こんにちは、Senjin Holdingsの人事責任者・武智です。
今回は、3DCGや映像編集、イラスト、AIツール研究など、クリエイティブ全般を担当する北川俊さんにインタビューを実施しました。クリエイティブ業界での多彩な経験を持ち、Senjinで見つけた新たな可能性について語っていただきました。
目次
中学生からの映像制作、独学で培った多様なスキル
「無茶ぶり」を糧に成長するクリエイターの姿勢
技術を掛け合わせ、柔軟に応用する創造性
「自分だけの価値」を探す葛藤と成長
作家性を持つ”ミーム・エディター”を目指して
中学生からの映像制作、独学で培った多様なスキル
まずは簡単に自己紹介をお願いします。
北川:Senjinでは3DCG、映像の撮影・編集、イラスト、AIツールの研究など、デザイン領域全般を担当しています。
ものづくりへの興味は早くからあり、小学生の時はよく段ボールで怪獣のオブジェを作っていたし、中学生の頃はYouTubeに動画を投稿するのに夢中でした。高校生になってもMMD(※1)で動画作って、ニコニコ動画にUPしてから部活の午後練に行って、帰ってきてから深夜までMAD(※2)を作るみたいな生活だったので、趣味だったものが今の仕事になった感じです。
新卒では現代アーティスト事務所で映像制作を担当し、その後は音楽レーベルでビデオグラファーとしてMVやドキュメンタリー、YouTubeのバラエティ番組を制作したり、渋谷にあるクラブ専属のDJ撮影、韓国のとあるゲーム会社の日本支社でYouTubeチャンネル運営やコンテンツ制作などを経験しました。
新卒で入社した時は、実はAdobeを一切触ったことがありませんでした。当時の上長が元々映画業界の方だったこともあり、映画学科卒業であることだけで採用いただき、実務の中で社長の無茶ぶりに応えながら独学で技術を身につけていきました。CGも同様に独学で、趣味で作ったアニメーションを上司に見せたら評価され、公式ライブのアセットやCMとして採用されたこともあります。
※1 MMD(ミクミクダンス):3DCGアニメーション制作ソフト。初音ミク等のキャラを踊らせる用途から広まり、現在は幅広い映像制作に使用される。
※2 MAD:既存の音声や映像を個人が編集し、新たな意味を持たせた二次創作動画の総称。
「無茶ぶり」を糧に成長するクリエイターの姿勢
仕事の中でやりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?
北川:無茶ぶりをされる環境がめちゃくちゃありがたいと思っています。自分の許容範囲内でしか技術が求められないなら、やっている意味がないじゃないですか。想定外の依頼が来て、自分で考えて工夫する余地があるからこそやる意味があるし、続けられているんだと思います。
自分の頭で考えて工夫する余白があること。そして自分でも想像以上のものができて、相手も喜んでくれるというのは、本当にいい環境ですね。毎日「枯れた技術の水平思考」(※3)と最新技術のキャッチアップ&実践に追われています。
以前働いていた場所では、フィードバック待ちで深夜2時、3時まで残業することもありました。時間内で完成できる技術があるのが前提ですが、Senjinでは自分でタスクを管理できる裁量があります。「やっていることをやっていれば何も言われない」という環境は本当にありがたいです。
※3 枯れた技術の水平思考:任天堂の横井軍平氏が提唱した、「普及しきって安価かつ安定した旧世代の技術(枯れた技術)」を、既存の枠にとらわれない別の用途へ転用(水平思考)することで、斬新な価値を生み出す設計哲学。
技術を掛け合わせ、柔軟に応用する創造性
これまでのキャリアで学んだことは何ですか?
北川:柔軟性ですね。それが今Senjinで一番生きていると思います。3DCG担当として入社しましたが、現在はAI生成で画像、動画、それを一括管理するツールの制作など、さまざまな技術を駆使しています。どうやって技術を組み合わせて制作していくか、その柔軟性が重要だと感じています。
映像制作という技術は、YouTubeの登場で大衆化しました。誰でもできるからこそ、どう差別化するかが問われています。自分自身、技術的に壁にぶつかった時は「割り切る」か「一旦別のことをやってみる」アプローチをとります。
例えば、技術的に矛盾する要素があって「これは絶対無理」と思える時でも、一旦別の依頼をこなして戻ってくると、「あ、こうすればできるじゃん」と解決策が見えることがある。マルチタスクをこなしながら、視点を変えて問題を解決する能力はSenjinに入ってから特に鍛えられました。
「自分だけの価値」を探す葛藤と成長
Senjinで働く中で困難に感じたことはありますか?
