食べチョクで働くメンバーを紹介する企画。第5回はサーバーサイドエンジニアとして食べチョクの開発を支える鈴木康文さんにインタビュー。エウレカ・DMMなどの複数のベンチャー企業での経験をお持ちの鈴木さん。そんな鈴木さんが驚いた食べチョクのエンジニアチームの強さとは。目指していきたい未来とは。とことんお話をお伺いしました!
【鈴木康文さんプロフィール】
新卒で株式会社エウレカにて、カップル向けアプリの開発を経験した後にマッチングアプリのバックエンド開発に従事。ITベンチャーへ転職し広告配信システムの構築に携わる。2020年7月に入社。
大学を中退してエウレカに就職。
気づいたのは、ユーザーファーストの開発とデータドリブンの意思決定の大切さ。
―鈴木さんがエンジニアを志したきっかけを教えてください。
私がプログラミングと出会ったのは、大学生の頃に友人に誘われてインターンシップに参加した、中学生・高校生向けのIT・プログラミングスクール「ライフイズテック」でした。大学は理工学部だったのですが、当時の自分には、講義で学んだことを活かして社会人として生きていく道が何一つとして思いつきませんでした。色々と悩んでいるときに参加したインターンシップでプログラミングの面白さを知ったことで、将来、自分もプログラミングを使って仕事がしてみたいと思うようになりました。
結局、大学を中退し、2社目のインターンシップとしてWebマーケティングメディア「ferret(フェレット)」を運営する株式会社ベーシックにジョインしました。ここでの仕事が、エンジニアとしての最初のキャリアになりました。その後、2016年の冬、3社目のインターンを探してRailsエンジニアとして応募したのがエウレカでした。エウレカではカップル向けコミュニケーションアプリ「カップルズ」のサーバーサイドエンジニアとしてアサインされ、APIの修正や新機能の実装などを行いました。翌春、新卒1年目のタイミングでエウレカに正式に入社することが叶いました。
エウレカに入社して半年後、マッチングアプリ「ペアーズ」の事業に異動。ペアーズでも一貫してサーバーサイドを担当し、ペアーズストアの構築などを行いました。
―新卒のタイミングで入社されたエウレカは、どのような環境でしたか?
当時のエウレカで重視されていた考え方は、大きく分けて2つありました。第一に、ユーザーファーストの開発です。企業として売上を追うことは前提としつつも、ユーザーに対する影響を常に考えながら開発を行うことに重きが置かれていました。一般的に、「競合企業がやっているから」といった理由でサービスに機能を追加することは珍しくありません。しかしエウレカでは、他社のサービスや機能を単純に模倣するのではなく、その機能がなぜその企業のユーザーに響いているのかを分析し、自社ユーザーの特徴に合致した機能を改めて検討した上で組み込むようにしていました。この考え方を支えていたのがスクラム体制です。エウレカの組織には、開発の節々で「この機能をだすと、ユーザーの行動がどう変わって、ユーザーがどのくらい幸せになるのか」ということをチーム全員で考える習慣が根付いていました。
第二に、データドリブンの意思決定です。エウレカの経営は、基本的にデータがすべてでした。企業価値も、売上も、ユーザーの行動も、すべてデータで取得することが可能でした。これらを踏まえたうえで、どこの数字を改善しなければならないのか、そのためにはどのような方法があるのかを考え、仮説検証を繰り返すことがメンバー全員に求められていました。また、ビジネスサイドもエンジニアサイドも、それぞれが自ら担当する範囲の数字だけではなく、お互いの数字についても知っている状態でした。
エウレカ時代の鈴木さん
―これまでのキャリアを振り返って、鈴木さんのなかで大切にされている価値観はございますか。
先ほど挙げた、エウレカで重視されていた「ユーザーファーストの開発」と「データドリブンの意思決定」という2つの考え方が、今も私のキャリアで大切にしている価値観です。エウレカで働いていた当時は、これら2点とも当たり前だと思っていました。しかし、様々な方のお話を伺っていると、世の中では必ずしも一般的ではありません。技術を追い求めることに長けているエンジニアでも、機能のリリースまでしか追わずその後のユーザーの反応には興味を持たないケースは少なくありません。また、一部の大企業や安定した収益源のある企業では、シビアに数字を追う必要性が少ないため、開発の遅延が当たり前になっている場合もあります。
どれだけ凄い技術を使って、どれだけ沢山のお金を使っても、ユーザーに使ってもらうことができなければ、その技術には何の価値もありません。それはただの自己満足に過ぎません。重要なのは、あくまでユーザーにとっての意義があって、そのために必要な技術を選んで使っていくことではないでしょうか。私はそれができなければエンジニアではないと思っています。ですから私自身も、お客様が必要としていることに真摯に向き合い、検証可能な数値目標を立てて、その実現のために自分で考えながら行動することを大切にしています。また、このことが是とされる組織で働きたいですし、どのような職場であっても自らそのような組織に変えていくよう努めていきたいと思っています。
―エウレカで学んだことが沢山あったように思えますが、お辞めになったのはなぜでしょうか。
エウレカは本当に良い会社だったのですが、サーバーサイドエンジニアとしての仕事のレベルをより高めていくためにも、フロントエンドなど他の領域の仕事も知っておかないといけないと思ったからです。このような理由で、関わる領域が広く、裁量権の大きいDMMに転職を決めました。DMMでは、広告配信システムの開発を0→1で取り組みました。PM1名、エンジニア5名という規模の小さな組織で、数ミリSec単位の広告表示のチューニングなどに取り組みました。
DMMからビビッドガーデンに転職した理由は、プロダクトやプラットフォームでお客様と直接関わる仕事をしたかったからです。広告配信システムの開発はその性質上、広告を見たユーザーの反応が見えづらいという特徴があります。次の転職では、お客様の顔が直接見える仕事に就きたい、そう考えている中で見つけたのがビビッドガーデンでした。
プロダクトマネージャーに近い仕事も担うのが、ビビッドガーデンのエンジニア。
自らCS対応にも関わり、ユーザーファーストの開発を体現。
―ビビッドガーデンではどのようなお仕事をされていますか?
