2022年4月、dodaエージェント事業部に新たな部署が加わりました。年収600万円〜1,000万円クラスのハイクラス人材の転職を支援する、ハイキャリア支援統括部です。
これまでは人材紹介事業を行うエージェント事業における転職支援組織の一部署として、“ハイキャリア支援部”を組成していました。今期よりその組織規模を倍に増やし、法人の採用支援組織、個人の転職支援組織にならぶ形で、統括部として組成されました。
今回は同統括部の責任者であるエグゼクティブマネジャーの山口義之と、これまでのハイキャリア支援部をリードし、現在も同組織における首都圏の責任者を務めるゼネラルマネジャーの勝又彰の2人に、ハイクラス支援を取り巻く市場の状況と事業部の現在地、これからの展望について聞きました。
ハイクラス人材支援領域を強化した背景とは
—— はじめに、ハイクラス支援の市場概況について教えてください。
山口:ここ数年、社会情勢の変化やDXに代表されるビジネス環境の急速な変化をうけ、即戦力人材の採用ニーズが高まりを見せています。
過去を振り返ると、就職氷河期を代表するような、特定年代を採用し組織の年次バランスを是正するような第二新卒層の大量採用や、急成長分野における未経験大量募集などが中途採用マーケット拡大において大きなテーマとなっていました。一方で、管理職クラスや専門職域の採用自体はこれまでも存在はしていましたが、限定的であったと思います。
ところが、急成長ビジネスにおける組織拡張のスピードはますます加速しています。例えば採用が大きな影響をもつスタートアップ企業においては、同時にマネージャークラスの採用を並行して進めたり、特定専門分野、たとえばマーケティングやアライアンスなどの経験者を採用することで組織づくり/事業づくりを一気に行っていくようなケースも増えてきました。
あわせて、あらゆる業界においてDX人材の募集、オープンイノベーションの推進や新規事業立案、エンジニア募集なども積極的になされるようになってきています。
当社の場合、「ハイクラス層」を年収600万円〜1,000万円と定義しています。今後、企業側・転職希望者側双方からのニーズがさらに高まる領域であることは間違いなく、当社も事業の拡大を目指している真っ只中です。
—— 現在、ハイキャリア支援統括部はどのような構成になっているのでしょうか?
ハイキャリア支援統括部の前身となる当社の取り組みは2013年頃からスタートしていますので、すでに10年が経過しています。しかしプロモーションや業務プロセス、IT投資の中心はどうしても若手を中心とした転職支援の領域が対象となることが多く、なかなか会社全体でハイクラス人材の支援領域にフォーカスした投資を行うまでに至っていませんでした。
それでもハイクラス領域においては、月間に数千名規模の転職希望者や、数万件の求人を保有している状況であり、今回の組織拡大と組織の格上げをすることで本格的にアクセルを踏んでいこうという計画です。現在はフロント、専任の企画メンバー合わせて120名ほどのメンバーが所属しており、関東・関西・中部エリアで活動しています。
—— これまでの転職・キャリア支援事業とはどのような違いがありますか?
勝又:当社がこれまで得意としてきた転職・キャリア支援の対象ユーザーは、年収600万円以下の若手が中心です。その上のクラスの採用支援は、年収1,000万円以上のエグゼクティブ層を対象としたヘッドハンティングが主な手段でした。ハイクラス支援は、ちょうどその中間にあたります。
私自身も以前、エグゼクティブ層の採用支援に携わっていたのですが、ハイクラス層の支援をしていくにあたり、それと同じモデルでは難しいと感じていました。
—— それはなぜでしょう?
勝又:エグゼクティブ領域でヘッドハンティングを行う場合、企業が手がける事業や案件の理解を徹底的に深め、対象となる人にふさわしい機会を提供するのが支援者に求められる役割でした。しかしハイクラス支援においては、それに加えて個人のキャリアをどう捉え、これから先の道を歩んでいくのか、共に考える視点が重要になります。
数年の間に社会状況が激変したことで、これまで常識とされていたことが当たり前ではなくなり、将来を見通すことがより困難になりました。その結果、個人のキャリアを改めて見つめ直す必要性を感じる人が増えていると思います。
そうした人たちと対等な立場でキャリアについて対話できる存在が、ハイクラス支援では求められると考えています。この対話を、私たちは“ディスカッション”と呼んでいます。
企業とも求職者とも対等に渡り合う、高い水準のスキルと経験が必要
—— ハイキャリア層の人たちと対等な立場でキャリアについてディスカッションすることを想定したとき、キャリアアドバイザー(以下、CA)にはどのようなスキルが求められますか?
