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東明館が変わり続けるために「対話」が必要な理由【教頭・福島正】

私たちは2022年度から、定期的に対話の機会を設けています。「生徒同士の対話の時間」 を毎月1 回、「教職員同士の対話の時間」を2 週間ごとに行っています。

「対話」は「議論」と違って、正解を出しません。「議論」は設定されたテーマに対し、どの意見や主張が正しいかを導き出すものです。一方、「対話」は大まかなテーマを決めるものの、正解は導きません。

対話には、いくつかのルールがあります。「否定も断定もしない」「沈黙を歓迎する」「アイディアをつなげる」など、全員が対等な立場で意見や考えを出し合います。最初は「対話」に戸惑いや不安を見せる先生もいましたが、次第に慣れてきたようです。20代から50代の先生が同じ目線で意見を出し合うのを見て、私が20代の時にこのような環境があっただろうかと、感慨深い思いになります。

対話では様々な意見が出ます。以前は「私が意見を言っても、あまり意味がないのではないか」とブレーキをかける先生もいましたが、対話の場であればきちんと意見を述べてくれています。これまでの東明館は話し合いが苦手な職員が少なくなかったので、意見を言う場を定期的に設けることができたのは非常に意義のある事だと感じています。

教職員同士で対話を重ねるうちに、私自身にも考えの変化が出てきました。「自分1人でしょわないほうが、うまくいくな」と思うようになりました。学校の課題に対して、みんなで考えて、「どうしたらうまくいくだろう」と対話を重ねるほうが、結果的に物事が早く進みます。

私自身も、神野校長から「何かありませんか。大丈夫ですか?」と声をかけてもらっています。非常に言いやすい雰囲気を作ってくれているので、ちょっと報告しづらいことも含め、包み隠さず報告ができるようになりました。

わたしの中でのターニングポイントの1つが、学校法人立命館との連携です。ここからようやく私立の学校らしい取り組みができるようになっていきました。基山町との交流も始まり、東明館らしい独自の取り組みを増やしていきました。

そんな中で、2021年11月に神野元基先生が副校長に、2022年4月には校長に着任しました。神野校長とは、副校長着任時から密なコミュニケーションを取っています。神野校長は学校では、必ず生徒に笑顔を見せて手を振ってコミュニケーションを取ろうとしています。非常にオープンな話しやすい雰囲気を作ってくれています。

生徒・教職員の挑戦を応援する環境をつくる

東明館には30年以上お世話になっています。学校の経営体制が変わるなどして、多くの先生が東明館を離れていく姿を見てきましたが、他の学校に行こうとは一度も思ったことはありません。教員として、人間として成長の場を与えてくれた東明館は、何事も一生懸命打ち込める場所でした。特に我慢をしたという覚えもありませんし、とにかく目の前のことに一生懸命取り組んだ結果が、いまの自分だと思っています。

とはいえ、若いときは結構無茶な取り組みをしていたこともありました。当時の教頭や校長は私のしたことに対する後始末が大変だっただろうなと思います。

今は教頭の立場として、先生方のサポートを一生懸命できるかに注力をしています。先生たちも、いまの東明館の現状はよく分かっています。時代に合わせた取り組みをする中で、不安や戸惑いもあると思います。私自身も、不安や戸惑いが全くないのかと言われれば、決してそうではありません。

でも、あぐらをかいていて新しい取り組みをしなかった当時の自分に対し、「早くやらないといけないよ」と言ってあげたいです。東明館は私立の学校である以上、もっと挑戦し続ける環境を作っていかないと、時代に取り残されてしまうと思うんです。

東明館はひとつの過渡期を迎えています。生徒ひとりひとりに向き合い、明るい未来をつくるために、東明館に関わってくださる全ての方々に、生徒の挑戦を応援していただければと思います。

教育の最先端を走る神野校長は、全国でも類を見ない数々の取り組みを私たちに提案してくれています。その提案に対し、最初は戸惑いもありましたが、「対話」を繰り返して意見を出し合うことで納得して取り組む先生も増えてきました。

こうした対話を通じて、生徒の挑戦を応援する環境を学校全体で整えていきたいです。

もちろん挑戦の全てがうまくいくとは限りません。でも、トライ&エラーを繰り返すことが大切だと思っています。生徒の挑戦に対して、「大丈夫かな?」と感じることもあるのですが、敢えて口に出さず、まずは挑戦してみるように促していきます。そうすることが次のステップへの布石につながっていくと思います。

学校は生徒がいないと成り立ちません。生徒たちの「やってみたい!」という気持ちを最大限尊重し、挑戦ができたことに対して大人たちが最大級の賛辞を贈ることで、学校に来るのが楽しみな状態にしていきたいですね。

生徒だけでなく、教頭として、教職員の挑戦も応援していきます。生徒たちにも個性があるように、先生たちにも個性があります。ICTを上手に活用する先生もいれば、話術に長けた先生もいますし、音響に詳しい先生もいます。

得意分野を活かすだけでなく、教頭としてもっと先生たちの得意なことを探して、それを他の先生の得意なことを掛けあわせて授業やイベントで活かしていく。そんな教員集団を作っていこうと思います。

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