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本から学ぶデザインリサーチ〜おすすめ書籍6選【入門編】

ニューロマジックにはリサーチのスペシャリスト デザインリサーチャーが在籍しています。

まだまだ耳慣れない職種かもしれませんが、ユーザーのニーズを理解し、デザインに活用していくための第一歩としてのリサーチを、弊社ではデザインリサーチャーが担当しています。

これから更にリサーチの需要が高まっていく中で、手法や考え方を学んでみたいという方も多いのではないでしょうか。
今回は弊社デザインリサーチャーの吉岡 直人さんに、デザインリサーチのおすすめ書籍を紹介してもらいました!

※この記事はSERVICE DESIGN BLOGの転載です。

こんにちは。デザインリサーチャーの吉岡です。

ニューロマジックでは製品やサービス開発、Webサイト制作やプロモーションなどの支援にあたり、アイデア探索や検証を主な目的とした様々なリサーチをご提供しています。
今回は、先行きが不透明かつ成熟化した市場においてイノベーションを起こすための手法として注目されている「デザインリサーチ」について、これから学びたいと考えている方やプロジェクトに取り入れてみたいと思っている方におすすめの書籍を6冊ご紹介したいと思います。

なお、「デザインリサーチ」は学術界、産業界など、活用される場面によって様々な定義がなされています。本ブログで紹介する内容は、ビジネスの場で活用されている、エスノグラフィやインタビューといった手法を参照し活用しているものに限ります。


目次

  • サイレント・ニーズーありふれた日常に潜む巨大なビジネスチャンスを探る
  • 考えなしの行動?
  • ジョブ理論 – イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム
  • This is Service Design Doing サービスデザインの実践
  • Research Design Method Index – リサーチデザイン、新・100の法則
  • ミスマッチ 見えないユーザーを排除しない「インクルーシブ」なデザインへ


『サイレント・ニーズ-ありふれた日常に潜む巨大なビジネスチャンスを探る』

著者/ヤン・チップチェイス、サイモン・スタインハルト、福田篤人(翻訳)

観察からビジネスチャンスを見出すデザインリサーチの基本を学ぶ

インドや中国、ロシアなど世界50カ国以上、10年以上に渡り現地調査を行ってきた著者の経験を元に、行動や慣習を読み解く視点や手法、得られた結果をまとめ、そこから着想を得る手法が紹介されています。

当事者たちにとっては常識で気にも留めない振る舞いや慣習、生活を、先入観に囚われずに観察し、ビジネスチャンスを見出すというデザインリサーチの基本が書かれており、入門書としてまず読むべき一冊です。

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『考えなしの行動?』

著者/ジェーン・フルトン・スーリ、IDEO、森博嗣(翻訳)

何気ない日常からインスピレーションを得る視点を養う

私たちは日常の中で一つ一つの行動の意味までは考えていませんが、実はそこには多くのインスピレーションが存在しています。

本書には「両手を自由にするために口で物を咥える」、「ブックマークのように本に指を挟む」など、人が人工物に対して「考えなし」に取っている行動を示した写真が各ページに掲載されています。あえて説明書きはほとんど書かれておらず、人が人工物をどのように扱うのか、あるいはどのように間違えるのかを、読者が能動的に読みとることを想定された構成となっています。

本書を読むことで、人々と物事との関わりの中に意味を見出せるようになり、そこから着想を得てものごとを「デザイン」する際の視点が獲得できるかもしれません。

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『ジョブ理論 – イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』

著者/クレイトン・M・クリステンセン、タディ・ホール、カレン・ディロン、デイビッド・S・ダンカン、依田光江(翻訳)

イノベーションにおけるユーザー理解の重要性を学ぶ

「ジョブ理論」とは、イノベーション研究の第一人者であるクレイトン・M・クリステンセンによって提唱された、顧客が商品を購入する理由を明らかにしてそれにまつわる解決策を提供する一連の考え方で、本書にはその内容がまとめられています。

