こんにちは!Pretia TechnologiesにてHR Managerをしています、田中です。
Pretiaは今や6割のメンバーが外国籍、社内の公用語は英語となっています。日本法人ながら、ここまで社内がグローバル化しているスタートアップはなかなかめずらしいのではないでしょうか?現カルチャーに至るまでにはもちろん一筋縄には行かなかったPretia。そのストーリーについてCEOの牛尾さんにお話いただきました。
Pretia Technologies Inc. CEO 牛尾湧(Yu Ushio)兵庫県出身。東京大学在学中より起業を志し、同学内の起業サークルに所属。当初は行政領域で起業し、地方自治体向けの施策の研究・立案などを行う。2014年に起業、2019年にプレティア ・テクノロジーズ株式会社と改称。地域活性化を目指したVR(仮想現実)による観光事業などを模索する中で、AR(拡張現実)の可能性に気づき、現在のARプラットフォーム&エンターテインメント事業へ至る。
Pretiaは最初からグローバル組織にすることを決めていた
ー今やPretiaは6割以上が外国籍、あらゆる国や文化をもつメンバーが揃っていますが、最初にグローバル採用をするきっかけとなったのはどんなストーリーがあったのでしょうか。
Pretiaの4人目社員がアルジェリア出身だったことにさかのぼります。2人目社員の同僚の友人で、機械学習系のエンジニアだったんですね。まずは副業という形で業務をお任せしたいなと思っていて、たどたどしく英語で事業説明をしたんです。質問に対してなんとか答えていたら興味を持ってくれ、働いてくれることになりました。
彼が半年後に正社員として入社するにあたって、採用もグローバルにして、紹介を中心に海外のエージェントさんにも頼ったりしながら、Slackも含めて社内公用語を英語にして社内の環境を整備していきました。当時から、ベンチマークはAirbnbやFacebookなど、世界で通用する普遍カルチャーを作っている企業にしていました。面接のスタイルはそういった企業に則っているところも多いですね。
ーそもそもの思想として、グローバル企業にしようとしていたのでしょうか?
そうですね。ビジネスプランを70個くらい考えたタイミングがあって、計算すると、どう考えても日本のマーケットって小さかったんです。日本のマーケットを超えて考えていかないと、事業としては死にゆく未来が見えていて、グローバル一択という感じでした。
今はARクラウド「Pretia」を開発する精鋭のメンバーが揃っていますが、起業して、採用をしようとした2016年当時には、日本のスタートアップにはピカイチな人はなかなか入社してくれなかったんですよね。加えて、日本でやろうとしていたビジネスに必要な技術スタックを持っている人を採用しようとすると、それはさらに難しい。
その面からも、より大きな人材マーケットにアプローチする必要があって、グローバルに目が向いたというのはあったかもしれません。振り返ると、自分の手の届く範囲の、似た者同士のメンバーだけで組織構成をして、その人達ができることだけで事業を組み立てていたら、今のPretiaはなかったと思います。
「社長失格」認定、そこからはじまったカルチャー定義
ー起業当時のビジネスと、現在のビジネスは異なりますよね。どのようにメンバーの気持ちを繋いでいたのでしょうか。
当時はVR事業を進めていたのですが、あるタイミングでVR事業からAR事業にピボットするタイミングがありました。事業のアイデアを出して仮説検証するまでに3-4ヶ月かかったのですが、このタイミングでメンバーと揉めることが増えたんです。ある程度組織の人数が増えたところで、数名が結託して会社から離反するような形になったことがあって、事業内容だけでなく会社として進めようとしていた組織の仕組みからなにまで否定的な意見をぶつけてくるようになってしまって…。当時のOKRシートに「CEOがクソ」みたいな落書きがあったりしたんですよ(笑)。Slack上でも「社長失格だ」と言われるようなことがあったりして、そのときは組織の雰囲気もあまり良くなかったなと思いますね。
ーなんと、そんなことが…。
事業の仮説自体は自信あったんですよね。もともと人と人とのリアルな繋がりを強化するような、コミュニケーションに関わることをやりたいなと思っていて。ちょうどinstagramなどのSNS全盛期時代で、SNSの次はなにか?と騒がれていたタイミングだったので、コミュニケーションのビジネスはチャンスが大きいのではないかと思って。ここに迷いはなかったので、事業仮説を否定されても検証していくスタンスでした。
ー説得をしても、検証する前から一部のメンバーからは否定されていたわけですね。
そんな組織になってしまったのは、色んな理由がありますが、ひとつには「こういう価値観でビジネスをやっている」ということのすり合わせができていない上で採用を行ってしまったのが大きな原因としてあるかなと思います。
特に外国籍の方に多いと思うのですが、ビジネス上これもやってほしいと伝えると「これは雇用契約書にはない業務なのでできない」って言われることもあったりして。雇用契約書にかかれている内容以前に、特にスタートアップという世界の中の変化の激しいなかで、自分たちが目指している世界に共感し事前に合意をしてもらえないと、グローバルに組織を作っていくことは難しいと感じましたね。
当時の僕は、PMFするまではミッションやビジョン、バリューなんかは必要ないかなと思っていたのですが、特にグローバル採用をするにあたっては、カルチャーという共通言語やそれに付随するフィーリングが通用しないからこそ、ミッションをしっかりと言語化したうえで齟齬がない状態で採用をしていく必要があると感じます。
ーなるほど…!カルチャーを規定してみて、当時の社内メンバーの反応はどうでした?
