは、とてもシンプルです。この世の中から「関係ない」という意識がなくなること。それは、全てに通じることだと思います。人間関係も、国際関係も、自然環境も、経済活動も、人間以外の生命、動物や虫も、この地球上に生きるすべては絶妙なバランスで繋がっていて、その関係性を少しでも無視してしまうと、必ずどこかでバランスが崩れて、誰かが被害を受けることになる。

でも、テレビに映っている遠い場所の出来事が、巡り巡って自分に繋がっていると思うことはなかなか難しい。そこで僕が感じたのが、「エンターテイメント」がもつ大きな求心力とその可能性でした。


僕は小学生の頃、生まれ育った大阪からアメリカのオレゴン州に家族で引っ越しました。

新しい文化や大阪にはない大自然に触れて、楽しいことも多かった反面、白人がほとんどの田舎エリアでもあったため、時には日本人、アジア人であるという事に対しての人種的な差別や偏見なども多く経験し、社会的マイノリティであるとレッテルを貼られることの辛さと悔しさを感じました。同時に、なんでそんなことするんだろう同じ人間なのに、と疑問でした。

その時、僕を救ってくれたのは音楽でした。元々ピアノをやっていたこともあり、興味のあったアルト・サックスを中学校ではじめました。そしてジャズバンドに所属し、ソリストとして数々の大会に出場して州や市が主催の大会で賞もたくさんもらいました。その結果、今までマイノリティとして僕を見ていたような子たちも、僕を受け入れ、また純粋な気持ちで僕の音楽に対して賞賛もしてくれました。アジア人とか関係なく、ひとりの人間として認めてもらえることの喜び。しかもそれを自分がシンプルに音楽が好きで頑張っていたことで、そうなれたこと。その時の気持ちは一生忘れません。ちゃんと超えられるんだ、認め合えるものがあるんだ。その時から僕にとって音楽はただの趣味以上の大切なものになりました。


ただ、中学卒業後にニューヨークの高校に進学するために引っ越した直後、9.11のテロ事件が起きました。そして、アメリカはイラク戦争を起こしました。当時アメリカ国内では、テロ事件への怒りや悲しみの矛先として、アメリカに住む無実の中東系の人への差別や偏見、暴力などのヘイトや殺人事件が増え続け、最悪な状況でした。また、僕のオレゴン時代の知り合いや友達の兄弟や家族も数名米軍として中東に派遣されました。

せっかく人種や文化を超えられる経験をして、世界は仲良くなれるんだと思っていた僕にとっては心底ショックな出来事でした。そして、また大きな疑問を持つようになりました。なんで攻撃しあうんだろう。暴力にたよらず、もっとお互いを受け入れ合い、理解し合えるような方法があるんじゃないのか。(結果的に、このイラク戦争が多くの死傷者や精神・PTSD患者、そして現地の家族や大切な人を亡くした人たちの憎しみや報復心、親を失った孤児の子ども兵化にも繋がり、新たなテロや紛争が勃発し、またさらに大きな傷や死を生むことになってしまいます。そして子どもたちは教育のない、視野・選択肢が狭い、怒りと恨みしか生まない戦いの世界を歩むしかない状況でした。)


そんな疑問をもちながら、高校も無事おわり大学進学のため日本の東京に引っ越しました。

大学では、オレゴンでの大自然に触れていた経験からずっと関心のあった環境問題について研究するようになります。シンプルに自然環境を大切にしたいという思いからでした。しかし、その時周りからの環境問題に対する反応は「俺には関係ない、私には関係ない」でした。理由としては、規模が大きすぎてよくわからない、などでした。なぜそんなことを言うんだろう、なんで関係ないって言うんだろう。少なくとも同じ地球にいるのに、関係ないってことはないだろう、と。それは僕にとって、とても大きな疑問でした。世界はつながっているし関係しあっているのに、「関係ない」なんて。確かにこの地球上に存在するものを否定するような発言で悲しく、寂しい気持ちにもなりました。

そんな頃、大学の先輩や卒業生たちに誘われて、「音楽 × 環境問題」をテーマにした音楽フェスを鹿児島県種子島で開催するプロジェクトに主催メンバーとして参加しました。趣旨に賛同した多くの著名なミュージシャンたちが出演料なしで参加してくれました。

種子島が抱える、深刻な環境問題を島民含め多くの人に知ってもらうために、写真パネル展にしてフェス会場内に設置しました。海流に乗って漂着したゴミを動物が勘違いして食べて次々と死んでいることや、環境汚染により島の生態系が変化している問題を提示しながら、同じエリアでは最高に心地よい音楽と、海の波音や気持ちよい風や空、島の住民が作るおいしいご飯があり、子どもや親子、恋人たちがステージの前で楽しく踊っていました。大切なものが何か、それを守るために何ができるか、そんなことをより考えられる空間でした。

