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株式会社Parasolは、マッチングアプリメディアを中心に婚活サービスなどを提供するITベンチャー企業です。当社には自社の強みや特長を生かした3本の柱となる事業が存在し、それぞれを展開することによって企業成長を図っています。
そこで今回は、代表取締役会長の傘さんと代表取締役社長の伊藤さんのお二人にインタビュー。Parasolの3本の柱の詳細や今後の事業展開について、ぜひご注目ください。
1.SEOメディア事業/コンテンツ力を強みに業界に風穴を開ける
―Parasolの3本の柱のうち、まずは1つ目の「SEOメディア事業」について教えてください。そもそもなぜSEOメディアに着手しようと思われたのでしょうか?
伊藤:マッチング業界に風穴を開けられるような存在になりたかったからです。
SEOメディア事業は男のためのデートコースマガジン「Forky(フォーキー)」を2017年に立ち上げたのが最初で、当時はちょうどマッチングアプリ黎明期でした。業界内では近々テレビCMが解禁されると噂されていたほど勢いがあり、新たなマッチングアプリも多数登場し始めていました。
一方でユーザーからしてみると、どのサービスが婚活向きなのかわからない、使い始めてもプロフィール写真の撮り方や自己紹介文の書き方がわからないなど、負の側面がありました。「マッチングアプリはこう使うべし」と戦略的に言えるプレイヤーもいませんでしたね。
こうした背景がある中、「自分たちなら混沌としたマッチングアプリ業界の状況を打破するメディアを作れるのではないか」と思い、Forkyを立ち上げたんです。
―具体的に競合他社と比較してどのような優位性や特徴があったのでしょうか。
伊藤:私と傘はもともとマッチングアプリのユーザーに対して運用コンサルをしていた経験がありましたし、ユーザーとしてアプリを利用もしています。これらの知見の蓄積を根拠に、「コンテンツ力ならどこにも負けないぞ」という自負がありました。
特にアプリ利用を通して、膨大な一次情報をインプットしていたのは大きいですね。私や傘、社内のメンバーはマッチングアプリを通して数100人~1000人単位の人と出会っていて、そこから得られた経験・情報を記事化していました。「3人に会ったことがある人」が10人いるよりも、「100人に会ったことがある人」が1人いるほうがデータや情報に深みが出ますし、他社にはないコンテンツ制作ができていたと思います。
その上で、私自身がインフルエンサーとして顔出しをして、編集長を務めていたことが差別化になっていたと思います。作成したコンテンツ記事はTwitterで拡散したりYouTubeで配信したりと、被リンクの構成にも優位点がありました。テレビや雑誌への露出を積極的に行ったのも、メディアの力を高めていたと感じます。
―競合メディアは存在したのでしょうか?
伊藤:2000年代初頭はまだマッチングアプリに「出会い系」「援助交際」というイメージが強く、メディアを立ち上げて情報発信する企業は当社ぐらいでした。「マッチングアプリを使っている=恥ずかしい」という風潮もありましたね。当時は、アフィリエイト広告を利用した収益化がそこまで主流ではなかったのも背景の一つです。2018年の春頃から少しずつ競合が増えてきており、最近では5人に1人がマッチングアプリで結婚するようになったと話題になっていますね。
―今後、SEOメディア事業はどのような展開をする予定なのでしょうか?
傘:今後は親会社であるキュービックとメディアの合併を行う可能性があります。キュービックは国内のメディア運営企業としてはトップ5に入り、年間売上はある程度大きい規模です。この強みを存分に活かし、業界トップクラスのノウハウを取り入れたメディア運営に注力できたらと考えています。
2.広報事業/他社とWin-Winの関係を築きながらユーザーを獲得
―次に、2つ目の柱である「広報事業」について教えてください。Parasolはどのように広報事業を展開しているのでしょうか?
伊藤:「恋愛婚活ラボ」というマーケティング機関を運営しています。月1回程度の頻度で調査リリースを行っており、例えば「マッチングアプリで人気の会員にはどういう特徴があるか」を500名に調査するといった内容を提供しています。
調査リリースがマスメディアに取り上げられれば露出が増えますし、データを基にテレビ用の企画を作成したり、コラム執筆の提案をしたりといった動きも可能です。
―Parasolの中で、広報事業はどのような役割を担っているのでしょうか?
