「MUGENUPは、イラスト制作の会社だよね」
そうした印象をお持ちの方が多いかと思います。
確かにイラスト制作はMUGENUPの基幹となる事業であり、今も変わらず大切なコア領域です。
しかし、今のMUGENUPはこれまでの「イラスト制作会社」という枠に縛られず、「総合デジタルコンテンツメーカー」への進化を加速させています。
出版からSaaSツール、人材紹介や映像制作……なぜこれほどあちこちに手を広げているのか。
その底に流れている想いはシンプルです。
それは、クリエイターたちが創り上げてきた様々な作品や文化への「敬意」であり「恩返し」です。
「クリエイターが創ることで生きていく」を当たり前にするために。
MUGENUPが目指す事業展開の裏側を、代表の伊藤に聞いてみました。
(文中 敬称略)
受託制作の先へ。「総合デジタルコンテンツメーカー」への進化。
――前回のインタビューでは、ミッションである「創るを創る」に込めた想いを伺いました。今回はより具体的に、今のMUGENUPが目指している「総合デジタルコンテンツメーカー」というビジョンについて教えてください。
[伊藤] なぜ受託だけでなく、いろいろな事業に手を広げ、「総合」というビジョンを掲げるのか。その背景からお話しさせてください。
確かにこれまでのMUGENUPは、イラストの受託制作をコア領域として大きく成長してきました。そこから派生して3DCGや映像制作を手掛け、自社開発の制作管理ツール『Save Point』というSaaSもサービスを展開しています。さらには人材紹介、出版やWebtoonまで、様々な事業を行っています。
これらはバラバラに見えるかもしれませんが、目指すゴールは変わりません。それは「クリエイターがクリエイティブで生きていける社会」を作ることです。その実現に向けて、クリエイティブな仕事とチャンスを増やしていきたい。
様々な領域への事業展開は、MUGENUP自身の可能性を広げ、限界を超えていくためのチャレンジです。
――改めて「MUGENUPの限界」とはどういうことでしょうか。
[伊藤] MUGENUPのイラスト制作は、リモートワークやシステムによる効率化のおかげで、これまでに累計1万人を超えるクリエイターの皆さんとお仕事をしてきました。
私たちはそこに大きな誇りを持っていますし、クリエイターに喜んでもらえたことを本当にうれしく思います。
ただ受託というモデルである以上、構造的な「上限」は避けられません。
MUGENUPという組織のキャパシティがそのまま「生み出せる仕事の限界」になってしまう。イラストの受託制作は労働集約的なビジネスモデルですので、クリエイターに提供できる仕事のボリュームは自社のリソースを超えられません。その構造自体を変えなければならないと考えました。
一方、世の中には才能にあふれたクリエイターが世界中にもっとたくさんいます。もっと多くの価値を生み出し、今は届かない方々にも仕事のチャンスを届けていきたい。
それが、MUGENUPが「総合デジタルコンテンツメーカー」を目指す最大の理由です。
全ての事業は、クリエイターが生きていく未来のため。
――具体的に、各事業はどのように繋がっていくのでしょうか。
[伊藤] まず、すべての基盤にあるのは、やはり「クリエイティブ制作の現場力」です。社内には多数のクリエイターやディレクションスタッフが在籍しており、その力を活かしてイラストや3DCGなどハイクオリティな制作を続けてきました。
これまで培ってきたこの「クオリティを担保できる力」こそが、MUGENUPの信頼とビジネスの源泉です。このコアとなる基盤があるからこそ、他のすべての事業が成立します。
――クリエイティブの現場力に、SaaSや人材紹介といった事業がどう関わるのですか?
