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ファーストキャンプを最高の思い出に 「あえて距離を置く」その真意とは

スペースキーの小野(@tsugumi_o_camp)です。スペースキーでは、キャンプを始めたいファミリーを応援する「ファミリーチャレンジ」という取り組みを実施しています。なぜ始めたのか、どのような想いで運営しているのか。担当するメンバーの熱量を聞きました。

長濱 茂樹
2017年入社。前職はアパレル企業にて百貨店営業を担当。「最近大きい車を買ったのでバンライフを楽しみたい!」

中西 克樹
2018年入社。前職はスポーツ用品やキャンプ用品の販売に携わる。「キャンプを7年ほどやってます!最近はULハイクに興味があり、キャンプもUL化を進めております!」

アウトドアプロデュース本部について

-おふたりの部署の簡単な紹介をお願いします。

(長濱)アウトドアプロデュース本部は、「キャンプ場とキャンプ場の付加価値向上ソリューションの継続開発」が本部目標となっています。今期は初心者層をターゲットとし、初心者の方が途中離脱をすることなく、常に楽しみを提示している状態を目指しています。

具体的には、イベント等の“コト”、滞在する空間としての“モノ”、ユーザーさんのリアルな声としての“データ分析”など、様々な切り口からのソリューション開発を模索中。実際に、キャンプ場施設さんと連携しながら、ユーザーさんと施設者さん双方にとって価値あるソリューションの開発に注力していきたいと考えています。

-スペースキーには『なっぷ』というキャンプ場検索・予約サービスがありますが、どのような位置関係ですか?

付加価値を企画・開発・分析するアウトドアプロデュース本部。それを業界全体に広げ、業界の利益につなげていく『なっぷ』というような位置づけです。広げていく動きは僕たちだけではどうしてもむずかしく、全国のキャンプ場施設さんの協力が必須。そこを『なっぷ』を通じて一緒に広げ、業界全体の価値向上につなげたいと考えています。

ファミリーチャレンジとは

-ファミリーチャレンジについて、簡単に説明をお願いします。

(長濱)ファミリーチャレンジ(以下、ファミチャレと表記)はキャンプをはじめてみたい初心者ユーザーに対して、段階的にステップアップをしてもらうためのプログラムです。今はまだその最初のステップのみが開発された状態で、対象もファミリーに設定しています。キャンプ用品のレンタルに加えてテントの設営講習、プチコンテンツまでオールインパッケージとして、『なっぷ』で試験的に販売しています。

キャンプをはじめるハードルを下げるため、キャンプ用品のレンタルはすでに『なっぷ』でもやっていました。ただ、道具はあっても「テントってどう建てるの?」問題はユーザーさんに丸投げされていました。テントを建てたり、火を起こしたりするって最初はむずかしいですよね。そこのサポートまでセットにすれば、初心者でもよりはじめやすくなるのではと考えました。

-たしかにレンタルサービスは徐々に増えてきましたが、建て方までサポートしてくれるのはありがたいですね。そこのフォローが一番の売りですか?

(長濱)もちろん、そこだけではありません!ファミチャレの一番の売りは、“ファーストキャンプを最高の思い出にすること”にあります。

ファミチャレが提供しているメリットは2つあり、「経験値の獲得」と「アウトドアの付加価値性」です。「経験値の獲得」は、実際にユーザーさん自身がテントの設営や火起こしを通じて、キャンプに最低限必要なスキルを身につけることができます。具体的には後述しますが、ファミチャレを通じて楽しみながらキャンプへの自信をつけてもらえる仕掛けを多数準備しています。

また、キャンプはほとんどの人には非日常。非日常であるからこそ体験できる遊びをプチコンテンツとして提供し、「アウトドアの付加価値性」を感じていただけると思っています。イメージ以上に楽しく、よりよい体験ができたのでれば、きっと「また行きたい!」となるはず。継続的にキャンプを楽しんでいただくために、この2点に注視して取り組んでいます。

-最初がつらかったりすると「もう行かない……」ってなっちゃいますからね。いかによい体験をしてもらうかって、実はすごく重要任務ですね!

(長濱)以上がユーザーさん側のメリット。キャンプ場施設さん側のメリットとして、より収益性が高いコンテンツを導入できる点にあります。

ファミチャレは基本形が固まったら、これを全国のキャンプ場さんへ広げていきたいと考えています。ただ、実際に運営していくのは施設のスタッフさん。どのようなコンテンツだったら運営できるか、既存業務に負荷をかけすぎずに運営を可能にするにはどうすればいいかを試行錯誤しながら作り上げているところです。

-ファミチャレが全国に広がったら、キャンプへのハードルが下がりそうですね。これは期待したいです!

