こんにちは!しくみデザインの採用担当です。
ストーリー第二回は、しくみデザインの代表取締役 中村俊介の経歴【後編】です。
大学生時代~しくみデザインの起業に至るまでについてご紹介します。
―前回では中学生の成功体験をうかがいました。その後、どのような経緯で大学入学に至ったのでしょうか?
絵を描いたり何かを創ったりするのはずっと好きでしたが、田舎だったのでとりあえず地域で一番の進学校に行くしか選択肢はありませんでした。
で、せっかく高校は進学校にいったので、旧帝大のどこかには行きたいなと思うようになって。結局、受験最後の数ヶ月集中して勉強して名古屋大学に合格できました。
そもそも暗記が得意でなくてちょっと不安もあったのですが、原理だけ覚えて公式をその場で作ったりして乗り切りました。もともと「しくみ」を考えるのが好きなんです。
名古屋大学では建築学科に行きました。
建築を選んだのは、普通科から行ける一番芸術に近い学科だと思ったからですね。大学で油絵の授業もあるらしい、という話を聞いたことも大きかったかもしれません(実際ありました)。
ところが、実際入学して勉強したり設計実習をしたりしているうちに、建築は少し違うな、と思い始めました。建築は設計から施工まで工程が分化していて多くの人が関わって1つの物を作り上げるけど、コンセプトを考える人、図面作る人と実際現場で作る人は違いますよね。
改めてそういったことを知って、「最初から最後まで自分で作りたい」という気持ちが起こりました。そして、建築系からデザイン系に専攻をかえようかな、と考え始めました。
そんなときに、2x4(ツーバイフォー)工法専用の建築CADを開発している会社にアルバイトをすることになり、そこでCやC++を学ぶことになりました。
ちょうどWindows95が出たばかり。その会社もアプリを対応させなければならいタイミングで、猫の手も借りたい状態だったんです。その時はまだ若い学生だったこともあって、たくさん質問していろいろ教えてもらえました。
そこで、ソフトウェア開発も、やろうと思えば全部自分でできるな、と気づきを得たんです。
理系だし、就職ではなくて大学院に進学をしようと思っていたんですが、そんなふうに中途半端な気持ちだったせいか、名古屋大学の大学院に落ちちゃいました。そこで大学院浪人中に、改めて何がしたいのかを考え直して指導教官の先生に相談したところ、九州芸術工科大学を紹介して貰いました。
芸術と工学を両方混ぜて合わせた大学があると知って、非常に興味を持って大学院受験をして無事入ることができました。
―そのタイミングで現在本社を構える福岡とのご縁ができたんですね。九州芸術工科大学ではどのようなことをされていたのでしょうか?
メディアアーティストをやりながら、大学院ではユニバーサルデザインの研究をしていました。
担当教官はグラフィックデザインの先生でしたが、メディアアートでもなんでも自由にしていいよ、できたら見せにおいでよ、という方で、恵まれた環境でした。
大学も専攻も変えたので、せっかくだからと学部の授業も他学科の授業も面白そうなものは何でも受けました。工業設計学科でコピックでデザイン画を描く授業とか面白かったですし、音響とか色彩とかの授業も非常に勉強になったなあと思います。
メディアアートを作り始めたのは、大学時代のCAD開発のバイトの影響が大きかったですね。浪人中は、朝から晩までバイトに行っていました。時給も良かったし、ソフトウェア開発が楽しくて楽しくてしょうがなかったです。
だから、デザインとテクノロジーを組み合わせて作品を創ることが、自分にとっては自然の流れだったんだと思います。いろんなことを複合的に組み合わせる能力がこれから大事なんじゃないかと感じたんです。
僕がメディアアートを作り始めたころはまだ日本ではやっている人が少なくて、今ならライバルも少ないしチャンスなんじゃないかと思っていました。そこで、いろんなアワードを調べて、単なるアートじゃない表現ツールにもなる新しい楽器をつくったら賞を獲ったんです。
それがAR楽器「KAGURA」です。
―AR楽器KAGURAは、どのようなコンセプトなんでしょうか?
