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「もしも自分が小学生の時にSEKAISHAがあったら」 僕の原体験から創業に至るまで

私が25才の時に創業した株式会社LITALICOは東証一部に上場しており、今尚成長を続けている。既に一線は退いているが、その会社の創業者というと「すごい人なんだ」と思われたり、実際に言われたりすることも少なくない。

しかし、私と一緒に仕事をしたことがある人にとっては知ってのとおりだが、会計はほぼできない、実務もほぼできない、文章もあまり上手に書けない、記憶力も乏しいので興味がないことはほぼ忘れる……恐らく企業の採用面接に行っても落とされるだろう。謙遜ではなく、本当にそうなのだ。

ただ、他の人よりも優れているか否かは別として、起業や商売のことには人一倍興味がある自信がある。どんなときも商売のことを考えていることが好きだし、この分野についてだけは、いつまでも集中力が続く。不思議なものだ。

学校では教えてもらうことのできなかった、大好きな商売のこと

僕は小学生の時から、商売というものに興味があった。

先生に、商売の仕組みを教えてほしいと話したら「いつか授業で話す」と言われ、その日をまだかまだかと毎日ワクワクしながら待っていた。しかし、結局その話を聞く日はおとずれないまま卒業を迎えた。

福島にある田舎の小さな小学校の中で、僕は成績がビリから2番目か3番目だった。先生からは「そんなことより勉強しろ」と何度も言われたことは覚えている。その言葉があったからかは定かではないが、中学時代はかなり成績が良く、田舎とはいえ高校は進学校に進み大学を目指して勉強していた。

もともと高校時代には、すでに商売を始めたいという思いがあった。しかし、やり方もわからないうえに、何よりも学校は成績でしか人の評価がされない環境だ。僕は半ば強制的に勉強に向き合わざるを得なかった。振り返ってみてこのように感じるのは、勉強が得意ではない、好きではない、という思いが心のどこかにあったのだろう。大学は地元の公立大学に進学することになった。

そして僕は、大学に入学してすぐに起業をした。

高校時代に少しは勉強したし、新しいことへの挑戦とはいえ、そこそこできる自信があった。ところが、起業をするといっても、具体的に何をしていいのかは全く分からなかったのだ。

大学教授からは「まずは日経新聞を読め!」と言われたが、書いてある内容がさっぱり不明であったことを、今でも覚えている。英語長文に出てくる単語を辞書で調べていくように、一つひとつの言葉の意味を調べながら読み進めていくのは、大変な作業であった。

株式会社? 株? 会社? 役員? 定款? 資金繰り? 銀行???

わからない言葉がどんどん積みあがっていき、何をどういう順序で整理すればいいのかもわからない。本屋に駆け込み、関連書籍を読み漁った。しかし、あっちの本とこっちの本で違うことを言っているように感じてしまい、ますます混乱してしまった。落ち着いて考えれば当然のことだが、本の中に書いてある内容だけで大企業が作れるなんてことはないのだ。

自らの原体験をきっかけに、「SEKAISHA」立ち上げを決心

これまで学校で学んできた勉強やテストは、決まった範囲の中からしか出題されない。しかし、起業には決まった答えなど存在しないことを、この時初めて実感した。そればかりか、学校で勉強してきたことは社会に出て役立つものだと思っていたが、私が志した起業という分野においては、ほぼ意味を成さなかった。新会社の経営計画には、球体の体積を求める必要もなければ、物理の方程式を使うことも1回もなかったのだ。

こうした自らの原体験を1つのきっかけに、僕は「SEKAISHA」の事業に取り組むことを決めた。「SEKAISHA」とこの会社の名前を付けたのは、学校の成績や他人の評価などの“他人の世界”を生きるのではなく、“じぶんのSEKAI(世界)”に自信を持って生きてほしいからだ。

自分が小学生の時にSEKAISHAがあったらと考えてみると、もっともっと興味の幅が広がり、どんどん商売のことや経済の流れに興味を持っていたかもしれない。毎日、好きなことばかり考えて勉強はしなくなったかもしれない。けれど、もしかしたらそこから明確な目標ができて、ここの大学で経営学や経済学を学びたいとなっていたかもしれない。

こうした興味から始まる前向きな連鎖を想像すると、多くの子どもたちにとってこの事業が役立てるのではないかと感じている。

熱中できるものにとことん向き合うチャンスを子どもたちへ

僕と同じような勉強を取り巻く環境や考え方への疑問を持っている人は少なくないだろう。子どもたちの立場から見れば、既存の勉強スタイルに馴染めないことを理由にいじめられていたり、勉強ができなくて家庭に居場所がない子がいたりするかもしれない。そんな子どもたちに対して、「勉強ができなくても、大好きで熱中できるものがあるんだ!」という自信を持ってもらえれば、それは1つの成功なのではないかと思う。日本だけではなく、世界中の才能豊かな子どもたちの少しの手助けになるように、この事業を成長させていきたい。

創業ストーリー、後編はこちらから!
【後編】あなたは何のために勉強する?これまでの勉強と、これからの“じぶんのSEKAI“を作る勉強の違い
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代表の佐藤からのメッセージ。代表挨拶はこちら!
【代表挨拶】みんなと同じである必要はない、違うからこそ“じぶんのSEKAI”を楽しめる
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