[伊藤] どんなに優れたクリエイターでも、制作環境が非効率だったり、そもそものチャンスがなければ、才能を十分に発揮できません
自社開発の『Save Point』は、制作環境をスマートにするためのツールです。自分たちの現場の声から生まれたこのサービスは、煩雑なやり取りやいろんな管理、確認など「創造のノイズ」を削り、クリエイターが「創ること」に集中できる時間を生み出します。
一方で人材紹介事業の役割は、MUGENUPの枠の外側に広がるチャンスを見つけ出すことにあります。
受託制作で生み出せるお仕事には、数もバリエーションも限りがあります。
しかし、世の中にはクリエイティブを必要とするプロジェクトが無数に存在しています。MUGENUPではお仕事を紹介できなくても、他の会社であればお仕事とつながることがあるかもしれません。クリエイターの「新しい可能性」をMUGENUPの外にも広げていく。それが人材紹介事業の存在意義です。
――さらに出版やWebtoonなどオリジナルIPへの取り組みに注力されていますね。
[伊藤] はい。オリジナルIPへの取り組みは、これまで培ってきた現場力の応用や横展開であると同時に、市場そのものを自分たちで創り出そうという試みです。
IP(知的財産)には自走するパワーがあります。一つの作品がヒットすれば、そこからライセンスビジネスやメディア展開、ライブイベントなど、可能性が連鎖的に広がります。IP自身が、自らクリエイターの仕事を生み出していくんです。そうなれば、もうMUGENUPのキャパシティに縛られることはありません。
クリエイティブの制作現場が、クリエイターの仕事を創る。
『Save Point』が、クリエイターの環境を創る。
人材紹介が、MUGENUPの外にチャンスを創る。
そしてIPが、クリエイターのための市場を創る。
バラバラに見えるすべての事業が、「クリエイターの仕事を増やしたい」という想いでつながっているんです。
誰かが作った道ではなく、クリエイターのための「新しい仕組み」を自分たちの手で。
――最後に、これからMUGENUPに加わる新しい仲間に、どのようなことを期待されていますか。
[伊藤] MUGENUPは今、受託制作からオリジナルコンテンツ開発、SaaSまでを手掛ける「総合デジタルコンテンツメーカー」へと進化しようとしています。だからこそ、今このタイミングでジョインしてくれる方には、MUGENUPという会社を積極的に「利用してほしい」と思っています。
――「利用してほしい」とは、具体的にどういうことでしょう。
[伊藤] 自分の成し遂げたいことのために、会社のアセットを使い倒してほしいんです。
例えばビジネスサイドの方であれば、クリエイターの才能を最大化し持続可能なビジネスとして「新しい仕組み」を自ら設計してほしい。
既存のルートでコンテンツを消費するだけでなく、業界のルールそのものを書き換えて、自分で新しい市場を立ち上げるくらいのチャレンジを期待しています。
一方でクリエイティブサイドの方であれば、個人の力だけでは限界があるスケールの大きな作品創りに、MUGENUPの信用力や制作管理リソースを武器に挑んでほしいですね。
MUGENUPの組織力を活用して、まだ世の中にない表現や新ジャンルを切り拓く旗振り役になってほしい。
実際、MUGENUPで制作したWebtoonがMUGENUPの手で映像化されました。そういうシナジー展開も夢ではないんです。
――その挑戦の先にあるのが、ずっと想い続けている「クリエイターへの恩返し」なのですね。
[伊藤] ええ。少し個人的な話をすれば、自分はこれまで無数の作品に触れ、笑い、感動し、救われてきました。
素晴らしい作品を創り出してくれるクリエイターたちを尊敬しています。さらに、これからの日本を支えるのはクリエイティブ産業だと確信しています。
しかし、才能ある彼らが報われているとは限らない。だからこそ、クリエイターがプロとして仕事をして、報酬を得て、ご飯を食べていける「仕組み」を創りたい。それが作品やクリエイターへの自分なりの恩返しだと思っています。
――「仕組み」として形にしていくことこそが「恩返し」。
[伊藤] はい。クリエイティブの可能性を信じて、その価値を社会の中でより高めていきたい。ずっとこの先の未来につなげていきたい。それには、ビジネスと表現の両面から答えを出していかなきゃいけないんです。
誰かが作った道をなぞるのではなく、新しい市場や仕組みを自分たちの手で創り出していく。クリエイターへのリスペクトを胸に一緒に楽しみながら調整していける仲間を、私たちは待っています。