はじめまして!
福井大学医学部の4年生の吉田愛と申します。2024年8月から9月中旬まで、Sunrise Japan HospitalのIT部門でインターンをさせていただきました。
インターンに応募した理由
海外でインターンを経験することで、多様な価値観に触れ、幅広い視野を持つことができると考え、応募しました。また、医学とは異なる視点からヘルスケアに関わることに魅力を感じました。日本の病院でも、今後ますますAIやIT技術が取り入れられると思いますが、それに先駆けて海外で経験を積むことは、貴重な体験になると考えています。カンボジアでは制度がまだ整っていないため、様々な挑戦ができる環境に魅力を感じました。
取り組んだプロジェクト
主に以下の4つのプロジェクトに取り組みました。
・CDM(Clinical Data Management)の確立
CDMとは、看護師が問診から得た患者情報を英語のカルテに入力することです。このCDMにおいて、スペルミスや文法の誤りが多く、医師が読みにくいという現状がありました。また、診察に重要な情報を聞き逃すこともありました。そこで、テンプレートを作成し、ChatGPTを用いて文章の添削を行いました。
・ウェアラブルウォッチを使った脈拍モニタリング
入院患者のベッドサイドモニターをウェアラブルウォッチに切り替えることを目指しました。まず、ベッドサイドモニターとウェアラブルウォッチのデータに誤差がないか比較しました。脈拍が正常であり、心疾患がない場合、誤差は5以内に収まることがわかりました。また、データをクラウドにアップロードし、ナースステーションで一括管理できる仕組みを作ることにも取り組みました。このデータを健康診断に役立てたり、SAS(睡眠時無呼吸症候群)の診断やフレイル予防に活用できる可能性もあります。
・看護師のシフト作成
これまで看護師のシフト作成は手作業で行っていたため、時間がかかっていました。そこで、アプリを用いて業務の効率化を図りました。
・通訳機器の導入
病院では日本人医師が診察に当たっていますが、患者とのコミュニケーションは現地スタッフが通訳していました。それを通訳機に置き換えることで、時間や人件費の削減につながります。現地スタッフや患者に試してもらったところ、通訳機はgoogle翻訳やDeepLよりも自然な会話ができることがわかりました。カンボジア人の診察だけでなく、海外の患者の診察や受付での誘導、深夜におけるスタッフ不足に使えると考えています。また、会話履歴が保存されPCから確認可能であるため、電子カルテの補助としても応用が期待できます。
その他にも、患者の満足度調査や病院の待合室に設置するディフューザーの検討なども行いました。この期間中は展示会が多く、ビジネスや医学、農業、美容の展示会にも参加し、実際に企業とのやり取りも行いました。
カンボジアでの生活
食べ物や衛生状況、交通事情に不安がありましたが、すぐに慣れました。クメール料理だけでなく、日本料理や洋食のレストランも多く、デリバリーも充実していたため、食事に困ることはありませんでした。トゥクトゥクやタクシーはアプリを使えば、値段交渉の手間もなく利用できます。また、雨季とはいえ、晴れの日が多く、雨が降ってもすぐにやむため、快適に過ごせました。カンボジアの人々は皆明るく、いつも笑顔で話しかけてくれます。仕事の後や休日には、よく遊びに誘ってもらい、シハヌークビルに行ったり、バスケットボールやバレーボールをしたり、パーティーを開いたりして楽しみました。
最後に
お互いに母国語ではないからこそ、相手の言いたいことを理解しようとする姿勢が強く感じられました。英語に自信がなくても、笑顔で接すればなんとかなることを実感しました。それ以上に、自分や相手の文化、相手が何に興味を持っているか、どんな音楽を聴いて育ったのかを知ることが重要だと感じました。また、現地の人と話す際には、できるだけ現地の言葉を使うように努めました。よく使われる単語をメモして、1日1単語ずつ覚えていきました。外国人が現地語を話すのは珍しいため、現地の人々にとても喜ばれました。
プロジェクトはヒアリングをもとに計画と最終目標を立てましたが、進めていく中で、クメール語の医学用語が少ないことや、ボイスメッセージが主流であること、病気になると病院ではなくまず薬局に行くことなど、予想外の発見がありました。自分の「当たり前」がカンボジアではそうでないことが多く、計画通りに進める難しさを実感しました。しかし、フィードバックをもらいながら進めていくことで改善していきました。IT部門だけでなく、マーケティングや医療スタッフにもすぐに相談できる環境で、インターン生のやりたいことに耳を傾け、アドバイスをしてくれるため、成長できる環境でした。新たな出会いや考え方を得られる貴重な経験となりました。
最後に、吉見さんをはじめ、温かく迎え入れてくださった現地スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。