当日のある親子の会話では、まだ小さいわが子に母親が、「ほら、みてごらん。みんな同じ地球に生まれたんだから大切にしなきゃね。」と地球の尊さに向かいあう親子の姿があった。なんてステキな光景なんだろう。これからの未来を築いていく子供へ本当に大切なことが受け継がれる瞬間、これこそ僕らが作っていくべきことだと、何かがじわっと込み上げてきました。

また、同時期に”スラムドッグ$ミリオネア”という映画をみることで、貧困問題について初めて知り、また関心を持ったことで、エンターテイメントの可能性を改めて痛感しました。そして、この後、知ること、身近になること、「関係ない」がなくなることの重要性は、貧困や紛争、格差、偏見、様々な問題にも通ずることだと気づいていきました。


さらに、こんな経験もありました。

2013年夏、フランスの国際NGO “secours populaire français”が毎年夏に主催する”Copain du Monde”(世界の仲間)に参加したときです。それは、世界中から各国の情勢によって教育や旅行の機会をもてない子供たちをフランスに招待し、1ヶ月間共にキャンプ生活をするプログラムでした。

僕は日本代表として、福島県双葉町の中学生4人を引率しました。世界25カ国から参加者が集まり、毎日一緒に食事をし、遊び、語り合い、そして、毎晩のようにそれぞれの伝統ダンスや歌の発表会をしました。はじめはお互いを警戒していた子供たちも、ちょっとした挨拶をきっかけに、仲良く追いかけっこやプロレスごっこをするようになり、笑顔で溢れていました。僕が持参したアコースティックギターで演奏していると、みんなが目をキラキラしながら集まってきて、またそれぞれの国の楽器をもってきて自然とセッションが始まりました。人生で初めてギターに触れたという大人もいました。

この時、言葉や文化を超えてつなげてくれる力が音楽にはやっぱりあると改めて痛感しました。最終日には、子供たちそれぞれが、「お互いの国が困ったときは助け合う友達だ」と誓って、涙のお別れをしました。まさに、僕がずっと夢みていた光景がそこには広がっていました。



フランスの国際交流キャンプから帰国後、

「エンターテイメント」と「子ども」をキーワードに、繋がりを作る活動こそが世界を変えると確信に変わっていました。新卒からそれまで勤めていた株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントでは、エンターテイメントの可能性に関してのずれを感じることも多く、また同時期に旅行中に倒れ入院し、人間はいつ死ぬかわからない、と痛感する経験もあり、だったら一度きりの人生、自分のやってみたいことだけをチャレンジしてみようと会社を退職しました。そして、2014年9月よりフリーランスとしてNPO/NGOの想いや背景ストーリーを映像作品化する仕事をはじめました。

学生時代や会社員時代に様々なNPO/NGOと関わった経験から、若者や子供にも関心をもってもらえるようなポップな映像が必要だと考えていたからでした。また、社会問題は背景の説明が複雑なため、中々身近になれないという課題がありました。それを映像や音楽が1つの解決法として提示してくれると考えていました。


世界中のいろんな方と出会って、つくづくみんな考えていることはだいたい同じで、行動パターンもそんなにかわらないなと感じます。映像を作る時、対象になる人や場所、コミュニティを深く理解しようとするため、想像していた以上の絆や特別なつながりがこれまで生まれました。自分がいろんな場所に自らつながりにいっている。いつか、その出会い一つ一つが大きなつながりとなれる日がくると考えていました。


そして、2015年7月に法人化し、株式会社WORLD FESTIVALを設立しました。

映像に絞らず、もっと広い意味でのエンターテイメントの力を活用し、また子どもたち含め直接触れ合える場所を作りたかったからでした。可能性をもっと広げたかった。また多国籍な多くの人が「会社」という一つの場所を遊び場のように利用し、ただ仕事として関わっていただけることでよりたくさんの人と一緒に作っていけると思ったからでした。


「WORLD FESTIVAL」という社名には、まさに世界がお祭りのような世の中になって欲しいという意味が込められています。

お祭りには様々な人たちが関わっています。屋台を出すひと、パフォーマンスをする人、花火を撃ちあげる人、みんなが楽しめるように安全を見守る人、自由にお祭りを楽しむ人、座って休んでいる人。それぞれが、それぞれの個性や特技を生かしながら自由でいられる場所。それでいてその一つ一つの繋がりがお祭りを作り上げている。そんな一人ひとりの輝きと、関係性を大切にするお祭りのような世界を僕たちは作っていきたいと思いました。


僕たちはいつだって、大切に思うことは同じで、大切な家族のようにお互いを心配し、一緒に協力して生きていける。すべてを自分に関係があり、大切なことだと思えれば、世の中から社会問題は存在しなくなると思う。

これからの未来をつくるのは、子どもたちです。彼らが幼少期から広い世界とふれあい、その一つ一つを大切だと気づける機会や場を、僕たち大人が作っていく必要があります。それが、本当の意味で良い社会を作り、「世の中から”関係ない”がなくなる」につながることだと思うから。そんなチャレンジを、世界をつなげる「かけはし」として、人生かけてやっていきたいと思います。

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