「起業」が身近にあった少年時代
――「起業したい」と思い始めたのはいつごろですか?きっかけは何でしょうか?
高校3年生の終わりくらいですね。
起業に興味を持ったのは、やっぱり父の影響が大きかったですね。父はネット業界にいて、家にはよくその業界の重鎮たちが集まっていました。子供ながらにそういった環境で話を聞く機会が多かったんです。それで「自分もネットを活用した会社を作りたい」と考えるようになりました。当時は、ネット業界で活躍している人たちがとにかくかっこよく見えて、自分もその仲間になりたいと思ったんです。でも、今振り返ると若さゆえの「起業したい病」だったかもしれません(笑)。
ーー起業を本格的に考え始めたのはいつですか?
大学に入ってからです。このままだと起業しないまま終わってしまうという危機感が出てきて。環境を変えたくなって、2年生の時にシリコンバレーに行って自分の目でスタートアップを見ようと思ったんです。シリコンバレーでは、とにかく色々なイベントに顔を出していました。当初は旅行系のサービスに目をつけていて、さまざまなアプリをインストールして試していましたね。
ーー最初考えていたのは「instabase(以下、インスタベース)」ではなかったんですね。
そうなんです。でも、シリコンバレーにいたときは全然走り出せていなくて。イベントで色々な人に会うたびに、「何のプロダクトをやっているの?」と聞かれて、恥ずかしい思いをしていました。
ーー様々な人に会われたということですが、学生時代に出会った人で、印象に残っている人はいますか?
やはり、共同創業者のUg(取締役髙畠裕二のニックネーム、以下Ug)との出会いは印象に残っていますね。2010年の夏、二子新地のバーベキューで出会いました。
初めて会った時、酔っ払ったUgさんから「海ちゃんね、よろしく!」って言われたのを覚えています。彼はエンジニアに対する僕のイメージを覆した人物ですね。こんなに陽気に喋るエンジニアがいるのか!!って。(笑)
その後もアメリカにいる間に何度か一緒に過ごしていましたが、実際に一緒に起業することになるとは思ってもいませんでした。
インスタベースの誕生とこれまで
――「インスタベース」で起業しようと思ったのはどのような経緯ですか?
2013年9月にアメリカから帰国してからですね。先輩の会社を手伝うなど、様々な会社を回って経験を積んでいたのですが、共同創業者のUgさんと、毎日のように集まって起業のアイディアを考えていたんです。
その時、集まる場所にいつも困っていました。電源はあるけどWi-Fiが使えなかったり、長時間滞在できなかったり。そこで「場所のシェアリングサービスを作ろう」と思ったのがインスタベースの始まりです。
ーー2014年にRebaseを設立し、「インスタベース」のサービスを始めてからは10年が経ちました。今までの10年を振り返って、特に大変だった時期はいつですか?
基本的にずっと大変でしたが、一番大きな山は2016年から2018年ですね。Rebase初の資金調達に動きながら、初めてのオフィスを構える準備をし、そして父親の病など、様々な出来事が重なって大変な時期でした。
上場もとても大変だったことの一つです。2019年から上場を目指して動き始めましたが、2020年にコロナがあり、2022年にはロシアのウクライナ侵攻があり、と様々な社会的事情の影響で当初描いていたストーリーとはかなり異なる形になりました。一時期は円形脱毛症がたくさんできるくらいのストレスを感じましたが、なんとか乗り越えられましたね。
Rebaseの節目ー10年目の変化ー
ーーそんなRebaseも、今年で11年目に入るということで、Rebaseの今後について聞いていきたいと思います。
今年の4月に、Rebaseはミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を刷新しましたよね。新しいMVVに込めた想いについて教えてください。
2024年の4月、11期目を迎える節目の年に、MVVを改定しました。この10年間、いろいろな挑戦や変化がありましたが、それを踏まえて次の10年は異なる成長の道を歩みたいと強く思ったからです。これからの10年のスタートをMVVの刷新という形で切ることに決めました。
Mission
Get Together 和をひろげる
Vision
Where It Starts ことのはじまり
Value
We Are Mission Driven. 私たちはMissionドリブンです。
We Are Passionate. 私たちは情熱的です。
We Exceed Expectations. 私たちは期待を超えます。
We Scale. 私たちはスケールします。
https://www.rebase.co.jp/
込めた思いとしては、私たちの会社がさらに大きくなっていく可能性がある今、組織全体が同じ方向に向かって行動できるような明確な目標が必要だと考えました。これまでのビジョン「一人ひとりの『らしさ』で溢れる世界」は、各メンバーの独自性を尊重する良いコンセプトでしたが、行動に落とし込みにくい面もありました。今回のMVVは、その「らしさ」を具体的な「ことの始まり」に結びつけ、日々の行動に移しやすいよう意識しています。また、組織が拡大することで生じるコミュニケーションの課題に対応するため、全員が同じ方向を目指せる共通の価値観を強く打ち出しました。
ーー業務の中で「Get Together / 和をひろげる」を実感した経験はありますか?
