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メールはなぜ届くのか?(前半)

Photo by Ranurte on Unsplash

こんにちは。

エス・エー・エス株式会社の海田です。
2024年になりました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

先日、軽い胃腸炎になって体調不良でお休みしていたところ、子供たちがゴソゴソとこんなものを持ってきました。

嬉しいお手紙ですね。小さいころ、郵便屋さんごっことかやりましたね。懐かしい!
おかげですぐよくなりました(笑)

最近は紙の年賀状をやり取りする習慣も少しずつ減ってきて、仕事以外で赤い郵便ポストを利用することも少なくなってきたのではないでしょうか。
今は専ら電子メールやSNS、LINE等のコミュニケーションツールですね。

ところで、電子メールってどのようにして相手に届くのか、深く理解して利用されている方ってあまりいらっしゃらないのではないでしょうか?かくいう私自身も深く理解しているわけではありません。

そこで頭を空っぽにして今一度、電子メールについて調べてみました。
今回はその記録を書きたいと思います。
かなり初心者向けに書いている・・かと思います。多少飛躍した表現等がある旨ご承知おきください。

1.「電子メール」=「e-mail」=「メール」という暗黙の了解的な風習

電子メールは英語で「electronic mail」と書きます。
一般に「e-mail(Eメール)」と呼ばれています。

「メール」とは本来「郵便物」という意味です。しかし例えば仕事で「後ほどメール致します」と言われて、何かの「郵便物」が届くことはまずありませんね。きっと「電子メール」として届くでしょう。
なので「メール=電子メール」の意味として日常的に使われています。

つまり、電子メール、e-mail、メール、日常的には全て同じ意味で使われているということですね。

2.電子メールとは何か?

「メール」本来の意味は「郵便物」という意味でした。
では「電子メール」とは何でしょうか?
そのまま訳せば、「電子郵便物」・・ん?電子って何・・?

・・と物理学的な何か、みたいに複雑に考えるのはいったんやめましょう。
超簡単に言うと、
「電子メール」とは「サーバ間でやりとりする郵便物」のことを差します。

「サーバ間」でやりとりする郵便物なので、その実体は「0」と「1」の羅列の電子データです。冒頭で子供たちが届けてくれたようなお手紙のように郵便物としての実体があるわけではありません。
しかし「0」と「1」の羅列である電子メールも、アプリを使って受信したり(ダウンロード)、紙媒体として実体化させたり(プリントアウト)すれば、人が認識できる形で「読む」ことはできます。皆さんが日常的に実施されていることですね。

繰り返しですが、「電子メール」=「サーバ間でやりとりする(実体のない)郵便物」です。

「サーバ」という言葉がなんかとっつきにくい方は、下の絵の中央にあるような「大きな箱型の機械」をイメージしてもらえればいいです。(私もインフラエンジニアですが、「サーバ」という言葉はなんかわからないけど昔から苦手です・・)

郵便物にはいろんな種類があります。手紙だけだったり、写真も入っていたり、購入した商品だったり、時には間違えて届くようなパターンもありますね。
これは現実世界の郵便物も、電子メールの世界でも同じです。

3.電子メールの「宛先」と「差出人」の書き方

年賀状を例に考えてみます。
年賀状を相手に届けるとき、内容以外に必要なものがあります。

それは「宛先」です。
誰に届けていいかを書かかないと届きません。

また手紙を受け取った人間は、その手紙が「誰から届いたのか」を知りたいと思うはずです。
つまり「差出人」も必要です。

「宛先」と「差出人」はセットで必要です。

一般に年賀状を書く時、この「宛先」と「差出人」にはそれぞれ「住所」+「名前」を書きますね。

上の例であれば、

宛先の住所:東京都文京区後楽1丁目3−61
宛先の名前:東京童夢
差出人の住所:千葉県浦安市舞浜1−1
差出人の名前:美月魔臼

ですね。住所が正しいことは大前提ですが、ここまで書いていれば現実世界でこのはがきは相手に確実に届くはずです。

改めて大事なことなのでもう一度・・
お手紙を出すとき、「宛先」と「差出人」はセットで必要です。

さて「電子メール」の場合も同じように考えてみれば「宛先」と「差出人」が必要だと想像できます。
ということは、それぞれの「住所」と「名前」が必要なはずです。
それはどのように定義するのでしょう?

