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「イクメン」という言葉が流行り、そして廃れてから早数年。
「男性も育児をするのは当たり前」という考えの浸透から、瞬く間に消えた言葉なのではないかと思っています。
とはいえ、やはり育児はママが主体になって行う(そうせざるを得ない)場合が多いのが実状です。
そんな中、うるるでは少しずつながら男性の育休取得者が増えていることから、今回はその中の一人に直接経験談をインタビューしてみました!
萩原 北斗(はぎわら ほくと)
・2012年10月入社
・NJSS事業本部 開発管理チーム スペシャリスト
・現在、息子が2人(2019年生まれ・2021年生まれ)
・2022年2月より、約3ヶ月間育児休業を取得
・趣味は釣り
・最近ハマっていることは魚の熟成
・仕事では、開発系 / データ基盤 / M&A対応など幅広く動いていますまずは育休を取得しようと決意されるまでの背景を教えてください
まず、上の子が生まれた時は育休を取得しておらず、産休中の妻に日中の育児をほぼ全て任せていた状況でした。当時、うるる社内でも育休を取っていた男性社員は全然いなくて、世の中のトレンド的にも――僕が触れていなかっただけかもしれないですが――男性の自分が育休を取得するという発想はありませんでした。
下の子が産まれた時も、最初は育休は考えていなかったんです。
上の子が手のかからない子だったこともあり、「今回も妻の産休と育休で何とかなるだろう」という考えでした。ただ、妻と下の子が退院して暫く家で過ごしているうちに、段々と「これはキツいぞ…」と。
仕事にも影響を出していた状況だったので、どうにかしないといけない状態でした。仕事は会社の仲間に任せて、家庭に集中したいと考えて育休の取得を考え始めました。
下の子が生まれて1~2ヶ月が経った頃から育休を検討し始めたんですが、妻からは「育休、まあいいんじゃない?」という肯定的な反応と「ただ、収入面はどうしようか?」という現実的な反応があった気がします。
上司には育休を考え始めてから1~2ヶ月くらいのタイミングで相談して、そこから労務メンバーに具体的な制度の説明などをしてもらいました。
実際に取得を開始したのは、下の子が生まれてから半年後くらいでした。もっと早いタイミングから取得できていたらよかったというのは、振り返って感じています。
▲自宅での一コマ ~萩原の膝でぐっすりお昼寝~
育休を取得するにあたって、心境面はいかがでしたか?
社内の育休取得者が少ないこともあり、「周りからどう思われるんだろう」とか「どんな表情でこの話を聞かれるんだろう」とか、反応の怖さみたいなものはありました。正直、育休の話を伝える中で後ろめたさを感じることもありました。
上司に最初に相談した時は、「そうかそうか、そんな状況なんだね」「全然いいんじゃない?」というリアクションだった記憶があります。
うるる全体として育休を取得する男性社員がポツポツ出てきていたタイミングでもありましたし、背中を押してくれているような感触でしたね。
決断をするときには「申し訳ないけどもう無理だ」という気持ちが強かったんですが、育休取得を公表した時に「気にせずに休んじゃえ」と言ってくれる人が数人いて、気持ちの面でそういった後押しに救われた記憶もあります。
元々上司とは毎週話す時間を取っていて、仕事の話だけではなくてプライベートの話題が出ることもありました。
育児と仕事に追われる状況についても「いやぁしんどいっす……」みたいに伝えていたのと、しんどさが心配されるぐらい顔に出ていたっぽくて(笑)あとは、上司はパパとしても先輩だったので、「子供が1人なのと、2人なのとでは大変さが違うよね……」というような話も結構していました。
実体験を踏まえて話が出来たので、理解して貰いやすい心強さがありました。
▲自宅での一コマ ~愛猫とのんびり日向ぼっこ~
育休取得までに取り組んでこられたことはありますか?
実は上長に伝える前から、メンバーとの会話の中で「休み取らないとマジでキツイかも」というようなことを漏らしていたんです。そのニュアンスが段々強くなっていったのは、恐らくメンバーも感じていたんじゃないかと思います。
なので、メンバーに取得を公表する時には、伝えることの不安感はそこまで無かったですし、反応も「やっぱりそうなんですね、前から言ってましたもんね」という感じで、伝え方についてはあまり苦心しませんでした。
業務の引き継ぎの部分では、自分が持っている業務を全て棚卸しして、誰に引き継ぐかを上司と相談しました。
ただ、自分が戻った時のことは考えずに、「誰に引き継いでもらうのがベストか」というのを一番重視していましたね。
育休から戻ってきたタイミングで状況がどうなっているかわからなかったですし、戻ってきた時のことが念頭にあると、周囲も自分も期待があり続ける状態になってしまってしんどいかなと考えていました。
業務の引き継ぎで苦労したこと、意識したことはありますか?
自分は管理職でメンバー評価の責務も持っていたので、その引き継ぎには心理的なエネルギーを多く費やした記憶があります。レポートラインだったり相談相手のバトンタッチだったり、上長とメンバーとそれぞれ会話を重ねました。
やはりメンバーとしても不安を感じやすい部分だと思いますし、上長としても期中から引き継ぎを受けることの難しさがあったはずですが、うまく工夫してくれた部分もあってなんとか形としては引き継ぎきれました。
あとは、メンバーが持つ不安と向き合うことにも気を付けていました。業務の引き継ぎの話に絡めて不安な部分を言って貰ったりもしましたが、恐らくメンバーとしては、育休に入ろうとしている人間には言いにくい部分も大いにあったんじゃないかと想像しています。
もしかしたら引き出しきれず、対処しきれないまま育休に入った要素があったかもしれないとは感じています。今考えても仕方ない話ですが、心残りにはなっていましたね。ただ、復帰した時にプロジェクト含めてうまく進めてくれていた成果を見て、すごく安心しました。きっと大変だったはずなのに、うまく形を作ってきた仲間たちを見てやはり信頼できる仲間たちだと実感した瞬間でした。
▲水族館にて、同じ格好で水槽を見つめる父(萩原)と息子
育休を取ってみて感じたことはありますか?
