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人の魅力に「価値」は必要ない? 心を虜にする「バケモノ」と猫背へのこだわり

SEKAI舎では、社会的な価値観から生き方や職業観を探るのではなく、自分にとっての「魅力的な存在や出来事」と素直に向き合っていくことを大切にしています。

僕は、育ったのがド田舎の山奥だったためテレビの地上波の電波がちゃんと届いていませんでした。思春期に突入するころになってようやくケーブルテレビのインフラ整備が始まり、やっとテレビの民放チャンネルが全部映るようになりました。そして、音楽番組を毎週夢中で見ていました。

その頃、第一次ヴィジュアル系バンドブームが到来しました。

背筋が曲がりがちで、学校教員だった両親から「背筋を伸ばせ!姿勢の悪い人間は何をやっても大成しない」と言われ続けた僕は、ヒットチャートにランクインしてブラウン管に登場してきたヴィジュアル系バンドのお兄さんたちの「猫背」を見て衝撃をうけました。

猫背でも大成してるやん!!
めっちゃ魅力的…。

僕の価値観が根底から揺さぶられました。

中性的なメイクで、ヒョロヒョロの体に長い髪を垂らし、ひどく悪い姿勢で司会者からの質問にボソボソと答えるその姿に、完全に心を奪われていました。

一緒にテレビを見ていたおやじは「なんだこのバケモノみたいなやつらは!気持ち悪い」と、ひどくけなしていました。

確かに、それはそれまでにあまり見たことがないものでした。人によっては気持ち悪く感じるのかもしれません。まさに、既成概念を超えた存在だったのだと思います。

だけど、僕はその不思議な魅力の虜になっていました。
魅力の「魅」という字は「バケモノ」という意味なんだそうです。常識や社会的価値観を超越したあやしい存在。だけど、どうにもこうにも心が惹きつけられてしまうのです。


それから僕は、「将来、絶対に猫背のまま大成してやる!」という変な野望を持つようになりました。
5年ほど前から、いろいろな活動が注目されて、テレビのニュース番組などに出演させてもらえるようになりました。「猫背のままテレビに出て、長年の願いを叶えることができる!!」と嬉しくてたまりませんでした。

NHKの生のニュース番組に初めて出演した夜、おかんから電話がかかってきました。
おかんは、こんなことを言っていました。

せっかくテレビに出られるようになったんだから、もうちょっと姿勢良くしなさいよ。
猫背だと、あたなの価値が下がるわよ!

なるほど、僕にとって魅力的でたまらなかった「猫背」は、僕の価値を下げてしまうものだというのです。魅力的なに、価値が下がる…。それは、僕がミュージシャンではないから?

価値というのは、辞書などで調べると「普遍的」であることが条件なんだそうです。
つまり、大多数のみんなが認めていないといけない。社会で一般化したもものじゃなないといけない。

一方で、魅力というのは、「バケモノ」に由来するように、世の中一般には認められていない特殊なものに、なぜか心が惹かれてしまうといもの。

なんと、価値の条件である「普遍」の対義語は「特殊」なんです。
【魅力 ≠ 価値】だということですね。

みなさんは、目の前に「ものすごく魅力的だけど(普遍的な)価値があるかどうかはわからない」というものがあったら、どうしますか? 心は惹かれるけど、社会的にまだ認めれていない・一般的になっていないものだから、それを選択するのは避けておきますか?

僕たちは、自分の将来や生き方を考える時、「社会的な価値の有無」に縛られすぎているんじゃないでしょうか? それも、時代や社会環境の変化とともに、あっというまに変わってしまいます。普遍なんて幻です。

その人らしい魅力・その人ならではの世界観に、そんな「価値」は必要ないのかもしれません。

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