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「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」をビジョンに掲げ、さまざまな事業に取り組んでいるうるる。ビジョン達成を目指す新たな挑戦として、2022年4月、株式会社Lightblue Technologyに対しての出資を行いました。
参考記事:うるるが、東京大学発テクノロジー開発のスタートアップ企業、 「株式会社Lightblue Technology」へ出資
出資から半年以上経った今、うるるとLightblue Technology双方に対してどのような変化があったのか。「出資」という挑戦は何を生んだのか。
今回は株式会社うるるの星社長と、株式会社Lightblue Technologyの園田社長をお招きし、お話を伺ってきました。
「AIのチカラ」をビジョン達成のアプローチの一つにする
ー株式会社Lightblue Technologyは、「デジタルの恩恵を全ての人に届ける」というビジョンを掲げ、ディープラーニングなどの最先端AI技術を利用したIoTシステムの現場実装に取り組んでいらっしゃいます。
うるるとして、「この会社に出資したい!」と興味を持ったのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?
星:きっかけとしては、今からちょうど1年くらい前の2021年11月に「こういう会社がありますよ」と仲介会社から紹介してもらったこと。
うるるとしては2001年の創業以来、「人のチカラ」を活用してビジョンにある労働力不足の解決を目指してきました。
でも、「人のチカラ」だけが選択肢ではない。
今まで手がけてこなかったAIを活用した方法でも、このビジョン達成にアプローチしたいと考えていました。
Lightblue Technologyは、まさに「AIのプロフェッショナル集団」。
一緒に労働力不足の問題に取り組むことで、アプローチの手段を増やせるんじゃないか、AI領域に展開していく上で不可欠な要素を取り入れていけるんじゃないか、という狙いがありました。
園田:僕たちとしても出資を受け入れたのは、ビジョンの達成という面が大きいです。
僕たちはビジョンとして、「リアル空間にアルゴリズムを導入し、デジタルの恩恵をすべての人へ」ということを掲げていますが、実際はまだまだ「すべての人」が対象とは言い難い。
顧客のポートフォリオを見ても、R&D(※Research & Development、日本語でいうと「研究開発」の意味)要素が強く、実際に「すべての人」を対象にサービスを提供できているかというと、理想と現実の乖離が大きいと感じていました。
事業としても、受託開発だけではなく、プロダクトとしてもっとAIのチカラ、ITのチカラを活用していきたいと。
でもなかなかうまく行かず、単純な資金調達というニーズ以外にも、「何か脱皮したい」と強く感じ、模索している状態でした。
星:うるるも最初は受託業務から生まれたので、その時の園田さんの気持ちは分かるような気がしますね。
どういう風にプロダクトを作るのか、商品を売っていくのかという部分で、うるるがサポートするというと少し違和感はあるけれど、情報を共有することでお互いが遠回りをせずに成長を目指していけるんじゃないか、と。
そんな期待感があって出資をしようと思いました。
ーなるほど。お互いにメリットがあると思って決断されたわけですね。
一方、園田さんも当時いろいろな会社から出資のお話があったと思いますが、数ある選択肢の中からうるると一緒にやってみよう、と思ったきっかけはあったのでしょうか?
