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社長インタビュー

MEDITAは「生きるに寄り添うテクノロジー」というミッションを掲げています。 田中代表自身の体験は誰にでも起こりうることであり、その体験を通して「体温」に注目したことで、医療・研究及び、生活者の両者にとって幅広いニーズがあること、そしてまだまだ未知な部分が多い分野であることが分かりました。 独自の技術と研究で社会課題の解決を目指すMEDITAの田中代表に、これまでを振り返りつつ、これからのMEDITAについてもお話を伺いました。



プロフィール:
株式会社MEDITA 代表取締役社長 田中彩諭理
大学・専門職大学院と臨床心理を専攻し、女性心理について学んだ後、社会福祉や精神保健の現場で支援実務を行う。人材会社を経て、教育系ベンチャーにて新規事業立ち上げを担当し、営業管理、経営企画に就任。自身の身内の不幸や体調不良の経験からテクノロジーで社会課題を解決したいと考えIoTベンチャーに飛び込み、ハードウェアの現場を学ぶ。2017年9月に研究者である共同創業者 丸井朱里と共に独立しMEDITA(メディタ)を設立。


HERBIO立ち上げにつながる2つの原体験

ーMEDITA立ち上げのきっかけとなった田中さん自身の体験についてお聞かせください。

田中「自身の体験は2つあります。ひとつは祖父、祖母共に自宅介護の末に亡くしたこと。そしてもうひとつは自分の体調管理の難しさでした。

祖母の話はこれまで多く語ってこなかったのですが、私が中学校3年生の時に乳がんを患い、骨に転移した時点で終末医療のひとつの選択肢として自宅介護をすることになりました。当時は家族総出で24時間つきっきりのような状態でした。自宅介護中に祖母が何かの拍子で体をひねってしまい骨折してしまったこともありましたね。何かあると祖母自身がブザーを押し家族を呼ぶという眠れない日々が続きました。」

ー具合が悪い時、おばあ様自身がブザーを押すということでしたが、それ以外の方法で何か体調変化を知ることはできましたか?

田中「体調変化は祖母の自己申告、もしくは家族が様子を見に行って気づいてあげる、それしか方法はありませんでした。週に一度病院に行くのですが、そのタイミングでの体調しか分からず、在宅の間の食事や発熱の状態などはブラックボックスでした。」

ーでは次に田中さんご自身の体調管理についてのご経験ですが、元々PMSをお持ちで仕事に支障をきたすほどだったと。その際に試した体調管理方法はいかがだったでしょうか?

田中「婦人科にいってピルを処方してもらいましたが身体に合わず服用を断念しました。自分の体調を把握するために基礎体温をつけようと試したのですが、毎朝起き抜けにじっとしたまま舌の下に体温計を入れ計測し記録するというのは忙しい朝の1分ですら惜しい中、続けることは本当に難しかったんです。」

ー基礎体温を記録する以外に何か他に体調を管理する方法はありましたか?

田中「アプリに日記をつけるくらいの方法しかなく、それはあくまでも自分の感覚値でしたね。」


事業アイディアのニーズを実感、そしてCRO丸井朱里との出会い

ー2つの原体験がMEDITAの創業へとつながっていくのですが、具体的にどのようなタイミングでその機会はやってきたのでしょうか?

田中「当時、教育系ベンチャーで働いていて、日頃からビジネスアイディア的な話はよくしていたのですが、その時の同僚が「アイディアソン出てみれば?」と背中を押してくれたんです。私自身は起業というような思いは全くなく、その同僚が「人生変わるから、出てみなよ」とあまりにも強く薦めてくれたので、ほんの軽い気持ちでこの「体温」に関するビジネスアイディアで出場したんです。そして優勝したんです。」

ー優勝した時何を思われましたか?

田中「「ああ、このビジネスアイディアにはニーズがあるんだ。もしかしたら多くの人の命をこのアイディアで助けることができるかもしれない」ということをこの優勝で強く感じましたね。
私の場合、大学院で臨床心理を学んでいたのですが、クライアントひとりひとりに長きに渡って寄り添う必要があるので、私が一生をかけても多くの人を救うことはできないと感じてしまったんです。でもこの体温とテクノロジーをかけ合わせたビジネスであれば、より多くの人を救える!と思いました。」

ー起業に向けての足音が聞こえてきた瞬間ですね。そこで一念発起、IoTベンチャーに修行と称してジョインし、丸井さんとの出会いがやってきました。

田中「そうですね、そのアイディアソンで優勝してから一年ちょっと修行したころですね。修行の成果もあり、ハードウェアのことはひととおり勉強させてもらいました。しかしながら、そもそもハードウェアで体温をなぜ正確に測ることができないんだろう?と。そこを研究していかなければと思ったときに、体温を専門的に研究している研究者が必要だ!となったんです。」

ー丸井さんとはSNSを介して出会われたんですよね?