最初は楽器が全く弾けない僕自身が弾ける楽器が欲しくて創りました。
カメラの映像をリアルタイムで画像処理して動きを解析し、その動きから音楽を生成するものです。
そこから博士課程の研究として、ユニバーサルデザインの視点から、より多くの人が障害のあるなしにかかわらず空間を音で把握しながら楽しめるものとして開発を進めました。
【最初のメディアアート「KAGURA」】
その「カメラの映像をリアルタイムで画像処理をして前にいる人を検出し、その人の動きによって映像と音を生成して新しい表現を生み出す」という基礎技術で特許を取得し、2005年に「しくみデザイン」を設立することになりました。
とはいえ、スマホもないような2005年に、カメラを使って体の動きで演奏する楽器なんてビジネスになるわけもなく。元の原理を使って、カメラやセンサーをつかって人に反応するシステムを開発し、クライアントに納品するという仕事を始めました。
結果、15年で、人の動きに反応するデジタルサイネージ広告や科学館やテーマパークのアトラクション、SMAP等アーティストのリアルタイム映像演出など、これまでに1,500作品くらい制作してきました。
「KAGURA」がインテルのコンテストで世界一になってアメリカで表彰されたのは、大学院生の時に最初の作品として創ってから10年後のことです。アワードに挑戦するために、コンセプトは同じまま会社の優秀なメンバーと最新の技術を使って作り直したところ、世界中で評価されました。
【インテルのコンテストグランプリを受賞式(ラスベガスのCES会場にて)】
―ここでも、創ったものが表彰され、その成功体験によって、次の道が開けていくご経験をされたのですね!
最後に、これからどんなことにチャレンジしていきたいか、教えていただけますでしょうか?
会社を設立してから、自分たちがクリエイターとして作品を作り続けてきました。
これまで創ってきたものは、大人はもちろん子供でも楽しめるように設計しています。それは、もともとユニバーサルデザインの研究者だったからかもしれません。そうやって、子供でも楽しめる参加型のコンテンツを創り続けるうちに、この一番楽しい「つくること」をすべての人に体験してもらいたいと思うようになりました。
特にプログラミングは、できるようになったら世界が広がってすごく楽しいはずです。そのためには、プログラミングがわからない人でも楽しく感覚的にプログラミングできれるようにしなければなりません。そこで開発したのが、「Springin’(スプリンギン)」というわけです。
これまで「クリエイター」として活動してきた僕たちしくみデザインは、「クリエイター」から、より多くのクリエイターを作るクリエイターである、「クリエイタークリエイター」になりたいと思っています。
―会社のことをもっと知りたいと思った方は・・!
コテンラジオに、しくみデザインの中村俊介が登場しました。
しくみデザインはどんな会社なのか、中村俊介が大切にしたいことは何なのか等
大切にしている価値観や、それに纏わるストーリーが凝縮されています。
しくみデザインについて、より理解が深まると思うので
「もっと知りたい!」と思った方は、ぜひ下記リンクより動画をご覧ください!
■「しくみ」で世界中を笑顔に!しくみデザイン 中村俊介さんが描く未来の社会と教育のカタチ(前編)【COTEN RADIO 番外編 #49】https://youtu.be/fMtjrVKd2eo
■「しくみ」で世界中を笑顔に!しくみデザイン 中村俊介さんが描く未来の社会と教育のカタチ(中編)【COTEN RADIO 番外編 #50】https://youtu.be/4Rr7YQfPSi8
■「しくみ」で世界中を笑顔に!しくみデザイン 中村俊介さんが描く未来の社会と教育のカタチ(後編)【COTEN RADIO 番外編 #51】https://youtu.be/DOtcUNzcQyY