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事業責任者インタビュー ~医療機関をつなげて患者体験の向上を。ホスピタルDXが目指す医療インフラの姿~

患者さんの医療体験の向上に欠かせないテーマの1つが、医療連携・病院機能そのもののアップデートです。患者さんが情報だけでなく実際の医療につながることが大切だと考えるメディカルノートでは、デジタルを活用し病院のDXや地域における病院・診療所など医療機関同士の連携を推進する部署として“ホスピタルDX事業部”を設置しています。事業責任者の山口 恵介が、事業部のミッションと展望を語ります。

目次

  1. メディカルノート ホスピタルDX事業部とは
  2. 「日本の医療課題を何とかしたい」その強い思いがメンバーの共通点
  3. 医療機関のDXに向けてゼロイチを楽しむ

メディカルノート ホスピタルDX事業部とは

メディカルノートは「すべての人が“医療”に迷わない社会へ」というミッションを掲げ、患者さんが医師や病院選びに迷うことなく、できるだけ速やかに適切な医療につながる社会を目指しています。その会社のミッションに対し、病院・診療所側からの患者さんへのアプローチ・情報発信をお手伝いしている部門が、私たちホスピタルDX事業部です。

私たちの業務内容をご説明する前に、まずは病院の構造についてお話させてください。一般社会では“病院”と一括りにしていますが、機能別に高度急性期・急性期・回復期・慢性期と患者さんの状態に応じた役割に分かれています。その診療領域も病気や部位によって分化してきています。急性期の患者さんに対して状態の早期安定化に向けた治療を行う、いわば地域医療の中核になるような大型病院もありますし、慢性期疾患の患者さんを診る病院やリハビリテーションを行っている回復期病院もあります。お馴染み“かかりつけ医”と呼ばれる、地域のクリニックや診療所も病院の1つですよね。

これらの病院は、互いに連携し、患者さんに最適な医療を行うために紹介をし合っています。

大きな病気や手術を受けたことがある方は想像がつくかと思いますが、いきなり大きな病院に行っても、基本的にはそのまま診察を受けることはできません。本当に医療が必要な方の受診・治療機会を確保できないからです。地域のクリニックや診療所で診察を受けて、紹介状をもらってから大きな病院を紹介してもらうのが一般的なケースですね。

そして逆の流れもあります。手術などを受けて、ある程度状態が落ち着いてきた患者さんは、必ずしも高度急性期病院*にとどまり続ける必要はありません。退院したり、手術前に通っていた地域の病院に戻って経過観察を続けたりとなります。

*急性期の病気になり始めた時期の患者さんに対し、状態の早期安定化に向けて医療機能を提供する病院のこと。

こうした流れのなかで私たちホスピタルDX事業部では、従来の病院(医師)から市民・患者さん向けの情報発信だけでなく、病院間の紹介・逆紹介業務の推進をご支援しています。
“紹介”とは、クリニック・診療所などが、手術など、より専門的な医療を必要とする患者さんを高度急性期病院・急性期病院間に紹介することです。“逆紹介”とは、その逆で高度急性期病院・急性期病院が、治療を終えたり病状が安定した患者さんをクリニックや診療所・あるいは介護施設などへ紹介することを指します。


実は、こうした医療機関の連携は、現在必ずしもスムーズにできてるわけではないんです。“地域医療構想”という言葉で、その概念が広がりはじめたのがここ数年のこと。
先程のような機能分化が明確になり始めたのもこの数年です。それまでは、個々の病院が幅広い病気の患者さんを受け入れられるよう機能拡充を続けていきました。

地域医療の中核を担う病院の立場で見てみると、クリニックや診療所から「紹介したい」と思われる病院である必要がありますし、地域住民からも「知人や家族に何かあったら、あそこの病院を教えてあげたい」と思ってもらえる必要があるといえます。

