“新生オプト”初代MVPに選ばれた、第3アカウントプランニング3部松山克音(2016年新卒)。お客様とチーム、そして社内に向けていままでにない価値を届けたことが大きく評価されました。そんな松山も最初から順風満帆だったわけではありません。営業としての確固たる針路を決めないまま船を漕ぎ出し、嵐に吹かれる時代もありました。それでもめげず、活路を探した松山がたどりついた成果とは――。
営業は “苦行” 人生でもっとも挫折を感じた1年目
「営業に誇りを持てるようになりました」。MVPを獲得したいまならこの言葉も、松山の自信を裏打ちするメッセージとして受け止めることができるでしょう。しかし、入社当時の松山にとって、営業職への配属は希望とはうらはらのもの。初めて任されたお客様やチームメンバーとのあいだは、“高い意識”という名の壁に阻まれ、戸惑いと気後ればかりが募る社会人一年目を過ごします。
松山 「このお客様は、重要な1日のために、365日かけて用意周到されるような企業。当日の成果が事業の明暗を分けるかのような緊張感がありました。オプトの担当チームもこれに見合うプロフェッショナルな社員で構成されていて、誰もが職種をオーバーラップしながら積極的に仕事を進めていました」
けれども、自分は営業に向いていないと思う松山にとって、チームのまとうその空気は、重圧でしかありません。
松山 「仕事に対する意識が希薄だった自分には人を引っ張っていこうという意思もなく、ここではお客様とメンバーの“伝書鳩”に徹するだけ。上司も厳しい人で、毎日叱られては泣いていました。結局、お客様とメンバーの両方から『営業を変えてほしい』と言われ、担当から外されることに。この経験は本当にしんどかった。人生で一番の挫折を感じました」
思いのほか、社会人としての出鼻をくじかれるも、ここでくずおれているわけにはいきません。新たに担当になったお客様もまた求められる成果は高く、チームも大所帯。営業として矢面に立ち、周囲を引っ張る役割はやはり求められます。
松山 「次もプレッシャーはありましたが、当時の部長の配慮で、新しいお客様との打ち合わせには上司が同席しなくなったんです。叱られることがなくなったので、気持ちも少し楽になりました。でも、どこか前に進めていないような焦燥感があって……。自分に足りないものを突き詰めていくと、責任を持って仕事をしていないことに気づきました。ここでようやく『指導してくれる存在がいなくなったからこそ、自分でなんとかしなければ』という気持ちが芽生えました」
結果を出そうともがいたとき、1年目の失敗は学びに変わった
ここから松山の試行錯誤が始まります。結果を出している優秀な先輩に声をかけては話を聞いたり、打ち合わせに同席してスキルを学んだり。見よう見まねで、どうすればうまくできるのかを泥臭い方法ながらも前向きに考え、自分なりの営業スタイルを模索して2年。大きな転機が訪れます。
松山 「2019年に大きな組織変更があり、それまで在籍していた部署が解体されることになりました。お世話になった上司全員と別れ、新たにできた部署に所属したのですが、そこは僕より年次の高い人は部長だけ。ここで結果を出せば、マネジメント職への道も見えてきます。より難度の高いお客様を任せてもらえ、さらなる成長を目指せるのではないか、と考えました。『これはチャンス!』と、気持ちもずいぶん高まりました」
このタイミングで新たに任されたのが、社内でも重要度が高いとされるお客様です。いち早く成果を残そうと息巻くも、新たにジョインしたチームはお客様からの信頼がすでに厚く、松山が介在しなくても業務は回る状態。メンバーからも「君はなぜこのチームにいるんだ? 君の存在価値はなんだ?」と問われ続けます。そのとき、松山の意識にフラッシュバックするかのようにのぼってきたのが、大きな挫折を経験した一年目に関わったチームメンバー一人ひとりの姿でした。
松山 「あのチームは、『自分にしかできない価値とは』『自分の枠を超えた仕事とは』のように、前のめりに意見を出し合って仕事を進めていく人ばかりでした。その時の僕は、それの何がいいのか理解できずにいました。けれども、その後に積んだ経験と、このとき置かれた状況から、当時叱られた理由や、あのときの自分が取るべき行動は何だったのかがストンと腹に落ちたんです。これを機に、『メンバーと同じ情報を持っていたって役には立たない。自分発信の、自分にしかない価値を出していこう』と、行動を起こしはじめました」
