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大企業とベンチャーがタッグを組む意味。双方の課題解決に向けて、今できること

大企業とベンチャー企業とでコラボレーションすることで生まれる価値がある。
大企業がこれまでに培ってきた資産と、ベンチャー企業が持ち合わせるスピード感を合わさることができれば、かつてない社会的なインパクトを生み出すことに繋がるのかもしれない。

本記事の前編では、三井不動産が取り組んでいる、大企業とベンチャー企業をつなぐ場所「BASE Q」について、三井不動産の光村とWantedlyの後藤との対談をお届けした。

後編では、三井不動産とWantedlyの二社で取り組むプロジェクトについて話をしてもらった。

鏑木裕介
新卒で三井不動産株式会社に入社。4年間商業施設本部で経理を担当した後、6年間ビルディング本部にて営業、新規事業を担当。現在は、商業施設本部にてアウトレット施設の営業に従事。

大企業への新卒入社で経験した、他社と協力して仕事をすることの面白さ

鏑木「学生時代はDJをやっていたので、クラブでのイベントをよく開催していたんです。その経験から、自分が行なったことで誰かに喜んでほしい、とくに形に残るものを生み出したいと感じて“商業施設”を企画する仕事を志望しました。新卒で三井不動産に入社したのですが、経理部門からのキャリアをスタートでした。学生時代に一時期学んでいた公認会計士の資格試験の知識を買われたんです(笑)」

その後、ビルディング本部に異動となり、既存テナントの営業担当となった鏑木。当時求められていた営業のあり方は、ただ売り上げを求めるだけではなく、テナントと当社のリソースをマッチングさせ、新たな価値を生み出す視点を持った「多角的な営業」だったという。

鏑木「当社のオフィスビルに入居していただているテナントさんへの付加価値として、テナントさんが持つリソースのマッチングを行っていました。通常の営業とは違う軸で、ハードだけではないソフトまで含めた営業です。その中で、『そこに当社のリソースが加わるのだから、当社にとっての新規事業にもなりえるのでは』という発想になってきたんです」

従来から求められている営業のあり方と、マッチングを基盤とした営業。その両軸を同時に進めていったことで、配属から4年目には、新規事業を専門に取り扱うセクションが部門内に設立される。

鏑木「新規事業のなかで特に印象的だったのが、当社が協賛していた「瀬戸内国際芸術祭2016」と、新規事業として検討していた「クルーズ事業」をマッチングさせ「瀬戸内国際芸術祭オフィシャルクルーズ」を実施したことです。新規事業検討のなかで、クルーズを事業をとして行いたいと思っていましたが、当社にはクルーズ事業の経験がありません。そんな状況下で、自分で事業を企画し、社内外を調整し、新たな分野を開拓できたことはとても貴重な成功体験でした。やってやれないことはない、と」

そんな鏑木に対して、社内外とを繋ぐ立ち位置にいた光村がWantedlyを引き合わせたのは、鏑木が抱えていた課題があったから。

鏑木「3年ほど新規事業に関わった後、昨年、現在のアウトレット部に異動になりました。そこで、アウトレット施設が抱える大きな課題に直面しました。それは、人材不足。アウトレット施設で働く人が足りないことが、解決すべき大きな問題でした」

土地の有効活用プロジェクトが抱えた、課題点の解決策を

全国各地に施設を構えるアウトレットモール。三井不動産がこれまでに行なった大規模なアウトレットモールの建設は、広大な土地活用プロジェクトのひとつだったという。

アウトレットは人気ブランド、人気レストランを数多く取り揃えた施設であることから、多くの人が買い物、食事を楽しむ場所となっている。売り上げは順調に伸びているが、前述の通り、販売員の不足を課題として抱えていた。

街の中心部から離れた、ややアクセスの不便な場所に立地していることが多いアウトレット。そこで働くことの「やりがい」や「意味」を伝える必要性を感じ、タッグを組んだのがWantedlyだった。

鏑木「施設としてどのようにテナントさんの販売員の採用を支援できるか、といった悩みを抱えていました。アウトレットは立地の関係もあり、さまざまな販売職のなかでもとくに販売員の数が不足しているんです。そんなアウトレットで働く特別な理由を、既存の情報誌やWebの中で見い出すのは難しいのでないかと思いました。そこで、Wantedlyのようにビジョンを軸に採用活動を進めたらいいのではないかと考え、タッグ組むことにしました」

後藤「ビジネスSNS『Wantedly』は、現在情報感度の高い人々が利用しています。まだまだ一般的には知られていない場合も多い。でも、ビジネスのプラットフォームを目指すなら、情報感度の高い人だけではなく、キャズムを越えていかなければなりません。そのためには、自社の営業だけでは限界がありました。三井不動産とコラボレーションをすることで、なにか新しい価値が生み出せるのではないかと考えたんです。『Wantedly』として、販売員という働き方にまで視野を広げるのは一種の挑戦でしたが、サービスコンセプトとして掲げている“シゴトでココロオドル人をふやす”に対しては、決して間違ったアプローチではないと思っています」

Wantedlyが理念としている「シゴトでココロオドル人をふやす」。
これまで広げきれていなかった販売職にも挑戦することで、新たな仕事の価値を創造できるのではないかと考えているのだという。

後藤「『Wantedly』というプロダクトありきで考えると、採用することはもちろんですが、それ以上に求職者と企業とのミスマッチをなくすことがコアにある目的です。ココロオドル仕事って、仕事そのものが楽しいかどうかよりも、個人にとってその仕事が合うのか合わないかのほうがやよっぽど大切です。Wantedly としても、そういった新しい価値創造に挑戦するのは意義のあることです」

大企業とベンチャー企業が繋がることで生まれる新しい価値を

アウトレットモールでの取り組みをきっかけとして、お互いの利点を理解し繋がった三井不動産とWantedly。これから二社が創造する企画は、これまでにはない新しい取り組みとなるだろう。

最後に、これから先の取り組みに対する展望を鏑木、後藤は以下のように語る。

鏑木「まずは今回の取り組みで結果を出し、アウトレットが抱える課題を解決したいです。そのなかで、お互いの利点を生かした新たな取り組みも考えていきたいですね」

後藤「求職者だけでなく、採用側も『Wantedly』を通じて採用活動を行うことで、自社を今よりも知ることに繋がります。自分たちが採用するのだと当事者意識を持った採用活動の形になるので、インナーブランディングにも効果的です」

一見、混じり合うことのないような不動産と採用、大手とベンチャー。

思いがけない出会いが意外な繋がりを生み出し、そしてこれまでには見たことのない大きなプロジェクトへと形を変えて進み始めた。

今後、双方の企業が混じり合って生み出すそれぞれの価値に注目だ。

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