シェアダインに、宗正さんがCFOとして加わった。
農業金融、スタートアップ投資、事業会社のCVCファンド。これまで宗正さんが歩んできたキャリアは、一見すると異なる領域を渡り歩いてきたようにも見える。
しかし、その根底には一貫したテーマがある。
社会的な意義や成長の可能性がありながら、まだ十分なリソースが届いていない場所に資本や人材を動かし、そこにある価値の実現をいかに加速させるか。
資本や人材、技術、事業基盤といったリソースは、必ずしも、それを最も必要としている場所に集まるわけではない。大きな社会課題や事業機会が存在していても、必要なリソースが適切に配分されなければ、その可能性は可能性のままにとどまってしまう。
金融の基本機能である、ギャップを埋める仕事に携わってきた宗正さん。今度は自らスタートアップの中に入り、CFOとしてリソースを引き込み、事業を成長させる側に回る。
なぜ、その場所がシェアダインだったのか。
キャリアを通して向き合ってきた「リソースの偏在」
宗正さんのキャリアは、農林中央金庫に入庫し、山形で農業者と向き合うところから始まった。そこで目にしたのは、地域や農業の現場に大きな課題と可能性がある一方で、必要な資金やリソースが必ずしも十分に行き届かず、可能性ごと失われていく現実だった。
その後、仕事のフィールドはスタートアップ投資へと広がっていくが、構造的には同じことが起きていた。まだ十分な実績を持たないスタートアップ企業は常にリソースの不足と戦っている。そうしたスタートアップの将来の可能性を見極め、資本や顧客基盤、技術、信用といったリソースを結びつけてきた。
扱う対象や立場は変わっても、根底にある問いは同じだった。
「世の中には、資本をはじめとする大きなリソースが存在しています。一方で、社会的な意義や大きな成長可能性があっても、そこに十分なリソースが行き届かないことが構造的なボトルネックとなってしまっている。その偏在を見出し配置の最適化をしていくという点は、金融に限らずこれまでの仕事に共通していたと思います」
農業金融も、スタートアップ投資も、CVCファンドも、宗正さんにとっては「リソースのある場所」と「リソースが価値を生む場所」をつなぐ仕事だった。
リソースを動かす、その先へ
キャリアを重ねる中で、宗正さんの関心は「どこにリソースを動かすか」だけでなく、「そのリソースを使って何を実現するか」へと広がっていった。
外から可能性を見出し、後押しするだけではなく、自ら事業の当事者となり、その可能性が現実になるところまでコミットする。
その延長線上に、スタートアップへの転身があった。
「社会的な意義が大きく、事業としても大きな可能性がある。それにもかかわらず、まだ十分な資本や人材が集まっていない領域はたくさんあります。そうした事業を外から支えるだけでなく、自分自身が当事者として価値実現を果たしていきたいという思いが強くなりました」
その視点で出会ったのが、シェアダインだった。
食産業は、人々の生活に不可欠な社会インフラであると同時に、職人の技術や体験そのものが大きな価値を持つ産業でもある。一方で、その価値を支える人たちの労働環境には、依然として多くの課題が残されている。大きな価値を生み出している産業でありながら、その担い手が持続的に働き続けることが難しい。そこに構造的な矛盾がある。
シェアダインが掲げるPurposeやMissionは、その構造そのものを変えようとするものだった。
「課題が大きいからこそ、実現したときの社会的な価値も大きい。一方で、その可能性に対して、まだ十分なリソースが集まっているとは思っていません。もっと多くの資本や人材、企業を巻き込むことができれば、シェアダインが目指す世界をもっと早く実現できる。そこに自分も当事者として関わりたいと思いました」
資本を配分する側から、共感を集める立場へ
立場だけを見れば、宗正さんの仕事は大きく変わった。
これまでは、さまざまな企業や事業を評価しながら「どこにリソースを配分するべきか」を考える側だった。
これからは、自分たちがつくろうとしている未来と事業の可能性を示し、その共感を資本や人材、パートナーシップという具体的な力に変えていく側になる。
しかし、本人にとって仕事の本質はそれほど変わっていないという。
「立場は逆になりました。でも、社会的な意義や成長可能性のある場所にリソースを動かすという意味では、本質的にやっていることは変わらないと思っています。今度は、自分たち自身が『ここにリソースを投じる意味がある』と社会に示していく側になった、という感覚です」
CFOの役割は、会社のお金を管理することだけではない。
シェアダインがどのような社会を実現しようとしているのか。その事業がどこまで大きくなり得るのかを伝え、資本や人材、パートナーを呼び込む。そして、集まったリソースをどこに配分すれば、事業の成長と社会へのインパクトを最大化できるのかを考える。
これまで外側から取り組んできた「リソースを動かす」という仕事を、今度はシェアダインの内側から担うことになる。
価値のある未来なら、早く実現した方がいい
そして、もうひとつ宗正さんが重視するのが、「いつ実現するのか」という時間軸だ。
「同じ世界を実現できるとしても、それが10年後なのか、5年後なのか、3年後なのかで、社会に生み出せる価値は大きく変わると思っています」
社会的に意義のある未来を描くだけでは足りない。
必要とされている価値であるならば、それを一日でも早く実現することにも意味がある。
そのために資本を集め、人を集め、意思決定の質と速度を高める。そして、限られたリソースを、最も大きな価値につながる場所へ配分していく。
宗正さんにとってCFOとは、資金や管理の責任者であると同時に、会社が描く未来と現在との距離を縮めていく役割でもある。
GROW OR DIE——10年後の未来を、今日に引き寄せる
その考えは、シェアダインのVALUE「GROW OR DIE」にもつながっている。
「どれだけ社会的に意義のあるMissionを掲げていても、実現できなければ社会に価値を届けることはできません。そして、その実現が10年後でいいのかというと、そうではない。今必要とされている価値なら、一日でも早く届けることに意味がある。我々が向き合っている社会課題は待ったなしなんです」
社会も市場も変化し続ける。
今、大きな意味を持つ課題や事業機会が、10年後も同じ価値を持っているとは限らない。だからこそ、未来を描くことに満足するのではなく、その未来に向かって今、成長しなければならない。
宗正さんにとって「GROW OR DIE」は、成長そのものを目的とする言葉ではない。
「僕は『昨日より今日、今日より明日へと成長し続けよう』というメッセージだと捉えています。10年後に実現したい世界があるなら、それを10年待つのではなく、どうすれば5年、3年、あるいは今日にまで引き寄せられるのかを考える。そのために成長するんだと思っています」
成長すれば、より多くの資本や人材を呼び込める。新しい事業に投資できる。より多くの企業や人を巻き込み、社会に届けられる価値も大きくなる。
そして、その成長がまた次のリソースを呼び込み、未来の実現をさらに加速させる。
10年後に実現したい未来を、今日に引き寄せる。
「GROW OR DIE」は、シェアダインが掲げるMissionを、一日でも早く社会の現実に変えていくための言葉でもある。
農業金融から、スタートアップ投資、CVCへ。そして今、シェアダインのCFOへ。
立場は変われど、仕事の軸は変わらない。
社会的な意義や成長の可能性がありながら、まだ十分なリソースが届いていない場所に資本や人材を動かし、そこにある価値の実現を加速させる。
これまで外側から取り組んできたそのテーマに、今度はシェアダインの内側から向き合う。社会課題を解決し、実現したい未来を少しでも早く現実にする。
シェアダインでの挑戦は、宗正さんにとってこれまで向き合い続けてきた問いを自ら実践する、その延長線上にある。