「営業出身でも、事業をリードできるのだろうか。」
「エンジニアとしてキャリアを積んできた自分に、経営や事業推進の視点は持てるのだろうか。」
将来、起業や事業責任者を目指したい人ほど、こんな悩みを抱くことがあるかと思います。
UPSIDERでは営業、エンジニアの現場という異なるキャリアを歩んできた2人が新規事業「PRESIDENT CARD」の立ち上げに挑みました。
お客様と仲間に誠実に向き合い続ける姿勢、そして挑戦を通じて磨かれていった意思決定のプロセスを、当時のエピソードとともにお届けします。対談を通じて、UPSIDERにおける事業責任者のリアルな姿を知っていただけたら幸いです。
💡この記事はこんな人向け
- 将来起業や事業責任者を目指しているが、具体的に何をすればよいかわからない人
- 新規事業立ち上げのエピソードから、事業推進のリアル感を知りたい人
- 今の現場での役割からどう事業責任者へキャリアを広げられるのか、再現性のあるプロセスを知りたい人
- 自分の野心や行動力をもっと大きな舞台で挑戦してみたい人
PRESIDENT CARDとは
挑戦を続ける経営者を支える法人カードです。法人カード「UPSIDER」で培ったAIによる与信モデルや業務効率化機能をベースに、経営者ならではのニーズに特化した設計とサービス体験を提供しています。
プロフィール
近藤 万葉 (Mayo):カード事業責任者
高校時代から複数のスタートアップでインターンを経験。新卒でAnyMind Groupに入社し、営業としてキャリアをスタート。その後2022年にUPSIDERへジョインし、カード事業の立ち上げを中心に営業部門を統括。現在はカード事業の責任者として、事業成長の最前線を牽引している。
早坂 涼 (Hayasaka):カード事業部CTO
19歳で上京後すぐにサーバーサイドエンジニアとしてキャリアをスタート。動画配信企業ではテックリード兼アーキテクトとして、技術選定や開発をリード。UPSIDERに参画後はカードの管理機能や顧客管理システムの開発を担い、現在はカード事業の開発責任者として推進している。
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1.手探りから始まった新規事業PRESIDENT CARDの立ち上げ
── 新規事業であるPRESIDENT CARDを立ち上げた当初、現場はどのような様子でしたか?
Mayo:
当時は4人のチームで立ち上がりました。ビジネスサイドは私しかおらず、あとの3人はエンジニアでした。PRESIDENT CARDは、既にあるUPSIDERカードの基盤や知見を元に事業を組み立てていきました。スピード感を持ってお客様に価値を届けるために、3ヶ月という短期間で立ち上げる挑戦が始まりました。私もHayasakaさんも新規事業の立ち上げは初めてだったので、右も左もわからないカオスな状態でした。
Hayasaka:
エンジニアは新規事業を「真っ白なキャンバスに一から自由に描ける」と思いがちなのですが、実際には既存のUPSIDERカードという基盤があって、その上にどう差分を作るか、どう新しい価値を出して開発していくかが問われる状況でした。
だからこそ、「UPSIDERカードと何が違うの?」「この事業はなぜ必要なの?」っていう問いに向き合う時間が最初はすごく多かったです。
とにかく咀嚼して、チームでひたすら話して、対話して、向き合って。そういうコミュニケーションから始まりました。
── Mayoさんはこれまでエンジニアと一緒にプロダクトを創る経験はなかったと思いますが、不安ではなかったですか?
Mayo:
私はそれまで営業のキャリアがメインだったので、Techの専門的なことは未知の領域でした。「アーキテクチャって何?アジャイルって何?」という状態からのスタートでした。
ただ、私が事業責任者である以上、意思決定を避けるわけにはいきません。そこで意識したのは「理解できるまで徹底的に聞き、学びきる」ことでした。
わからないことはTechの責任者のHayasakaさんをはじめ、いろんなエンジニアの方に一から丁寧に教えてもらい、背景や仕組みを噛み砕いて理解することを繰り返しました。
このプロセスにおいては、専門的な知識やスキルが欠けていることを気負わずに、とにかく会話量を増やすようにしていました。
Techのバックグラウンドがない私は、当時、要件規模と工数の相関を把握できず、スケジュール確度に自信が持てませんでした。感覚を掴むまでは常に緊張感を持って進めていたように思います。
なぜこの開発にこの期間を要するのかという開発実務の事情まで含めて、全てを自分の言葉で納得できるように吸収していきました。
例えば、文字を変更する場合、ウェブだったら早くできるけれど、アプリだと審査プロセスがあるため反映までに時間がかかってしまうという背景や事情があったりします。
一つひとつのことに、ここまで全部噛み砕いて説明してもらうということを繰り返し行なっていくうちに、だんだん感覚が掴めるようになっていきました。
── 意思決定はどのように行っていたのでしょうか?