ここで登場するのが、「電子メールアドレス」です。
使っていない方はほとんどいないでしょう。
電子メールアドレスは、必ず以下のような形をしています。

「sas-kaida@xxxxxx.jp」

この@(アットマークと言います)
右側(xxxxxx.jp)が「(電子メールの)住所」であり、
@の左側(sas-kaida)が「(電子メールの)名前」です。

電子メールでは、
住所のこと「ドメイン」と呼び
名前のこと「アカウント」と呼びます。(ユーザ名、ローカル部と呼ぶこともあります)

現実世界の年賀状で住所と名前が必要なように、電子メールの世界でも、「電子メールアドレス」というものが必要で、@の前後に住所と名前が書かれているということです。
そしてこの電子メールアドレスを使って、宛先と差出人を表現しています。
皆さんの持っているいろいろな電子メールアドレスをまじまじと見てみてください。一つ一つのメールアドレスがどこの住所(ドメイン)で、どんな名前(アカウント)なのか確認してみましょう。普段機械的に使っているメールアドレス一つ一つにも住所と名前があるのです。味わい深いですねぇー。

4.ドメインの正体

「住所」についてもう少し細かく見てみます。例えば「東京都文京区後楽1丁目3−61」という住所であれば、そこには「東京ドーム」があるし、「千葉県浦安市舞浜1−1」という住所であれば、そこには「ディズニーランド」があります。
つまり、「住所という文字の羅列」に対応した「実体の建物」があります。

電子メールでは、「住所」のことを「ドメイン」と呼びました。@より後ろの部分ですね。
では例えば、「sas-kaida@xxxxxx.jp」という電子メールアドレス宛にメールを送信したい場合を考えてみます。
きっと電子メールでやりとりする世界のどこかに「xxxxxx.jp」という「住所」があるのでしょう。
でもその住所をどうやって探すのでしょう?そこには何があるのでしょう?
現実世界の東京ドームとは違い、「住所という文字の羅列」がわかっていても、「実体の建物」がわからない状態です。

ここで原点に振り返ると、電子メールとは「サーバ間でやりとりする郵便物」のことでした。つまり「あるサーバ」から「別サーバ」へ郵便物を届けたり、受け取ったりするということです。
だから「実体の建物」は必ず「サーバ」です。つまり、「xxxxxx.jp」という住所には何があるかというと「サーバ」があるのです。言い換えれば「ドメイン」の正体は「サーバ」です。

つまり、「xxxxxx.jp」という名前のサーバを見つけることができればいいわけですね。しかし、何の情報もないまま世界中からその名前のサーバをどのようにして見つければよいのでしょうか?もう少しヒントが欲しいですね。

5.サーバを識別するもの

世の中にはたくさんのサーバがあります。みんなから注目されたい目立ちたがり屋のサーバもいる一方で、日の目を浴びずにひっそりと隠れているサーバもたくさんあります。

インターネットの世界では、それら一つ一つのサーバ全てに固有の識別子を付与します。
それを「IPアドレス」と言います。
「192.168.1.XXX」みたいなやつです。おそらく1回は見たことはあると思います。

サーバは、IPアドレスで識別されます。

(ただし、世の中のすべてのサーバひとつひとつに付与するにはIPアドレス(正確にはIPv4アドレス)は足りないことがわかっています。これもめっちゃ話したいのですがちょっと今回の話からは外れるのでここまでにします。)

とにかく、全てのサーバは「IPアドレス」というもので識別される(区別される)ということを覚えておいていただければと思います。

6.メールアドレスはドメインでサーバを特定したい、でもサーバはIPアドレスで区別されている・・という苦しい問題

メールを届けたい住所=「ドメイン(xxxxxx.jp)」の正体は「サーバ」でした。
しかし、「サーバ」は「ドメイン」ではなく「IPアドレス」という別の識別方法で区別されています。
つまりどういうことかというと、宛先のメールアドレスの書かれ方(表記方法)が、