従来のマーケティングのプロセスにおいては、セグメンテーション、ターゲティングを行い、特定の属性(性別や年齢、地域など)の顧客にアプローチしていきます。ですが本書ではそのプロセスが必ずしも成功しないことを指摘しつつ、「特定の状況で顧客が成し遂げたい進歩」=「ジョブ」、つまり「なぜ顧客はそれを購入するのか?」に焦点を当てたアプローチの重要性が主張されています。

本書はデザインリサーチについて述べられた書籍ではありませんが、イノベーションを起こすために、人口統計学的な共通要素だけではなく、人々の実際の行動や文脈をリサーチを通して明らかにしていくプロセスの価値を理論から理解できる一冊です。

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『This is Service Design Doing サービスデザインの実践』

著者/マーク・スティックドーン、アダム・ローレンス、マーカス・ホーメス、ヤコブ・シュナイダー、長谷川敦士(監修)、安藤貴子(翻訳)、白川部君江(翻訳)

調査で得られたインサイトをプロジェクトで活用する

成熟化する市場において競合との差別化を図るために、単体の製品体験に留まらず顧客の一連の体験を軸としたサービスとしての商品開発が重要視されています。
本書では、一連の顧客体験を望ましいものにするためにサービス全体をデザインする方法論としてサービスデザインが紹介されており、プロセスの中でリサーチについても説明されています。

サービスデザインのプロセスでは定量調査と定性調査を用いますが、人々の行動や感情の背景にある「なぜ」を問う定性的な調査を重視しています。顧客自身も気がついていない潜在ニーズからインサイトを引き出し、それをどのように可視化しデザインにつなげていくかという一連のプロセスとツールを具体事例とともに学び、実践に活用することができる一冊です。

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『Research Design Method Index – リサーチデザイン、新・100の法則』

著者/ベラ・マーティン、ブルース・ハニントン、小野健太(監修)、郷司陽子(翻訳)

リサーチ設計のヒントを得る

人間中心設計のために必要なリサーチ手法や、得られたデータの統計・分析・可視化テクニックなどが100個紹介されています。
リサーチに関する手法がここまで網羅されている書籍は多くはなく、所持しておくと手法を検討する際に非常に役立つ一冊です!

手法の選び方もカテゴリで示されているので掲載されている内容をそのまま実践することもできますが、おすすめは、掲載されている手法からヒントを得て実際のプロジェクトの目的に応じて組み合わせてチューニングするという活用方法です。

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『ミスマッチ 見えないユーザーを排除しない「インクルーシブ」なデザインへ』

著者/キャット・ホームズ、ジョン・マエダ(編集)、大野千鶴(翻訳)

個々のユーザーへのソリューションをビジネスにする

元Microsoftで、2018年以降はGoogleにてインクルーシブデザインを推進する著者による書籍です。
デジタル化が進みテクノロジーが急速に日常へ浸透している現代において、多くの人々が同一のプロダクトやサービスを使う機会が増えてきています。しかし、使いづらさを感じている人々もまた増えていることから、それらを認識した上でソリューションを模索するというインクルーシブデザインの必要性とその価値が記されています。

また、個別のユーザーの問題にフォーカスしたインクルーシブなデザインはビジネス化することが難しいと言われていますが、本書では、それを継続したビジネスとして成り立たせるためのフレームワークが紹介されています。

定性調査により得られたインサイトをどのように持続的なソリューションに結びつけるかを考える際のヒントが得られる一冊です。

※著者の経歴は刊行時点の情報です。

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まとめ

デザインリサーチの入門書としておすすめの書籍を紹介させていただきました。

一言でデザインリサーチと言っても、ビジネスの場では様々な形で用いられています。今回紹介した書籍は、生活者にとってより良いデザインを行うために、彼らを中心に据えてプロジェクトを進めるという基本の視点と調査手法を様々な角度から学べるものとなっています。

ぜひ、皆様のプロジェクトにもご活用ください!

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