You’ve made a lot of progress!【TCKWorkshop社員が働く上で大切にしていること】
皆さん、こんにちは!TCKWorkshop人事担当です。毎週月曜日にTCKWorkshop社員が「TCKWorkshopで働くうえで大切にしていること」を紹介しております。
今週は弊社の講師でもあり、人事やシステム管理なども担当している、奥野大輝さんにお話を聞きました!
奥野さんは、ご自身が大学時代に大学の教授にかけられた言葉を大切にし、日々の業務に活かしていました。そんな奥野さんの大切にされていることを、奥野さんの大学時代のエピソードを含め記事にまとめていただきました!
プロフィール
奥野大輝
早稲田大学を卒業後、アメリカコロンビア大学大学院に進学、卒業。現在はプロ講師としては英語科目の授業はもちろん日本語小論文や作文の授業も担当。講師業務の他にも人事やシステム改善も担当。
みなさん、こんにちは。TCK Workshopの奥野と申します。
私はこの会社で講師ポジションに加え、人事やシステム改善に取り組んでいます。
この会社はまだまだ小さく、会社全体のシステム自体が日々変化しているので、それに対応することはなかなかチャレンジングなものです。
そのなかで学んだこともありますが、今回はダイレクトに人と関わる講師ポジションで大切にしていることを話したいと思います。
「I’m sure you’ll be successful there because you’ve made a lot of progress!」
まだ講師を生業としていなかった大学3年生のときに受け取ったこの言葉が、その後の指導の方向性に大きな影響を与えるとは予想だにしていませんでした。
当時、日本生まれ日本育ちの私は、大学でのアメリカ出身の教授のプレゼンテーションの授業に四苦八苦していました。
日本の大学ながら日本語を一切使用しない環境で英語は思うように口から出てこない、性格は極度に内向的、周りの生徒は帰国子女やら海外からの留学生やら海外留学経験者やら...
心の底でいつか海外に行こうと思いながら、きっかけが見つけられず、せめて授業くらいは英語を使わなければ!... と思って取った授業は人生有数の選択ミスか?! と感じさせるものになっていました。
しかし、ほんの数週間後にこの授業は人生最良の選択のひとつだと思うようになりました。
毎回の授業で先生は私のつたない英語、そして、周りの生徒の自信に溢れた英語を注意深く観察し、一人ひとりにきめ細かく的確なアドバイスをしてくれました。
先生は改善するべきところをはっきり指摘しましたが、それを聞いても全く落ち込むどころか、「なるほど...」と思わされる、その観察眼と効果的な指導法に毎回、感嘆の念を抱きました。
そんな授業を受け、学期も後半に差し迫ったときに、自分のなかで「この授業を乗り越えれば海外に行けそうだ」という思いが芽生えた一方で、やはり日本を離れることの不安をまだ感じる自分もいました。
そんな迷いをしばらく抱えながら過ごしていたのですが、先生は生徒からの質問にも熱心に対応してくれていたので、ときどき機会を伺っては先生に話しかけていた私は思い切って、「アメリカの大学院を受験してみたい」と相談をしてみました。
そうすると先生は「It’s wonderful! I’m sure you’ll be successful there because you’ve made a lot of progress!」」と私に言ってくれました。
それほど特別なことを言っているわけではありませんし、先生がどれほどの意味を込めてこの言葉を言ってくれたかはわかりません。
ですが、当時の私にはどんな美辞麗句よりもこの言葉は心に響いたように感じました。
「you'll be successful」と言ってもらえたからではありません。「you’ve made progress」と言ってもらえたからです。
先生がそれまでを振り返って、「あなたの成長が私には感じられる」と言ってくれたその一言は、周りとの圧倒的な差を日々感じていた自分にとって一番の励ましの言葉になったのだと思います。
そして、この一言が私の迷いを断ち切ってくれました。
大学4年生になっても、大学を卒業しても相変わらずの英語への苦手意識は抜けず、テキストを開くのもいやになることもしばしば。
でも、現状に満足いかなくともmake progressの余地がある限り、あともう少しだけ、あともう少しだけと自分に言い聞かせて勉強を続けることができました。
そんな数年を経て、私はとあるアメリカの大学院に合格し、そして、自身の英語学習と新たな挑戦の心の支えとなった先生の後輩になりました。
先生と専攻はちがうものの、日本から飛行機で14時間もかかる遠く離れたNYで、先生と同じキャンパスに通っている自分自身を不思議な感覚で見る日々。
日本にいるときとは比べものにならないほど英語には苦労し、文化のちがいにときに眉を顰めそうになり、日本を恋しく思い...
そんな感情になるたびに、先生の言葉を思い出して気を取り直しました、まだmake progressできると。
帰国後、私はTCKの一員となり、生徒を指導する立場となりました。
私は先生の足元には及ばないとは思いつつも、先生に学んだことを自分の生徒に実行しています。
それは成長を点ではなく線で捉えるということです。
生徒たちは特定の目標のために日々努力を積み重ねていますが、そのなかで自分の成長を実感することは難しいものです。
でも、教える側に身を置くと、人の成長は驚くほど簡単に見つけることができると気づきます。
例えば、私の過去の生徒に中学受験を控えた中国からの帰国子女の男の子がいます。
その子はとても可愛らしい笑顔が印象的でしたが、その一方で、とても礼儀正しく大人びていました。
小学生とは思えないほど知識が豊富で、ライティングをさせてみると最新の社会トピックもよく把握しています。
が、何かがおかしい...