もし「sas-kaida@192.168.1.XXX」だったら、すんなり送付先のサーバが分かってよかったのに、
実際は「sas-kaida@xxxxxx.jp」となってしまっているから、どのサーバかわからない・・ということです。

こまりましたね。。
「xxxxxx.jp」が「192.168.1.XXX」のことを指しているんだよ~と別の誰かが証明してくれれば、いいんですけどね・・

7.名前解決

ここで強力な助っ人が登場します。
この協力な助っ人は、「xxxxxx.jp」と「192.168.1.XXX」は同じだよ!ということを世界中のみんなに知らせてくれます(正確には問い合わせが来たらそのように答えてあげます)

この助っ人のことを「DNSサーバ」と言います。助っ人もその実体は「サーバ」なんですね。
つまり、「sas-kaida@xxxxxx.jp」となっているメールアドレスを、このDNSサーバの力を借りて「sas-kaida@192.168.1.XXX」に変換できるのです。
こうなれば、ドメインの部分がIPアドレスとなるので、メールを送るべき唯一のサーバを特定することができますね!
(すべてのサーバはIPアドレスで識別されていることを思い出して頂ければと思います)

この「ドメイン」から「IPアドレス」を導き出すことを「名前解決」と言います。
この言葉も結構、出てきたりしますよね。この状況は「正引き」とも言います。

IPは数字の羅列で覚えにくいからドメインというものが生み出され、ドメインとIPの変換が名前解決であるという説明の仕方もありますが、今回のように電子メールアドレスの成り立ちから考え方を進めてみると、なぜ名前解決が必要なのかということが別の観点で理解できるかと思います。

8.脳内シミュレーション

ではここまで出てきた内容で、超シンプルに電子メールが届く状況を脳内シミュレーションしてみましょう。

(例)
送信元メールアドレス:test-kaida@yyyyyy.com
宛先メールアドレス :sas-kaida@xxxxxx.jp

まず、それぞれのアカウントとドメインを整理してみます。

送信者のアカウント(名前):test-kaida
送信者のドメイン(住所) :yyyyyy.com
宛先のアカウント(名前) :sas-kaida
宛先のドメイン(住所)  :xxxxxx.jp

そして送信元の住所「yyyyyy.com」から宛先の住所「xxxxxx.jp」にメールを届けようとする状況をイメージします。
「yyyyyy.com」はまずDNSサーバに対し、「xxxxxx.jpのIPアドレスを教えてください」と聞きます。
DNSサーバは(例えば)「192.168.1.XXX」と答えてあげます。
「yyyyyy.com」は宛先のメールアドレス「sas-kaida@xxxxxx.jp」から「sas-kaida@192.168.1.XXX」へと変換します。
そうして、宛先のサーバが特定され、メールを確実に宛先サーバに届けることができます。

9.まとめ

電子メールという言葉から、電子メールアドレスの意味、ドメイン、IPアドレス、DNSサーバ、名前解決と続き、サーバ間でメールを送る方法の概要について説明してきました。いかがでしたでしょうか?なるベく難しい言葉を使わず、日常生活と照らし合わせて説明できるように頑張ったつもりです・・

ここまで読めば、「なぜDNSサーバはxxxxxx.jpが192.168.1.XXXであるということを保証できるの?」とか、「宛先ドメインに届いた後、手紙を受け取る相手(アカウントsas-kaida)はどうやってそのメールを見るの?」とか、「メールでよく聞くSMTP、POP、IMAPって何が違うの?」とか、いろんな疑問が出てくるかと思います。多くの技術者が書いた優しい解説がたくさんありますので、興味のある方は是非調べてみてください!

私もまだまだ学習中なので今回は「前半」としました。
またいつか「後半」として続きが書ければいいなと思っています!

少しでも何かの力になれれば幸いです。

最後まで読んで下さってありがとうございました!


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