園田:ビジョン達成のために一番ベストなパートナーと感じたからで、特に星さんと実際に会ってみて話した時の印象というのも大きかったですね。
僕自身、性格的には結構準備をして、石橋を叩いて渡りたいタイプなので、意思決定をするまでには時間をかけましたし、多くの起業家・投資家とも面談をしました。
その中で星さんからは、一番僕や会社の状況を理解し、想定した上で、地に足のついたアドバイスをいただけたと感じました。
例えば、以前は僕が自分でプログラミングや設計を担っていたんですが、開発は優秀なメンバーに任せる方針に変えました。
代わりに若手のメンバーを営業として採用するとともに、僕自身も営業に関わることで、より営業と開発のサイクルがうまく回るようになってきたんです。
そんな風に変えてみようと思ったのは、星さんや副社長の桶山さんからのアドバイスがきっかけでした。
星:今年の8月にうるるとLightblue TechnologyでBBQをやった時にした話ですね。
園田:そうです。かなり辛辣な部分もあったんですが(笑)、どうやったら営業社員を採用できるかという相談事に対して、視点を変えて「そもそも園田くんたちの強みは」というアドバイスをもらえたのがすごくありがたくて。
相談していない部分に対しても状況を理解した上で真摯に向き合ってくれるんだ、ということは出資を受ける前から感じていましたね。
星:話を聞いていると、園田さんは意識せずともエンジニアが働きやすい環境や組織が作れているんですよね。
一方、うるるは営業が強い会社なので、逆に営業が働きやすい環境や組織が作れていると思います。
AIを事業に活用した実績がないうるるにおいて、優秀なAIエンジニアを採用し、気持ちよく働き続けてもらうことは、本当にうるるにとって難しい挑戦です。
でもLightblue Technologyとのつながりができたため、その部分の知見や人材についても少しずつノウハウがうるる側に溜まってきていると思います。
そういう採用や働きやすさの部分でも、Lightblue Technologyとうるるで連携をして双方に良い影響を与えられたらいいですよね。
事業成長だけでない、メンバー交流を通して感じるうるるの強み
ーうるるとしても採用などの部分でLightblue Technologyを参考にしているわけですね。
反対に園田さんは現在NJSSのAIプロジェクトに携わっていただいていますが、直接うるるのメンバーと仕事をする中で何か感じる部分はありますか?
園田:そうですね、すごく楽しいし、いろんな刺激を受けてます。
NJSSで必要になるような大量の言語処理の部分は、Lightblue Technologyとしてもまだまだ試行錯誤の部分も多いので、僕自身すごく勉強になりますね。
あとは人の部分でも、仕事に真面目で事業を伸ばすことに全力でコミットする点、会社のことが好きな点は、少なくとも僕がお会いしているうるるのメンバー全員から感じています。
僕自身社長として会社を興した立場からすると、そういうメンバーが集まる環境が作れていることは素直にすごいと思うし、僕たちの会社もそうありたいと思っています。
星:そう言っていただけると嬉しいですね。でもLightblue Technologyも、結構組織作り・文化醸成のところには力を入れてるんじゃないですか?
園田:大事にはしてますね。
理由としては、二つあって、一つが自分がエンジニアとして働きやすい会社でありたいから。
もう一つは、単純に生存戦略なんですが、中長期的に事業をちゃんと伸ばしていき、同じような領域の中ではトップクラスの報酬を社員に出したいからです。
ビジョンや課題をメンバーには率直に伝えつつ、社内の経費精算や育休取得などの制度は分かりやすく、利用しやすいことを心がけています。
もちろん人としてやってはいけないことや法律的なルールはありますが、プロジェクトのための備品や、勉強のための本を購入するとなった時に、細かくお伺いを立てないといけないというのは時間が勿体無い。
メンバーのことを信じて、後日確認する前提で購入を推進しています。
育休についても、きちんと準備をすれば抜けても大丈夫というのは、育休で抜ける社員にとっても残る側の他の社員にとっても安心感につながりますし、会社として健全な状態だなと思います。
星:すごくよく分かりますね。
スタートアップにとって必要以上のルールを設けて統制するのは成長の妨げになってしまうこともありますよね。
ただ組織が大きくなってきて、上場を目指したり数百人以上の社員を抱えたりということになると、ルールや制度が必要になってくる。
うるるとしても創業してから今に至るまでさまざまな変遷を遂げてきましたから、そういう組織作りの部分でもLightblue Technologyの力になれると嬉しいですね。
園田:頼りにしています!
共に成長し、刺激を与え合いながら、2社だからこそできることの達成を
ーうるるとLightblue Technologyで今後どういう事業に挑戦していきたい、というビジョンはありますか?