北川:実は去年の1月頃、めちゃくちゃ他社の面接を受けまくっていました。自分の存在意義を技術だけに置いていたら、代替可能な人材としてベルトコンベアーの一部で一生を終えてしまうのではと危機感を覚えたからです。掛け持ちをしていた方が、「自分の価値はここだけに依存していないから代替されても問題ない」と言い訳できると思っていました。しかしある日バイブコーディング(※4)という技術に出会い、AITuber(※5)や社内用素材生成ツールの開発に没頭していきました。純粋な楽しさを動機としたものづくりや、自分の業務を効率化したいがためにやっていることが、次第に社内でも価値が生まれ、またそれによって新しい案件につながり始めたんです。
AIが台頭している現代、技術者として単一のスキルだけでは簡単に取って代わられる。技術だけでなく、「どう考えて動けるか」という作家性を持った人間にならなければならない。そうすれば、どこでも存在価値のある人間になれると思うんです。この会社は社長だけでなく、メンバーそれぞれが求心力を持って人が集まっています。だからこそ、物事を面白がる視点がブレない。そして資本主義というフィールドで勝ち続ける最高状態が維持されているように思います。今ではこの会社で辞めたい理由が生まれないと同時に、この会社だからこそやりたいことが生まれ続けています。
※4 バイブコーディング:厳密な仕様書よりも、AIと自然言語によって意図を反映させながら素早く開発するコーディングスタイル。
※5 AITuber(アイチューバー):AI技術を搭載し、自律的に配信や会話を行うバーチャルキャラクター。
作家性を持つ”ミーム・エディター”を目指して
これから一緒に働きたい人はどんな人ですか?
北川:映画やアニメをたくさん見ている人ですね。単に同じ趣味を持った人としか仲良くなれないっていうのも理由のひとつですが、ものづくりの世界で生産者になるには、まず自分自身が究極の消費者である必要があると思うんです。
そもそもこの世界にクリエイターは存在しないと思っています。そんな存在があるとすれば、宇宙を作ったビッグバンくらいです。オギャーと生まれた瞬間に「映画を作りたい」を思う赤ちゃんはいないように、誰しもが”過去作”を見て、そこから「スキ」が生まれて、先人たちが受け継いできた「文化的遺伝子(ミーム)」(※6)を編集しているにすぎないんです。AI時代は特に、それをどう編集するかに責任が問われています。
また、エンタメは社会の映し鏡です。「今の世界はこういう状態だからこそ、こういうものが生まれる」「だからこそ何をしないといけないか」を常に考えている人と出会いたいです。単なる技術者としてだけでなく、作家性を持った人。そして一緒にフィクションで既存の世界を変えたいです。
私自身、中学から大学生まで興味の矛先はずっと洋画だったんですが、コロナ禍以降はアニメをたくさん見るようになりました。元々卒業後は、漠然と海外で映像の仕事がしたいと思っていたのですが、コロナの影響で日本に留まることを余儀なくされました。しかしこれをマイナスと捉えるのではなく、「日本に住んでいるアドバンテージを生かすなら、アニメを作れるようになった方がいい」と考えたからです。
その意思決定をきっかけに、今では個人制作でMVやアニメーション、フィギュア制作など、同人イベントなどで出会った作家たちとクリエイティブレーベルを立ち上げ、活動しています。業務の枠を超えた創作活動を続けることで、技術の相互循環が生まれ、よりものづくりの幅が広がると思っています。
同時に今後、Senjinでは自社のIPコンテンツを作っていきたいです。Senjinは地方創生にも力を入れていて、実績も出しているので、聖地巡礼がしたくなるオリジナルアニメを企画して、地方創生にも貢献していきたいです。そのためにはまず、全国のアニメ聖地を制覇します。
※6 ミーム:人から人へとコピーされ、拡散・変容していく習慣、アイデア、スタイルの総称。もともとは進化生物学者のリチャード・ドーキンスによる造語であり、情報がまるで生物のように自己複製を繰り返しながら社会に広がっていく現象のこと。