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2020年12月、うるるとして初めてのM&Aを実施。出張撮影プラットフォームを運営するOurPhoto株式会社がうるるグループの仲間入りを果たしました。
OurPhoto株式会社の代表である平野 歩(ひらの・あゆみ)さんも、M&Aのタイミングでうるるにジョインしていましたが、このたび2022年12月に代表を退任し、非常勤取締役となることに。
改めてうるるとOurPhotoのM&Aにはどんな意味があったのか。
M&Aに関わったうるる代表・星社長とOurPhoto代表・平野さんは、お互い何を感じていたのか。
そして平野さんはこれからどんなことに挑戦するのか。
OurPhotoの代表という立場を卒業することを機に今だから話せることをたくさん伺ってきました!
事業を成長させるために。M&Aで感じた葛藤と決意
ー出張撮影プラットフォームを運営するOurPhoto株式会社が、M&Aを通してうるるの仲間入りをしたのが2020年12月のこと。今からちょうど2年前のことになりますが、当時のことは覚えていらっしゃいますか?
星:きっかけとしては、日本M&Aセンターさんから「こんな素敵な会社がありますよ」ということで紹介してもらったこと。
当時うるるでは「えんフォト」(※保育園・幼稚園向けのオンライン写真販売サービス)を運営していましたから、「おもいで」という軸でシナジーが生まれるのではという期待がありました。
平野:OurPhotoは創業から5年ほど経ったタイミングで、これからもっともっと事業を拡大していきたい、サービスを多くの人に届けたいと感じていました。
自社での資金調達という手段もありましたが、うるるの話を聞いて、IT企業として複数もの事業を成長させてきたり、仕組みづくりを行ってきた経験・強みというのは、OurPhotoの事業拡大のスピードをもっと早めることができるのではないかと感じ、事業譲渡を決断しました。
ー創業者にとって会社は我が子のようなもの。創業者として複雑な気持ちはありませんでしたか?
平野:全くなかったと言えば嘘になるかもしれませんね。
頭では「事業拡大のために正しい選択をした」と思っていますが、やっぱり自分がゼロから立ち上げて、育ててきた会社が、自分の会社ではなくなるわけですから。
とはいえサービスをもっと大きくしたい、多くの人の人生の喜びを増やしたい、事業成長につなげたいという気持ちの方が大きかったので、そこまでネガティブな気持ちはありませんでした。
星:私自身が平野さんの立場だったら、マインド的にきつい部分はあると思うんですよね。
でもそこで会社の理念やビジョンを追求するために、合理的な判断をするのも起業家の仕事。
お金で測りきれない部分もありながら、会社のため・事業のために、最善の選択は何かを常に考える必要があると思います。
OurPhotoにジョインしてもらおうと決断した理由には、平野さんの強い事業愛があって。
初めてお話した時に、「ああ、この人は本当にOurPhotoを愛しているんだなあ」っていうのがひしひしと伝わってきたんですよね。
OurPhoto自体の経営内容とか成長率とかよりも、「どういう思いでこの事業を作ってきたのか」。
そういう根本の思いが私と同じだと感じたから、仲間になってもらいたいと改めて感じました。
平野:僕も星社長と初めてきちんとお話した時に、「一緒にやりたい!」と感じました。
正直、うるるの人たちがOurPhotoを壊そうと思えば壊せてしまう。
でも星社長をはじめ、うるるの人たちからはOurPhotoへの深いリスペクトを感じました。
常に目線を合わせて、OurPhotoの目指すべき姿を尊重してくれて。
ビジョンに共感した上で一緒に働いてくれるうるるの人には感謝しかありません。
M&Aを進める難しさ。カルチャーの変化から生まれたメンバーの成長
ーなるほど。お互いの理解があって進んだM&Aだったんですね。
とはいえうるるにとってもOurPhotoにとっても、M&Aを行うのは初めての経験。ジョインまでの流れやジョイン後のギャップはありましたか?
