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マインディア創業秘話 - Facebook をやめてスタートアップを立ち上げた理由【代表取締役 鈴木大也】

『個人の中に埋もれた価値をテクノロジーの力で発掘し、世界中のビジネスを加速させる』ことをミッションにするマインディアは2022年5月に総額約5億円の資金調達をしました。

このタイミングで代表鈴木に創業秘話とこれからのマインディアについてインタビュー。鈴木の原体験から始まったマインディアが、優秀なメンバーを集め世界的なマーケティング企業にプロダクトを使ってもらうまで、そして約5億円の資金調達をしてこれからどこに向かい最終的には世界をどのように変えるのか、聞いてみました。


◆登場人物

株式会社マインディア / 代表取締役CEO 鈴木大也

慶應義塾大学経済学部卒業。P&Gのマーケティング部門においてブランドマネジメントに従事。GREEでのプロダクトマネージャー、デジタルマーケティングのコンサルティングファーム代表を歴任した後、Facebookの世界最年少のHead of Vertical (本部長)として大企業向け広告ビジネス部門の立上げを担当。

2018年1月にMinediaを設立。

やりたいことをやるには結局自分でやるしかないことに気づいた

ー まずは起業までの経緯を教えてください

私は2013年にFacebook社(現Meta社)に入社し、大手クライアント向けの広告本部の立ち上げを行っていました。当時グローバルでビズサイドの組織の変更が行われていたタイミングで、日本でも規模別、業種別の組織を立ち上げるタイミングでした。当時のFacebook広告は(今では信じられないかもしれませんが)ほとんど全ての企業がいいね!数をベースにオーガニックによった運用をしていて、今では一般的なブランド / ビジネス指標をKPIにした広告運用や、スマートフォンへの広告出稿はほとんどされていませんでした。業界を代表する大手クライアントと共同してFacebook上で大規模なマーケティングキャンペーンを実施してもらい、実際のビジネスやブランド指標へのインパクトを計測していく取り組みを設計し、多数行っていきました。

当時のFacebookはまだスタートアップカルチャーが多分に残っていて、日本オフィスのビズサイドは立ち上げ感が非常に強かったです。ある日、いつものように深夜のグローバルとの打ち合わせのためにオフィスに着替えを持ち込んで泊まり込みで仕事をしていたら、寝ているところをちょうど視察に来たグローバルの人事に見つかってしまったことがありました。そこから日本で泊まり込んでいるやばいやつがいると話題になり、オフィスに泊まらないようにグローバルにアナウンスされました(笑)。今振り返ってみれば、泊まり込むくらい仕事に熱中できてしまう、そしてそれがある程度許容されるスタートアップ感が強い時期のとても楽しい時間だったと思っております。その当時のミッションの「Make world more open and connected」も非常にインターネット的で良かったですね。


ー なぜそこから起業をしようと思ったのですか?

データを使ったビジネスの可能性を感じた一方で、Facebookではやりきれなかったビジネス立ち上げるには自分でやるしかないと思ったからです。

先程話した組織自体の立ち上げと、日本の大手クライアントにビジネス目的でFacebookを使ってもらい、スマートフォンにメディア投資をシフトさせるというミッションは、花王様の事例などFacebookのグローバル組織の中でも注目される速度でビジネスを成長させることができました。

その次に注力したのが、Facebookの持つファーストパーティーデータやサードパーティーデータを使って、クライアントのビジネスをサポートするプロジェクトでした。クライアントにきちんとデータを利用して消費者の特性を理解してもらい、より適切な広告配信ができれば、高い効果を生み出すことはもちろん、消費者の側としても適切なコンテンツが見られたり商品の発見につながったりと非常にメリットが大きいと感じました。これがデータの本当の可能性に気づいた原体験だったように思います。

個人的にも強く共感できるプロジェクトでしたし、どんどん推進して行きたかったのですが、Facebookを取り巻く社会の流れが変化したのもこのタイミングでした。明示的な許諾が存在しない中でのデータ利用を厳しく制限する昨今では、Facebookが保有するデータをクライアントは自由に使えなくなっています。

クライアントからのニーズも強いが、リスク観点から思い切って踏み出せないジレンマ。そしてグローバルで非常に完成されたプロダクトが存在しているからこそ、プロダクトから変えようと思ってもそれは非常に難しいこと。

そもそもFacebookはマークの会社でマークのビジョンを達成するためにあるので、自分のビジョン達成のためには「やっぱりFacebookを辞めて自分でやるしかないな」と思うようになりました。

苦しかった創業期とそこから抜け出せたきっかけ

ー 実際の立ち上げはどのように進んだのでしょうか?

