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▶【OOH専門家/アドクロ編集長】加藤誠也氏が語るOOH攻略に必須な“体験”の視点とSNSの意識


OOH広告の「発見」から「体験」への進化。


通勤途中で目にしたポスター、街角で立ち止まったデジタルサイネージ。これらのOOH(Out Of Home:アウトオブホーム広告)は、単なる情報伝達の手段を超え、体験を共有し、心に残る広告へと進化を遂げています。

更にはOOHの進化にSNSが大きな影響を与えていることは、既にマーケティングの常識となりつつあります。

今回、株式会社ビズパが運営する広告・マーケティングの情報メディア「アドクロ」の編集長であり、日々の「広告巡礼」を通じて最前線のOOHを記録している加藤誠也さんに、最新トレンドと広告の未来を語っていただきました。

―――自己紹介をお願いします。

「アドクロ」の編集長をしています加藤と申します。2019年に現在の会社、ビズパが広告のビジネスを立ち上げるタイミングで入社しました。

その時には現在の「アドクロ」のようなメディア事業はしていなかったのですが、その後、立ち上げに参画し、現在は「アドクロ」の編集長をしています。企業への取材や、最新の広告事例・トレンド情報の発信が主な仕事です。

その他、「広告巡礼」と称して屋外広告を中心に見て回る活動をしたり、 大学での講義や他メディアでの執筆活動など行っています。


―――OOHの存在価値がSNS時代にどのように変わってきたのでしょうか?

かつてOOHは、地域に密着した広告手段として、掲出エリア周辺の住民に情報を伝える役割を担っていました。しかし、SNSの普及により、その枠を大きく超えた存在になりつつあります。

具体的には、渋谷駅に掲出された広告が、SNSを介して北海道や九州に住む人々にも認知されるようなケースが増えています。SNSの拡散力を利用することで、OOHは掲出エリアを超えた影響力を持つようになりました。この変化は、「OOHをWeb広告の一種と捉えることもできる」という視点を与えてくれます。

一方で、OOHにはWeb広告にない「手ざわり感」や「体験」が備わっています。ポスターを見つけたときの驚きや感動を、SNSで共有したくなる。それが拡散を生むのです。

OOHは「目にするだけの広告」ではなく、「共感」を生み、記憶に残る体験を提供する手段へと進化しています。


―――最近注目しているOOHのトレンドにはどのようなものがありますか?

大きく分けて二つの傾向があります。

一つは、「コレクター精神を煽る仕掛け」です。たとえば、MOW(アイスクリームブランド)のキャンペーンでは、渋谷中に隠された30か所以上の広告を探し、SNSに投稿すると抽選で景品がもらえる仕組みが採用されました。

このように、広告を「探す」プロセスそのものが体験化し、参加者の間でコミュニティ的なつながりや競争心が生まれました。

もう一つのトレンドは、「SNS投稿をそのまま広告に活用する手法」です。たとえば、瀬戸しおのキャンペーンでは、X(旧Twitter)上で「瀬戸しお、悪魔の食い物」といったユーザー投稿(UGC)を、そのまま広告コピーとして活用しました。


UGCの活用は、消費者のリアルな声を伴っているので説得力があるという点で有効な広告表現だと考えられます。

これらの事例は、OOHがただ「目立つ広告」から「体験を提供する広告」へと進化していることを象徴しています。

―――OOHが「バズる」ために必要な条件は何だと考えますか?


OOHがバズるためには、以下の三つの要素が重要です。

  1. すれ違う一瞬で注目を集めること。通行人がOOHを見る時間は非常に短いです。そのため、「なんか面白そう」と直感的に感じさせる仕掛けが求められます。意味を解釈させるよりも、感覚的に引き込むことが鍵になると考えています。
  2. 季節性や流行を取り入れること。ハロウィン、クリスマス、就職活動解禁日など、季節に応じたイベントを活用することで、広告がタイムリーな価値を持ちます。これにより、自然とSNS投稿が促進されます。
  3. 写真を投稿しやすい環境を整えること。魅力的な広告でも、人通りが多かったり撮影が難しい場所では、SNSへの投稿が生まれにくくなります。写真を撮りやすい環境や、投稿者の負担を減らす設計が求められます。