なんだかんだ常に仕事に触れていた毎日だったので、最初の1ヶ月くらいは「本当に何も仕事に接しなくていいのかな」と、長期間仕事に触れないことへの不安や違和感は強かったです。
有給も含めて3ヶ月ほど育休期間がありましたが、振り返ってみると2ヶ月目からが本格的な育休だった気がしていて、最初のうちは正直切り替えが上手く出来ていませんでした。ただ、最初の1ヶ月にしてみても、朝寝を一緒にしたりリビングで日向ぼっこしたり、子供と触れ合っている時間は育休取得前と比べて格段に増えました。
上の子の時は、平日は朝ごはんを食べさせて会社に向かい、夜はお風呂にいれて寝かしつけ……くらいの接し方しかしていなかったので、平日の日中から接する中で色々な表情を見られたのが貴重な経験です。例えば寝返りができるようになったり、僕に反応して笑顔を見せるようになったり、腰が座ってきて自分で座り続けられるようになったり、という変化を人伝えではなく自分で見ることが出来ました。
接する時間が長くなったので、子供も僕に対して安心してくれるようになったりと勝手に思ったり(笑)「あれ?前はこんなにすぐに泣き止んでくれたり、笑顔を見せてくれたりしなかったよな?」という変化にふと気付いた時に、「ああ、育休取ってよかったなぁ」というのを強く感じました。
上の子に関しても、プロジェクトの佳境のタイミングでは土日に仕事をしていることも多かったので、子供がちょっと余所余所しくなっていったというか……妻にだけ甘えに行ったりしている姿を見かけていました。
今回の育休中に保育園を休ませて遊びに連れて行くことが出来たので、伸び伸びと楽しんでいる様子が見られて「我が子はやっぱり可愛いなぁ」と実感しましたし、育休を通して「今しか一緒に経験できない時間を多く取れる」という恩恵をすごく感じました。
あとは、妻がずっと赤ちゃんである下の子と1対1で対峙しているしかない状況というのが本当に大変だったんだなと実感しましたね。実は僕が育休に入る前の段階の方が遥かに大変で、育休に入ったタイミングでは幾分落ち着いてきている感じではあったんです。でも、やはり思うようにいくことがないのが育児で、そのストレスは相当なものだったはずです。
今回の育休で、妻と2人で育てている実感というか、我が子が2人の子供なんだなという感覚が強まったように思います。もし3人目を授かることがあったら、絶対に最初から育休を取得すると思います。
お子さんがいる方に、イチ事例として伝えたいことはありますか?
まず、「仕事の状況はどうとでもできるんだ」と捉えるのが良いと思います。僕自身が管理職だったので、育休取得の最初の障壁は高かったのは確かですが、「管理職=仕事を調整できない」なんていうことは無い、というのは一番伝えたいです。
もちろんそう思えるのは周囲の人達の理解や協力あってのものだったので、周りに甘えて口に出してみていいんじゃないかと思います。もし今後、管理職の社員(非管理職でも当然)が育休を検討していたら、僕自身も全力で応援しようというスタンスになれました。
それから育休というよりは子供が生まれたタイミングで感じたことですが、仕事は仕事で大事であっても、家族の方が大事だと考えるようになりました。
「会社にとって自分に代われる誰かはいるが、家族にとって自分に代われる存在はいない」という言葉は度々目にすることもありますが、その言葉では表現しきれないほど深く実感したので、家族の優先順位は高く持つべきだと感じています。夫婦が揃っている場合、ママだけが育休を取ることが多いのが現状だとは思いますが、一人で頑張っている多くのママの大変さは計り知れないです。
パパが育休を取ったとしても、理解が及ばない部分や想像できない領域が残るからこそ、負担を分担し合えるのが良い形なんじゃないかなと。
夫婦で共通の思い出ができることで「あの時の様子かわいかったよなぁ」というような話ができるようになるのも、夫婦としての素敵な思い出の一つだと思います。
育休を取得するだけでパートナーの負担が減るわけではないですし、むしろ負担が増えることすらあるというような話も見かけるので一概に全ママが喜ぶかは分からないですが、「育休や子育てをこんな風に思っているパパもいるよ」と伝えたいです。
編集後記
ブログでは初めてナマの声をお届けした、男性社員による育児休暇。
ただ単に「育児というタスクに時間を割ける」だけではなく、子供にとっても、親にとっても、そして今だけではない「幸せな瞬間」を家族と共有できる制度であることが感じられました。仕事よりも家族を優先していい、と言い切る姿勢は、既存社員にとっても非常に心強く映ったのではないでしょうか。
また印象的だったのは、「有給取ってよかったなぁ」というシンプルながら温かい想いと、「妻のストレスや負担は計り知れない」という言葉でした。
実は「こうした話を妻に直接伝えたり、話したりしたことはない」と恥じらいながら語った萩原。しかしながら、限られた時間の有り難み、日々違いを見せる我が子の表情、パートナーへの敬意、周囲への感謝と信頼。
そうした多くの喜びと学びがあったことが、そして家族と確かに分かち合えたことが、言葉の端々から伺い知ることが出来ました。育休を検討している方はもちろん、これまで選択肢に入れていなかった方も、ぜひこれからの参考にしていただけますと幸いです!