営業、開発、カスタマーサポート。どんな職種においても、ふとした瞬間に自分が携わるサービスやプロダクトへの“やりがい”を感じることができるは幸せなことです。「この仕事がやりたい」と主体的に動くことができて、同じ目標を持った仲間と切磋琢磨してサービスを磨き上げることができる、理想の環境がここにはあります。
株式会社マネーフォワードの経費精算システム「マネーフォワード クラウド経費(以下「クラウド経費」)」を開発するクラウド経費本部では、作り手であるエンジニアにとどまらず、職種を越えた多くのメンバーがプロダクトへの愛着を持っています。
社内外で愛されるプロダクトはどの様にして生まれたのでしょうか。「マネーフォワード クラウド経費」を立ち上げた黒田と、開発の第一線で活躍する若手エンジニアの伊藤が開発背景を振り返ります。
黒田直樹
九州大学大学院システム情報科学府を卒業後、2008年にマネックス証券に新卒入社。2012年より掲示板サービス、マーケティング支援、Webサービス開発事業を展開。2013年4月に、創業直後のマネーフォワードに参画。「マネーフォワード ME」や「マネーフォワード クラウドシリーズ」の開発を経て、2017年12月より執行役員・福岡開発拠点長。「マネーフォワード クラウド経費」の開発部部長も務める。
伊藤大介
2015年夏にインターンを経て、2016年4月にマネーフォワードに新卒入社。「マネーフォワード クラウド経費」のエンジニア。2017年12月に福岡に転居。最近の趣味は美味しいコーヒーを求めてカフェを巡り。
いきいきと働いている姿を見て入社を決めた
「クラウド経費」は、煩わしい経費精算に悩まされていた黒田の想いからスタートしました。そしてその立ち上げを支えたのが新卒で入社した、エンジニアの伊藤でした。
黒田「僕はクラウド経費に企画段階、立ち上げ段階から関わっています。それまでには起業をしていて、マネーフォワードの仕事を業務委託で引き受けたりしていたのですが、そのビジネスがとても面白くなってきたので、ジョインしました。
起業した当時は、会計、給与支払い、請求書発行などいろいろなバックオフィス業務を自らやっていたのですが、特に経費精算が嫌で嫌で…。わざわざ紙で保存して、そこから7年間保存しなくてはいけないんです。
それで当社に入ったときに、経費精算のサービスは、当社の強みである家計簿サービスに近いものがあるのではと思い、社長にぜひやらせてくれないかと直談判し、開発を始めることになりました」
伊藤「僕は入社前のインターンがきっかけで就職を決めました。新卒第二号という感じです。
インターンをしたとき、黒田をはじめとしたエンジニアがいきいきと楽しそうに働いている姿がとても印象深かったです。また、ちょうどクラウド経費を立ち上げていた時期で、リリース前だったので、ゼロからプロダクトをつくっていくところに面白さを感じました」
ゼロからの立ち上げにはもちろん困難がつきものだが、「クラウド経費」にはやる意義があると、チーム全体は信じていました。
黒田「サービスの企画時に、領収書の電子化を進めるという政府の規制緩和が発表されました。マネーフォワードはもともと、交通系ICカードや銀行口座といった外部の決済データを取り込むことが強みなので、領収書のデジタル化が進むことで、経費精算の自動化も進む未来が見えたんです。
どんな企業でも、やったところで一向に儲かることのない経費精算にかける時間を、最大限短縮することに、私たちは自信がありました」
本当に自信をもって勧められるプロダクトをつくる
「クラウド経費」が世の中に与えるインパクトを確信できていたからこそ、エンジニアチームは立ち上げ時からスピード感を持って常にプロダクトのアップデートを進めてきました。
他社に先駆けて、新幹線や航空券の領収書の自動取得や支払処理をする際の銀行振込APIの対応、スマホアプリによる領収書の電子化対応などを実現してきました。これまで十分にできておらず、現在課題に感じているのはUIの改善ですね。
黒田「経費精算システムの特徴として、精算をする一般従業員と、それを確認する経理担当者の両方がいるということ。
