新サービス「Spectee Pro」や新技術の実用化に向けた実証実験、目指す世界などについてCTOの藤田さんとCDO (Chief Development Officer)兼Spectee AI 研究所 所長の岩井さんにお話をお伺いしました。
【プロフィール】
■藤田 一誠
取締役 CTO。福岡県生まれ。
富士ソフト株式会社やヤフー株式会社を経てスペクティに参画。
Spectee Proなどのサービス開発責任者。
週末は家族でネットゲームのフォートナイトでスクワッド組んで戦っている。
■岩井 清彦
取締役 CDO (Chief Development Officer)兼Spectee AI 研究所 所長。宮城県生まれ。
日立那珂エレクトロニクス(現 日立ハイテクソリューションズ)、キヤノンソフトウェア株式会社などを経てスペクティに参画。
スペクティの新事業のタネとなる技術研究を担当。
趣味はアニメ、リズムゲーム、一人キャンプ、天体観測。
新サービス開発で大切にした2つのこと
藤田:元々提供していた「Spectee」はSNS情報速報サービスとして報道機関中心に導入いただいていましたが、「Spectee Pro」は危機に関する情報を正確に、多角的に、わかりやすく伝えるもので、自治体や民間企業などより幅広い顧客のニーズに応えられるようなサービスとなっています。
今までとは異なる顧客の様々なニーズ・要望に応えるサービスを迅速に開発する為にチームとして2つのことを大切にしました。
①顧客の課題解決に最適な方法をしっかり議論する
藤田:顧客のニーズをセールスチームが深堀りして、それを共有されたエンジニアチームが最適な解決するソリューションにしていくという仕組みをとにかく高速で回しました。
岩井:顧客の担当者の多くはエンジニアではないから、「こういうものを作って欲しい」という具体的な要件まで落とし込むことが難しい。セールスチームと連携して顧客に使ってもらえるものをつくることが大切だよね。
藤田:うちは開発言語の指定は無いし、新しい技術も積極的に採用していますが、「本当にその方法、技術がベストなのか」という議論は盛んに行われています。
岩井:みんな役員にも平気でツッコむよね(笑)。そういうフラットな文化がいいなって思う。
②柔軟に対応できるシステム構造
藤田:約1年かけて裏側の構造をかなり変えました。
初期の「Spectee」は仕様の大きな変更も多く、少人数で作り上げたので、複雑なシステムは作れず、かなり荒削りなシステムになっていました。
岩井:創業初期の頃は藤田さんと自分しか技術者がいなかったから。どうしても一つのモノリシックな構造になりがちだし、データの堅牢性においても、どうしても小さい要領でやらざるを得なかったよね。
藤田:データの構造が変わったりしても、24時間365日稼働しているサービスは止めることも出来ないので、ソフトランニングをして徐々に変わっていくシステムの作り方をしないといけない。
大きな会社だと、古いシステムの技術的な負債としてずっと残っていくことが多いのですが、積極的に新しい仕組みに変えていくチャレンジングな文化、体制がある組織だからできた事ですね。
9割が失敗の技術研究が将来の新事業をつくる
岩井:自分はSpectee AI 研究所では将来の事業のタネになりそうな新しい技術をどんどん試してる。興味があることをしているから、時々、自分でも仕事してるのか遊んでるのかわからなくなったりするんだけど(笑)
藤田:経営的な観点からいうと、常に新しい事業につながる技術研究は重要なんですが、目の前のサービス開発を優先しがちですよね。
岩井:実際ビジネスには使えないことが9割以上だからね(笑)
最近、実用化に近づいたものも出てきていて、例えば2020年から始まった福井県で自治体の監視カメラの画像からAIを使って路面の状態を判定する実証実験をやっているんだけど、「この技術は絶対に役に立つ」と思って数年前から日本気象協会と共同で研究開発していたものがようやく実用化に近づいたという感じ。
藤田:時間はかかるし、上手くいくかわからないですが、長期的に考えると自社の技術研究は我々のようなベンチャーにこそ大切なんですよ。
岩井さんが技術研究をしっかりやっているのはスペクティの強みだと思います。
「危機」を予測できる世界を目指したい
藤田:色々なデータと組み合わせて予測や指標作りができる様にしていきたいですね。
今は「危機」が発生してからの情報をメインで提供していますが、将来的にスペクティのサービスを利用すると「危機」を発生前に予測して対応できる様にしたい。
岩井:自分のイメージは「サイコパス」っていうアニメなんだよね。
サイコパスの世界では人間のあらゆる心理状態や性格傾向が計測できるという設定なんだけど、例えば、起こった犯罪に対応するのではなくで、人が犯罪を犯すリスクを数値化した「犯罪係数」というものを活用して犯罪が発生する前に対処するのが当たり前になっている。
藤田:大体のことは発生してから対応するより、事前に防いだ方が様々なコストや被害を少なくできるんですよね。実際に様々な分野で予防・事前対策に重きが置かれるようになってきているので危機管理の分野でリードしていきたいですね。
岩井:世の中のあらゆるデータとAIで全世界を見渡す「目」を作りたいね。
衛星のデータにも興味があるからやっぱりスペクティで20個ぐらい打ち上げたい!
世界中のありとあらゆるセンサーと画像による目と、スペクティオリジナル衛星構想を想像すると、ゾクゾクする!
そのためにコンピュータをフル活用してCPUリソースをぶん回す。
考えただけで、ニヤニヤしてしまいそう・・・
藤田:技術的にもここ1~2年で外部のデータを取り込む基盤はできてるので、例えば衛星データやデジタルツインなどの技術を使って災害を予測するということも夢物語ではなくなってきています。
スペクティで衛星を打ち上げるのはまだ先になりそうですが(笑)
ミッションである”最先端の情報解析技術で、世界のあらゆる「危機」から人々を守る”の実現を目指します。