株式会社パブリックテクノロジーズ、略してパブテクは、「Japanese Dynamism——地域から世界へ、日本を躍動させる」をビジョンに掲げ、テクノロジーで地域と社会に新しい可能性をひらく挑戦を続けています。
そんなパブテクには、地域企業の課題に向き合い、その成長に合わせて最適なシステムを構築する事業があります。それが「パブテクAIビジネス」(企業DX事業)です。
特定のプロダクトをパッケージで提供するのではなく、地域企業ごとの業務や文化、これからの方向性に合わせて技術を設計する。“システム”をつくるのではなく、地域企業の“これから”を一緒につくる——。
そんな「パブテクAIビジネス」が担う仕事と、その面白さとは。今回、取締役執行役員 副社長の杉原 裕斗さんと事業本部 BtoB事業チーム リーダーの奥山 大さんに話を伺いました。
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取締役執行役員 副社長の杉原裕斗(写真左)と
事業本部 BtoB事業チーム リーダーの奥山大(写真右)
目次
- 地域企業の抱える課題を、技術で解決する。「パブテクAIビジネス」の仕事とは。
- 地域企業の“本質的なDX”を実現する、「パブテクAIビジネス」の強みとは。
- 地域企業の成長を加速し、ジャパニーズダイナミズムを実現する。「パブテクAIビジネス」のこれから。
地域企業の抱える課題を、技術で解決する。「パブテクAIビジネス」の仕事とは。
ーー まずは、「パブテクAIビジネス」の事業内容を教えてください。
杉原さん:
「パブテクAIビジネス」は、地域企業の課題に対する解決策を、技術で共創していくDX支援事業です。
特定のシステムを販売するのではなく、エンジニアが直接お客様の現場に入り込み、課題の背景や業務の流れを深く理解したうえで、その地域企業に合った仕組みを構築し、その後の運用をサポートします。
奥山さん:
地域企業によって現場の状況も、業務の流れも、大切にしている価値観も違います。
だからこそ、画一的なシステムを入れるのではなく、その地域企業の課題解決に繋がり、事業を加速させるシステムを一緒に考えながら進めています。
ーー 業種を絞らず、多様な地域企業を支援しているのですね。
杉原さん:
僕たちは、「Japanese Dynamism——地域から世界へ、日本を躍動させる」というビジョンを掲げているので、地域企業で絞っていますが、業種は限定していません。
奥山さん:
業種ごとの特徴はもちろんありますが、地域企業と向き合っていると、業種をまたいで共通する課題の傾向も見えてきます。
僕たちのビジョンを実現するためにも、業界のセオリーに縛られず、その企業に合う最適な形を一緒に考えながら、地域企業に共通する課題感を捉えていくことが重要だと考えています。
ーー 地域企業の課題にはどのようなものがあるのでしょうか。
杉原さん:
本当にさまざまですが、大きく分けると2つのケースがあります。
1つは“困っていることが明確なケース”。例えば、属人化している業務があって「なんとかシステムで解決したい」というように、困りごとがはっきりしているケースです。
本当は技術で解決できることも多いのですが、技術の知識がなかったり、一緒に動くパートナーがいなかったりして、なかなか踏み出せない場合があります。そういうときは、まず業務の流れや背景を一緒に整理して、どこに解決の糸口があるのかを見つけていきます。
もう1つは、もっと抽象的なケースで、「企業として技術とどう向き合えばいいのか分からない」「テクノロジーを活用したいけど、何をどうやって?」という段階の相談です。
こうした場合は、まず「どんな企業にしていきたいのか」という理想像を一緒に描くところから始めます。方向性が見えてくると、技術をどこにどう使うべきかも整理されていきます。CTOのように寄り添いながら並走するイメージですね。
地域企業の“本質的なDX”を実現する、「パブテクAIビジネス」の強みとは。
ーー 地域企業のDXにはコンサルやSIerが介在しているケースもあると思いますが、パブテクの強みや特徴はどのようなところにあるのでしょうか。
杉原さん:
これまで日本では、「まずは SaaS を入れて効率化を進めよう」という流れがトレンドでした。もちろんそれが機能する場面もありますが、地域企業の現場では、まだまだDXの浸透が十分とは言えないのが現実。つまり、SaaSだけでは拾いきれない課題が数多く残っているということです。
業務が複雑だったり、地域企業ごとに文化やプロセスがまったく違ったり、既存の仕組みとうまく噛み合わなかったり...そういった一様ではない“現場の事情”をすくい取れなければ、本質的な改善にはつながりません。
だからこそ僕たちは、“その企業に合わせたシステムをつくる”というアプローチをとっています。
その上で、「技術を通してその企業の価値をどう高めるか」という視点を軸に、「どんな企業にしていきたいか」という上流から議論を始めます。事業の伸ばし方や未来像を踏まえて逆算しながら仕組みを設計する。プロダクト前提ではなく、その企業ごとに必要な技術を柔軟に組み合わせられるからこそ、成長まで見据えた課題解決ができるのが、パブテクの強みだと思っています。
奥山さん:
実際、SaaSを導入している地域企業も多いんです。ただ、現場では「元々あった課題が残っている」ケースや、「使いこなせずに新しい課題が生まれている」ケースもあります。
理由はシンプルで、それぞれで文化やプロセス、こだわりがまったく違うから。そこに寄り添って設計できないと、どうしても“現場でワークしない仕組み”になってしまうんですよね。
だからこそ僕たちは、課題整理の段階から現場に入り込み、「ここは人が判断したほうがいい」「ここは仕組み化できる」という境界線まで一緒に探りながら、システムをつくっていきますし、つくった後もしっかりその企業に根付くよう、一気通貫でサポートしていきます。
車輪の再発明にならないよう、既存の資産やこれまでの事例も活かしながら、その地域企業にとって“本当にワークする形”に仕上げていく。そこに「パブテクAIビジネス」らしさがあると思っています。
ーー 実際どのような事例がありますか?