実際のファミリーチャレンジとは

-では、実際にファミチャレではどのようなことをしているのでしょうか。

(中西)スケジュールはざっくりと以下のように進めています。

【1日目】
・チェックイン
・サイトに集合してもらう
・はじめの挨拶
・テント設営(2ルームテント)※1.5時間程度
・テントでゆっくりしていただきながら休憩
・プチコンテンツ体験※1時間程度
・その後は各々キャンプを自由に楽しんでいただく

【2日目】
・チェックアウトまで自由時間
・撤収(撤収は運営側)

(中西)まずはサイトに集合してもらいます。参加するメンバー同士で顔合わせも兼ねて、「今日はみんなでキャンプを楽しみましょうー!」みたいな声かけしてスタート。テンションを上げてもらって、みなさんの心をグッとつかみます。

-つかみ大事ですね。

キャンプ用品は、サイトに準備しておきます。サイトに並べることで今からキャンプをやるんだという気持ちをどんどん高めていきます!

(中西)テントの設営にはマニュアルを準備しているので、基本はそれを見ながら各自で設営をしていただきます。わからないことがあれば、行ってサポートする程度で「ベタ付き」しないところがポイントですね。

-意外!それはなぜですか?

(中西)「ファミリーチャレンジ」なので、チャレンジしていただく要素も持たせたいという想いがあります。ただ、これもやりながら変えていった部分ですね。最初はベタ付きで、参加者さんの進むスピードも合わせて一斉に進めていたんですが、本当にこれでいいのかと。マニュアルもあるんだし、そこは自由に進めてもらってもいいのではとなりました。

もちろん、質問されたらわかるまでレクチャーします。
お子さんもキャンプレベルUP。顔が凛々しくなってるぞ!

(長濱)ベタ付きにしない理由はもう1つあって、各施設さんで運営していくとなったときに人的リソースを消費しないためでもあります。ベタ付きにしてしまうと、参加者の数だけスタッフが必要になる。でもフォローするくらいだったら1人でも回せます。工数がかかりすぎて実際に施設さんで回せないと意味がないので、施設さん側の視点も意識して取り入れるようにしています。

-なるほど!

(中西)プチコンテンツでは、お子さんでも楽しめるライトなイベントを用意しています。竹で火吹き棒をDIYしたり、直近ではヒノキの葉を使ってオリジナル消毒液を作ったりもしました。遊びを通じて自然を学んだり興味を持ってほしいなと思っています。

(長濱)キャンプってゆっくり焚火を楽しむだけでも十分いいのですが、自然のど真ん中にいるので自然ならではの体験もしてほしいなと。キャンプとセットで、こんな楽しみ方もあるよという提案をしています。そうすることで、はじめてのキャンプがより良いものになるのではないかなと考えています。

-おみやげ的なものがあれば、より思い出に残りますよね。ステキ!

(中西)プチコンテンツがおわれば、その後は基本的に自由時間になります。各々、焚火を楽しんだり、キャンプ飯を楽しんだり。ここもベタ付きにならないことを意識して、「楽しめていますか?」「困ったことないですか?」と声かけする程度に収めています。施設さんにすれば、消灯前の見回りをちょっと手厚めにするようなイメージですね。

2日目も基本的に同じです。邪魔にならない程度に様子を見ながら、チェックアウトまで自由にキャンプを楽しんでいただきます。本当は撤収まで習得してもらいたいのですが、コロナ対策で消毒等をしないといけないので、撤収は僕らが責任もって行っています。(これから参加される方はご安心ください!)

-コンテンツ数が意外と少ないような印象を受けたのですが。そこはどうですか?

(中西)実は、最初はもう少しコンテンツが多かったんです。ただ、参加者アンケートで「もっとゆっくりしたかった」という感想もあって、今のスケジュールで落ち着いています。たしかに、キャンプってゆっくりする時間も大事ですよね。何もしない贅沢が、キャンプの醍醐味かなと。

自由な時間も重視しつつ、有意義に過ごしていただくための工夫もしています。ファミチャレの1週間くらい前に“しおり”を送付しているのですが、しおりにはレンタル品でできるキャンプごはんのレシピや遊びの情報などを掲載しています。事前に準備ができるので、自由な時間を好きなように過ごしていただけるのではと考えています。

-たしかに、のんびり過ごせるのもキャンプの楽しみの1つ。1週間前からワクワクできる仕掛けがあるなんて、さすがです!

ファミチャレで目指す体験価値とは

-運営してみて楽しいこと、難しいなと思うことは何でしょうか。

(中西)僕は前職でも、キャンプビギナーへの講習をやっていました。人におしえたりするのが大好きなので、今もここはとても楽しくやれていますね。ただ、前職はベタ付きで徹底的に自分を売り込む、今はベタづきにならずに裏方に徹するというスタンスが真逆なので、そこのむずかしさは感じます。

おしえることは大好きです。なんでも聞いてくれ!
できるよう見守ることも大事。がんばれお父さん!