書いている内容とは不釣り合いかのように、文章全体が文法ミスだらけでした。
それも3人称単数のsが抜けているとか、過去形にするためのedが抜けているとか、本当に基本レベルのミスがあちこちに見られました。
初回の授業で、「いったいどこから手をつけようか...」と戸惑ったことを今でも思い出します。
しかし、戸惑ってばかりはいられません。
私たちは1対1の個別指導をしていて、画面越しとはいえ、目の前に生徒がいるのにずっと無言のまま時間を過ごすことはできないのです。
私は文法ミスを直していかないといけないとはっきりと宣言したうえで、こんな話をしてみました。
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どうして文法ミスを直さないといけないかわかる? 意味が伝わっているならそのままでもよさそうだよね?
それでも文法は正しくしようとしないといけない。
それは、決して正しい文法を使いこなせることを自慢するためじゃない。
文法が間違っていると読んでいる人はそのあたりがどんな文構造をしているかを考えながら読まないといけなくて、そうすると、自分の伝えたい内容よりもそっちの方に意識が持っていかれてしまう。
せっかく自分の意見を伝えようと思っているのに、読んでいる人がそんなことばかりに気を取られていたら残念だとは思わない?
だから、自分の言いたいことが伝わりやすくなるように文法を直していこう!
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もともと学ぶ意欲が高く、素直な彼。
「なるほど!」と言って少しもいやがることなく、一緒に退屈な文法の勉強をしてくれました。
とはいえ、そんなにすぐにミスが直るわけもありません。
彼にはよく授業中にタイピングで英作文をさせていましたが、授業開始から数ヶ月までの彼は、ものすごい速さでタイピングをし、最後のピリオドを打った瞬間に「できました!」と輝かしいばかりの笑顔で僕に伝えてくれていました。
しかし、見せてくれたたった数十ワードの一文にはいくつも文法ミスが...
私は何度も彼に見直しをするように言い、言われた直後はそれを守るけれど、数十分経つと見直しを忘れるということが2ヶ月ほど続きました。
私が何度でも注意すると彼は「あ〜そうだった...!」と本当に悔しがっていましたが、そこであきらめないのが彼のすごいところ。
3ヶ月目に入ったくらいの授業で、ある日突然、私が何も注意しなくてもタイピングが終わってすぐに「できました!」と言わなくなりました。
画面越しの彼の目線が右に行ったり左に行ったり...
そして、聞こえないくらいの「あっ...」という声とともにキーボードを叩く音。
彼がそのあとに見せてくれた文には文法ミスはありませんでした。
もちろんまだ文法ミスをすることはありましたが、それでも彼が自分自身で見直し習慣を身につけたことは小さい成長であり大きな成長だったと思います。(受験2週間前くらいに、遂にほぼ文法ミスなくライティングできるようになりました!...)
結果として、彼は帰国子女入試の難関校に合格しました。
合格発表の時刻の数分後に私のSkypeに彼から興奮気味のメッセージが届き、そのあとの会話で授業で学んだことを本番にどれだけ発揮できたかを改めて語ってくれました。
私は彼が見事に合格を勝ち取ったことはもちろん嬉しかったものの、それ以上に授業がいかに役立ったかを何度も話してくれた彼のその気持ちがより一層嬉しく思いました。
そんな彼の姿に私は過去の自分の姿を重ね合わせていたのだと思います。
先生からのアドバイスは大学の域を出て今も私の糧になっているように、彼が受験の域を超えた生涯にわたり活用できるスキルを身につけたことは私にとって大きな誇りになっています。
彼はいまだに「学校のスピーチコンテストのクラス代表になれました!」などと、ときどき連絡をくれます。
彼の成長をテストのスコアなど点だけでとらえ、受験で減点されないためだけに文法ミスしないようにと言っていたら、彼は受験を終えてまでそんな報告はしてくれなかっただろうと思います。
彼が見直しの習慣をつけたこと、正しい文法の知識を身につけたこと、同じミスを繰り返してもくじけなかったこと、そして、私に丁寧に何度もお礼を言ってくれたこと、これらのことはテストでは直接能力として測れないことだし、何の記録にも残らないことだけれど、私の記憶にはいつまでも大切に保存されているし、どんなテストのハイスコアよりも意味のあることだと私は確信しています。
公式の記録に残らない些細なことでも生徒の成長を見逃さないこと、そして、生徒の成長を点ではなく線で捉えて「You’ve made progress!」と心から賞賛して伝えること。
私はこのように先生から学んだことを大切にし、日々の業務に活かしています。
そして、生徒とまたこんな時間を過ごせたらと思いながら、いつも知識やスキルのアップデートを心がけています。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
TCKWorkshopでは講師として、教育コーディネーターとして、そしてビジネスマンとして、個人としての成長はもちろん、ひいては会社を引っ張っていってくれるメンバーを大募集しています。ご興味のある方は是非ご連絡ください!
来週もTCKWorkshopの社員が働くうえで大切にしていることをアップしていきます!お楽しみに!