自身も仕事をしながら子育て、介護の経験を通して様々な葛藤を抱えてきた田中水美さん。コピーライターや学校司書、介護施設での仕事など人生経験も豊富で、いつも人の気持ちに寄り添うことを大切に、日々ご依頼者様からの相談にお答えしています。
ーーコンシェルジュに寄せられる質問、依頼はどんな内容ですか?またそのようなご依頼を受け、田中さんご自身が感じることは?
田中:相談は幅広いです。子育てから介護、ギフトを探して欲しいなど。
ただ、ご相談内容をそのまま受け取るのではなく、その裏側には必ずストーリーがあると思うので、そこを汲み取ることが大切だと思っています。
例えば、親へのプレゼントを探して欲しいというご相談の場合、「今までできていなかった親孝行がしたい」という気持ち、奥様へのプレゼントであれば「最近口数の少ない妻を元気付けたい」という思いが隠れていることがあります。
それぞれのストーリーが見えてくると、お仕事のやりがいが一層増してきますね。
ご依頼に対し、でき得る最大限の対応をすることで、ご提案に満足していただけ、何度もコンシェルジュデスクにお立ち寄りいただけるようにもなります。
友人でも同僚でもないコンシェルジュに安心してお話いただくことで、ちょっとした不安や気がかりなことを解消してくださっていると感じています。
ーーコンシェルジュという職業を選んだのはなぜですか?たくさんの経歴をお持ちですが、仕事の中でこれまでの経験が生かされていると感じることはありますか?
田中:大いにあります。
私自身、何事にも一生懸命取り組むタイプと思っていますし、人に喜んでもらうことが大好きです。コンシェルジュという仕事を選んだ理由もその思いが根底にあります。
仕事をしながら子育ても介護も経験してきましたが、当時は目の前のことをこなすのに日々精一杯で、子どもに対しての言葉かけや、認知症の母への態度に反省ばかりでした。
ある時、母がゴミを次から次へと集めてきたんですね。結果部屋中がゴミだらけになってしまって。
認知症の症状がどんどん進行していく、そんな母を目の当たりにして、受け入れがたい気持ちが優先してしまい「何やってるの!」なんて怒鳴ってしまったこともあります。
一方で、昼夜逆転して眠れない母に読み聞かせをしたり、童謡を一緒に歌ったり、塗り絵をしたりもしていました。後からああすればよかったと思うこともありますけど、今になって振り返るとそんな時間を過ごしていたことが懐かしく思えます。
一生懸命向き合っていればきっといいことがある。人生の中で、失敗や間違いということは無いと今なら言えます。同じような経験をされている方を支えられたらいいなと思います。
ーーコンシェルジュという仕事をしていて良かったと実感する時はどんな時ですか?
田中:お客様のご相談に対し返信をして2〜3ヶ月時間が経った頃、お客様からご連絡をいただくことがあります。「体調が良くなりました」、「教えていただいた病院へ行ってきました」、「介護をしていた母が亡くなりました。あの時話を聞いていただいたおかげで介護を全うすることができました」など。
ご相談に乗らせていただいた時、きっとお客様にとっての人生のターニングポイントだったのだと思います。プライベートでの重要なイベントのご報告をいただけると、心がほっと温かくなりますね。
ーー多忙な毎日の中、依頼をする時間もなかなか取れない方も多いと思うのですが、そのような方々にお伝えしたいことはありますか。
田中:ぜひ、依頼や相談だと身構えず、数分でも気楽にお話に来ていただきたいです。
「人に相談することもない」、「公私ははっきりしているので必要ない」、考える方もいらっしゃると思うのですが、決して私たちコンシェルジュはHOW TO を教えたり、こうした方がいいですよ、とは言いません。
プロのコンシェルジュとしてお客様に寄り添いながら、情報やアイディアを提供し、お客様の思いや行動をそっと後押しするという感じに近いでしょうか。
行きつけのお店のママさんや昔近所にいた第三者的な人、親戚のおばさんというような感覚で、コンシェルジュが話を聞いてくれると思ってもらえたら嬉しいです。
ーーこれからの人生の夢を教えてください。
田中:ずばり二拠点生活。今の住まいと軽井沢あたりを行ったり来たりしながらの二拠点生活ができたらいいなあ、と。旅行ではなく、普段から自分の生活範囲が広くなるのがいいと思って。オンラインで仕事をして、大好きな自然や緑に囲まれて、犬と一緒に過ごす。そこで新たに地域のコミュニティを作れたらいいですね。
一同:ありがとうございました!