2020年1月18日(土)に東京・半蔵門にてトークイベント「Music×Analytics Meetup」が開催されました。本イベントに、社内BIツール「INTRA」とデータ分析ツール「bitfan Analysis」の開発を担当している当社のエンジニア 青山が、「ファンクラブビジネスにおけるデータ分析」というテーマで登壇しました。
私たちと音楽の向き合い方は、データ分析により少しずつ変化してきています。その変化を感じられる本イベントは、初めての試みながら高い関心を集めました。開催前から参加希望者多数のため増席し、イベント当日は悪天候にも関わらず多くの方が来場されました。
では、ファンとアーティストを繋ぎ、アーティストにとって有力な収益源の1つでもあるファンクラブの形は、データ分析によってどのように変わっていくのでしょうか。当社エンジニアの青山が、実際にデータ分析を進めている現場のリアルな声を踏まえ赤裸々に語りました。本レポートでは、青山の登壇内容の一部をご紹介いたします。
■オムニチャネルプラットフォーム戦略の中核「bitfan」
青山の登壇は、冒頭の自己紹介と会社紹介を終えた後、オムニチャネルプラットフォーム戦略の解説から始まりました。
「弊社は、オムニチャネルプラットフォーム戦略を掲げ、主にファンクラブの作成・運営を手掛けています。ファンクラブの制作・運営をはじめ、ECでのグッズ販売、電子チケット、スマホ決済、ファン旅行、ライブ制作などを行っています。(↓図参照)」
「これらの真ん中に書いてあるものが、ファンの行動、熱量を集計するサービス「bitfan」です。「bitfan」は、例えば、ファンクラブに入ってサイトに行きコンテンツを閲覧したときや、チケットやグッズを購入したとき、スマホで決済したとき、ライブに行ったとき、SNSにおけるアクションなどを一つに集計します。」
■“チケット先行”や“KKD(勘・経験・度胸)”に依存するファンクラブビジネスからの脱却ーー必要なのは“データ・ドリブン”なファンクラブ施策
では、そもそも、オムニチャネルプラットフォーム戦略を掲げるSKIYAKIは、なぜデータ分析事業を行うのでしょうか。その背景には、従来のファンクラブ運営における“チケット先行”と“KKD(勘・経験・度胸)”への依存という2つの問題があると語りました。
青山は、2つの問題について解説した上で、“チケット先行”と“KKD”に左右されてしまうことの多いファンクラブ運営から脱却するための解決策として、データ分析を元に最適な施策を導き実施していく“データ・ドリブン”なファンクラブ運営について言及しました。
データ・ドリブンで施策効果の高いファンクラブ運営の実現に向けて開発されたのが、クライアントが効果的な施策を選択できるようにサポートするファンマーケティングツール「bitfan Analysis」です。
■ファンクラブ施策の効果量を把握する「施策分析」と、ファンに対する理解を深める「ファン分析」
テクノスデータサイエンスエンジニアリング株式会社と共同開発した「bitfan Analysis」には、大きく分けて「施策分析」と「ファン分析」の2つの機能があります。それぞれの機能では、どのようなことを実現できるのでしょうか。「施策分析」と「ファン分析」の手法について、順に解説しました。
「施策分析」では、“何を”改善するのに“どの施策”が効果的かを把握できるよう、機械学習モデルを用いて施策の効果量を可視化します。「ファン分析」では、ファンの行動データを集計して可視化します。取得データは「bitfan」の各チャネルのデータ、ユーザーの属性(生年月日、性別、都道府県など)、会員継続期間、EC購入履歴、電子チケット利用履歴、電子決済履歴に加えて、Google Analytics(User-ID機能、拡張Eコマース機能)、Spotifyの再生履歴などです。
会場では、これら2つの分析を詳しく紹介したほか、サンプルデータや実際のdemo画面や事例を交えながら「施策分析」や「ファン分析」の手法を解説しました。
■データ分析の可能性ーー不確実な運営から“納得感”のあるファンクラブ運営に。
ファンクラブビジネスにおけるデータ分析が可能になってきた今、様々な可能性が見えてきました。青山が分析を進めていく中で興味深かった出来事の1つとして挙げたのは、自身も1人のファンとしてこれまで感じてきたことが実際にデータにも現れているということでした。ライブ会場でのグッズ販売の事例を挙げて、次のように話しました。
「例えば、グッズ販売です。グッズの販売ってタオルとかTシャツとかいろいろ販売すると思うんですけど、冬に半袖のTシャツは買わないですよね、寒いし。逆に、ロンTとかパーカーの方が売れているというのがなんとなくわかる。実際、僕もライブにたくさん行くので、物販に並んでいるときに“半袖は寒いな、買うならパーカーかな”と感じたことが、やはり実際にデータとしても出ています。こうした腑に落ちた感、納得感が面白いなと。」
データ分析により新たなファンクラブビジネスの可能性を切り開く「bitfan Analysis」は、これからどのように進化していくのでしょうか。登壇の終わりには、ファンクラブビジネスにおけるデータ分析の今後の展望として、ファンへの認知を広げる「レコメンド機能」や、クライアントからのニーズが高い「入会者数予測(需要予測)機能」、アート・ファッション・スポーツ・飲食店・企業などの他業種のデータを活用した事業展開、東南アジアを中心に展開する予定の「bitfan」の新アプリ(開発中)におけるデータの活用の可能性について触れて、登壇を締め括りました。
本イベントでは、青山のほかにも、ダイナミックプラス株式会社のデータサイエンティスト 萩元 徹氏による「音楽業界におけるダイナミックプライシングと二次市場」というテーマでの登壇も行われました。さらに、音楽について趣味で分析した結果を個人が気軽に話すLT(ライトニングトーク)枠では、「歌声の特徴に基づいて曲を探そう!」「YouTubeのコメントで女性アイドルを分析」「アーティストにとっての「愛」とは?」「リズム教官を作ろうとした」「アーティストたちの協力関係を分析する」「音楽家の生存時間分析」といった、音楽と分析に纏わるLTが行われ、大いに盛り上がりました。
本イベントに関する情報は、イベントページ(https://connpass.com/event/155446/)、または、Twitterのハッシュタグ「#muana」の検索からご確認いただけます。
当社では、エンジニアを中心に人材採用を進めており、テクノロジーでファンを笑顔にする仲間を募集しています。当社に興味関心をお寄せいただけた方は、下記の採用ページより各職種の詳細をご確認の上、ぜひご応募ください。
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