インスタグラムを中心にSNSの運用代行事業を手がけている株式会社FinTは、2019年の頭にはたった4人だった組織を1年でインターン含め30人規模にまで成長させたフレッシュな会社です。
コロナの影響で社内コミュニケーションの中心地がオンラインに移行する昨今の情勢下において、成長するスタートアップ企業に訪れる「壁」をどう乗り越えていくのか、HRチームの山口あさ美さん(@_asaming)にWantedlyの社内報機能「Story」を用いた取り組みについてお伺いしました。
山口あさ美:株式会社FinTのHRリーダー。早稲田大学商学部2年生。
高校生の時から、高校生向けのビジネスコンテストであるキャリア甲子園や模擬国連に出場しビジネスに興味を持つ。大学1年次に東京大学起業サークルTNKに加入。FinTには2019年の5月に大学の授業がきっかけでインターンとしてジョイン。2020年7月からは社員として勤務している。
チャレンジする文化を浸透させたい
ーーまずは社内発信を強化しようと考えた、御社独自の理由についてお聞かせください。
山口:私たちFinTは「チャレンジしたい熱意がある人に機会を与えられる会社」を目指していて、それに伴い「オーナーシップを持とう」「失敗をおそれずチャレンジしよう」といった5つの行動指針を定めています。
もともとFinTはCEOの大槻自身が在学中に立ち上げた会社で、ハードなチャレンジを選ぶ人たちが集まって成長することができました。なので、どれだけ人数が増えても、主体的な行動やチャレンジに自然に称賛が集まる会社でいたいという想いがあります。
そのためには社内への発信が必要なので、メンバーからトライしてうまくいったことや、大変だったことなどをHRチームがヒアリングして、Slack上に投稿していました。
ーー具体的にはどんな投稿でしたか?
山口:例えば、マーケティングチームがウェビナーに初挑戦した際に、その裏側をインタビューして短いコンテンツにしました。そうすると、それをみた人がSlackで行動指針に紐付いたスタンプでリアクションをしたり、コメントが盛り上がったりという反応が生まれたんです。
ちょうどコロナでリモート体制になったことで他のチームの取り組みが見えづらくなっていたこともあり、HRとしての発信に注力し続けようという判断になりました。ただし、Slack上だとどうしても投稿が流れてしまいますし、これから新しく入社するメンバーにも自社のこれまでの挑戦について理解してもらうために情報をストックできる場所が欲しい。ちょうどそんなときにウォンテッドリーさんが社内報機能の無償提供を始めたと聞いて、「これだ!」という気持ちで導入開始しました。
ーーStoryの導入後も、発信する内容面ではSlackの投稿と変わらずでしょうか?
山口:Slackでもインタビュー形式のの投稿をしていましたが、2,3文の短いやりとりがメインの場所にボリュームのある文章を載せるのはやはり難しいことでした。一方でStoryはある程度じっくりと読んでもらえることを前提に、クオリティアップした記事を載せていきたいですね。新しいコンテンツ軸に挑戦しながら、「HRチームの発信が楽しみ」「自分も社内報に載りたい!」と思ってもらえたら一番の成功だと思っています。
コロナの影響下で迎えた「30人の壁」
ーー行動指針(バリュー)の浸透以外に、御社独自のカルチャーとして大切にしていることはありますか?
山口:インターン・社員を問わず「みんなで楽しむこと」を大切にしています。過去にはインターン生の企画でBBQやドライブに出かけることもありました。平均年齢でみても若い会社ですし、CEOの大槻の明るい性格もあって、ワイワイやるのが好きですね。
ただ、クライアントに接する業務については年齢や経験を言い訳にすることはできません。なのでFinTでは独り立ちできるようになるまで、必ずリーダーによるレビューやサポートを受けられるようにしています。逆にいえば、業務で密に連携をとるためにも、コミュニケーションの活性化に注力しなくてはいけないということだと思います。
ーーなるほど。そうしたオンオフ問わない密なコミュニケーションのあり方には、コロナの影響も生じたのではないかと思いますがいかがでしょうか。
山口:そうですね。ミーティングの実施効率だけみればオンラインは便利ですが、どうしても読み取れる情報が少なくなりましたし、アジェンダから外れたことを話しにくいというデメリットもあります。
例えば営業職であれば、商談後の帰り道にメンバー間で所感を共有したり、商談のフィードバックをするような習慣があったと思うのですが、オンラインだと商談終了後にコミュニケーションがぶつっと切れてしまいます。振り返りができないと、改善にもつながりませんし、褒めるきっかけがその分減ってしまう。
対面の延長線上でうまくいっていることもある反面、これまで通りにはいかない部分は生じてきているので、会社として対処していきたいです。
ーー私たちの調査では「コロナ禍で会社との心理的距離が広がった」人が70%という結果があります。そのような物理的距離が意識面に及ぼす影響については実感されていますか?