スタートアップをやるのであればグリーで一緒に働いていた時からネットビジネスやネットの在り方についてディスカッションし続けていた松倉と一緒にやりたいと決めており、立ち上げにあたっては真っ先に声をかけました。松倉には個人のデータをレバレッジするためのビジネスプランの初期的な構想を話し、二人ともインターネットそのものの概念が好きだということもあって、幾度かの話し合いを経てインターネットの特性でもある「つなげる」ことを個人のデータと企業の関係性でも活かしていくこと、またこれまで埋もれていた個人に紐づいたデータの価値を発掘するプラットフォームの創出を目指すことにしました。

この時作ったマインディアのミッションの原型をもとに、埋もれている価値を発掘する”Mine”と知識、情報という意味の”(pe)dia”から、設立時に松倉起案で会社名をマインディア(Minedia)に決めています。。その後、大学のサークルで後輩だった木村が創業メンバーとしてジョインし会社の設立に踏み出すことになりました。

一番最初のサービスとしては解消できるペインが大きく、また立ち上げた直後から個人のユーザーや企業に対して十分なバリューを提供できるという観点から、WebRTC技術を使って一般個人のライブ動画データ(インタビューやUI/UX調査、商品利用時などの動画)の生成から閲覧、蓄積までをWeb上で簡単に利用できるプラットフォーム(現在のMineds for Insight Data)に決めました。

ただ最初から順風満帆とはいきませんでした。

最初に当たった壁はプラットフォームビジネスの難しさでした。プラットフォーム上でクライアントからの需要とユーザーの供給サイドをバランスさせる必要があるビジネスだったため、クライアントからのプロジェクトがなければ個人ユーザーへの訴求が弱く、個人ユーザーがいなければクライアントのプロジェクトが発生しないというジレンマでした。データで世界を変えるという非常にテッキーな理想を掲げつつも、最初の段階では個人ユーザーを人力で集めるために、地元の友人や親戚づてでユーザーになる人を手当たり次第地道に声がけしたりしていました。

また初期の数カ月はプロダクトやオペレーション面が安定化せず、頼み込んでプロトタイプを使ってもらった知人のプロジェクトで事故が起きてしまい、電話口で土下座しながら謝り続けたこともありました。今考えても本当に申し訳なかったと思っています。(ちなみにそれから数カ月後、プロダクトの改善に伴ってきちんとクライアントになっていただきました)

それに加えて、スタートアップあるあるではありますが、非常にリソースがタイトな状況で業務していたこともあり特に初年度は生きた心地がせず、ワークロード的にも精神的にもかなり厳しい状況が続きました。

今このタイミングから数字面のみで振り返ると、とてもスムーズに立ち上がって順調に成長していたように見えるとよく言われることの多いマインディアですが、立ち上げたタイミングではひたすら泥水をすすり、恥ずかしい思いを沢山し、不安に押しつぶされそうな中でずっと耐えて極限まで我慢をしながらなんとか進んでいった、そんな時期でした。

ー そこからどのように成長していったのですか?

初期の厳しい苦難の時期から脱却できた大きな要因は、優秀なメンバーのジョインでした。コンサルティングセールスでの華々しいキャリアと実力を兼ね備えたメンバー、東大でブロックチェーンの研究を行っていたメンバーやテック系スタートアップでマーケティング、グロースを行い執行役員をしていたメンバー等、立ち上げ時では採用が難しいような非常に優秀なメンバーが次々に入社してきてくれました。

私自身、これまでグローバルを含め非常に優れた方々と仕事をする機会がありましたが、その経験を踏まえても(まさに手前味噌ですが)非常に優秀でビジネスにおける真の実力が極めて高いメンバーが集まっていると自信を持って言えるのがマインディアのチームになります。

早くから優秀な人材に恵まれた理由としては早期でのバリュー(会社としての価値基準)の定義と浸透があったと思っています。我々マインディアは下記4つバリューを定義しています。

Go Global:グローバルスケールで思考し、グローバルスケールで社会にインパクトを与える。

Be a Hacker:普通にやっていたらできないことを、誰も思いつかないようなハっとするような工夫で可能にすることが価値。

Fail and Learn:積極的にチャレンジ失敗して学ぶというプロセスを経ることにより成長する。

Impact Driven:自分の行動による社会、会社にもたらすインパクト(結果)に基づいた意思決定、評価をする。社内政治や無駄なプロセスなどを価値としない。

優秀なメンバーのジョインを経てプロダクトの完成度が上がると、利用いただけるクライアント企業も徐々に増えていきました。一緒に事例化させていただいた企業だけでも、資生堂ジャパン社トヨタコネクティッド社ライオン社メルカリ社、そしてFacebook(Meta)社など、国内外の業界を代表する錚々たる企業に使っていただけるようになりました。資生堂ジャパン社とはデータプロダクト自体の共同開発をご一緒させていただき、世界を代表する化粧品会社における現場のデータニーズに基づいた非常に価値のあるプロダクトを開発することができました。