(中西)また、これから他施設へ展開していく際に重要となってくるのが、施設さん向けの運営マニュアル。今までは感覚で、コミュニケーションをとりながら進めているものを文章化しなくてはいけないのがむずかしいですね。今は、その感覚をできるだけ他の人にも伝わるようなマニュアルの完成に向けて、自分の考えを必死に棚卸しているところです。

-感覚を文章化するって、むずかしいですよね!長濱さんはどうですか?

(長濱)実際にユーザーさんに接しながら、アンケートを通じてリアルな声を聞けるので、そこはやりがいに感じています。現場で「すごく楽しかった!」の声を聞くと励みになるし、もっとがんばらなきゃと思いますね。

存在していなかったファミチャレをプランニングして、0だったものを1にすることはできたかなと感じています。一方で、1を10にしていくむずかしさはここ最近で感じていること。どうやったら広がるか、課題は何なのか。現場で実施して検証してみないと見えてこない部分も多いので、どれだけ施設さんの協力を得られるかにも関わってきますが。

-なるほど。今後、ファミチャレではどのようなことを目指していくのでしょうか。

(長濱)2020年の上半期は検証のフェーズ。どのようなコンテンツで、どのように運営していけばいいか、たたき台を作るフェーズでした。下半期はこれを広げることに着手したいと考えています。年内に2施設での展開を予定しており、それを踏まえて来年以降の計画を立てていきます。まずは10施設を来期の目標に、広げるための足がかりを固めたいと考えています。

-ファミチャレが普及することで、どのような世界を実現できそうでしょうか?

(長濱)今までは、キャンプがしたくても道具もなければ経験もないので諦めていたというユーザーさんに対して、価値を提供できると考えています。また、用品レンタルとの差別化では、楽しむことにコミットできること。仮に10施設でも、「初心者でも楽しくキャンプができる」という体験価値を提供できれば、キャンプを楽しむ人はグッと増えるのではないでしょうか。

最終的には「キャンプをはじめたいなら、ファミチャレ」と言われるような世界観を実現したいです。来年は無理でも、キャンプをはじめたい初心者の受け皿として、価値と感じられる体験を提供したいですね。

-それは頼もしい!

(長濱)同時に、裾野を広げるためにはもっとアウトドアに対する付加価値性を高めるような取り組みも必要だと考えています。今やっているプチコンテンツも教育的観点を強めようと、自由研究的な要素をもったコンテンツに方向転換しています。最近では、アウトドアが脳に与える影響の研究や報告も発表されており、より教育としてのアウトドアというニーズが高まっていくのではないかと。実際に、子どものために無理をしてキャンプをしている親御さんもいると聞いていますので、そのニーズはある。でもせっかくなら、親も楽しめたほうがいいですよね。そのような、教育方法の1つとしてのアウトドアという切り口からも興味をもってもらえればと考えています。

-楽しくて、教育にもプラスになるなら、やらない手はないですよね。

(長濱)今はまだ5つくらいのコンテンツしかありませんが、もっとバリエーションを増やしていきたいです。施設ごとに特色を持たせて、オリジナリティを出してもおもしろそうですよね。「工作→火起こし→ガソリンランタン点火」のようにステップを踏んでいくのも、継続的にやってもらうにはアリかなとか。

-ボーイスカウトっぽくてそれもおもしろそう!個人的に、挑戦してみたいことややってみたいことはあったりしますか?

(中西)まずはファミチャレをきちんと多くの施設さんに運用してもらうことが大事だと思っています。長濱さんが言われたように、個人としてもファミチャレを「キャンプのための登竜門」的存在にしたいですね。

個人目標としては、講師としてのスキルをもっと磨きたいです。各施設によってクオリティを担保するには、伝え方や理解されやすさの改善が今以上に必要だと。「中西に聞けば大丈夫」と言われるような、全国のキャンプ場さんに頼られる存在に成長したいですね。目指すはファミチャレマスターです!

(長濱)サービスを0から作り上げていくことは初めての経験で、わからないことだらけでしたがなんとかここまで形にすることができました。まだ道半ばなので、しっかり売上を上げて収益化の仕組みを確立したいと思っています。自分のサービスを最後までやりとおして成功させたいですね。

キャンプは「一緒に行こうよ」と言ってくれる人がいないとはじめにくいレジャーです。つながりや接触に制限がある中、キャンプをはじめたい人たちの助けになるような存在になりたいです。キャンプやアウトドアをはじめる人たちの受け皿となり、背中を押すような活動ができれば、スペースキーとしてもやる意味があるのでは。「キャンプをするならファミチャレ」という認知を高め、キャンプ人口の増加に貢献できたら嬉しいですね。

-ファミチャレによって、キャンプへの可能性が一気に広がるようなイメージを持てました。このアウトドアの追い風に乗って、ファミチャレも加速することを期待しています!

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