では、選ばれる病院になるためには何が必要か。1つは患者さんに対する情報提供のお手伝いをすることです。患者さんは、何かしら体の不調があったとき、いきなり病院名では検索しません。たとえば私が“胃がん”と診断されたら、“〇〇病院”ではなく“胃がん”と検索窓に入れるでしょう。すると、そのとき表示される我々のコンテンツは医療機関側にとって病院のことを知っていただける機会になります。そこで、私たちが行っているのが「Medical Noteに、病気や症状を通じて病院・医師を紹介できる記事(疾患啓発記事)を掲載しませんか」「先生のプロフィールを紹介しませんか」といった活動です。

Medical Noteを見て「何となく病気や治療方法が分かった。この先生は信頼できそうだ」と思ってもらえる……そこで終わりではありません。その後、患者さんはその先生の病院について調べることでしょう。病院のホームページでも患者さん目線で丁寧に情報を出しておくことも当然大切になってくるわけですね。そういった部分も私たちがお手伝いをしています。

ここまでご紹介したのは、患者さん向けのプラットフォームを使ったメディアサービスです。ホスピタルDX事業部では、もう1つタイプの違うサービスを展開しています。それは、医療連携支援です。

主要サービスは“Medical Note Link”という医療連携SaaSです。

これまで病院間での情報伝達は、病院の強みを紹介する冊子などを作ってクリニックや診療所を訪問し、「こういう患者さんがいたら紹介してください」と冊子配布を行うアナログな活動が主体でした。これはこれで、“顔が見える地域医療連携”の原点でもありますのでとても大切な活動ですが、いざその情報が必要となったときに肝心な情報を引っ張り出せない。クリニックや診療所は、「さあ、困った」と言って一般の人と同様、ホームページを見て連絡するわけです。

患者さんや医療従事者のためにもこの“間”をよりスムーズにするべく、私たちはプロ(医師)がプロ(医師)へ患者さんを紹介する際に必要な情報や、紹介時の調整部分をシステムで支援できるSaaSを立ち上げました。人手不足が懸念される医療業界のスタッフ負担を軽減し生産性も上げられるため、すでに多くの医療機関に興味を持っていただいており、継続した開発をしていきたいと思っている事業です。

このサービスに興味を持っていただけている背景には、新型コロナウイルス感染症の流行もあります。病院は潜在的な患者さんへの情報発信、受診勧奨などが現実的に行いにくくなり、また連携している地域の医療機関に対しても情報を発信しづらいという状態が続いています。これは治療や手術の遅れにつながる深刻な問題です。本来なら救えるはずの生命や健康が救えなくなる恐れもあるのです。


              ※  Medical Note Linkのサービスイメージ図

時代の変化に対応し、患者さんや医療機関とのつながり方を変革していく必要性があります。また、国内の人手不足の問題から「業務の生産性や効率化にも目を向けなければいけない」と考える医療機関が非常に増えてきていると感じています。

変化に対応していく医療業界の皆さまと新しい価値観・文化を一緒に創っていくのが、私たちの仕事です。決して簡単な仕事ではありませんが、ゼロイチをつくっていくプロセスがこの仕事の魅力ですね。医療業界に選ばれる変革を起こし続け、医療インフラになり得るサービスにしていく。そこが、ホスピタルDX事業部の仕事のやりがいだと思っています。

「日本の医療課題を何とかしたい」その強い思いがメンバーの共通点

ホスピタルDX事業部は、現在大きく4つのチームに分かれています。営業活動をしているのはソリューションチームで、メンバー数は現在6名(2023年1月時点)。先ほどご紹介したさまざまなソリューションの開発も担っています。

ストラテジーチームは、他部門のメンバーが兼務で担当しています。SaaS拡大に向けての戦略策定・営業企画が主な仕事です。

プロモーションデザインチームは、病院のホームページ作り、LP作りなど、制作系の仕事を担当しています。

あとは業務推進チームで、こちらもほかの部署のサポートも含めて兼務する形で仕事を進めています。

メンバーのバックグラウンドはさまざまですが全員、医療に対する思いが私よりも高いのではないかなと思うくらい強いですね(笑)。医療に対する課題感への強い思い、医療機関や患者さんを救いたいという気持ち、中には自分の身近なところで医療に関して悲しい経験、苦しい経験をしたことがあるといった方もいます。

