エンジニアだけどジェネラリスト?!様々な手段で価値を出す「Customer Engineer」とは|PLAID
プロダクトと顧客との間に立ち、プロダクト価値の最大化に取り組む役割の重要度が上がっています。 プレイドでは、これまで「Product Specialist」として活動してきた役割を「Customer Engineer」として再定義し、チームを立ち上げようとしています。 Customer ...
https://blog.plaid.co.jp/n/n376682a7e9af
※この記事は2023年11月に『RightTouch公式note』に掲載した記事を転載しています。
株式会社RightTouchは、Web上でのエフォートレスな自己解決を実現できるカスタマーサポート向けプラットフォーム「RightSupport by KARTE」を提供している、株式会社プレイドの新規事業からスピンオフしたスタートアップです。
今回は、RightTouchにカスタマーエンジニアとしてジョインした小塩順平に、入社の経緯や現在の仕事、今後の展望について話を聞きました。
<プロフィール>
小塩 順平(こしお じゅんぺい)
九州大学大学院を卒業後、2017年に株式会社ワークスアプリケーションズに入社。2022年4月に株式会社プレイドに入社し、その後、株式会社RightTouchのカスタマーエンジニアとしてプロダクトの開発に従事。
― ファーストキャリアとしてワークスアプリケーションズで5年間働かれました。
ワークスアプリケーションズが展開するビジネスに社会的意義を感じましたし、地元の福岡で実施されたインターンシップで指導してくれた社員にも好感を持ちました。インターンシップでのパフォーマンスが評価されて最優秀賞をいただき、大学院修了後いつでも入社できる「入社パス」をいただけたので、自分が活躍できる自信を持てたことも大きかったです。
配属されたチームではメンバーにもマネージャーにも恵まれ、エンジニアの仕事の面白さを学べました。5年間でエンジニアとしての基礎力を身につけ高められたので、良い環境だったと思います。チームリーダーやグループのマネージャーも経験し、在籍期間の後半は省庁関連のプロジェクトをリードするなど濃い時間を過ごせました。
― 転職活動を始めたきっかけを教えてください。
プロダクトを作っていく立場として、もどかしさを感じるようになったからです。自分が仕事を通じて価値を感じられるのは、お客さまと直接話をして仕様を決め、それを元に他部署と連携して作ったプロダクトがきちんと使われて、クライアントの価値になっているのを実際に見た時です。1to1ではなく1toNで、プロダクトがあるからこそ価値が最大化していく、そんな仕事がしたいと思っていました。しかし、組織の規模やプロダクトベンターとしての立ち位置、また提供先の企業特性などの要因もあいまって、自分自身が考える「プロダクトを通じた本質的な価値提供」を実現するには、構造的な難しさを感じ始めるようになりました。また、目の前のクライアントの個別課題を解決するだけでなく、その背景にある事象やインサイトをもとに、より汎用性ある形でプロダクトに反映させていく必要がある。そこまでやり切ることが必要だと考え、新たな環境に求めて転職活動を始めました。
転職活動で大事にしていたことは、就活時に考えていた「自分が価値を発揮できる仕事」「事業の社会的価値」「人」の3つをベースに、プロダクトを良くすることを中心に取り組めるところを探しました。もちろんエンジニアとしての経験を活かせることは前提ですが、根本的な考えは変わりませんでした。いくつかの企業から内定をいただき、知り合いからも声をかけてもらいました。
― 選択肢が複数ある中で、RightTouchのカスタマーエンジニア職を選んだ理由を教えてください。
カスタマーエンジニアという職種そのものが、まだ広く知られていないと思うので簡単に説明すると、プロダクトと顧客との間に立ち、プロダクト価値の最大化に取り組むエンジニアです。コードを書くエンジニアとは異なります。顧客にプロダクトの価値を正しく受け取っていただくために、顧客がプロダクトを使いこめるよう必要なことをなんでも行う、技術視点を持ったジェネラリストのような役割です。
カスタマーエンジニア職に関するプレイド公式note
RightTouchを選んだ理由としては、自分の今までの経験から「カスタマーエンジニア」という職種そのものに「いいな」と思えたことは大きいです。キャリアの選択肢として、他にはPdM(プロダクトマネージャー)か、SRE(Site Reliability Engineering)などもありました。ただ、プロダクトを通じて世の中を良くしていきたいという自分自身の志向を軸に考えると、顧客の声を起点にプロダクトをより良くしていくことができるカスタマーエンジニアという職種こそ自分で手を動かせて、スキルも活かせると思え、それが決め手になりました。
さらに面談で話した社員にも好印象を持ちましたし、会社のフラットな雰囲気も自分に合いそうな気がしました。各々がやりたいことをやれていそうな雰囲気に惹かれたことを覚えています。
RightTouchのプロダクトは、BtoBtoCだと捉えています。私たちが相対するのはクライアントですが、クライアントのその先には多数のエンドユーザーがいます。どうエンドユーザーへ良い体験を作るか?までを考えることはBtoCに近く、そこまで広く深く価値提供することにやりがいを感じられそうだと考え入社しました。
― 入社してからのお仕事について教えてください。
プレイドに入社し、カスタマーエンジニアとして働き始めました。その数カ月後にRightTouchでもカスタマーエンジニアとして手伝ってほしいという話があり、私自身も興味があったので手を挙げて関わり始めました。現在はRightTouch専任で仕事を進めています。
カスタマーエンジニアとしての具体的な業務は、プロダクトそのもののコードを書くことではありません。エンジニアの目線で顧客にプロダクトのよりよい使い方を伝えたり、現場で発見された課題をプロダクトにフィードバックする役割を担います。