平野:やっぱり全く別の会社が一つになるということで、うるるにはあってOurPhotoにはなかったもの、その逆も含めてすり合わせは大変でしたね。
特にOurPhotoの場合は、上場を基準に社内のルールなどをつくっていなかったので…。
サービス面・システム面・人事面などその他諸々を整えることよりも事業運営を優先してきたので、その部分では苦労しましたね。
あとはもちろん働く人の気持ちの部分。
社員だけでなく、業務委託として働いている方も多いので、「OurPhoto」がなくなるんじゃないか、今までやってきたことが全て変わってしまうんじゃないかという不安は強かったと思います。
星:「M&Aは“結婚式”」という言葉があったけど、働いている人からすると親が再婚するみたいな感じはあるかもね。(笑)
平野:確かに。(笑)
でもそこは丁寧に1on1を重ねたり、うるるのルールや環境に徐々に合わせたりすることで、だんだんその不安が減っていったと思います。
ー特にうるるでは組織づくりを大事にしていて、仕事を進める上でも関係性づくりを重要視していますから、その辺りはOurPhoto側の負担は大きかったんじゃないですか?
平野:そうですね。
「シナプス組織」の考え方はもちろんなかったですし、一人ひとりの成長や会社のカルチャーというものも、明確な基準が言語化されている訳ではなかったので。
そういう部分では慣れないことが多くて大変だったかもしれないです。
星:正直うるるにとっても初めてのM&Aだったので、PMI(※ポスト・マージャー・インテグレーション:M&A後の統合プロセスを指し、経営統合・業務統合・意識統合の3段階からなる)はフルコースで行いました。
もっとM&Aの経験値があれば、「大切にするべきポイントはここ」「このポイントは後からすり合わせでもいい」という取捨選択ができたかもしれないんですが、とりあえず全部やろう!みたいな感じで。
平野:確かにお互い手探りでしたよね。(笑)
星:今ならもっとうまくやれたのにな、と思うポイントもあって。
世の中的にM&Aってうまくいかない例の方が多くて、だから私自身も不安だったんですよね。
うるるとOurPhotoのM&Aも必ずうまくいく保証はどこにもない中で、どういう課題が出てくるのかというのは、M&Aを検討し始めた頃から今まで全部メモしています。
平野:へー!すごい!見てみたいです。
星:今度ぜひ。(笑)
OurPhotoとのM&Aは生のケーススタディとして、120%吸収しようという気概で取り組んできました。
その中で感じるのは、うるる側ばかり状況を押し付けてしまったかも…ということ。
OurPhotoを引っ張ってくれる平野さんがいたからこそ、今回のM&Aはうまくいったんだと思っています。
平野:そんな風におっしゃっていただくと恐縮ですが…。
やっぱり、うるるの社員のみなさんの奮闘があってこそだと思いますよ。
ー現場で働くメンバーの奮闘ですか。
平野:はい。「うるる」に入社したのに「OurPhoto」の担当になるって、それまでやりたかったことと違うかもしれないし、M&Aがうまく行くのかも分からない中で見通しがつかず、不安な気持ちもあったはず。
でもうるるの社員のみなさんは本当に当事者意識が高くて。
これまで私だけで抱えていた課題などを、どんどん社員のみなさんが抱えてくれるようになって、すごく動きやすくなったんです。
星:うるるの社員にとっても非常に良い経験になったと思いますね。
逆にOurPhotoのメンバーがうるるのカルチャーに共感して、どんどん合流してくれるのも、見ていて非常に嬉しかったです。
平野:そうそう。
正直、最初メンバーにM&Aのことを伝えた時は、すっごく表情が固くて。少なからず反発もあったと思います。
星:当然そういう反応もありますよね。
平野:でもM&Aを経て印象深かったのは、Adventure Cupなど、イベントやアワードでOurPhoto出身メンバーが受賞するようになったこと。
これまでOurPhotoのビジョンだけが好きだったかもしれないけれど、うるるの中で働く経験を通して、うるるのカルチャーも受け入れ、メンバー自身が成長している姿を見ると、とても頼もしく感じます。
今ではメンバーみんなが「うるるの中のOurPhoto」、そして「うるるの中での自分」を客観視してくれているのではないでしょうか。
星:それはめちゃくちゃ嬉しいね。
平野:OurPhotoではなかなかイベントとかアワードとかを重視してこなかったんですよね。
誰かの頑張りをみんなで表彰するという機会もなかった。
だからこそうるるの成長をフォローし合い、認め合う環境の中で、大きく成長したメンバーがたくさんいます。
星:イベントはまさにうるるならでは。
中長期的な本人の成長や学びを促すきっかけになりますよね。
自分の仕事を客観的に見つめ直す機会になるし。
そういう機会を仕組み的につくらないと、なかなか普段の仕事で手一杯になってしまいがち。
自分の仕事やチャレンジしたことを他の人にプレゼンすることで、新しい学びや気づきにつながると信じているから、これからもうるるとして続けていきたいですね。
ーうるるの文化がOurPhoto出身のメンバーにも受け入れられたということですね。これは嬉しい!
