事業会社のインハウスの開発プロジェクトがどのように進行しているのか、興味を持っていただける方はたくさんいらっしゃるかと思います。
当社で運営しているポータルサイト、「生活110番」も2021年9月にリニューアルしました。今回は、計画からリリースまで約1年かけて行ったプロジェクトの全貌を、事業責任者として携わった僕の立場からご紹介したいと思います。
本プロジェクトがどのように行われていたか、マーケティング、開発、事業といった、様々な角度から惜しみなくお伝え致しますので、ご興味を持っていただければ幸いです。
~~目次~~
1. 大規模サイトリニューアルがマストだった理由とは?!
1-1 既存サイトはSEOの側面では減点だらけ…
1-2 エンジニアも嫌がるカオスな裏側
2.リニューアルプロジェクトの全貌
2-1 与件の整理ができるまでに6か月!?
2-2 大規模プロジェクトでスクラム開発を取り入れた結果は?
2-3 検証し放題?!フロント環境の選択では実際に載せ替えてテスト!
3.プロジェクトを振り返って
1.大規模サイトリニューアルがマストだった理由とは?!
今回、当社のメインポータルサイト「生活110番」のリニューアルに踏み切った理由は2点あります。
1点目は、「生活110番」は集客の大部分がGoogleを中心とした検索エンジンからの自然検索流入に頼っており、そのSEOを強化するため。
2点目は、「生活110番」でバックエンド側が抱えていた多くの課題を解決するため。
詳細について、それぞれ解説していきたいと思います。
1-1 既存サイトはSEOの側面では減点だらけ…
少しマーケティング寄りの話からスタートしますが、「生活110番」では、検索エンジンからの自然検索流入が、実にアクセスの9割程度を占めています。つまり、サイトの成長のためには、Googleなど検索エンジンで上位表示させ、ユーザーの流入を増やすことが重要となります。
近年Googleのアルゴリズムも変化していき、コンテンツの質やEATなどが特に重要視されるようになってきました。とはいえ、コンテンツ以外…例えばユーザビリティなどはSEOにとっても重要であり、それが低いサイトはSEOにとってもよくありません。
リニューアル前の「生活110番」では、コアウェブバイタルと呼ばれるGoogleのUX指標で非常に悪い状態となっていました(とても人に見せられるものではありません…)。この指標を改善するために、コツコツ改修をしていると、とてつもない時間がかかることが分かり、抜本的に改善するために思いきってサイトリニューアルという選択肢を取ることになりました。
これ以外にもSEOの側面から改善したポイントは複数ありますが、語りだすときりがないので詳細は割愛させていただきます。
1-2 エンジニアも嫌がるカオスな裏側
僕は入社して3年ちょっとほどで、そのほとんどの期間「生活110番」に携わっていますが、その期間の中でも数社は開発ベンダーが変わっています。さらに社内でも同時に開発をしていたりするため、かなり多くの人の手が入ってしまっている状況でした。
このような背景もあり、「生活110番」の中身(フロント~バックエンド)は一言でいえばかなりカオスな状態になっていたようです(携わるエンジニアの方が口を揃えて言っておりました)。
しかも、仕様書も一部しか残っておらず、かなり運用上問題があると言わざるを得ない状態でした。
その結果、セキュリティ、可用性、運用コストなど、さまざまな面で課題が積み重なり、イチからサイトを設計しなおすこととなったのです。
2.リニューアルプロジェクトの全貌
プロジェクトの期間は約1年におよぶもので、要件やプロジェクトの計画を策定し、その後、開発を行うという流れでした。当社シェアリングテクノロジーのマーケティング、フロントエンド、バックエンドといった、3部署がそれぞれどのようなかたちで連携しながらプロジェクトが進んだのか全貌をご紹介します。
2-1 与件の整理ができるまでに6か月!?
プロジェクトの初期段階としては、まずSEO観点でどのようなサイトの構造にすべきかなどの与件を整理していきました。このフェーズは主に僕を含むマーケティング領域のメンバーが携わっています。
与件の整理と同時にWF(ワイヤーフレーム)も複数作成しています。サイトの規模も大きいため、調査分析にかなりの時間を割いており、このフェーズにおよそ半年くらいかかっています。
最初に要件定義はしていないのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、かっちりとした要件定義はしていません。次で説明しますが、アジャイル開発を採用したことで都度要件を定義、詳細設計をしていくイメージとなります。
2-2 大規模プロジェクトでスクラム開発を取り入れた結果は…?
与件を整理してからは開発スタートですが、開発の手法としてはアジャイル開発のなかでもスクラムを採用しました。これを発案、主導していただいたのがフロントエンドエンジニアです。
アジャイル開発を採用してよかった点はたくさんありますが、各メンバーのロールが明確になり、役割に応じて明確に動けたことも大きなメリットの一つと考えています。これは例えば僕であれば、スクラムのPO(プロダクトオーナー)を担当したので、全体の進捗管理や開発の優先順位は決めますが、開発手法などには口を出さない、というように、スクラムにおけるPOとして明確な役割に則ってすすめることができました。
また、スプリントで開発することで、進捗状況の把握がしやすくなり、突発作業が生じた際も優先度に応じて協力同意しあいながら、柔軟に対応し、開発を進めることができました。その結果として、スケジュール通りにほとんど遅れなくリリースでき、凄いことだと僕個人としても驚いています。アジャイルで進めるのは賛否両論ありましたが、僕としては役割分担、柔軟性、進捗管理という面からも正解だったと考えています。
2-3 検証し放題?!フロント環境の選択では実際に載せ替えてテスト!
リニューアル後の「生活110番」のフロント環境はSSRを選択しています。この選択をする際に候補として、SSR以外にSPAとSSGがあがりました。それぞれメリットデメリットがあり、SSGは静的なサイトでメリットが生かせますが本サイトリニューアルにはマッチしないということで選択肢から外し、SSRとSPAで検討しておりました。SEO観点での検証結果は世の中的に情報が少なかったため、実際に当社で複数運営しているWebサイトでSSRとSPAを載せ替え、検証を行い、結論としては総合的に判断をし、SSRを選択しました。
「シロアリ110番」「カギ110番」「電気工事110番」など、当社のバーティカルメディアサイト数は200にものぼり、検証サイトには困らないことや、そうした検証を可能にする技術力や環境のおかげで、正しい選択ができたと思います。この辺りについては、他社ではなかなか真似ができない部分なのではないかと思っています。
3.プロジェクトを振り返って
以上のように紆余曲折ありましたが、開発プロジェクトとしてのリニューアルリリースは成功しました。
ちなみに本リニューアルプロジェクトの初期では、開発は外部に委託する案もありましたが、これまで外注したため、サイトがブラックボックス化してしまっていた状況も鑑み、自社で開発することで決定し、内製にて無事リリースまでこぎつけることができました。これによって社内で「生活110番」のようなDB型の大規模Webサイトの開発経験ができたことが、僕自身はもちろんですが、携わった開発メンバーにとっても経験として大きな価値のあるものだったと思っています。
また、マーケティング、フロント、バックエンドと3部署をまたいだチーム編制で、細かくミーティングを重ね、メンバー間のコミュニケーションも密に取ることができたことも良い経験になったのではないでしょうか。
常に大きな開発プロジェクトが走っているわけではありませんが、今後もこのような開発プロジェクトは社内で生まれてくると思いますので、また機会があればどんどんご紹介したいと思いますので、ご期待ください!
今回のような、Web制作やSEOに興味を持ってくださった方、随時Web面談、会社案内もしておりますので、ぜひ応募フォームからお気軽にメッセージ下さい!
一緒にいいもの作っていきましょう!