ビビッドガーデンには入社して1ヶ月になりますが、サーバーサイドエンジニアとして、メールマガジンのデータ移行や、配送連携に関するタスクなどに携わっています。今後も、インフラの知見を生かして幅広い業務に関わっていく予定です。
―エウレカやDMMなど、これまで複数のベンチャー企業でのご経験を踏まえて、ビビッドガーデンのエンジニアチームの特徴はどのようなところだと思われますか?
弊社のエンジニアチームの他にはない特徴は、エンジニア自らがPMに近い仕事をしているということだと思います。単にコードを書いて開発をするというだけでなく、コードを書きながら施策を考えて意思決定も行っていくという体制です。ですから、お客様や生産者さんに価値提供するためにどのような施策が必要かを考えて経営陣に提案し、外部人材を含めた開発体制を構築し、実装まで携わることができています。メンバーという側面からみても、エンジニアチームの西尾、平野、藤本は、お客様のためにプロダクトを良くしたいという共通の想いをもっています。このように、組織・メンバーの両面から、ユーザーファーストでお客様のことを考えたサービスが作れる会社です。
このような体制は、時代の流れをある意味先取りしているのではないかと思います。近年、「NoCode」と言われる手法により、ソースコードを書くことなく構築されたサービスが出現しつつあります。ソースコードを1行も書くことなくサービスが完成できるまでには至らなかったとしても、近い将来、ソースコードを書けるだけではエンジニアの仕事は務まらなくなるかもしれません。弊社がそうであるように、エンジニアが単にソースコードを書くだけではなく、プロダクトやプロジェクト全体、またそれに紐づくデータを見て自ら意思決定する時代が来るのではないでしょうか。
―エンジニアチームもユーザーファーストで開発をしているとのことですが、お客様の声はどのようにして聞いていますか?
ビジネスサイドのメンバーやCSチームと常に連絡を取り合っており、お客様や生産者さん両方から毎日沢山のフィードバックをいただいています。リリースした機能に対するコメントやご要望をお客様と生産者さんの両方からいただけることはとても貴重なことです。さらに先日、CSチームの小高さんにレクチャーしていただきながら、お客様からのお問い合わせに対して実際にメール返信させていただいたこともあります。お客様が何をお考えで、なぜご購入され、なぜ退会されてしまうのかは、CSの現場でしか分からないことも多いと思ったからです。
「生産者のこだわりが正当に評価される世界へ」
ビジョンの実現のために、データ基盤構築とリコメンド機能実装に取り組みたい。
―これから先、やっていきたいと思っていることがあれば教えてください。
今後取り組んでいきたいのは、データ基盤の構築と、そのデータに基づくリコメンド機能の実装です。これらを、今後ジョインしていただく方とも協力しながら進めていきたいと考えています。
現在の食べチョクでは、お客様のフィードバックは様々な形で見えていますが、お客様のニーズをより立体的に・正確につかむためには、分析しやすい数字で追う必要があります。このためには、まずはデータ基盤を構築しなければなりません。0からの開発は難度が高いですが、技術的にはインフラとの関連性が強いため、インフラの開発と並行して取り組みたいと考えています。
データ基盤を構築した先に見えてくるのは、リコメンド機能の実装です。お客様の購買履歴や閲覧履歴をもとに、お客様それぞれが求めている生産者さんやその商品を提案できるようにしたいと考えています。食べチョクには2,300名を超える生産者さんがいらっしゃり、それぞれがこだわりと個性をお持ちです。お客様にあった生産者さんを提案できるようになることで、「生産者のこだわりが正当に評価される世界へ」というビビッドガーデンのビジョンにまた一歩近づけるのではないかと思っています。また、お客様向けだけでなく、生産者さん向けにもリコメンド機能を展開することも可能かもしれません。私たちの大切なパートナーである生産者さんにも、より便利に食べチョクを使っていただける方法を提案できないか、引き続き模索していきたいです。
ビビッドガーデンは2020年8月、シリーズB 6億円の資金調達を行い、組織が大きくなって0から1になるフェーズに差し掛かりつつあります。このなかで、あくまでユーザーファーストの開発を行っていくことで、私たちのビジョンを実現することに貢献していきたいと思っています。ひとりのエンジニアとしても、開発を通じて、プロダクトを使った人を幸せにしていきたいです。
エンジニアさんというと確かに、コードを書くことだけに特化したプロフェッショナルの姿をイメージしてしまっていました。鈴木さんのお話を伺う中で、エンジニアさん自らがお客様と向き合うことの価値を改めて気づかされました。意気込みにかかる熱意とは対照的に、インタビューは終始ほがらかでおだやかな時間でした。鈴木さん、お時間いただきありがとうございました!
【聞き手】
森田 慧(東京の都市農業の現場を発信してきた編集の経験を活かして、ビビッドガーデンのメンバーの魅力をお伝えします)