学生時代に医療の勉強をしてきた方もいます。医師ではなく、病院の地域医療連携を推進する専門部署(一般に地域医療連携室)のようなところで業務サポートをしながら、医師の仕事ぶりを目の当たりにしてきたという方もいます。病院に対して営業をしていた立場だったという方もいますね。

医療とは違う業界から来た方もいます。私自身、金融業界から社会人をスタートして大手通信会社へ、その後“出前館”の取締役、人事・採用系SaaSの取締役……というキャリアです。どちらかというとIT寄り、メディア・マーケティング・SaaSの仕事をしてきた人間ですね。医療業界に携わってきた人間ではありませんが、だからこそ客観的に業界の改善ポイントを見つけられる強みがあると思います。

どの業界の方も、自分たちの業界が特殊だと思っている部分があると思いますが、長い歴史を見ると、どの業界も辿っている変化のプロセスは大局的に見て同じだと感じています。たとえば、デリバリー業界では注文を取るのにチラシ配りをするだけで、あとは電話で注文が来るのを待つ時代がありました。でも、今はインターネットで注文を受けるのが当たり前ですよね。“あったらいいな”という世界から、“なくてはいけない”という世界に変わっていく変化を、私はこれまで複数体験してきました。だからこそ、医療業界も変わっていけると思っていますし、「変わらないといけない」と考えています。

私以外にも、IT系の会社で営業をしていた方、人材系ビジネスで働いてきた方など、医療とは異なる業界から入ってきている方がいます。医師に知識で勝てるわけはありませんし、医療業界のことを後から勉強している我々が、業界知識においても先達の皆さんに勝るわけではありません。それでも、社会変化を理解し医療業界に対する思いが強ければ、同じ目線で対話を重ねることができ、次第にその差は克服できるのではないかと思っています。

医療機関のDXに向けてゼロイチを楽しむ

我々が提供する病院向けのSaaSビジネスは、ゼロイチのフェーズにあります。クリニック・診療所からより大きな病院への紹介や、病院から退院し別の病院や介護施設などへの転院を支援する だけではなく、今後さまざまな社会的価値を備えた医療インフラになっていく可能性を秘めている。この貴重なフェーズに携われるのが、今ホスピタルDX事業部に入る方のメリットとして大きなことだと思いますね。

顧客には、さまざまな病気による苦しみから人々を救うために学ばれている医師の方がいらっしゃいます。そうした方々と直接お話でき、業務上の課題を一緒に解決していくプロセスは非常におもしろく、社会的な意義を感じます。

私たちの仕事の領域は、この国を支える医療業界です。これまでの歴史・法制度・慣習の理解だけでなく、学会・法人・病院・医局といったさまざまな組織・人間関係の理解も必要です。これまでさまざまな業界で営業をさせていただいた私も「法人営業の極みといっても過言ではないな」と感じています。この仕事を通じて恐らく、法人営業スキル・組織営業スキルは相当に磨けることでしょう。もっと大きな枠組みで考えると、ビジネスの側からこの国の医療を変えていける可能性がある仕事をしているのが、私たちメディカルノートなのです。

私は、メディカルノートの企業理念「すべての人が“医療”に迷わない社会へ」の一丁目一番地がホスピタルDX事業部なんじゃないかと思っています。決して平坦な道のりではありませんが、社会の変化があるなかで、どんなサービスを提供したら医療業界の方々が喜ぶのか、その先にいる患者さんが幸せになれるのかを、これからもとことん考えていきたいですね。こうしたことを一緒に考えてプロダクトやサービスをつくっていく、そんな組織を目指していきたいと思っています。



執行役員 ホスピタルDX事業部責任者 山口恵介

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