こうして意気を揚げた松山は、新しい与件の獲得や広告外領域の仕事の受注へと取り組みます。役員を連れてお客様の経営層を訪問し、会社対会社として意見を交わす場を設けることで、事業課題やオプトへの要望など、日々の業務に向かうだけでは決して知ることのできないお客様の胸中を一次情報として受け止めたのです。
松山 「同時にチームメンバーともミーティングを持ち、これからの自分はどのような行動のもと、どのような価値を出していきたいのかを説明したうえで、『チームとして一緒にチャレンジしないか』と提案しました。このような動きをする営業は僕が初めてだったらしく、みんな嬉しかったようで。メンバーからの『一緒にやってみたい』の声も後押ししてくれました」
このようにして、お客様とチームにとっての新しい価値を創造した松山ですが、もう一つ成果として示したのが、社内に向けた「多能化施策の提言と遂行」です。
営業スキルの強化・改善を行うセールスイネーブルメント室との兼務、当社グループ独自の経営人材育成プログラム「デジタルグループ塾」への参加を通じ、社員一人ひとりのスキルを拡幅できる能力開発について考察し、変革期にあるオプトが携えるべき価値の一つを打ち出してみせたのです。
松山 「多能化とは、いわばそれまで別々の職種だったものを、一つに合わせるようなイメージです。
社内に大きな変化が起こり、いままで業務を助けてくれていた部署が廃止になるなど組織もずいぶんと変わりました。社員にも自ら考え動く姿勢が求められるなか、これまで培ってきた『お客様に向けて自分ができることは何だろう? 自分にしか出せない価値ってなんだろう』と熟考したうえで挑戦するクセと、それを実践してお客様に喜ばれた成功体験を社内に体現できたことが、会社への貢献として受け止められたのだと思います」
自分にしかできない仕事を目指して
これらの成果によってMVP受賞を果たした松山はいま、チームメンバーの育成にも力を注いでおり、メンバーには普段から二つのことを話していると言います。
松山 「一つは、『NOT〇〇な仕事をしよう』。これは、僕が大事にしている言葉でもあります。要は、人と同じではない自分にしかできない価値を見つけよう、ということ。営業スタイルを模索していた当時、話を聞かせてもらった人に共通していたのは、その人にしかできない仕事をしているという点でした。言われたことをするのではなく、他の人がやっていないことに挑戦して結果を出す。その姿をカッコよく思うと同時に、仕事をするうえで大事なこととして受け止めています。
もう一つは、『みんなでオーバーラップしていこう』。これは一年目の経験が活かされています。あの時のチームには、言われたからやるのではなく、自分がやるべきだから、やりたいからという思いが体現されていたし、誰もが枠を超えて働く環境が備わっていました。このチームの姿に近づこうと僕自身が取り組んだ経験からしても、この考え方、働き方は素晴らしい。僕のチームメンバーだけでなく、この二つに挑戦する人が増えたらいいな、と思っています」
そう話す松山自身はもちろん、先頭に立って「自分にしかできない」「自分の枠を超えた」仕事に挑み続けています。お客様に対しても、この二つを軸に真摯に向き合う様子が下記の言葉からひしひしと伝わってきます。
松山 「お客様とは、オプトではなく一個人として向き合うことを意識しています。会社がこういう方向性だから、自分はこのミッションだからではなく、自分のお客様のために何がしたいのか、どのような価値を提供したいのかを基点にしてオプトの組織やアセットを活用し、お客様と自分の“やりたい”をどうつなげるかを考えています。これができるのも、オプトが良い意味で仕事の制限がかかりづらく、社員が仕事を創り出せる土壌を整備しているからではないでしょうか」
会社を自己実現ツールかのように巧みに活用しながら、活躍の場を広げている松山が目指すこと。それは、「お客様の事業の根幹に触れたい」という言葉に集約されます。
松山 「僕が目指したいのは、あらゆる企業の真のパートナーになることです。経営層の方のお話を伺っていると、会社がどのような思いのもと社会に貢献しようとしているのか、その熱意に触れる機会に多く恵まれます。こうしたお話を伺うたび、自分も一緒に成し遂げたい気持ちが募ります。具体的には、お客様の新しい事業やビジネスの手助けがしたい。そうやって生まれたものが僕の発揮する価値によって大きく成長するとしたら、これほどうれしいことはありません。その結果として、社会に意義のあるアクションを起こせているなら、なおのこといい。そのようにして活躍する姿を将来に描けるよう、まずは目の前のお客様からさらなる自分の価値を届けていきたいです」