勝又:重要な要素の一つは、想像力です。求職者の方の話を聞いてその人の考えをしっかり理解し、少しだけその先を捉えるコミュニケーションができるかどうか。感覚としては、一を聞いて三、四くらいまで想像できることが大切だと思います。
ハイクラス人材の方はCAに対して、話の早さを求めるケースが多いんです。一から十まですべてを説明しなければわかってもらえない……という状況にならないよう、常に数歩先を見据えた対話をしなければなりません。
山口:業界、企業、職種から、求職者の方のキャリアプラン、志向性、人柄などまで含めた複合的な要素を、一般化したり抽象化したりしながら必要に応じてバランスを取れる人が、ハイパフォーマーには多い印象です。
—— 具体的には、どのようなバックグラウンドを持った人が活躍しているのでしょうか?
勝又:現状の所属メンバーは、大きく3つほどにカテゴライズできると思います。1つは、もともとパーソルキャリア内で通常領域(若手層・メンバークラス)のCAをしていたメンバー。もう1つは、他社で人材紹介の業務に携わっていた経験者。そして、ITや金融など無形商材の営業をしていた人たちです。人材業界経験の有無に関わらず、多様なメンバーが力を発揮してくれています。
—— なかなか、必要なスキルを言葉で表現するのが難しいですね。
勝又:そうですね。ハイクラス支援に携わるCAは、企業サイドの情報を適切に展開するのに加え、求職者の方とも対等に渡り合わなければならないので、企業と個人双方に対してかなり高い水準で対応することが求められます。そのためハイキャリアCAの採用・育成は、私たちにとって重要な事業課題の一つです。
山口:ハイクラス人材の転職については、前述の通り企業側・求職者側双方からのニーズが増えている領域です。しかしまだハイクラス領域に特化した取り組み自体はこれから、という状況ですので、今後の事業成長をなすために必要な人材の採用、企画機能の強化は必要な状況です。
ハイクラス人材のキャリア構築に徹底的に伴走できるのが当社の強み
—— ハイクラス領域のCAの仕事は、どのような可能性を秘めているとお考えですか?
山口:まず現状の枠組みにおいてでも、人材紹介事業者として、キャリアアドバイザーとして仕事のやりがいを感じやすい環境にあると思っています。 それは前述のとおり、すでに多くの求職者、求人ニーズをいただいている状況ですので、私たちの強みは、まず徹底的に個人の転職に伴走する支援ができることだと思います。
領域を特化したり、特定案件での支援にフォーカスをせずとも、異業種への転職や、場合によってはキャリアチェンジとなるような転職まで、さまざまな機会提案を行うことができるのがこの仕事の醍醐味ですし、当社の強みでもあると考えています。
また今後については、ハイクラス領域における法人戦略、当社内の別事業でもある副業領域との協業など、ハイクラス領域として独自の動きを行っていくことも視野に入れていますので、ぜひそうした新たな取り組みも議論をしながら進めていきたいと思います。
勝又:プレイヤーとしての活躍はもちろんですが、これからどんどん事業を拡張していくにあたり、ぜひマネジメント面でも組織の中核を担っていただきたいですね。
「人がはたらく」ことを社会のインフラとして追求できる
—— 最後に、パーソルキャリアという会社でハイクラス支援領域の仕事に関わる意義について、2人がどのように捉えているか、教えてください。
山口:私は新卒でパーソルキャリアに入社し、15年ほど勤務してから一度会社を離れて別のビジネスを経験し、2021年に再び復帰するというキャリアを歩んでいます。あえて会社を離れることで、自分自身の課題の発見や成長につなげたいと考えたのです。
ただ結果的に、やっぱり私はHR領域の仕事が好きだという結論に達しました。そう考えたとき、「パーソルキャリアに戻る」という選択肢が自然と浮かびました。
パーソルキャリアは展開している事業の規模感が大きく、このハイキャリア支援事業のように、人材紹介だけではない新しい事業領域にチャレンジすることもできる環境です。
もちろん「長く勤めていた経験があり、社風が好きだから」という情緒的な理由もありました。ただ、それ以上に人材領域でこの先仕事をしていくにあたり、パーソルキャリアという会社を選ぶことは、私にとって合理的な選択でもあったのです。
—— 勝又さんは山口さんと異なり、新卒で入社して以降、ずっとパーソルキャリアにい続ける選択をしていますね。
勝又:はい。私が一番共感しているのは、パーソルキャリアという会社が「人がはたらく」ということを社会のインフラとして捉えることにこだわり、真摯に追求し続けていることでしょうか。同じ人材領域でも、この点が他社とは異なる一面だと思っています。
今、人材紹介領域で働いている人の中には、会社の規模や業務範囲などに制約があり、思うようなキャリア支援、採用支援ができないことにフラストレーションを感じている方も多いのではないかと思います。
そうした観点で捉えると当社は、企業と個人双方に対する提案の幅をできる限り狭めることなく、お客さまのニーズに応えられる環境です。だから山口さんのように人材領域の仕事が好きで続けている方にはぜひ、パーソルキャリアの一員になって存分に力を発揮してもらいたいですね。