そうですね、私たちのMission「Get Together / 和をひろげる」は、毎日の業務を通して感じることが多いです。社員一人ひとりが新しいチャレンジに向き合う際に、行動の指針としてMissionを意識してくれていると感じます。Missionが具体的に見えることで、会社全体で同じ方向に進んでいる実感がありますね。
ーー一番好きなValueは何ですか?その理由も教えてください。
どのValueも大事ですが、一番好きなのは「Passionate(情熱)」ですね。情熱がなければ、成長やスケールを目指す以前に、ユーザーの期待を超えるような成果を出せないと思っています。情熱があってこそ、私たちは自らの仕事に誇りを持ち、ユーザーが心から満足するサービスを提供することができる。情熱は、私たちの企業活動の原動力ですし、今後も大切にしていきたい価値観です。
Rebaseのこれからについて
――今後のRebaseのビジョンについて教えてください。
今まで以上に成長し続けるために、新規事業を積極的に仕掛けていきたいですね。Rebaseの社名を「インスタベース」にしていないのは、インスタベースだけではなく、もっと様々なサービスを提供する会社になりたい、という思いが創業期からあったからです。新しい「太い幹」になるようなサービスを生み出していきたいです。
ーーRebaseを通して、Kaiさんが実現したい社会について教えてください。
Rebaseが介在することで、新たな価値を生み出せている世界を作りたいです。
人生は一度きりです。「こういうことはあなたはできないからやらなくていいよ」と人が人の物差しで勝手に決めてしまう枠に当てはめられるのが嫌なんです。誰もが可能性を持っていて、それを他人が決めつけるべきではないですし、他人の物差しで自分の可能性を狭めるべきではないと思っています。
例えば、「夢なんて語れない」と感じている人たちに対して、Rebaseのサービスを通じて「自分にもできるかも」と思ってもらいたい。その人の可能性を広げたり、夢を実現するきっかけを提供したいんです。そういうきっかけを日本中で作りたいと考えています。
具体的には、レンタルスペースを使って「ここで自分の夢をスタートできるかもしれない」と思ってもらうことです。これまでの10年間で、すでに多くの人にそのチャンスを提供してきましたが、これからはもっと多くの人にその機会を与えたいと思っています。
「人」の可能性を信じてサポートしたい。Rebaseのミッション・ビジョンに基づいて、人々が集まり、つながるきっかけを作りたいんです。
一番嬉しいのは、インスタベースを一つとして、Rebaseのサービスを使って何かを始めた人が、その後に日本を大きく変えるほどの企業の社長になる姿を見ることです。
最後に
ーーKaiさん個人として、今後成し遂げたいことがあれば教えてください。
上場は、人生で成し遂げたいことではなかったんです。いつだって興味があるのは、「自分たちはどこまで行けるのか?」ということ。死ぬまでに、自分たちはどういう景色が見られるんだろう、というのが自分の関心です。そして、会社の仲間はもちろんのこと、周りの人たちにもそうであってほしいと思っています。自分なんて生まれてこなきゃよかったと思う人が一人も出てほしくないんです。
――最後に、今後どのようなメンバーをRebaseに迎えたいですか?
一番は、情熱を持って挑戦できる人に来てほしいですね。既存事業であるインスタベースもまだ日常的に使われているサービスではありませんし、新しい事業にもどんどん挑戦していきたいです。既存事業をはるかに超える成長を実現できる人、起業家マインドを持っている人が増えてくれると嬉しいです。
僕は、どういう事業を仕掛けるべきか構想することが大好きです。実現されるであろう世界と、それをどう組み立てていくかを考えるのは得意ですが、段階を踏んで進めていくことが苦手なので、そこを補完してくれるメンバー、共に作り上げてくれるメンバーに来てもらえると心強いです。