はじめまして!これはなうデータ研究所の最初のストーリーです。最初なので、知名度のない地方の謎のルールエンジンベンダーと捉えられがちな弊社のこれまでの歴史を簡単にご紹介したいと思います。
なうデータ研究所は、1996年に福岡県飯塚市に誕生した、九州工業大学発のソフトウェア開発企業です。我々は九州工業大学で考案された独自方式による国産ルールエンジンベンダーであり、創業以来ルールエンジンを日本に普及させるための活動を続けてきました。他社にはない特徴として、Prolog研究に基づいたオリジナルのルールエンジンを創業以来維持し続けており、開発言語/コンパイラ/ランタイムをすべて自社で開発しています。現在は開発の主体を東京に移してしまいましたが、九州工業大学における研究から生まれた技術を今なお発展させ続けています。
これまでの活動の軌跡を3期間に分けてご紹介します。
- 黎明期(1996~2000年代中頃)
- ビジネスルールエンジンの確立(2000年代中頃~2010年代中頃)
- 汎用的な知識記述を目指して(2010中頃~現在)
黎明期(1996~2000年代中頃)
研究成果を広く社会に還元すべく、弊社は誕生しました。創業当初は、九州工業大学発のベンチャーとして、Prolog研究を行っていた研究室のメンバーが会社を支えていました。研究室では独自の Prolog エンジン(https://kyutech.repo.nii.ac.jp/records/200)が開発されていましたが、さらに社会の実問題を解決できるように、この Prolog エンジン上に独自のルールエンジンが構築され NaU DSP として製品化されました。ただし当初は現在のようなビジネスロジックを解決するためのルールエンジンというよりも、設計問題を解くための設計支援ツールとしての側面が中心でした。
主要な適用例: プラント設計、階段設計、レンズ設計、健康診断
この頃は社員も研究室の関係者ばかりであり、学問とビジネスが非常に直結した研究室の延長のような雰囲気でした。
ビジネスルールエンジンの確立(2000年代中頃~2010年代中頃)
設計支援ツールとして NaU DSP を用いたソリューションの開発を試行錯誤している過程で、NaU DSP の有効性は一般的なビジネス領域にも広く適用できるのではないかということに気づきました。このため、NaU DSP をビジネスルールエンジンとして活用するチャレンジが行われました。弊社製品の最大の適用事例であるNTTドコモ様のALADINへの導入もこの時期です。この導入における開発は、ルールエンジンの本格的な大規模開発となり、非常に貴重な経験を積むことが出来ました。また、BRMS(Business Rule Management System)という言葉が社会に浸透しつつある状況で、ビジネスルールエンジンとして必要な機能や方法論をそろえていくことが出来ました。
主要な適用例: 契約検証、ナビゲーション、副作用検知、ログ監視、シフト生成
この時期には徐々に研究室出身以外の色々な経歴を持つ社員が混じってきました。このため、Prologに限らず、知識全般に対する技術や興味関心が広がり、またルールエンジンのビジネスとしての可能性を強く感じた時期でした。
汎用的な知識記述を目指して(2010中頃~現在)
NaU DSP がビジネスルールエンジンとして成熟した後は、この方法論を様々なビジネス領域に適用しようとチャレンジしてきました。この取り組みでは社会の各分野や業種における多様な知識に触れることも多くなり、ルールという観点だけでなく、汎用的に知識全般を捉える事でより大きな効果が発揮できるという価値観が中心的になりました。この結果として推論だけでなく知識記述の価値を活かしたソリューションが多くなりました。こうした状況の変化に応じて、ビジネスに頻出する問題をより早く、より容易に解決するための新ルールエンジン NaU Rulebook を開発しました。NaU Rulebook は知識を書けるだけでなく、だれでも知識を読めることを目指してデザインされました。
主要な適用例: 法令判定、入居審査、料金計算、書類チェック、半導体設計支援、空調制御
現在は開発の主体も東京に移り、社員も多様化しました。現在も変わらず九州工業大学出身者が多いとは言え既に大半はバックグラウンドが異なるメンバーとなりました。社員が多様化しても今なお知識処理に情熱を持つメンバーで構成されています。
以上、簡単ながら弊社の歴史をご紹介させて頂きました。ルールエンジンを極め、知識で新たなソリューションにチャレンジすることで今後も社会に貢献できるよう活動し続けていきたいと思います。