実際、私自身も毎週広告を撮影していますが、写真を撮りやすい広告枠と、そうでない枠の差を強く感じます。投稿までのハードルを下げることが、バズを生む第一歩です。

―――「OOHが話題化するまでのSTEP」も紹介していますよね。

先述の3つのポイントにも関わってきますが、OOHがSNSで話題化するまでのSTEPを理解することでより確実にバズらせることができうると思います。

マーケティングは「ユーザーの行動理解が重要」だと思いますが、OOHも同じです。

いかに面白い目立つ広告だったとしても、写真撮影のタイミング、投稿文を考えて投稿するタイミング、ここを如何にスムーズにやってもらえるかがSNSでバズるか否かの分岐点の一つだと思っています。



例えば、人通りが多すぎる場所は圧倒的なリーチ数を誇る一方、立ち止まって画像を撮ろうと思っても人が入ってしまってうまくSNSに載せることができません。

近年、設置数が増加しているデジタルサイネージは、ロール放映プランを活用することで、渋谷などのターミナル駅で比較的安価に出稿でき、一定のリーチ数を確保できます。

一方、UGCの観点で見ると、サイネージは写真を撮っても線が入ってしまったり、反射で人が映り込んでしまうことがあります。また、ロール放映の場合、ユーザー側からすると狙ったコンテンツの放映時間が把握できないため、撮影ハードルが高く、SNSへの投稿に繋がりにくい側面もあります。

そのため、施策の目的に応じて、適切な広告媒体を選択することが重要です。

―――今後のOOHのトレンドや課題について教えてください。

技術の進化により、OOHの表現方法がますます多様化しています。

最近では「ベローズプリント」と呼ばれる、“見る角度によって異なるコンテンツが表示される技術”を利用した広告を見る機会が増えました。

また、立体的な模型や触れると音楽が流れる仕掛けなど、OOHがインタラクティブ性を備えることで、体験型広告としての価値が高まっています。

これらは全て昔からある技術だと思うのですが、それを平面的で一方的な印象の強いOOHに取り入れ、話題化に繋がっていることも考えると、OOHそのものだけでなくそれを取り巻く環境へも注目が必要だと思います。

一方で、OOHの効果測定はまだ課題が多い領域です。

同じ予算を使うなら、リード獲得に強いWeb広告が優位ですが、OOHはブランド認知や「第一想起」を狙ったブランディング手法として重要な役割を果たします。特にBtoB企業がトラック広告や看板を活用する動きが増えているのは、その可能性を示唆しています。

OOHの効果測定を試みている企業もだんだんと出てきているので今後に期待しています。

―――最後に、「アドクロ」について教えてください。

アドクロ」は、広告やマーケティングに携わる人々に向けて設計された総合プラットフォームです。主に二つの役割を担っています。

一つ目は、「広告が探せる」機能の提供です。看板やデジタルサイネージ、紙媒体、交通広告、Web広告など多数の広告メディアが掲載されており、予算やターゲット、最寄駅、地図などの条件に基づいて、簡単に最適な広告媒体を検索できます。さらに、メディアオーナーと直接交渉・取引が可能な仕組みも整っています。広告選びから契約までをスムーズに進められる点が特長です。

二つ目は、「集客のヒントが見つかる」コンテンツの提供です。最新の広告トレンドや、プロの視点から解説されたニュース、広告業界のキープレーヤーへのインタビューなど、経営者やマーケティング担当者に役立つ実用的な情報を発信しています。「明日からすぐに実践できるヒント」の提供を意識して制作しています。

「集客のヒントが見つかる」プラットフォームとして、広告業界やマーケティングの最前線で活用いただいています。


まとめ

OOHは地域密着型の広告手段から、「体験型広告」へと進化を遂げています。

その体験がSNSと結びつくことで、広告の価値が新たな次元へと広がるのです。

更にはそれと関連して「面選び」の重要性がより一層増していることにも注目が必要です。

加藤さんの語る「OOHの進化」は、これからのマーケティング戦略においてより重要になってくるでしょう。


<studio15事業概要>

TikTokを中心としたショートムービー(短尺動画)領域で広告代理店事業・プロダクション(事務所)事業を展開しています。2019年1月に設立し、現在、所属クリエイター数210組、総フォロワー数約7,100万人のTikTok公認のMCNに成長し、創業以来、美容・コスメ、ファッション、食品、アプリ等、多くの企業のTikTokにおけるプロモーションをサポートしてまいりました。ナショナルクライアントを含む累計300社以上のPR案件や企業アカウントの運用代行やTikTokコンサルティング、SNSマーケティング支援を行っております。2023年には年間で600件以上のTikTokを中心としたショートムービーの案件を行った実績があります。


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