一般従業員からすると使いやすさ、わかりやすさが最優先ですが、経理担当側が最も重視するのは、いかに正確に処理できるかということ。そうした異なる要素のUIのバランスを考えるところは、今後ももっと詰める必要があるなと痛感しています」
伊藤「そうした改善や、足りない機能を追加するアップデートのスピードは本当に速いですね。スピーディーに改善し、その後すぐにお客さんやCS(カスタマーサポート)チームから使い勝手が良くなった、とフィードバックを受けることが仕事のやりがいにつながっています」
黒田「アパッチ、ライブラリの更新も含めると、一日平均二回はリリースしていると思います。二年で600回ほどですね」
伊藤「改善に関してですが、CSに届く声は他のチームも直接見られるようになっていて、最近ではそれを事業部長、CS、営業、エンジニアの全員で確認し、改善するかどうかを決めています。
それから、UX Hack Dayと名付けている日があり、その日は内部改善だけを行うようにしています」
こうしたプロダクト改善の手法ができるのも、クラウド経費本部が職種で縦割りの組織ではなく、様々な職種が一体感持って働くことができるチームだからです。
伊藤「みんな熱意を持って仕事をしていることが伝わってきて、こんなチームはなかなか他にないと思っています。例えば日々のことだと、チャットで誰かが質問を投げたときに、開発チームや導入サポートの人が答えるなど、自分の領域ではないことでも職種、役職問わずにすぐに返事をする文化が根付いています」
黒田「エンジニアメンバーに対してビジネス面の話を共有する文化もありますね。技術以外のこうした会話が頻繁に飛び交うのは、他だとなかなかないのではないかと。SaaSは業界の流れも速いし、政府の規制緩和もどんどん進むので、こうした最新情報を共有するのは自然なことになっています。
上場企業でありながらも、エンジニアとしてスタートアップ的なビジネス視点が磨かれていると思います」
チーム全体で若手の成長を後押し
クラウド経費本部では働き方の自由度が高い。福岡に拠点を設立し、エンジニアチームは東京以外で働いているなど、その裁量権は大きいのです。
伊藤「リモートワークも一定の基準を満たせば可能です。フルタイムでのリモートワークはまだ対応していませんが、週何回かであれば在宅勤務も認められています。エンジニアのためのサポートや制度が整っているなと実感しています」
黒田「福岡拠点は、僕が中心となって立ち上げました。というのも生まれが佐賀で、妻と子どもは佐賀に住んでいて、僕は東京に3年ほど単身赴任をしていました。その生活を変えたかったという要望と、会社としてのチャンスを広げるというのがマッチしたということが背景にあります。
単身赴任をしていたときは、二週間に一回、LCCで帰るような生活で、それを解消できたことはすごくありがたかったですね。福岡はスタートアップ企業の誘致に積極的で、ウェブ系の企業が増えていたので、会社としても丁度良いタイミングで進出できました
先日、京都にも拠点を開設したのですが、それも関西出身のメンバーが中心となって立ち上げました。他にも、海外のベトナムの開発拠点も開設しているので、若手でも手を上げれば海外で働くチャンスもあります」
エンジニアチームは平均年齢が20代半ばなこともあり、チーム全体で若手の成長を後押ししています。
黒田「例えば、僕と伊藤くんは師匠と弟子みたいって言われるんですよ(笑)。彼とはインターンのころからの付き合いなので、もう丸三年になります。福岡拠点を立ち上げたころは僕と伊藤くんしかいなくて、縁もゆかりもない土地なのについてきてくれて、一生懸命立ち上げのサポートをしてくれました。すごく感謝しています。
僕は昔、負けず嫌いなところがあるというか、若い優秀な人がいると負けたくないなという気持ちが先に立っていました。でも今では、仮に僕がいなくなったとしても、このプロダクトを任せられるような、会社やチームを支えてくれる人に育ってほしいし、育てていきたいという想いが強いです。
インターン生も積極的に受け入れており、総勢で10人以上はいます。僕自身がそうですが、エンジニアと一口に言ってもビジネス志向が強い人、技術志向の人など、志向の違いや得意不得意があるので、いかにその人の得意なところを伸ばすかという部分にこれからも注力していきたいです」