山口:これはコロナに関係なく、スタートアップの成長段階にまつわる悩みですが、30人規模を超えたあたりでCEOと現場との距離がだんだんと開いていくものだと思います。これまではいざというときにCEO自ら現場に介入できていましたが、これからはリーダーが中心となって「個人の集まり」から「組織」へとチームを進化させていかなくてはいけません。
そのときに、CEOには現場がわからない、現場には会社の目指す方向性がわからないような状態だと組織としてまとまりようがないので、どうにかして双方向での透明性を担保していきたいという話をCEOとはよくしています。
ーー透明性の向上には社内への発信は欠かせないですよね。
山口:自分たちがどこに向かっているのかを知ることで、働くうえでの疑問点の多くは解消されると思います。インスタグラムの運用をメインにやっている会社なので、最近ではCEOの発信アカウントとして社員だけしかみれない鍵アカウントをつくり、在宅メンバー向けにオフィスの様子をストーリー投稿で発信したり、自分の考えていることをLIVE配信で伝えたりしています。
インスタグラムをカジュアルな発信の場として用いつつ、Storyをカルチャー浸透の拠点となるメディアとして育てるような使い分けをしていきたいと思っています。
採用強化と並行して社内報に取り組む理由
ーー会社が集団から組織へと変化する、いわゆる「30人の壁」についてのお話がでましたが、この壁を超えるにあたって、採用面での変化はありますか?
山口:FinTはこれまで学生インターンをたくさん採用してきましたが、今後は中途採用にも本腰を入れて取りくんでいく予定です。豊富な社会人経験を持った仲間を迎えるということは、その人たちが培ったノウハウを組織として吸収するということ。ただ、それによってFinTが大切にしているカルチャーが薄まるようなことは避けたいんです。
そのためにはもちろん、「カルチャーフィットする方しか採用しない」という軸をぶらさないことが大切です。面談を通じて30代の方ともお話する機会がありますが、年齢に関係なくオープンでフラットなコミュニケーションがとれない人、「それは違うんじゃないか」と素直に発言し、同時に他の人の意見を聞き入れることができる人でないと採用は厳しいと思っています。
カルチャーフィットの精度を上げるためにFinTではWantedly上で社外へのストーリー発信もしていますが、それだけだと数値成果のようなクライアントワークの「生」の部分まではどうしても伝えられません。なので採用後のオンボーディングの一環として、カルチャー理解を深めつつ業務でバリューを発揮してもらうためにも、メンバーそれぞれの挑戦について知ってもらえる場所が必要なんだと思います。
ーーStoryのような場所があると入社直後の自己紹介にも役立てられそうですね。
山口:はい。特に、社内向けのメンバーインタビューは有効だと思っています。実際に今も業務の拡大に伴い業務委託の方のコミットが増えている状況です。案件ベースでの関与となりますが、他のチームの人はまったく存在を知らなくてよいかといえば決してそうではありません。
同時に今いるメンバーたちのあいだでも、リモートが対面コミュニケーションによって培われてきたチーム意識が薄まってしまうかもしれません。なので、社内報メンバーの挑戦をオンラインでも可視化することは、挑戦を称え合うチームの文化を発展することに期待していますね。そのためにもまずはHRチームが自分たちの巻き込み力をあげて、投稿を会社全体で楽しんでもらうための仕掛けにトライしていきたいです。
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