園田:うるるから出資を受けたことでLightblue Technologyとして取れる選択肢が増えたことは大きいと思います。
例えば今僕は青森に住んでいて、さまざまな自治体とお話しさせていただく機会もあるのですが、「除雪」って結構課題が多くて。
出資を受ける前であれば、そういった課題を聞いても仕事を取りづらいので、ターゲット外だなと流してしまっていたかも知れません。
でも今では、うるるが取り組むGovTech(※行政が行うさまざまな業務にITやAIなどのテクノロジーを活用すること)の領域なので何か活かせるケイパビリティがあるかも、と考えることができます。
うるるが長年取り組んできた経験や知識と、Lightblue Technologyが持つ技術力を組み合わせることができないか、NJSSやfondeskなどうるるが持っている事業を活用できないか、といった選択肢が増えたんです。
星:園田さんがおっしゃる通りあらゆるところに課題はあって、その中で行政が抱えている課題も多い。
でも自治体向けのサービスを開発して売り上げを立てるまでは、どうしても時間がかかってしまうんですよね。予算も年単位でしか確保できないし。
事業側としては取り組む時に覚悟が必要なことが多いので、新規事業を立ち上げる際は民間向けに売りやすいかどうか、という部分が重要なこともありますよね。
園田:そうなんです。だからこそスタートアップである僕たちだけではやりづらかったり、課題は認識していても取り組めなかったりするんです。
でもうるるのNJSSやfondeskなどすでに売り上げが立っている事業を活用・転用することができないか?という選択肢が増えたことが、すごく大きいです。
星:うるるとしても同じで、僕らにはないリソースが増えて、AIを活用したいとなったらLightblue Technologyがいる、何かできる方法はないか相談してみよう、と思えるんですよね。
組織の規模は違うかも知れませんが、大規模なナショナルカンパニーからすれば同じサイズ。
うるるとLightblue Technologyで助け合える関係でいれたらと思います。
ー助け合える関係、ですか。
星:出資をした側、出資を受けた側というところはあるかもしれませんが、ビジネスをする時にはそれは関係ない。
一緒に事業を考えたり、うまくいった時に喜びあえたりする仲間ができた感覚ですね。
園田:そんな風に言っていただけると嬉しいですね。
星:企業が大きすぎると、お互いにとって提供できるものに差があったり、新しい挑戦をしてもなかなか動きが遅くなったりということがあるかも知れない。
そこはうるるとLightblue Technologyだからこそできることを追い求めていきたいですね。
園田:Lightblue Technologyとしても僕個人としても、うるると関わるようになっていろいろな面で刺激をもらっています。
事業の作り方はどのようにするのがいいのか直接星さんや桶山さんからフィードバックをいただいたり、NJSSを通して地方自治体のニーズなどを知ることで、自分たちの技術やスキルがどのように課題解決に結びつけられるのか考える視点が増えたり。
今回の出資をきっかけに一皮も二皮も剥けていけるんじゃないかなという期待を感じています。
星:頼もしいですね!
園田さんもそうなんですけど、Lightblue Technologyのメンバーってすごく人が良くて。うるるのカルチャーとも合っているなと感じるんですよ。
だから本当に、一緒にビジョン達成を目指す「家族」が増えた感じで嬉しいですね。
園田:ありがとうございます。僕もうるるのメンバーと話している中で、メンバーみんながうるるのことが好きであることを感じることが多くて。
Lightblue Technologyでも事業を成長していく中で、その組織作りも達成していきたいと思っています。
星:うるるとしてもLightblue Technologyとしても、どちらか一方では達成できなかったことをお互いの存在があったからこそ達成できた、と言えるような状態にしていきたいですね。
園田:そうですね。一緒に「倍以上事業を伸ばせる」ことが実現できたら素敵だなと思います。
そのためにも、ベースにあるLightblue Technologyだからこその事業を、うるるから刺激をもらいながらしっかり伸ばしていこうと思います!
星:一緒に頑張りましょう!