Facebook (Meta)に関しては、もともと起業のきっかけとなったジレンマを、外部である我々がサポートすることによってクライアントにより大きな価値を提供できた事例になり、微力ながらも、もともと自分が起業したきっかけの一つであった課題に上手く応えられたのかなと思うプロジェクトでした。

また、個人的にすごく嬉しかったのは自分のキャリアの出発点でもあり、業界でもソリューションに対して特に目が肥えているとされるP&G社(日本国内とアジアヘッドクォーター)にも導入してもらったことです。我々が目指していくデータビジネスの理想の形を考えた際、本当に大きなインパクトを世界に与えていくためにはクライアント企業と一緒に取り組みを進めていくことがとても重要だと思っています。その点、メンバーのみならずクライアントにも恵まれているのはマインディアの特徴であり強みの一つだと思います

初めての資金調達でビジョンの達成への速度を加速させる

ー 今回(2022/05)約5億円の資金調達をしましたが、なぜこの状況で資金調達を行ったのでしょうか

これまでよりもスピード感を上げてビジョンの実現を進めるためです。

数多くのクライアント企業から利用いただけるようになり、またユーザーも増えてきたことで新しいプロダクトとしてオンライン上の購買などのコンバージョンデータのプラットフォームも提供を開始しました。このプロダクトはユーザーから許諾を得た上でオンライン上でのEC購買やコンバージョンのデータを提供してもらい、それを解析・分析して企業に提供する仕組みとなっています。

ECやオンライン上でのコンバージョンは言わずもがなですが、今後伸びていくことは間違いがない領域でありながら、これまでクライアント企業がなかなかデータを活用することが難しい領域でした。そうしたペインを解消するソリューションとして現在導入企業も足元で急増しており、今後の会社の成長の柱にしていければと思っています。

また、直近2022年5月に新しいToC向けアプリである”Pint”をリリースしました。Pintは「購買や行動情報のデータを個人のユーザーが提供することで、これまで得られなかったようなメリットを個人が享受できる仕組み」をテクノロジードリブンで構築したものになっています。得られたデータを上記のEC購買データプラットフォームで提供するとともに、将来的にはデータに基づいたアプリ上での企業のプロモーション施策にも対応する予定となっています。

これらのプロダクトに積極投資し、よりスピード感を持って会社をグロースさせていくための資金調達と考えています。

マインディアが作る世界と読んでくださった方へのメッセージ

ー マインディアが成長するとどのように世界が変わるのですか?

今後もマインディアは創業時からそうだったように、「個人の中に埋もれている価値、データをテクノロジーの力で発掘」していきたいと強く思っています。

ここ数年企業活動において一般消費者、個人のデータをよりビジネスで活用したいというニーズが高まっており、特に直近でその速度は増していると実感しています。一方で個人のデータは一方的に利用されるのみで、データ提供の際の明示的なメリットはほとんどの場合で享受できていません。

そのような中、Pintを含むマインディアが構築するプラットフォーム、データエコシステムを通じてデータと個人の関係、ひいては未来の個人と企業の関係をより良い形へアップデートしていきたいと考えています。それがまさにFacebookにいた時に可能性を感じながらも最終的には実現できなかったことの実現につながる一つの答えなのだと思っています。

また、バリューの”Go Global”が示すように中長期で海外展開、特にアジア市場への拡大も視野に入れています。ビジネスモデルとしては海外展開でき得る可能性を非常に大きく秘めた領域であると考えており、グローバルスケールで個人の中に埋もれている価値をテクノロジーで発掘していきたいと思っています。


ー 最後にこのインタビューを読んでくださった方にメッセージをお願いします!

このインタビューを読んでいただいてマインディアに少しでも興味を持っていただいた人が、マインディアとなんらかの形でちょっとでも良いので関わっていただけたらいいな、と思っています。マインディア自体まだまだこれからの組織であり、ビジョンを実現するにあたっては多くの人のサポートが必要です。マインディアにチームメンバーとしてジョインすること、パートナーシップやクライアントとして関わっていただくこと、いちユーザーとしてマインディアのサービスを使ってみることなど、ご自身に合った関わり方でサポートいただければありがたいです。

私が好きなFacebook社内の標語に「This Journey 1% Finished (この旅はまだ1%しか終わっていない)」というものがあり、マインディアの場合「This Journey 0.1% Finished」くらいだと思います。残りの99.9%旅路を、このインタビューを読んでいただいたみなさんとご一緒できることを楽しみにしています。

まずは一度カジュアルにお話しましょう。ご連絡お待ちしています!

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