田中「はい、体温について専門的に研究している研究者自体が日本では数少ないんです。その中で論文を読み漁っていた時に丸井が書いたものを見つけたんです。Facebookのメッセージで自分のビジネスアイディアとそれに対する熱い思いの丈を綴り、一方的に送りつけました。当初は1ヵ月ほど放置されていましたが(笑)。でも、この強い思いが通じたのか、実際に会って直接いろいろと話すことができたんですね。そして、丸井もまずは「チームHERBIO(旧社名)」として活動していくことで了承してもらい、ジョインしてくれたんです。」


スタートアップだからこその知財戦略の重要性、そして生まれたMEDITAのミッション

ーその時はまだまだ「チームHERBIO(旧社名)」だったと。すぐに法人化しようとは思っていなかったのですね。それはなぜでしょう?

田中「当時、いろいろなピッチなどにも参加させていただいていたんですが、その中で知財戦略の重要性が分かってきたんです。スタートアップって最初は戦う術がない中、アイディアや技術って唯一の武器になるんですね。だから、まず知財戦略の部分を押さえている間に、いろいろと手数を増やし事業を広げていこうと思っていました。自分たちのアイディアがただのアイディアではないんだよと証明する必要がありましたから。」

ーそして2017年9月に創業となったわけですが、その頃には知財の目途もつき、チームとしてどうMEDITAを成長させていくのか、というフェーズに入っていきますよね。
そこで誕生した外部の方からもよくお褒めの言葉を頂く私たちのミッション「生きるに寄り添うテクノロジー」ですが、これは田中さんが考えた言葉でもあります。この言葉が生まれた背景を教えていただけますか?

田中「そもそもMEDITAでやりたいことってなんだったっけ?と思い返してみたんです。もちろん私の体験も然りですが、ただ技術を技術として発展させるだけでなく、その技術が実用化に至る際に守りたい何かがあるはずだと思ったんです。それが私の場合「命」や「生きる」ということだったんですね。であれば、技術や研究はその「命」や「生きる」ということに寄り添いながら進化していかなければならないと。それがこの「生きるに寄り添うテクノロジー」という言葉が生まれた時に再確認できた思いでした。」


日本の研究に貢献する私たちの在り方

ーそのミッションを達成するためのビジョンのひとつに「研究を重んじる~」とあるのですが、田中さんから見て、日本の研究の現状にどのような印象をお持ちでしょうか?

田中「日本の製造業も化学メーカーも最初は「研究」からはじまっているんですよね。土台の中の土台なのですが、そこに柔軟性が欠けてきており海外に比べて新しいものを生み出すという力が弱まっているという印象はあります。
研究開発にしても各大学の予算を見てみると、投資する額が少なくなってきています。研究は投資額に結果が比例してくる部分もあるので、国として、この先どのように研究分野で戦っていけるのだろうかと危惧しています。」

ーこのような研究界隈の現状に対し、MEDITAとしてどのように貢献できるでしょうか?

田中「今、HERBIOには優秀な研究者が入って来てくれています。大学院などでも研究を続ける知的好奇心の高い方々がたくさんいるにも関わらず、その能力を大企業では活かせないケースが多いのも事実です。私たちはシーズから社会実装までを、そのような能力の高い研究者と共に持っていくと同時に、研究結果を社会還元して行きたいと思っています。

例えて言うならば、MEDITAは「農家」のようなものだと思っています。研究は育てている野菜にいろいろな品種改良を加える役割であり、私たちはその野菜をつかった料理を提案する役割を担っています。その料理に対する最適な分量などを調節したりしながら、お客様に最善なものを提供するという流れをつないでいく感じでしょうか。」


HERBIOがこれから実現していくこと

ー創業から4年を経て、順調に仲間も増えMEDITAも少しずつ大きくなってきました。田中さんが経営者として今後MEDITAをどのようなチームにしていきたいのか、聞かせてください。

田中「今、私たちは第二創業期に突入したのかなと感じています。第一創業期は研究に力を入れることができず、まずはしっかりデバイスをつくらなければならない「カタチづくり」の期間だったと思うんです。何とかカタチに出来た!という状態でした。これからはその生み出したハードウェアと技術を活用してより研究に力を入れて行くべきタイミングです。私たちが将来的に目指す「研究」「開発」「社会実装」というエコシステムを実現していくためには、より大きなステップアップが必要ですから。

今回の Beyond Next Ventures 様による資金調達でMEDITAが何をやっているかということに関し研究界隈で知名度があがったこと、そしてSNSなどを通じて情報を自ら発信していくことで共感してくださる人材が集まってきている状況です。今ちょうど第二創業期の入り口に立っていると思うのですが、これからはより研究という強みを活かし、会社の資産として築き上げていきたいと思っています。」

ー最後に、MEDITAで働いてみたい研究者及び、エンジニア向けのメッセージをお願いしてもよろしいでしょうか?

田中「今まで医療機器というと難しいというイメージがあったと思いますが、MEDITAは「研究」「開発」「社会実装」という三本柱で動いています。医療機器をつくっていると、世に中々出せない、社会実装に至らないというようなことを感じている方も多いと思います。しかしMEDITAに参加頂ければ、お客様からニーズや改善点など、生の声を聞きながら各ファンクションを細かく回していくことが出来ると思います。その結果、お客様が欲しいものをきちんとつくり、提供することができます。ものづくりを志す人の根底には「人の役に立ちたい」という情熱があると思うのですが、MEDITAではそこをいかんなく発揮することができますし、その点がとても大きな魅力だと思います。

生きるに寄り添うプロダクトをぜひ皆さんとご一緒につくっていきたいです!」

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