Mayo:
代表のToruさん(宮城)やTomoさん(水野)からは「PdMポジションのメンバーを入れる選択肢もあるとは思うけれど、プロダクトの意思決定は、全部自分でやってみてほしい」と言われていました。
「機能の優先順位も、自分で決めてほしい」と。これが最初の大きな壁でしたね。
一見すると厳しいように聞こえますが、これは 事業責任者としての力を磨いて欲しいという意図で、私に期待し任せてくれていたのだと思います。最初から正解がわかっている人はいません。だからこそ、誰よりもお客様と向き合ってきた私に、現場で得た一次情報をもとに仮説を立て、エンジニアと議論し、意思決定を行って欲しいという意図で期待し、意思決定を託してくれました。
営業の立場から見れば「お客様にとってこの機能があればより便利になる」という視点が強くなりますし、エンジニアの立場から見れば「技術的に挑戦的で将来拡張性がある仕組みを取り入れたい」という視点が強くなります。
たとえば営業は「法人カードにマイル交換の仕組みがあれば、顧客体験をさらに向上させることができる」となるけれど、エンジニアは「既存の仕組みに付け足す形で対応するのではなく、長期的にスケールできるよう、新しい基盤の上で設計したい」と感じる、などが一例です。
立場によって大事にするポイントが異なるからこそ、それぞれの観点を尊重しながら、どの機能を優先するかを議論を通じて整理していきました。もちろん全部入れることはできないので、チームで全部書き出して並べて、議論して、一つずつ「これはやる、これはやらない、これはやってみたい」とみんなで精査していきました。
「無くてもプロダクトが死なないだろうと思う機能は削って、その代わりに新しいものを入れる余地を作る」ということをすごく大事にしていましたね。
最終的に目指したいものに必要なピースだよねというところをチームのみんなと共通認識を形成し、全員で納得して進めていきました。
── Tech責任者であったHayasakaさんはビジネスサイドと協業する上で、意識的に工夫した点はありますか?また、必要なスキルはありましたか?
Hayasaka:
最初から意識していたのは、「わかってくれないだろう」と決めつけないことですね。Techから見たらBizは無茶なことを言っているように聞こえるし、逆にBizから見たらTechは動きが遅く見える。でも、実際にはどっちにもちゃんと理由があります。
だから、Bizが持ってくる要望をそのまま「無理」とは言わずに、「どの条件ならできるのか」「合理的に実現するにはどうするか」を一緒に考えるようにしていました。
必要なスキルでいうと、やっぱり相手の言葉を共通言語や課題として置き換える翻訳力だと思います。Mayoが顧客から拾ってくる声は、生々しい一次情報なんですよね。それをただ「顧客がこう言ってました」と受け取るのではなくて、「つまり体験のこの部分で困っている」「だからこの機能が欲しいんだ」と抽象化して受け止めるということを行なっていました。
そうやって噛み砕いて理解できると、エンジニアとして「じゃあこういう仕組みを作れば解決できそうだ」と発想を広げることができます。
結局大事なことは、「事業を前に進める」という共通認識で協業していくこと。立場は違っても、目的は同じだから、そこでちゃんと噛み合うように翻訳して、尊重して、一緒に意思決定をしていくことが必要なスキルだと思います。
── Bizサイドからの依頼で大変なことはありましたか?
Hayasaka:
たとえばアプリのUIやUXの検討をしている際に、「このまま進めるとお客様の体験が損なわれてしまうかもしれない」と気づき、方向を修正することがありました。
エンジニアは基本的に積み上げたものを急に変えることを嫌う傾向があります。数日かけて作ったものを見直すのは負荷も大きいですし、理不尽に感じてしまう場合もあります。
ただ、Mayoの伝え方は「感覚的な好み」ではなく、必ず合理的な説明やお客様の視点に基づいた根拠がありました。だからこそ納得感を持って取り組むことができ、「嫌なちゃぶ台返し」になることはありませんでした。
UI/UXは突き詰めればいくらでも改善できる領域です。時には実装側も「どこかで違和感がある」と思いながら進めてしまうケースもあります。そうした曖昧さを放置せずに、「本当にこれで良いのか?」と立ち止まって問い直すのが事業責任者の役割だと思います。
振り返ると、大変なことはたくさんありましたが、合理的な対話を重ねることでBizサイドとTechサイドが分断することなく、むしろ一体感を持って進められたと感じています。
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2.領域を越えて歩み寄り、同じ景色を共有する
── お互いの専門外の領域をどのように理解していきましたか?
Hayasaka:
僕自身、PLやマーケティングの意思決定についてはバックグラウンドがまったくなかったんですよね。だから最初は「どこで予算を踏むのか」とか「どういう打ち手を選ぶのか」など、正直よくわかりませんでした。
でも、Mayoがそこを意図的に僕にも触れさせてくれたり、説明してくれたりしました。お互い知らない領域を「わからないから関わらない」と決めつけるのではなく、ちゃんと教え合う環境を作ってくれました。
僕もBizサイドに関心を持つようになったし、MayoもTechサイドに興味を持ってくれました。普通はBizの人って、エンジニアリングに対して「よくわからない」「怖い」って距離を置いちゃうことが多いんですよ。でもMayoはそうではなく「知らないけど聞いてみよう」と素直に踏み込んでくれました。
これはすごく大事なマインドで、「知ろうと思えば理解できるし、聞けばいいだけ」なんですよね。
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