例えば、チャットサポートでは回答できない問い合わせに自ら技術調査をして答えたり、エンジニアに仕様を確認したり、詳細な調査を依頼したりします。また、クライアントがKARTEを使って実現したいことがあった際に技術的なハードルがあれば、私たちカスタマーエンジニアが、テクニカルサポートとして入り、実際に手を動かしてその実現を支援しています。さらに、そうしたリアクティブな対応だけでなく、カスタマーエンジニア視点から見た顧客のプロダクト体験全般に関わる改善の提案や推進も行っています。
RightTouchでは「RightSupport by KARTE」に関わりながら、メインの仕事としては新規プロダクト「RightConnect by KARTE」の開発に携わっています。RightConnectは、つい先日リリースしたばかりなのですが、Webとコールセンターの電話業務を連携し、問い合わせ応対をアップデートするようなプロダクトです。準備段階では、エンジニアが本格的な開発をする前に、KARTEのアセットを活用して目指している連携が実現できるのかを検証しました。技術検証はもちろん、顧客との関係性を構築しながら必要な機能の仕様を整理したり、連携するシステムとの仕様差分を確認し、課題を把握しています。社外のアライアンスパートナーとも会話しながら進めることもあります。
― 仕事のやりがいについて教えてください。
最近だと、RightConnectのコンセプトをクライアントに話した時に、「そういうのめちゃめちゃやりたかったんですよ!」といった高い期待を持ってもらえることが多いんです。目指している方向性に共感してもらえて、「ぜひ一緒にやりましょう!」という生の声をいただけると、この仕事をしていてよかったと実感しますね。
直近リリースした大規模言語モデル(LLM)を用いた「ライブアシスト」機能の開発プロセスは、仕事のやりがいを感じた具体的な事例の一つです。他のエンジニアがパッと作ったたたき台をベースに、私がデモを翌日に作って社内Slackに貼ったところ社内からも「これめちゃくちゃいいじゃん!」と評判がよく、そこから正式に開発が始まりました。既存のプロダクトのアセットをうまく使いつつ、価値に変えていくことに仕事の面白さを感じます。
ライブアシスト機能の初期アイディアをSlackで共有した時のチームの反応
― カスタマーエンジニアに向いているのはどういう人でしょうか?
プロダクトを愛すこと、そして使い込むことが大事じゃないかと。また、自分の仕事の幅を狭めずにいろいろな所へ飛び込んでいける人が向いていると思います。やったことがなくてもとりあえず飛び込んでみる。興味の幅を広げる。そうすると、どの領域で何を活用するとプロダクトが活きてくるのか分かります。
カスタマーエンジニアはビジネスサイドのメンバーと一緒に商談に出る機会も多くあり、クライアントの感覚を掴みやすいんです。クライアントがどのような要望を持っているのか。何をすれば期待に応えられるのか。トライアンドエラーの経験を積めば積むほど精度が高まります。
カスタマーエンジニアの土台はプロダクトだと思っています。いかにプロダクトを理解して、活用方法を熟知し、どう良くしていくかという一次情報を一番取れるのがカスタマーエンジニアです。プロダクトに対する理解度が大きければより仕事がしやすくなります。そうすれば今までできなかった課題を解決することができます。
― RightTouchで働く魅力はどこにありますか?
ワンチームで仕事ができていることです。役職による“圧”はありませんし、意見も言いやすく、フラットな環境で仕事ができます。
また、全員でコトに向かえていることも魅力です。過去の経験から、人が増えてきて組織が大きくなるとセクショナリズムが生まれやすいですが、今はエンジニアもコンサルタントも一体となって課題解決に向かう文化があります。
社内政治的なことも全くなく、自分のポジションを守るような人はいない。クライアントの課題解決、そしてその先にいるエンドユーザーが抱える生活上の負の解決のために動ける人ばかりです。いわゆる心理的安全性が高いので、安心して全力を尽くせます。
― RightTouchでカスタマーエンジニアをやりたい方にアドバイスはありますか?
RightTouchでカスタマーエンジニアをやるためには、外部との連携もあるためさまざまな技術をキャッチアップする必要があります。KARTEにとどまらず、周辺技術のキャッチアップが必須です。知らない技術やプロダクトがあっても臆せずトライできたり、取り組みながら学習できたりする人の方がRightTouchで活躍できると思います。
カスタマーエンジニアにジョブチェンジした時には不安もありましたが、飛び込んでみてよかったです。カスタマーエンジニアの存在によって、プロダクトの開発課程がよりスムーズになり、課題解決もしやすくなる実感があります。
― これからRightTouchで実現したいことを教えてください。
カスタマーエンジニアは技術と世界をつなぎ、社会課題を解決していくことに価値があると思っているので、そこを担う存在であり続けたいです。
目下では、開発中のプロダクトをできるだけ早くクライアントに届けたいです。プロダクトによって生み出される行動や価値が世の中に当たり前に存在する世界観を創っていきたい。そしてカスタマーサポートという領域全体をより良くしていくことに取り組み、自分たちでデファクトスタンダードを確立していきたいです。
個人では、カスタマーエンジニアとしての強みを活かしつつ、今後はプロダクト全体の設計ができるようになりたいです。PdMに近い役割にはみ出していくことも視野に入れています。やはりプロダクトが好きですし、物を設計して世の中に大きなインパクトのある価値を提供していくことはこれからも続けていくと思います。
(ライター/谷村光二(トラックレコード) 編集/松並憲生(トラックレコード)、緒方 祥子(フリーランス))