杉原さん:
例えば、とある毛糸の企業さんでは、受注を最大化することを目指して、在庫管理のシステム化に伴走しています。
毛糸を仕入れてアパレル企業に納品する事業をされていて、お客様によって細かなご要望があり、それぞれに合わせて管理や納品をカスタマイズする必要があるそうなんです。
日常的に「数ヶ月後にこれだけの量を準備できますか?」といった相談が寄せられる一方で、当時は在庫管理の仕組みが十分ではなく、その場で即答するのが難しい状況だったと伺いました。
そこで、受注状況と在庫状況の両方のデータから数ヶ月先を自動で推測するシステムを一緒につくり始めました。
あわせて、仕入れから納品までを管理する既存の基盤システムについても、毛糸特有の管理方法や現場で大事にされている流れを丁寧にヒアリングしながら、どこから再構築すべきかを検討しているところです。
余談ですが、毛糸は湿度で重さが変わるため、“重さで在庫管理ができない”という業界ならではの悩みもあると知りました。そうした現場の知恵や暗黙知も含めて、技術に落とし込んでいく——そこがパブテクとしても非常に面白いところだと感じています。
奥山さん:
別の地域企業さんでは、シフト作成にものすごく時間がかかってしまっているという課題がありました。
数百人いる従業員の1日分のシフトを作るのに、なんと半日かかってしまうこともあったそうで……。1日に2日分のシフトしか作れないので、もし担当者の方が1日休む場合は、「今日中に4日分作らないと……」という状況になってしまうと伺いました。
これまで何度も改善しようと取り組まれていたのですが、なかなかうまく仕組み化できず、結果的にまた属人化に戻ってしまう——そんな悩みを抱えられていたんです。
そこでまず、シフトを実際に作っている現場のプロの方に深くお話を聞くところから始めました。シフト作成で考慮すべき点や、これまで積み重ねてきたこだわりが、本当にたくさんあったんです。ただ、だからこそ「人だからこそできる調整」と「システムに任せるべき部分」のバランスはとても難しく、そこをどう整理するかが鍵になりました。
いまは、半年分のシフトデータをシステムに読み込ませて、実際に“システム側で作ってみたシフト”を現場の方に見てもらい、フィードバックをもらいながら調整を進めています。現場と技術のすり合わせを丁寧に繰り返すことで、属人性を減らしつつ、その企業に馴染むかたちに近づけている段階です。
ーー 実際に地域企業の皆さんからは、どんな反応がありますか?
杉原さん:
どちらの企業さんも、まだプロジェクトとしては進行中なので、大きな成果を言い切れる段階ではないんですが、「スピードが速いですね」と言っていただくことは多いです。
僕たちはヒアリングしながら、その場で簡易的に動きのイメージをロープレで再現することがあります。その場で「これは良い」「ここはちょっと違う」と会話しながら進められるので納得感があるようで、好意的に受け取っていただいています。
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地域企業の成長を加速し、ジャパニーズダイナミズムを実現する。「パブテクAIビジネス」のこれから。
ーー「 パブテクAIビジネス」の今後の展望を教えてください。
杉原さん:
まずは、「ここに相談すれば間違いない」と思っていただける存在になることを目指しています。業種を問わず、さまざまな地域企業の課題に向き合うことで、「パブテクAIビジネス」としての型をさらに磨いていきたいですね。
さらに先を見据えると、今の個別開発で得た知見をもとに、基幹システムとしての価値をつくっていくことを大きな目標にしています。
日本の企業の99.7%は中小企業です。つまり、日本全体の生産性や働き方の課題の多くは、中小企業の現場にあります。そこに向き合い裾野を広げていくことは、パブテクとしての価値であり、“Japanese Dynamism”にも直結する取り組みだと考えています。
地域企業に合わせたシステムの構築を大切にしつつ、より多くの地域企業に届くよう、パッケージ化やモデル化など、カバーできる範囲を広げていくことにも取り組んでいきたいです。
奥山さん:
「パブテクAIビジネス」は、技術で地域企業に向き合う事業ですが、そうである前に“人に向き合う仕事”でもあります。技術に深く向き合えば向き合うほど、「ここは人にしかできない」という領域が必ず見えてきます。
だからこそ、「どんな人がこのチームにいるか」も事業の価値に直結します。これからチームづくりも含めて、より強い組織にしていきたいと思っています。
そして今は、事業として非連続的に立ち上がっているフェーズ。地域企業のリアルな課題に向き合い、長年動かなかったものが動き始める瞬間に立ち会えるのは、とてもエキサイティングです。
自分の技術や経験が目の前の地域企業に届き、感謝の言葉をいただける——。それは、この仕事ならではの大きなやりがいです。
これからもっとこの領域を広げていくためにも、そんなフィールドにワクワクする方、一緒に挑戦してくれる仲間が増えたら嬉しいです。