ラクスル、デジタルサイネージ事業に本格参入
ラクスル株式会社のプレスリリース(2025年9月11日 11時00分)ラクスル、デジタルサイネージ事業に本格参入
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000493.000010550.html
“新卒カード”を捨ててミュージシャンの道を選び、そこからビジネスの世界に飛び込んだ近藤さん。人材、オフィスソフト、SaaS、ブロックチェーン ── 多様な業界で経験を重ね、2021年5月にラクスルへとたどり着きました。入社から4年、一貫して追い求めてきた「オフライン×データ」という可能性は、2025年8月、ついにデジタルサイネージ事業部の正式発足として結実します。
音楽で人を動かすことから、仕組みで社会を動かす挑戦へ。
「どれだけ多くの人に影響を与えられるか」を人生の指針に掲げる彼が、なぜラクスルを選び、この新たな挑戦にすべてを懸けるのか。その答えを、事業立ち上げの舞台裏に探ります。
年間200ステージの日々から、ビジネスの世界へ
挑戦を肯定する舞台 ― ラクスルとの出会い
“見えない世界”を見える化する ― デジタルサイネージの再発明
「事業が好き」という軸を持ち続けて
《編集後記》
── 近藤さんは、もともとミュージシャンとして活動されていたそうですね。
近藤: はい。大学在学中から24歳頃まで、サポートミュージシャンとして活動していました。
「どれだけ多くの人に影響を与えられるか」── それが、昔から自分の指針でした。音楽に打ち込んでいたのも、その想いがあったからです。年間200ステージをこなし、毎日がライブとリハーサル。とにかくハードな日々でした。
ただ、20代半ばに差しかかった頃、「40代になってもこの働き方を続けられるのか?」とふと冷静になったんです。サポートミュージシャンとして“人が作った曲を演奏する”ことにも、「自分にしかできないことをしたい」という志向とのズレを感じ始めました。そこで、大好きな音楽の世界から一歩距離を置き、音楽と同じくらい興味があったビジネスの世界に舵を切ってみることにしたんです。
── 大きな決断でしたね。そこからどのようにキャリアを積まれたのでしょう。
近藤: まずは「とにかく社会に出なければ!」と思って、知り合いの人材系の会社に営業で入りました。社会との接点は持てたものの、やりがいを感じられず、1年ほどで退職しました。その後、中国系のソフトウェア企業に転職し、営業からマーケティング、事業開発まで幅広く経験しました。
ここでセールス力が一気に伸びたことで、次にセールスフォースへ。クライアントの事業を深く理解し、仕組みを一緒に作るような仕事に携わるうちに、「自分で事業をつくる側に立ちたい」という思いが強くなっていきました。
そんな折、ブロックチェーン企業からCMOのポジションを打診され、スタートアップで挑戦することに。上場フェーズまで事業を伸ばしたものの、自分が心からコミットしたい事業なのかと考えるようになったんです。
自分の関心は“フェーズ”よりも“意味”にある。改めて原点に立ち返ると、「情熱を注げる事業づくりがしたい」「もっと大きなスケールで挑戦したい」という想いが明確になりました。
ラクスルに出会ったのは、まさにそんなタイミングでした。
── ラクスルへの入社を決めた理由は何だったのでしょう。
近藤: 一言で言えば、「事業に対して真摯な会社」だったからです。
ラクスルでは、主語が常に“事業”。どうすれば成功させられるかを、部署や職位を越えてフラットに議論できる文化があります。
多くの会社では、新規事業がサイドプロジェクト的に扱われがちです。でもラクスルでは、「新しい事業を生み出すことこそが会社の成長」という考えが根付いている。上場企業でありながら挑戦を奨励する環境があり、「ここなら本気で事業をつくれる」と感じました。
── 入社後すぐにデジタルサイネージ事業に取り組まれたんですか?
近藤: 面接時のワークサンプルテストで、「データ×オフライン」という仮説を立てました。チラシなどのオフライン商材はラクスルの強みですが、効果を定量的に測るのが難しい。「データを掛け合わせれば、オフラインの価値を可視化できるのでは」と考え、入社後、まずはチラシの反応率をデータで分析するプロジェクトを始めました。
── その仮説検証が、デジタルサイネージ事業につながっていくんですね。
近藤: そうです。2年間、紙媒体を中心に検証を続ける中で、「オフライン×データ」をより大きなスケールで実装できるのがデジタルサイネージなのではないかと閃きました。
オンライン広告はデータで評価される一方、オフラインは可視化されないがゆえに軽視されがちです。けれど実際には、チラシや看板をきっかけに行動を起こす人も多い。ユーザーの現実と、事業者の意思決定の間にズレがある。この“歪な世界”を変えたいと思ったんです。
── そこから事業化まではどのような道のりだったのでしょう。
近藤: プロダクトなんてないところからのスタートでした。サイネージ会社に直接電話して商材を集め、営業して、データをもらって仮説検証を繰り返す。2年間はひたすら泥臭い作業の連続でした。でも少しずつ実績を作りながら、いつかこういうものをやりたいという夢を描いて、共感してくれる人たちを集めていきました。
── そして2025年8月に正式に事業化。どんなサービスなのでしょう?
