ユニークなキャラクターが集うレオスの運用部メンバーたち。どのようにして投資の世界に出会い、日頃どんな投資哲学を持って働いているのでしょうか。「私が『投資』を仕事に選んだ理由」をテーマに、それぞれの思いを聞いてみました。
今回は、運用部、シニア・アナリストの佐々木 靖人です。
<PROFILE>
2006年、California State University, Bakersfield校卒業後、ブルー・マーリン・パートナーズ入社。コンサルティング事業に従事。2009年、レオス・キャピタルワークス入社。 2013年、ダーウィン・キャピタル・パートナーズ入社。共に運用・調査業務に従事。2016年、レオス・キャピタルワークス再入社。
“稼げる仕事一覧”に導かれた
――投資に興味を持ったきっかけを教えてください。
まずは、いろんな事業をやっていた父親の影響が大きいですね。子どもの頃に家族で食事に行った時に、「無くならない仕事がいいよね」という話になって、それが印象的だったんです。 「無くならない仕事って何だろう? 生活の土台となる仕事、例えば衣食住にかかわる仕事とかなのかな?」と、子どもながらも自分なりに考えていました。
大学に入った時には社会学に興味がありましたが、大学のオリエンテーションで卒業した後の学科別の平均年収の資料をもらったんですよ。“無くならない仕事”という意識もあったし、どうせなら稼げる仕事がいいよなあと調べてみると、社会学よりもビジネス関連の学科の平均年収が高かったんです。
さらにビジネスといっても会計・財務や税務、金融などの道がありますが、その中で選ぶならどれかと考えたときに、株だけで世界で2番目の金持ちになった爺様、かの有名なウォーレン・バフェットという人物がいるぞ、と。よし、将来は投資を仕事にしよう、と思い、大学の専攻も社会学ではなく金融関連の学科を選びました(米国の大学では入学した後に専攻を決めます。また自由に変えられるし自由に増やせる。お金と時間があればですが)。
大学の授業でアカデミックに金融や会計について学ぶと、想像以上にいろんな広がりがあり、金融の世界に引き込まれていきました。
だんだんと自分も相場に参加したくなり、ネット証券で株取引やオプション取引をやってみました。アカデミックと実際の世界に差があるようにも感じたし、お金が動く様を見てこれは「無くならない仕事だろう」と感じたものです。
――佐々木さんのプロフィールを見ると、コンサルティング会社を経て、2009年にレオスに入社。2013年に一度転職し、2016年にまたレオスに戻ってきた、という経緯なんですね?
新卒入社した会社から資産運用者への転職を目指していた2008年、Twitterに「資産運用業に携わる術はないものか……」と書いたら、「中小型株の運用に興味はありますか?」とメッセージが届きました。送り主は、社長の藤野さん。何度かメッセージでやり取りを繰り返し、その後実際に会って話を聞き、この人がやる会社なら信頼できるだろう、とレオスへの入社を決めました。
3年働いて基本的な相場や企業の見方がわかるようになってきた頃、機関投資家としてのスキルをより身につけるためには他の運用手法の経験も必要だと考え、ヘッジファンドへ転職しました。レオスとは異なる運用手法のファンドで日々株式市場と向き合いながら働いていくうちに、「リスクを抑えながらリターンを上げる」ことを目指していく点では、運用手法による差異はないのかな……と感じました。そして、学生時代から目指していたような本当にやりたい運用ができるのは、やっぱりレオスではないか、と。藤野さんから言われた「いつでも戻っておいで」という言葉を思い出し、2016年に再入社という形で戻りました。
世の中の当たり前を生み出す会社と出会えるワクワク感
――日々の仕事で気持ちが高まるのはどんな時ですか?
世の中にはいろんな会社、技術、業界があり、そのすべてを知ることはできないけれど、ある業界のある特定の専門分野の知識が高まり、伸びる企業を見つけて投資して、結果としてお客様の利益につながった時はテンションが上がります。今、世の中に当たり前にある便利な物も、例えばスマートフォンでも、誰かが、こういう物が必要じゃないか、と最初に考えて作り出すわけです。こういう技術やサービスが社会に求められているなと、日ごろから自分自身でも考えるようになって、その考えている過程自体もすごく楽しいです。ドンピシャの製品やサービスを世に出そうとしている会社に巡り合えた時には、すごく嬉しいですね。
――どんな会社に出会うと気持ちが高まりますか?
過去の事例ですぐに思い浮かぶのは、とあるキャッシュレス関連の企業さんですね。今でこそ、クレジットカードや電子マネー、ネットで買い物をするのが当たり前の世の中ですが、1995年創業当時からキャッシュレス社会を打ちだしている会社さんです。強い信念を元に社会の課題解決にあたる姿勢、社員一人当たりの利益が毎年増加し、毎年の予測成長率を達成しているのも惚れますね。
いろんな事業を多角的に展開している企業も好きです。本業で稼いだ利益を、社内の若手による新規事業に投資します、というスタイルです。貯まる現金を配当だけではなく、社内の若手社員が手を上げて、その思いに応えて会社として投資をしてあげているのは、明るく前向きに従業員がチャレンジしている企業カルチャーがあってこそですしね。
4勝6敗でも見えてくるもの
――投資の面白さをどう伝えたいですか?
「失敗」が次に生かされていく点が投資の面白さですね。
勝率としては、4勝6敗でも良いと思っています。4で大成功をして、失敗の6を早めに判断して断ち切ると、失敗から出る損失を減らしながら、成功の実りを大きくすることができます。10連勝も短期間では可能ですが、長期間では難しいです。ある程度の失敗を許容しつつ、自分をバージョアンアップしつつ、リターンを生むために現状を分析して、次にどう動くかを考える。本当にこの4勝が長期間に渡って4勝であり続けるのか、本当にこの6敗が敗北だと今決めてしまっていいのか。この見極めのちょうどいいところを探すんです。
例えば少子高齢化社会に求められるのは、高齢者向けのサービス、介護・車いすが頭に浮かびます。でも、少子高齢化は税収入が減る一方で社会保障費の増大となり、国は介護費用を抑えたいという思惑があり、高齢者向け製品やサービスは数量が取れるが価格が安く、利益につながりにくい、とも考えられます。
そこで“高齢化”ではなく“少子”の方に目を向けると、特に都心部では中学受験をする子どもが増えており、区によっては3人に1人は中学受験をするという現実もあります。中学受験率が右肩上がりなので、業界が非常に盛り上がっていて、進学塾関連企業の株が熱い、ということが見えてきます。
わたしたちの投資信託「ひふみ」を買っていただいたお客様、あるいはまだ買っていない方であっても、“一人の投資家”になっていただきたいという想いがあります。
「コンビニでたまたま買ったこのペンがすごく書きやすいから、このペンの会社に投資をしてみよう」と思うのも、投資家としての第一歩ですし、ご自身の働いている業界、専門分野でこれから伸びるであろう企業を探すのも良いと思います。自分なりに調べて、仮説を立てて、やってみて失敗だったか成功だったかを振り返り、次につなげる。そうやって長期で勝ち残っていくのが投資の醍醐味です。そのワクワクを伝えていけたらと思っています。
※所属・業務内容は、取材時点の情報です。