「新規事業をまるごと任せる」─ この言葉に背中を押され、ラクスルに入社した中嶋さん。
P&Gでブランドマネジメントを経験した後、立ち上げ期だったノベルティ事業にジョインし、販路設計から商品企画、集客、オペレーションまでを整備。3年で事業を十数億円規模まで伸ばしました。そして現在は、マーケティング統括部長として、複数事業にまたがる顧客基盤・データ・予算をどう束ね、全社としての成長に変えるかに挑んでいます。
事業を一人で前に進めるフェーズから、複数の事業・チームを横断して成長を設計するフェーズへ。現場で数字を伸ばす経験も、組織の仕組みを変える経験も両方味わってきた中嶋さんに、ラクスルでの7年間と、今まさに取り組んでいる「事業横断マーケ」のリアルを聞きました。
目次
学生NPOで知った、“事業を回す面白さ”
ラクスルとの出会い ─ “事業をまるごと任せる”という言葉のリアル
ノベルティ事業のゼロイチ ─ 「属人」を脱して、事業の型をつくるまで
新たなゼロイチ ─ “縦割り”を越えて、全社の成長をつくるマーケティングへ
編集後記
学生NPOで知った、“事業を回す面白さ”
── 中嶋さんには、キャリア選択で一貫して大事にしてきた軸はありますか?
中嶋:学生時代、NPO団体で代表をしていて、事業運営から資金調達、メンバー採用まで全部やっていました。その中でも一番面白かったのが、「どうすれば事業数値が上がるか」「どうすれば継続的に運営できるか」を考えて、実際に数字が変わっていく瞬間だったんです。
就職を考える上では、安定よりも、早く実力を試せる環境に行きたいと思っていたのですが、当時は、ベンチャーの情報を自分の目で見極めるほどの経験もなく、まずは「仕組みとして成長できる環境」に身を置きたいと考えました。
その点でP&Gは、若手でもブランドの数字に責任を持ち、戦略から実行までやり切れる。自分が求めていた環境に一番近いと感じ、新卒で入社しました。
── P&Gではどんな仕事をされていたんですか?
中嶋:電気シェーバーブランドに配属され、ヒゲトリマーや脱毛器などを担当していました。
商品への投資判断や訴求内容、チャネルごとの予算配分などを検討しながら、数字をもとに仮説を立てて施策を実行し、改善を重ねていました。その中で、意思決定が成果に結びつく感覚を得られたのは良い経験でした。
ただ、3年ほど経ってブランド異動のタイミングが来たときに、「新たなブランドへの異動は、この会社で腰を据えてキャリアを積み重ねていく選択でもある」と感じて、一度立ち止まりました。
仕事は楽しかった一方で、より事業全体に踏み込み、意思決定の幅を広げたいという気持ちが強くなっていたんです。社会人として少し視野が広がったタイミングで改めて自分のキャリアを見直したいと、退職を決めました。
ラクスルとの出会い ─ “事業をまるごと任せる”という言葉のリアル
── 転職先を探す中で、当初からスタートアップを見ていたわけではなかったんですよね?
中嶋:そうですね。次に行くなら、当時はいわゆるメガベンチャーを中心に考えていて、ラクスルは正直、最初は候補に入っていませんでした。事業内容も深く理解できていなかったんです。
きっかけは、エージェント経由でハコベルの「配車サポート職」を紹介されたことでした。事業企画に近い仕事を探していたのでまったく興味が持てなかったのですが(笑)、フラットにキャリアを見直そうと思っていたこともあり、せっかくだから一度話くらい聞いてみようと思ってカジュアル面談に行ってみたんです。
── 実際に話してみて、印象は変わりましたか?
中嶋:ガラッと変わりました。狭間さん(当時のハコベル事業責任者、現ハコベル株式会社 代表取締役社長CEO)と話す中で、事業課題の捉え方や数字の見方がすごくシャープで、「この人たちとなら面白い仕事ができそうだな」と感じたんです。
その後、高城さん(当時の印刷事業本部 新規事業部 部長、現CUSTA SDN. BHD. Founder&CEO)を紹介いただき、その面談で“BizDev”というポジションがあることを知りました。業務内容を聞いた瞬間に「これだ!」と思いました。まさに自分がやりたかった、事業全体を構想し仕組みをつくる仕事だったんです。
── 入社の決め手は何でしたか?
中嶋:「事業をまるごと任せてもらえる」というスタンスでした。当時のノベルティ事業は立ち上がったばかりで、1日の売上も数件という状態。「事業を立ち上げるためなら好きなようにやっていい」と言われて、ワクワクが止まりませんでした。
正直、他社からは年収面でかなり良い条件も提示されていました。それでも、高城さんが30歳前後で事業責任者を担っている姿を見て、「ここなら若いうちから本気で事業を任される」と確信したんです。年収よりも、「事業を動かす側に立てる環境」を優先したいと思い、2019年7月にラクスルへ入社しました。
ノベルティ事業のゼロイチ ─ 「属人」を脱して、事業の型をつくるまで
── 実際に入社されてからはどんな状況だったんですか?
中嶋:本当に"なんでも屋"でしたね。新規事業部の中にノベルティ事業がチームとして立ち上がったばかりで、専任者は自分だけ。お客様からの問い合わせ対応、入稿データの確認、メーカーへの発注、納期調整まで、まずは目の前のオペレーションを回すところから始まりました。
エンジニアやデザイナーは兼務で数名いたものの、事業として必要なことはほぼ全部自分がやる。サービスページの改善や広告運用など、集客の部分も含めて、とにかく手を動かしていました。
最初の1年は「どうすれば売上が伸びるか」を考え続ける日々でしたが、少しずつ再現性が見えてきたタイミングで採用も進め、正式に事業部として立ち上がりました。結果として、翌年には年商が数億円を超える規模まで成長しました。
── 急成長の裏側には、どんな工夫があったのでしょう?
