神楽坂といえば東京を代表するグルメシティであり、腕に覚えのある料理人がしのぎを削る戦場。そんな激戦区で入社半年でリニューアルオープンする店舗を任されることになった人材がいます。TEPPAN羊SUNRISE神楽坂店の高橋店長にお話を伺いました。
迷いはあったが挑戦ができる環境の羊SUNRISEを選んだ
-羊SUNRISEにはどういった経緯で入店されたんですか
20代前半くらいまでは、造園などの現場系の仕事をしていました。夜に時間があったので、バーテンダーのアルバイトを始めたのが飲食業界との最初の接点ですね。
出身地の茨城のレストラン等で働いていたんですが、ある時東京のちょっといいお店で食事をする機会があって。その時に「東京でも飲食やれる腕はあるんじゃないか」と感じたのが、東京に出てきたきっかけです。東京では和洋中、居酒屋からレストランまであらゆる業種を経験しました。
前のお店を辞めて次のお店探しをしている間は、フリーで地元茨城のお店の飲食コンサルをしていました。そうしている内に地元の知り合い経由で紹介されたのが羊SUNRISEの関澤社長です。
-ちなみに羊SUNRISEの話がこなければ、どのような飲食店で働くつもりだったのでしょう
これまでの経験で和洋中全部調理できるのが強みだと思っていたので、いろんな料理を出すところ、特に居酒屋がいいかなと思っていました。
焼肉屋の選考も受けていましたが、やはりただ肉を切って出す業態が自分の調理の能力を活かせるかというと疑問だなと感じていて。ジンギスカンも焼肉屋の延長線上にあるイメージだったので、話が来た当初はちょっと違うかなと思ったのも事実です。
-関澤社長と会ったときの印象はどうでしたか
羊に対する思いが強くて、単純にすごいなと感じました。ただ、僕は羊に関しては何も知らない状態でしたし、自分がやりたいと思っていたこととも違った。正直迷いましたが、猶予期間というか数ヶ月やってみて判断してくれればいいよと社長が言ってくれて。モチベーションが高いお店だと感じましたし、新しいことに挑戦してみるかという気持ちになり入店を決めました。
正直いうと、知り合いの紹介で面接に行ったり入社することには抵抗がありました。ただ、関澤社長と会ったときに、非常にしっかりした考えの持ち主だと感じたのでこの人ならと。また、給与面や労働条件に関して、他の飲食店と比べてもホワイトだったのも入社の後押しになりましたね。
-当初思い描いていた飲食業界での転職とは違った形になりましたが、羊SUNRISE入社の決め手はなんでしょうか
ただの飲食店ではないというところに可能性を感じました。普通の飲食店みたいにルーティンだけやっていればいいのではなく、自分で挑戦できる部分が多いなと。会社としても羊の普及活動やアパレルなどにも取り組んでますし、自分の将来が広がるのではと思ったのが大きいです。
入社して3ヶ月くらいして、僕にとって大きな転機がありました。それまでは肉を切って焼く業務をひたすら行っていましたが、厨房の残った野菜で何か作ってみたらと社長が言ってくれて。元々いろんな料理をしたいと思いがあったので「羊SUNRISEで自分のやりたいことができる」とモチベーションが一気に上がりました。社長が毎回必ず試食してくれたのもうれしかったですね。
社員が自分の特徴を生かしてどんどん新しいことに挑戦できる社風であることを、僕が身をもって理解できたのがこの出来事です。
羊の知識をつけるのに必死だった最初の三ヶ月
-入社後に苦労したのはどんなところですか
羊に関する知識をどのようにつけるかには苦労しました。羊SUNRISEでは切った肉をお客様の前で店員が焼くスタイルです。接客の一環としてスタッフが羊肉に関する説明をするため、産地や部位の特性、羊に関する様々な知識が必要ですし質問にも答えなければいけない。
羊に関する知識ゼロで入社したので、最初の頃はお客様の前に立つのが恐怖でした。とにかく知識をつけなければと毎日必死でしたね。楽しむ余裕はありませんでした。
-周囲からはどのようなサポートがあったのでしょう
麻布十番の石川店長にはたくさん相談しましたね。必死だったので「何か情報がまとまっている資料はないか」「どうやって勉強したらいいか」も聞いたり。毎日羊肉に触れてお客様を接客する中で自然に知識はつくから焦らなくて大丈夫と声をかけていただきました。
ただ、自分はとにかく早く成長したかったので、周りの先輩社員とお客様のトークを後で聞き返してましたね。ポケットにボイスレコーダーを仕込んでこっそり録音して。落ち着いて仕事ができるようになるまで3ヶ月くらいはかかりましたね。
-自然に知識はつく環境だけど、プラスアルファの努力もしたということですね
はい。新人教育に関しては、羊SUNRISEの今後の課題だと思っています。僕自身が扱い慣れていない羊肉をお客様に提供することがすごく怖かったんです。「今日は何を聞かれるんだろう」「うまく答えられなかったらどうしよう」とビクビクしてました。
飲食業界で長年働いてきた僕でさえそうなので、業界未経験の新人はもっとハードルが高いだろうと。ですので、恐怖心や不安を取り除くような教育体制は築くべきですし、新人に対する周囲の声かけやコミュニケーションをもっと増やしたいです。
店長としてスタッフの挑戦を応援する環境を作りたい
-6月からはそういったスタッフの教育やお店の管理を任される立場になりました。今どのような立場なのか教えてください。
リニューアルオープンした神楽坂店の店長に就任しました。お店の運営全般と料理を担当しています。もともとあったお店ですが、コンセプトがまるっきり変わるので新店立ち上げに近い状況です。
話が来たときは驚きましたが、料理の腕をふるえることがすごくうれしかったです。お店で提供するのはモダンオーストラリア料理をベースにした羊肉のコース料理。レシピは日本におけるそのジャンルの第一人者である福田浩二さんに監修してもらい、普段の日は自分がそれを元に調理します。
-今後の目標を教えてください
まずは神楽坂店を軌道に乗せることです。あとは、会社として新しいことにどんどん挑戦しているので、僕自身も自分にできることを恐れずやっていきたいなと。
監修的な立場でお店をプロデュースしたり複数のお店の管理運営をしたりとか、ゆくゆくは僕自身が厨房に立たないスタイルでの仕事もできるようになればいいなとは考えています。60代になって厨房に立ちたいかというとそうではないので。プロジェクトを動かせる能力は身につけていきたいですね。そういう意味でも、羊SUNRISEが多様な経験を積める職場で良かったと思います。
あとは、さっきもちょっと触れましたが、スタッフの教育面は自分が先頭を切って整えていきたいなと考えています。
これはどこの飲食店でも起こっていることですが、新人や経験が浅いスタッフは「これで本当にいいのだろうか」と常に怯えながら仕事をしている状態です。彼らが行った業務に対してフィードバックを行うこと、そして「挑戦させてあげる、挑戦を見守る」ことが大切だと考えています。
「やらせる」だけではダメなんです。サポートする姿勢を見せた上で「挑戦してみよう」と一緒に取り組む必要があります。それによってフィードバックを受けてスタッフが正しく成長できますし、「挑戦しても大丈夫な環境なんだ」と認識してもらえばより主体的に業務に取り組んでもらえる。
人を成長させる教育体制、コミュニケーションの取り方を羊SUNRISEの文化にできるように、まずは僕自身が示していこうと思います。