新しい本を書き始めるような「始まり感」があった
―まず初めに、入社の経緯を教えてください。
もともとは会計の勉強をしていて、会計士になるつもりでした。そもそも、新卒で入社して一つの会社に勤め上げるというキャリア感がなかったです。家も商売をやっていたし、祖母ももう80近いけれど現役の税理士をやっているみたいな家庭環境で、周りにサラリーマンという存在が全然いなかったからだと思います。それで、とりあえず会計士の資格を取ってみようと思ったのですが、会計士が自分に馴染むかとか楽しく働けるかという点についてはモヤモヤ感が残っていました。そんな中で、ぼんやりとベンチャーCFOとかもいいなと思っているところに、現CEOの羅に呼ばれて、当時の株式会社東京に遊びに行くことになりました。行ってみたら、あまりにずさんな経理をしていて「やばいな」と思い、それから毎日行くようになりましたね。そんな感じで、これも何かの縁かなと思い、スッとジョインしました。
ーあまり悩まなかったのですね。
当時、大学を卒業して資格をとったら、自分の人生はある意味で一度終わるんだろうなと思っていました。だから、会計士の勉強は、物語の最後の数ページを書き終えにいくような気持ちでしていた。けれどこの会社に入った時、新しい本を書き始めるような「始まり感」があったんです。ここからまた物語を始めるぞ、という。それまでモヤモヤしていたものがスッと晴れるような心地がしました。
ー創業当初は、ビジネスを軌道に乗せるまでどのような苦労がありましたか。
当初の営業は、プロダクトも全然しっかりしていなかったので、ヒアリングに近い感じで行なっていました。紹介とかで不動産にアポイントメントをとって、提携がとれたはいいものの、プロダクトの開発が間に合わなくてご迷惑をかけてしまったこともありますね。
ー営業と開発、両輪うまくいき始めたのはいつ頃からなのでしょうか。
製品をローンチする直前ですかね、一年くらいかかりました。今思い返すと、もっとうまくやれたなとは思いますけどね。自分自身も、最初のうちは内向きだったし弱気でした。けれど、営業を続けているうちに友達ではないけど相手のことを深く知っている、信頼されている感覚を得られるようになってきて、徐々に楽しくなってきました。
株式会社東京の営業は「プロダクトに影響を与えられる営業」
ー不動産業界はわりと閉ざされた世界だとも聞きますが、営業をしている中で難しさなどはありますか。
たしかに、不動産界隈とベンチャー界隈の違いは大きいですね。必ずしも悪い意味ではないですが、不動産業界はやっぱり保守的なので。けれど、だからこそお互いに情報を提供しあうこともできますね。不動産業界の中でも、外にアンテナを張り巡らされているような方は、ベンチャーの話をおもしろがって聞いてくれます。
ー株式会社東京で営業としてはどう成長することができるでしょうか。
「プロダクトに影響を与えられる営業」が経験できますね。“経営戦略”という言葉って、一般的にかっこいい言葉だと思うのですが、営業をしない“経営戦略”は意味がわからないな、と思います。経営戦略って、プロダクトをマーケットにフィットさせていくことだと思うのですが、それって営業してマーケットに実際に売り込んでいかないと実現できませんよね。だから、営業ってすごく重要だと思います。
世間でいう営業って、"ゴリラ営業"とか"足で稼ぐ"みたいな体育会的なイメージが強いと思いますが、そういったイメージをもっと洗練させていきたいです。アポイントの一個一個でプロダクトの反省点を見つけて、それを還元して、プロダクトを向上させていくような営業組織を目指しています。営業のメンバーそれぞれが、プロダクトを良くするという共通のゴールを据えた上で活躍できると良いな、と思います。個人的な課題としては、僕はどちらかというと正攻法ばかりなので、搦め手への感度を高めていきたいです。
ーCOOとしてはどのようなことをやられているのですか。
営業とオペレーションに関する責任者としての立ち位置ですね。といってもまだ立ち上げ段階なので、明確な線引きはありません。CEOの羅との線引きでいうと、羅が外から案件をとってきて外的なモーメントを導入するのに対して、今ある案件をどう効率的にすすめていくかという部分のリードをとっていくのが僕の役割だと思います。
お互いが得意なことを貿易しあって、経済厚生を高めたい
ーやりがいを感じる瞬間はどういったときですか。
一つ一つよくなっていることが実感できる時ですね。例えば、営業のコンバージョン率があがったとか、明確に相手の反応が良くなったとか、プロダクトにここが良いなと思えるだとか。組織の話だったら、新しく人が入ってきて、他の人の行動がよくなるのを実感する瞬間もいいなと思います。逆に言えば、変化がないのが一番きついですね。悪い方の変化でも、変化があれば張り合いが出て、「やってやろう」と思えるので。最近一番変化を感じたのは、新しくWebマーケの方に精通している営業メンバーが入ってきて、営業手法の新鮮さに刺激を受けています。
ー様々な人がいると思いますが、要約すると株式会社東京にはどんな人が多いと思いますか。
興味の幅が広い人が多いと思います。例えば、僕とデザイナーでフランスの哲学者の話で盛り上がったり、CTOが歌会を始めたり、エンジニアがお茶の資格をとっていたり。特に、表現が好きな人が多くて、歌が好きな人やバンドマンもいますね。こんな会社なかなかないんじゃないでしょうか。
ー本当にいろんな人がいますね。最後に、どういう人と一緒に働きたいか教えてください。
ゴールを共有できる人ですかね。それに対してどう登るかを考えられる人。その時に、自分と違う、自分が思いもよらない方法を攻めるような人と一緒に働きたいです。
会社を始めてから、組織のことをよく考えるようになったのですが、本当にいろいろ人間がいるなと感じます。自分が思いもよらないことを簡単にできてしまう人もいれば、逆に自分が当然だと思ったことを全然できない人もいるな、と気づかされました。だから、お互い得意なことをやって、それを貿易しあって経済厚生を高め合えるといいなと思います。ただ、お互い得意なことばかりに特化していると部分最適化に終始しちゃうので、それを全体最適化させることが自分の仕事だと思っています。