国内外で「住みたい」と高く評価される都市・福岡。人口増加を誇るこの街で、私たちは老朽ビルの課題に向き合い、リノベーションという新たな可能性を切り拓いてきました。
今回は、スペースRデザインの創業者である吉原が、一人のビルオーナーとして悩み、試行錯誤した末に会社を立ち上げるに至った「創業の原点」をお伝えします。
1. 異業界からの転身と、赤字が続く老朽ビルの現実
私が東京から福岡に戻り、父が経営する吉原住宅に入社したのは2000年のこと。会社では築30年、40年を超えるビルを管理していましたが、退去者が出るたび補修を行っても、とても“きれい”とは呼べない状態でした。
賃料を下げても、問い合わせは失礼ながら支払いに不安のある方ばかり。一室30万円かけてリフォームしても入居者は増えない。室内の表面だけをきれいにしてもダメ。スクラップ&ビルドが主流の日本で、老朽化とともに家賃収入が下がり赤字経営が続く悪循環に陥ってしまう。
誰に相談してよいのか分からず、不動産オーナーの皆さんは鬱々と悩んでいらっしゃるはず。私自身も、その1人だったのでよくわかります。
2. 「前例がない」壁と、道なき道を切り拓く覚悟
「古い物件は良くないなんて、誰が決めたのだろう」。そう感じていた中、福岡市の大名地区で古い空間を自分らしく改装して活かすショップオーナーたちの姿を見て、「個人宅でもできるはずだ」と確信しました。
そこで、最も悩みの深かった築40年の「山王マンション」のリノベーションを決意。部屋の壁や柱を取り除きカッコいい部屋を一から作ろうと施工会社に相談しましたが、返ってきたのは予想外の答えでした。
「そんな仕事はこれまでやったことがないから、お引き受けできません」
「やったことのない仕事はしない」という業界の考え方に私は愕然としました。しかし、かつて製薬会社にいた私にとって仕事とは「困っている人を助けること」。ビルを壊して借金を抱える余裕もありません。誰もやったことがないなら自分で道を切り拓くしかないと、腹をくくりました。
想いはひとつ、「福岡の同潤会アパートを創りたい!」。想いを語り続けて1年後、ようやく協力会社と出会い、2003年に3室のリノベーションが完成したのです。
3. カルチャーショックと「人生観という意地」
最初に仕上がった部屋を見た時、あまりの違いにびっくりしました。暗くて汚かった部屋がまるで北欧風カフェのように輝いて見えた。「あの部屋がこんなにモダンになるんだ!」── 視界がパーッと輝く感覚、カルチャーショックでした。
「これはおもしろい!」と夢中になりましたが、仲介業者からは「築何十年の古いマンションに高額な家賃で住みたい変わり者なんていない」と相手にされず、再び「前例がない」という壁が立ちはだかりました。
「お前のやり方じゃ無理に決まっとる」と言う父とは毎日のようにケンカしていましたが、引くわけにいかない。私には私の、人生観という意地がありました。
プロに頼れないなら自分でと、カフェやサロンにチラシを置いてもらうと「入居したい!」という若い世代の声が直接殺到。メディア取材を経て仲介業者さんの理解も深まり、やがて山王マンションは入居待ちが出るほどの人気物件へ生まれ変わりました。
4. 「吉原住宅」から「スペースRデザイン」の創業へ
見学に来た若い子の「わぁ!私も自分でデザインを考えたい」という一言から、オーナーは改装業者ではなく住む人の発想を引き出す「プロデューサー」であるべきだと確信。自社で宅建の資格を取り、Webサイトも作成し、「企画・募集・管理」を自立して行える経営モデルを確立していきました。
自社物件の再生で培ったこのノウハウや文化を、同じように悩めるオーナーや街全体に広げていくため、私たちは「株式会社スペースRデザイン」を創業しました。
不動産もデザインも素人だった私ですが、挑戦の中で業界の壁を超えて力を貸してくれた仲間たちのアイデアや行動力は、今も財産です。
スペースRデザインは、古い建物に新たな息吹を吹き込み、不動産オーナーや入居者さんと一緒にワクワクする未来をつくるチームです。1人のオーナーの試行錯誤から始まったこの冒険に、あなたも一緒に挑戦してみませんか?ぜひ一度話を聞きに来てください!