共通のバリューを土台にひとりひとりの行動を変える、インターナルブランディングPROJECTの裏側 〜 サインコサインのCCC vol.003
こんにちは!株式会社サインコサイン代表の加来です。「自分の言葉で語るとき、人はいい声で話す。」という理念のもとで、ファシリテーション手法を活用しながら、多様なパートナーとともにそれ... powered by Peatix : More than a ticket.
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こんにちは。株式会社サインコサインです。
株式会社サインコサインは「自分の言葉で語るとき、人はいい声で話す。」という理念のもとで、当事者主導のブランディング活動に貢献すべく、ブランドアイデンティティの共創やインターナルブランディングを支援しています。
2025年4月25日(金)に代官山にあるサインコサインのアトリエにて、Case of Co-Creation with SIGNCOSIGN(以下、サインコサインのCCC) vol.3を開催いたしました。「サインコサインのCCC」はサインコサインの取り組んでいるブランドアイデンティティ開発やインナーブランディング支援における当事者との共創プロセスを、当事者の方と振り返りシェアしながら、参加者の皆様とも一緒に理想的なブランディングの進め方について意見交換するイベントシリーズです。
第3回のテーマは、「共通のバリューを土台にひとりひとりの行動を変えるインターナルブランディングPROJECTの裏側」です。今回は日本高圧電気株式会社(以下、日本高圧電気)の経営企画部長の大橋圭史さん(以下、大橋さん)をお招きし、日本高圧電気のバリューを策定するためにサインコサインと行ったワークショップやその後について振り返りました。
大橋 圭史 氏
日本高圧電気株式会社
管理本部 経営企画部長
加来 幸樹
株式会社サインコサイン
代表取締役 / CO-CREATOR
創業1956年、電力業界向けの配電機器(高圧カットアウト、高圧開閉器やヒューズ等)の製造販売をメインとするメーカーです。
大橋さん:「皆様が普段、見ないところで使う製品を作る会社でございます。日本の半分以上の方は、我々の製品を通った電気で生活しています。」
加来:「そんな日本高圧電気さんがミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)をリニューアルされている最中にご縁がありました。 」
経営課題を検討する中で、いま一度、社員の意見を踏まえて『どんな会社でありたいのか?』を整理し、経営理念を見直す活動に至ったそうです。
大橋さん:「もともと掲げていた理念(社是、経営理念、NKEスピリッツ)は、経営層に近い人たちから出てきた言葉なんですけど、実際のところ経営理念がどこまで浸透しているかよく分からなかった。各部門の責任者に聞いても『スピリッツって絶対社員自覚してないよね』とか、『社是って、本当にみんな意識してるの?』あとは『もう言葉が古い』と、散々だった。
社是があって経営理念があって、スピリッツがあって、さらに毎年、経営スローガンも作られ、工場には品質スローガンも掲げられる。会社発信で、社員に対していろいろな言葉が作られ続けて、『正直、言葉が多すぎて訳が分からない』という背景があって、MVVを作ろうとなりました。」
なんとか社内の議論でミッション・ビジョンを固め、次はバリューを決める段階になったとき、社内で合意の取れる言葉を考える難しさを感じていた中、大橋さんが加来と偶然出会うことになりました。
大橋さん:「ミッション・ビジョンは自分たちの思いを文章化すればなんとなく『まとまった』って感じになったのですが、バリューは難しかった。巷のブランディングされた会社のバリューのように、 みんなが『あ、なるほど』と覚えられるような短いワードを考えようとすると、 残念ながら(社内では)語彙力が足りなかった。 困っていたところ、加来さんに偶然、出会うことができました。」
大橋さん:「社内から集めた、たくさんの想いを言葉に落としていく作業から、(サインコサインと) 一緒になってやっていきました。」
加来:「すでに言葉をつくるための材料(言幹)については、必要な関係者から収集できている段階でご相談をいただいたので、弊社では言語化のためのセッションから担当させていただきました。
加来:「一定の役職以上の方で構成されたプロジェクトチームの皆様と複数回のセッションを通じて、バリューの候補の発散と収束を繰り返しながら、適宜のタイミングで経営陣ともコンセンサスを進めていくお手伝いをさせていただきました。」
大橋:「そして、完成したバリューがこちらの3つです。また、全社員に配布するリーフレットもサインコサインさんに作成していただきました。中途・新卒社員の入社研修時に社長メッセージと一緒にお渡しします。その際にMVVのうちでも特にバリューを大切にしています、とお伝えしていますね。また、実はこのリーフレットのデザインが好評で、Webサイトや社内ポスターとしても色々と活用させていただいてます。」
日本高圧電気のバリュー(行動指針)
MVVをビジュアライズしたリーフレット
バリューを策定してからは、どのように浸透させようとしたのか、実際に行ったワークショップの説明に入っていきます。
加来:「バリューを言語化できた次のステップとして、まずは、リーダークラスの方に向けて、バリューについて語り合いながら、自分とのつながりも発見してもらうためのワークショップを開発して実施しました。」
最初のワークショップとして、社員の皆さんひとりひとりに新バリューへの理解や共感を深めながら自分とのつながりも見つけてもらうPinterestを用いたワークショップを開発、実施しました。
まず、バリューそれぞれに対応するボードを作成し、そのバリューを表していると自身が感じる画像を5点以上Pinしていきます。そうしてできたボードをグループ内で見せあいながら語り合うことで、多様なバリューの捉え方を共有します。