伊藤:会社として新規・ライト層を獲得するために必要な事業だと捉えています。マッチング業界に根付いているネガティブなイメージを払拭しユーザーを取り込むには、「マッチングアプリ、いいよ」と伝えることが非常に重要ですが、ここはアプリ会社自身が啓蒙してもなかなか難しいですよね。ですから広報事業を通して編集長である私が顔出しをし、第三者視点でマッチングアプリの良さを発信する取り組みには大きな意味があります。
広報事業を通して「信用できるメディア」という立場を確立すれば、恋愛業界の中にある「女性へのアピールの仕方がわからない」「既婚者に騙されてしまった」といった情報格差から生まれる負も是正でき、メディアの存在意義も高まると考えています。
また私がメディア露出をすることで、熱心にフォローしてくれるマニアック層をつかんでおけるのも利点ですね。新規事業を立ち上げる際などは、TwitterやYouTubeを見てくれているマニア層から初期ユーザーを250名ほど集客し、効果検証を行えた例があります。
―マスメディアへの露出によって、そのほかにどんなメリットがあるのでしょうか?
伊藤:業界の企業に対しても、広報事業は大きな作用を与えます。というのも、マッチングアプリは規制があり、テレビで特定のサービス名を出せません。しかし「このデータは◯◯社提供です」という形でなら名前を出すことが可能で、マスメディア上における未認知層の獲得につながります。
このように企業間でWin-Winの関係性を構築できるため、アプリ会社さんにデータ提供をお願いすると快く引き受けてくださいますし、直接「何か一緒にやりたい」とご連絡をいただくこともありますよ。
3.サービス事業/新たな軸として参入障壁の高いサービスに挑戦
―最後の柱は「サービス事業」で、現在は紹介型マッチングサービス「ヒトオシ」を運営しています。なぜサービス事業に着手しようと思ったのでしょうか。
傘:これは当社メディアの収益構造が背景にあります。メディアは主に「SEO」と「アド」で収益を得ますが、当社は広告による収益は得ていません。広告の収益を合わすためにアドをやるとなると、いわゆるパパ活アプリ、出会い系アプリといったサービスを売り出さなければならないからです。当社はあくまで恋活・婚活に特化したサービスを運営したい気持ちが強く、アドをすることをポリシーとしてすることができません。
そうなると、SEOが下がった瞬間に売上が一気に低下し、会社として財務的なバランスが取れない状況になってしまいます。不安定な上下を防ぐために、書籍の出版やメディア露出といった広報事業を強化してきた側面もありますが、
とはいえ、こうした方法でメディアを支えるのも限界があります。そこで新たな軸として立ち上げたのが「ヒトオシ」でした。
―ヒトオシはどんなコンセプトを持ったサービスなのでしょうか?
傘:簡単に言えば、マッチングアプリと結婚相談所の中間のサービスです。今は気軽に利用できるアプリとしっかり腰を据えて専門家に相談をする相談所という両極端なサービスしか存在しないので、「気軽に人が介在するオンラインサービス」を生み出せないかと考えました。
検証段階ではオンライン通話がまだ日本では主流でなかったためリリースを一時中断しましたが、コロナ禍を機にZoom利用などの抵抗感が一気に薄れたことを受け、ローンチに至りました。
―なぜ、人が介在する気軽なサービスはなかったのでしょうか?
伊藤:オペレーションコストが非常に高いからです。「自分で条件を検索して相手にOKをもらい、マッチングする」というプロセスに第三者が介在すると調整が非常に難しく、参入障壁が高いのです。
実際に競合他社が同様のサービスをリリースしたものの、撤退してしまった事例もあります。人を上手く介在させ、なおかつユーザーによろこんでもらえるようなサービス設計が肝になりますね。
恋活・婚活を軸に今後も業界のスタンダードを作っていく
―Parasolの3つの事業の柱をご紹介いただきましたが、これらに共通する軸は何なのでしょうか?
傘:もともとはメディアの立ち上げからスタートしていますが、どの事業も恋活や婚活が軸になっている点で一貫しています。ブレない軸を持って、柔軟に多様な事業展開をしているという認識ですね。今後も常に時代やトレンドの一歩先のタイミングで新規性のある事業を仕掛け、業界のスタンダードを作る存在でありたいと考えています。