クラファン目標額500万円を達成したアパレルブランド「Waste not, Want not」。目標達成までどのような紆余曲折があったのか、葛藤や心の動き、たどり着いた新境地を関澤社長に伺いました。
国産の羊革を使ったアパレルブランド「Waste not, Want not」
-まずはクラウドファンディング目標金額達成おめでとうございます
ありがとうございます。かなりひやひやしましたが、皆様の応援でなんとか達成することができました。これでアパレル事業を本格的に稼働させられます。
※クラウドファンディングの概要はこちら
https://readyfor.jp/projects/wastenot_wantnot
-今回クラウドファンディングで資金を集めた「Waste not, Want not」に関してざっくり紹介をお願いします。
重要なポイントとしては国産羊のレザーを使うアパレルブランドということです。羊SUNRISEでジンギスカンに使う羊肉を取った後のレザーはこれまでは捨てられるだけでした。しかし、世界を見れば羊革を使ったバッグやレザージャケットは一般的ですし、日本の羊にしかない手触りがある。何よりこれまで廃棄していた羊革を活用することで、捨てるところがない家畜である羊の魅力を伝えられると考えました。
※こちらの記事もどうぞ
「羊革アパレルブランド「Waste not, Want not」に込められた羊への思い 前編」
https://www.wantedly.com/companies/sheepsunrise/post_articles/205373
「羊革アパレルブランド「Waste not, Want not」に込められた羊への思い 後編」
https://www.wantedly.com/companies/sheepsunrise/post_articles/209407
拠り所になったのはジンギスカンだった
-実際にクラウドファンディングをやってみて、想定通り進みましたか
いいや全く(笑)。期限ギリギリでの達成でしたし途中なかなか伸びなくて、もしかしたら失敗するかもとは何度か頭をよぎりました。
-最中に軌道修正をしたりもした?
軌道修正はしましたね。最初にクラウドファンディングを始めた時点ではリターンの内容をかなり強気に設定していました。3,000円の支援でリターンがサンクスレターだったり、10,000円の支援でステッカーだったり、正直自分たちも本当にこれでいいのかと半信半疑でやっていた部分はありました。そんな中、思うように支援額が伸びない現実があって、リターンの内容だったり拡散の仕方を見直す必要が出た。
-当初リターンにジンギスカンや羊肉がらみのものはなかったと思うんですが、これは意図的でしたか?
はい。自分の中で羊SUNRISEのジンギスカン・飲食事業とは切り離してやりたい思いがあって、当初はリターンに入れてませんでした。
でもやっぱり支援額が伸びなかったときに、自分たちの拠り所になる基本は羊SUNRISEであり羊肉であり飲食事業だと思った。それによく考えてみれば、Waste not, Want notで使用する羊革は羊肉をとった残りの皮を有効活用しているので、そもそもジンギスカンとは切り離せない事業だと気づきました。
そこで、羊SUNRISEの食事券や通販のお正月羊肉セットをリターンに入れることにしました。でもそれでもまだ思ったほどは伸びず、クラファンの期限まで4日ほど切って200万程度足りない状況でした。
羊SUNRISEのコアなファンと羊業界の仲間に支えられて達成
-facebookでも支援を呼びかける投稿をしましたね。あのあたりから一気に伸びた印象があります。
あの時点では正直難しいかもしれないと思い始めていました。でも、もし達成できなくても仕方ない、それが今の自分の本来の実力だったということと冷静に受け入れることができるようになっていた。ただ、諦めたくは絶対になかったので現在地と何をして欲しいのかを極力わかりやすく伝えるように書いたのがあの投稿です。
今回のクラファンはAll or Nothingといって、支援額に届かなければ調達額がゼロになるという方法でした。ギリギリのタイミングでそれを伝えたことで本気度や危機的な状況が皆さんに届いたのかなと思っています。
-どういった層が支援をしてくれたのでしょう
まずはこれまで羊SUNRISEのジンギスカンのコアなファンでいてくださったみなさんです。あるお客様からは「食事券で支援したいけど、支援すると売り上げ的にマイナスになるのではと思いしていなかった」というお言葉をいただいて、気にせず大丈夫と伝えたら即座に大口購入していただけました。周囲のご友人にも拡散していただいて、一気に支援額が増えたということもありました。お店にお越しいただいた時に、その場で330,000円のレザージャケットのリターンのご支援をいただいた方もいらっしゃった。
あとは羊業界の仲間たちですね。全国のジンギスカン屋の仲間たちからの支援は本当に嬉しかったです。一般的な基準からすれば高額なバッグやジャケットのリターンの支援もいただいて「羊業界の一員として羊SUNRISEを応援したい」というお言葉もいただきました。
クラファンが自社の事業を見つめ直すきっかけに
-最終的には500万円の目標額を大幅に上回る6,060,000円で達成となりました。振り返って総括をお願いします。
今回のクラウドファンディングは、自分たちの現在地と強み弱みを再認識するきっかけになりました。まず一つは自分たちが行う事業は全てジンギスカン屋としての羊SUNRISEが信頼のベースになっているということ。クラウドファンディングの支援額が伸びる過程も、まずはコアなファンの皆様や業界の仲間たちが支援額のベースを作ってくれて、ライトな層が伸びる過程を見て支援しやすい状況になりました。やはり、羊SUNRISEのジンギスカンは自分たちの基本を体現する事業として、真摯に向き合っていかなければならないと強く感じました。
あとは、拡散力という点では実はそんなに長けていないということに気づかされました。確かにコアなファンの皆さんは多いという自負はありますが、インスタグラム等を見たときに同程度の知名度のお店と比べて圧倒的にフォロワー数が少ない。羊SUNRISEの場合、フォローしてくれているお客様の顔がかなりの確率で浮かぶので、それはそれでいいことだと思うのですが、ライトな層への拡散をどうするか考えていかなければいけない時期に来ていると思います。これまでは投稿も比較的堅いトーンが多かったので、もう少し馴染みやすく気軽な内容を心がけたりとか。
クラファン全体を通してみると、最終的には羊SUNRISEの飲食事業に大きく助けられる形になりました。今年はむしろ飲食事業以外に積極的に挑戦しましたが、年末に元いた場所に帰ってきた、やはりここがスタートなんだという新たな覚悟も生まれましたね。