中嶋:一番意識していたのは、“お客様目線”でした。
ノベルティって用途も目的も幅広くて、しかも初めて発注する方も多い。だから、実際に注文いただいたお客様の現場を見に行ったり、問い合わせ対応の会話を通じて、何に困っているのかを徹底的に拾っていったんです。
気づけば街中でTシャツやトートバッグを見ても、「これはシルクスクリーンだな」と考えてしまうくらい、事業を完全に自分ごと化していましたね。
ただ、チームが拡大し組織として成熟したタイミングで、別の課題も見えてきました。事業ごとに強みがある一方で、横のつながりが弱く、同じような課題に各事業が個別に取り組んでいる状態だったんです。
個別最適では成果が出る。でも、会社全体で見ると、もっと効率よく伸ばせる余地がある。そう感じる場面が増えてきて、「横断で成長を設計する仕組みが必要だ」と考えるようになりました。
新たなゼロイチ ─ “縦割り”を越えて、全社の成長をつくるマーケティングへ
── マーケティング統括本部を立ち上げることになった経緯を教えてください。
中嶋:2021年頃、当時のラクスル事業CEOから「マーケティング領域を見てもらえないか」と声をかけられたんです。
ただ当時はノベルティ事業に強い思い入れがあり、まずは100億円規模まで伸ばし切りたいという気持ちがあったので、最初はすぐに決断できませんでした。まだやり切れていない感覚があったんですよね。
それでも改めて相談をもらい、「まずは兼務でいいから、横断のマーケティング課題に取り組んでみてほしい」という形で、プロジェクトとしてスタートしました。
マーケティングを通じてラクスル全体を見渡すと、構造的な課題がクリアに見えてきました。例えば当時、ノベルティ事業の責任者として日々数字を追っていた一方で、印刷事業部のチラシ領域の状況を深く把握する機会はほとんどなかったんです。
でもビジネスとして考えると、チラシを購入してくださったお客様がノベルティも一緒に買ってくれたら、まだまだ伸びる余地がある。縦割りの壁を越えた先に、新しい成長の仕組みをつくれる感触がありました。
半年ほど兼務で取り組んでみたのですが、事業横断で成果を出すには中途半端では難しいと感じました。そこでノベルティ事業はチームに任せ、自分はマーケティング横断の取り組みに専念することにしました。
── 現在のミッションはどんなものですか?
中嶋: 「事業を横断して成長を生む仕組みをつくる」ことです。各事業がそれぞれ独立して成長してきた分、フェーズも課題も違う。だから単純にただ統合するのではなく、事業の強みや現場の解像度を保ちながら、顧客基盤やデータ、マーケティング投資を横串で活かす必要があると考えています。
2024年には、それまでの横断プロジェクトを前身としてマーケティング統括本部を立ち上げました。
各事業が持つ強みや現場の解像度(縦の専門性)を活かしながら、全社で成果を最大化する横のシナジーもつくる。そうした“マトリクス型の組織づくり”を進めています。
── マーケティング統括本部では、どんな人が活躍できるのでしょう?
中嶋:いわゆる“施策実行型のマーケター”というより、BizDevとして事業全体を見ながら動ける人が活躍しやすいと思います。
広告やCRMなどの専門性も重要ですが、それ以上に、利益構造を理解しながらグロース戦略を描き、課題を特定して打ち手まで落とし込める人が成果を出しています。
── 今このタイミングでマーケティング統括本部にジョインする魅力は何でしょうか?
中嶋: 大きく3つあると思います。
一つ目は、自分の役割を一緒に設計できること。組織立ち上げ期なので、与えられた業務をこなすだけでなく、「この領域も担当したい」といった積極的な提案が通りやすい環境です。
二つ目は、投資規模の大きさと学習機会の豊富さです。ラクスルは年間億単位で 40億円程度をマーケティングに投資を行なっていて、顧客接点への改善にも継続的に投資しています。だからこそ顧客からのフィードバックが得られ、施策の効果を実感しながら成長できるんです。
三つ目は、マーケティングが事業のドライバーになっていること。ECなので、マーケティングの打ち手がそのまま売上・粗利に跳ね返ってくる。数字の責任範囲が広く、自然とPL視点で意思決定する力が鍛えられる環境だと思います。
私自身、ラクスルに7年いますが、その間ずっと新しい課題が生まれ続けていました。事業をつくり、組織を変え、次の仕組みを考える。環境が変わるたびに自分も成長できる感覚があります。
外から見ると安定しているように見えるかもしれませんが、内側は常に変化している。その変化を楽しめる人には、すごく挑戦しがいのある環境だと思います。
編集後記
中嶋さんの話を通して印象的だったのは、事業を伸ばすことと、仕組みで伸ばすことの両方を経験している点でした。
ノベルティ事業の立ち上げで「現場の泥臭さ」を知り、横断マーケでは「組織の構造」に向き合う。ラクスルが今まさに挑んでいるのは、個別最適で伸びてきた事業群を、全社としてもう一段成長させるための設計です。
“縦の強みを残したまま、横で成果を出す”。その難しさに向き合う挑戦は、マーケティングの枠を超えたBizDevの仕事そのものだと感じました。
🚀 中嶋さんのように、専門性を持ちながら事業横断で成長を設計したい方は、ぜひラクスルのマーケティング統括本部の取り組みも覗いてみてください。