卒業にあたって。OurPhotoメンバーへのメッセージ
ーさて、今回平野さんはOurPhotoの代表をご卒業ということで次のフェーズに進まれるわけですが。
次に挑戦することというのは決まっていらっしゃるんですか?
平野:明確にこれ!ということはないんですが、新しい価値をつくっていくことに挑戦していきたいという気持ちは変わりません。
OurPhotoのことは大好きだし、大切に思っているけれども、新しいことに挑戦したいと思う人格も僕の中にはあって。
まずはいろいろなことにトライしてみたい、という感じです。
星:いいですね。ワクワクします!
平野:ありがとうございます。
うるるのメンバーもOurPhotoのメンバーも、僕の挑戦したいという気持ちをすごく前向きに応援してくれて。
それにうるるでNJSSやfondeskなどの事業を知ることができたのも、自分にとっては大きな学びでした。
星:平野さんのことは一緒に2年間やってきた戦友だと思っているので、応援の気持ちしかないですね。
平野さんが次のキャリアで何かを成し遂げたとして、「その平野さんと一緒に仕事をしていたうるる」として誇らしく感じると思いますし、逆も然り。
平野さんが創業したOurPhotoを大きく成長させていくことによって、平野さん自身の世間的な評価も高くなる。
お互いがお互いの価値を高め合えるような相互関係でいられたらと思いますし、平野さんがのびのび、イキイキと目標を成し遂げられるように応援しています。
平野:そんな風におっしゃっていただけると背筋が伸びますね。
安心してOurPhotoの未来を任せられます。
星:はい!平野さんがOurPhotoをつくった核みたいな部分はこれからも変わらないと思いますが、うるるとしてどんどんOurPhotoを進化させていきたい。
正しい方向にアップデートしていくことで、より多くの人に、より早く広めていきたいですね。
ーでは最後に、平野さんからOurPhoto・うるるメンバーにコメントを!
平野:先ほど話したメンバーの成長という観点でもそうですし、事業的な面でもOurPhotoはうるるに入った2年間で約1.9倍の成長を遂げています。
この成長角度というのは、M&Aする前とは段違い。
この2年という短期間で見て、M&Aは間違っていなかったと胸を張って言うことができます。
サービスが成長すること、事業が大きくなって届けられる範囲が広がっていくことは、やっぱり事業運営していく上で大切。
だからこそ、ここまでのやり方は間違ってないと思いますし、もっともっとOurPhotoを大きくしていってほしいと思います。
いまOurPhotoで働いているメンバーはみんな、僕がつくった船に乗ってくれた仲間です。
船頭である自分が事業を離れることは本当に申し訳ないと思っていますし、不安や寂しさを感じているメンバーもいるかもしれません。
でも、うるるという力強い仲間を得て、OurPhotoの航海はこれからどんどんスピードが上がって、次のフェーズに入っていきます。
そのことを恐れず、楽しみながら、OurPhotoを育てていってくれれば嬉しいです!
星:力強いエールをありがとう!
平野:それから最後にもう一つ。
今回のM&Aは売り手のOurPhotoも、買い手のうるるも失敗しない、良いM&Aだと思っています。
だから事業をもっと大きくしたい、ITの力を使ってサービスの成長速度を上げたいスタートアップ企業のみなさんは、うるるにぜひジョインすることをおすすめします。(笑)
星:あはは!うるるとしても、M&Aをちゃんとできる会社でありたいと思っているので、嬉しい言葉ですね。
平野:うるるに買ってもらうと事業が大きくなると、僕が実績を持って証明します!(笑)
ー平野さん、ありがとうございます!星社長も貴重なお話をありがとうございました。