加来:「すぐには言葉にできない思いとか価値観について、 実はこの直感的に見つけた絵的なものを使うと語り合いやすいんじゃないか、専門用語的にはビジュアルシンキングとでも言えるような方法ということで提案させていただいたのが、このPinterestというツールを使ったワークショップだったんですよね。」
次に、ワークシートを使って、新バリューを体現した先の、自分の変化や成長を言語化していきます。それぞれのボードから自分が最も共感する画像を1枚選び、そこから自分なりのバリューの体現像を連想していきます。
ワークショップアウトプットのサンプル
加来:「本当にいい意味で多様なイメージを選ばれながら、最後に言語化される部分にもバラエティ豊かな内容が出てきたなという印象を受けましたね。ワーク上は盛り上がったけど、もう次の日には忘れているみたいなことは避けましょうという話を(大橋さんと)してまして、今日は発表して終わりじゃなくて半年後ぐらいにまた次のワークショップをやるときに進捗確認します、とお伝えさせていただきながら締めくくっていく1回目のワークになりました。」
より社員の行動変容を促すべく、バリューを体現する行動につながる、マンガの台詞や歴史の偉人の言葉から引用された100の名言カードを開発、そのカードを使用したワークショップを開発、実施しました。
バリューとの関連性を感じる名言カードをグループ内で対話しながら10点選出。他グループの選出カードを見てから、グループで選んだ10点の中から自分が特に共感する(言えたら嬉しい)名言を3つ選ぶ。そうして選んだ名言=行動を自身の仕事に置き換えていくワークシートによって、バリューの体現を言語化していきます。
さらに、できあがったアクションをグループ内で共有し、より具体的で実践可能なものになるように互いにブラッシュアップします。
加来:「ちょうどこのあたりのタイミングで、人事評価の中にもこのバリューが組み込まれていくという話もふまえて、1回目のワークショップで自分とのつながりを発見した先で、(2回目は)さらに具体的にどんな行動で体現していくかまで言語化することを目指しました。」
体現していくことを言語化した後に、1人ずつみなさんの前で発表していただきました。
大橋さん:「これらのワークを通じて様々な効果実感がありました。目標や行動指針の明確化、バリューの重要性の理解、そして業務成果とバリューのつながりの実感、など前向きなフィードバックも多かったです。」
加来:「どちらのワークでも印象に残っていることありますか?ポジティブなことでもネガティブなことでも。 」
大橋さん:「まず、当社でこういうワークショップ形式の研修に取り組むことがあんまりなかったんですよ。(日本高圧電気は)中小企業でありながら、隣の部門の仕事をあまり良く分かっていないような大企業のような状態になっているんですけど、あえて(ワークショップのグループでは)隣の部門同士で話をさせました。、 共通のテーマで話せたところは、 意外とポジティブな印象が大きかったですね。」
1つめのワークショップ(Pinterestワーク)の様子
「さらに、価値観のミックスみたいなことが見える形で話ができたっていうのは、 これまでに無い体験だったので、『新しいことをやっていこう』っていうことの一環として実施できたっていうのは成果として大きいと感じていますね。 」
加来:「ここまでのプロジェクトの手応えについては、率直にいかがですか? 」
大橋さん:「ワークショップの満足度や、バリューの理解度/実践度については定期的にアンケート調査を行いながら、結果の解析と評価も行っているのですが、施策の実施にともなって定量的な数値の向上を実感することはできています。現場からも前向きな声をいただいたり行動が垣間見えることも少しずつ増えてきました。しかし、まだまだ道半ばなので、ゆくゆくは施策を自走できる組織も目指していけるように加来さんたちにも引き続き伴走いただいているところです。」
インターナルブランディングPROJECTの運営イメージ
参加者からの質問:「インターナルブランディングが直接的に与える事業インパクトについてはどのようにお考えですか?」
大橋さん:「インターナルブランディングが直接、収益増加につながるとは経営陣もおそらく考えてないと思います。ただ、結果的に会社の成長に繋げるためにも、まず『いまの会社を、どのような方向に進めていくべきか?』という問いに向き合っていくことが大切ではないでしょうか。また、インターナルブランディングのプロジェクトをブラッシュアップしながら遂行していく過程で、売上などに対しての間接的な効果も実感できるようになるはずです。」
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日本高圧電気では、バリューを評価制度の一部に組み込み、単なる印象評価ではなく、具体的なバリュー体現行動基準に基づいた評価に移行し始めているとのことでした。従来の慣習や形式に縛られず、必要であれば30年保管されてきた書類でも思い切って捨ててしまうなど、変化を許容し、行動変容を促す企業風土づくりにつながっていると感じているようでした。
ただし、こうした取り組みの成果は短期的には見えにくく、2〜3年単位での長期的な視点と、継続的な対話・フォローアップ体制が必要であることも課題として挙げられていました。インターナルブランディングを単なるバリュー浸透にとどめず、会社の価値そのものを高める羅針盤として根づかせていきたい想いをうかがえました。
大橋さん、ありがとうございました!!
イベント参加者同士の懇親会の様子
サインコサインでは今後もこうしたインターナルブランディングのサポート事例をお話するイベントを開催していきます。興味のある方はサインコサイン関連のSNSなど是非チェックいただけるとうれしいです!
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