近藤: デジタルサイネージ業界には、大きく2つの“負”があります。
1つは、「どこで」「何を」出せば効果が出るのか分からないという課題。そもそもまだメディアとして成熟しておらず、データや事例も少ない。
もう1つは、構造の複雑さ。たとえば新宿だけでも無数のサイネージがあり、それぞれの設置場所を管轄する不動産会社や管理会社はバラバラ。10基のエレベーターにサイネージ広告を出したくても、管理会社が4社あれば4社と契約しないといけない、そんな非効率が普通に起こるんです。
── それは広告代理店から見ても、扱いにくいですね。
近藤: そうなんです。だから代理店も敬遠してしまう。でも本当は、街のあちこちで広告を出すほうが、生活者の目に何度も触れて効果的なんです。
我々はそこをテクノロジーで変えたい。そこで、折込チラシやポスティングのように、サイネージの位置情報や視認人数、媒体データをすべてマッピングして、代理店がオンラインで簡単に買い付けできる仕組みを作りました。現在は広告代理店向けに展開していますが、将来的には街のケーキ屋さんでも「このエリアに出したい」と自分で選んで配信できる世界を目指しています。
── サイネージならではの強みはどんなところですか?
近藤: “場所とシーンを特定できる唯一のメディア”であることです。
たとえば薬局は体調が気になる人が訪れる場所。そこで健康食品の広告が流れると、自然と受け入れられる。ネイルサロンなら美容意識が高まっている状態で、ハンドケア用品の映像を見たら「買って帰ろうかな」と思える。つまり、その場にいる人の心理状態に寄り添えるんです。
多くの広告は「知ってもらう」か「買ってもらう」かのどちらかに偏っていますが、サイネージはその中間、“知っている人が好きになる段階(ミドルファネル)”を支えるメディア。生活の中のリアルな瞬間で、人の気持ちが動く。その可能性に惹かれています。
── なぜ今まで誰もやってこなかったのでしょう?
近藤: 正直、地道すぎるんです。サイネージを一面ずつ集めて地図に落とすなんて、手間がかかりすぎる。でも、それをやらない限り業界全体の効率化は進まない。ラクスルはもともと、分散した小さなアセットをテクノロジーでつなぐのが得意な会社です。だからこそこの領域を我々がやる意味があると思っています。
── 近藤さんのキャリアは音楽から始まり、まったく異なる業界を経て今に至っています。まさに“変化”を重ねてこられたキャリアですね。
近藤: そうですね。ミュージシャンから始まって、人材、オフィスソフト、SaaS、ブロックチェーン、そしてラクスル。いろんな業界を渡ってきました。
でも、一貫して大事にしているのは「どれだけ多くの人に影響を与えられるか」と「自分がやる意味があるか」という2つの軸。そしてデジタルサイネージ事業は、まさにその交点にあると思っています。
オフライン広告は、実は人々の生活に大きな影響を与えているのに、その効果が“見えない”ままだった。それをデータで可視化することで、事業者も生活者も、より良い体験を得られるようになる。誰も手をつけていなかった領域だからこそ、自分がやる意味を感じています。
── 事業化までの2年間、大変なことも多かったのでは?
近藤: もちろん苦労はありましたが、それ以上に支えが大きかったです。
ラクスルには「新規事業に本気で投資する」という文化があり、プロダクトも実績もない段階から「まずはやってみよう」と背中を押してくれましたし、売上の兆しが見えたタイミングでは「事業化しよう」とすぐに即断してくれた。
こうした挑戦を支えているのは、ラクスルに根づく“主語が事業”という文化そのものだと思います。
── 今後の展開について教えてください。
近藤: まずは代理店向けのプラットフォームとしてしっかり根付かせたいですね。
サイネージのメディア数を増やし、データベースを拡充することで、「このターゲットにはこの場所で」という提案を自動化していきます。最終的には、地域のケーキ屋さんのような小さなお店でも、数万円から気軽に広告を出せるようにしたい。いわばオフライン広告の民主化です。
── 最後に、この記事を読んで「自分も挑戦してみたい」と思った方へメッセージをお願いします。
近藤: デジタルサイネージ事業は、まだ始まったばかり。だからこそ、自分の手で事業を形にできるフェーズです。泥臭いことも多いですが、その分、やったことが全部“地図に残る”実感があります。オフライン広告の未来を変える ― そんなスケールの挑戦にワクワクできる人と、ぜひ一緒に働きたいです!
近藤さんのお話を伺って印象的だったのは、「どれだけ多くの人に影響を与えられるか」「自分がやる意味があるか」という一貫した軸でした。
ミュージシャンから様々な業界を経て、ラクスルのデジタルサイネージ事業へ。プロダクトもない状態から2年間、泥臭く積み重ねてきた努力が、2025年8月の正式立ち上げにつながりました。
「オフライン×データ」でデジタルサイネージ業界という未踏の領域で変革を起こそうとしている近藤さんの挑戦は、まさにラクスルが掲げる「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンの最先端。事業に対して真摯で、新規事業にもフルコミットするラクスルの文化が、こうした挑戦を後押ししています。
🚪 近藤さんのように、自分の手で事業を作り上げていく醍醐味を味わってみたい方、ぜひラクスルの扉を叩いてみてください。あなたも一緒に、オフライン広告の未来を創りませんか?