決める前に、1on1をしてメンバー全員に聞いて回ったのですが、シニカルな態度をとるメンバーもいました。大切なメンバーなので説得を試みましたが、口うるさいと思われたのか、いまいちでした。価値に賛同して、粛々と価値を作っていこうとしてきた人たちにも伝播してしまいそうな状況だったんです。そんなタイミングで、一部のメンバーにはプロダクトを預けることはできないという形で退職勧奨を行いました。これはかなり大きな決断だったのですが、この体験がなければ、今くらい価値観をともにするメンバーを集めることはできなかったでしょうね。
このときの必要があれば言い続けるスタンスは、Pretiaのバリューのひとつである「Be courageous」につながっていますね。タイトルに関わらず、どんなメンバーに対しても恐れずに伝え続けること、これはPretiaのなかでも色濃く出ているバリューなのかなとも思います。
カルチャーの言語化に即効性はない。しつこく継続してはじめて真価を生む
ー社外に対してはどうでしたか。採用はうまくいくようになったのでしょうか?
…そんなにすぐに上手くいかないんですよね(笑)。グローバル組織を編成する上で、言語化したミッションやバリューも、解釈が人によって異なるわけです。日本人ですら書いてあることへの認識が異なる場面があるのに、国や文化が違うと、違うパラメータが入ってきて、さらに解釈が変わってきます。実際にミッションやバリューを作って、それをあらゆる候補者にあててみて解釈が大いに異なるということがわかった、という感じでしたね。
カルチャーを規定してから、パフォーマンスが高いメンバーや退職すると申し出たメンバーについて、ミッションやバリューのどの部分に共感をしてくれていたかをトラッキングしたりもしていました。こういう地道なフィードバックを積み重ねて、現在は「本当にマッチしている人」がPretiaのカルチャーのどういった部分に共感しているのかという解像度が上がっているように感じます。
ー今はどんなことに留意して、組織づくりやカルチャーづくりを行っていますか?
変わったこととしては、他のメンバーのフィーリングチェックをより大切にするようになったということでしょうか。僕はどうやら人付き合いの守備範囲が広いようなんですね。癖の強い相手がいてもそこまで気にならないというか。そこの自己認識が甘かったせいで、入社したメンバー同士が喧嘩するなんてこともあったりしたんです。他のメンバーが、一緒に働けるイメージが湧くかどうかについては、以前よりもかなり大切にしています。
加えて、過去の経験から「タイトルにこだわらない人を採用する」というスタンスも強くなったかもしれません。以前CTOとして採用しようとしたメンバーを降格させたことがあったのですが、タイトルを奪われることについて反発するような形になってしまって、さらにパフォーマンスが発揮できなくなってしまったんですよね。そこから、タイトルにこだわりすぎない人という目線も持つようにしています。
昔も今も変わっていないこととして、最終面接は、ミッション・バリューに対するフィットを確かめるためにほとんどの時間を使っています。Pretiaのカルチャーについてどう思うか、それぞれのバリューに対して自分の経験と重ねられる部分はあるかなどを聞いて、本当に共感しそうなストーリーがあるかどうかを話してもらっています。今でも変わらず大切にしているミッション、ビジョン、バリューに沿って採用を進めていますね。
ーありがとうございました!
Pretia Technologiesでは、「共に達成する喜びを届ける」というビジョンを一緒に実現してくれる仲間を探しています!少しでも気になった方は、まずはカジュアルにお話しましょう!