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都道府県に迫る気候危機を描く『未来47景』と、地域に根ざしたPR施策の裏側|パートナーインタビュー

マテリアルマガジンをご覧の皆様、こんにちは。マテリアルグループ広報担当の時田です。

今回のマテリアルマガジンでは、CHERRY / Business Producer 川上大稀さんをお招きして、マテリアル BP局 田中伸之介との対談を実施。WWFジャパンの取り組みとして、地球の環境・気候危機についてアジェンダを投げかけている『未来47景』のアイデアの裏側やPR施策におけるポイント、さらに、パートナー企業としての在りかたについて語っていただきました。

■登壇者プロフィール

川上 大稀(Taiki Kawakami):Business Producer

2018年ADK入社。統合キャンペーンや商品のブランディングなど、多岐にわたるプロジェクトマネージメントを担当。クリエイティブとビジネスを架橋し、抽象度の高いブランド課題の解決や出口の見えないプロジェクトも力強く推進する。URL:https://chrry.jp/


田中伸之介(Shinnosuke Tanaka):Brand Producer

2018年マテリアル入社。入社後はデジタルグループに所属しウェブ広告を中心とした新規開拓・提案営業に従事。その後、BP局では、中小・大手代理店とともに、CMPRやPRイベントの企画および進行管理に従事。ゲーム・飲料・アニメ・食品・家庭用消費財・地方自治体など様々なクライアントを担当。PR領域以外にもクリエイティブや、SNSキャンペーンなどを幅広く手掛けている。


■『未来47景』について

Client:公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパン

私たちの日々の生活にも様々な影響を及ぼしている気候危機に対して、より多くの人がこの危機に対して目を向けて、自分ゴト化してもらうため、あなたの地元に訪れるかもしれない気候危機を都道府県別に描いた「未来47景」を公開。トップページで都道府県名を選択すると、その地域の未来の気候危機をイメージさせるイラストと解説が表示され、一人ひとりにできる具体的な行動を知ることができる。


1.気候危機という難しい問題をテーマにした『未来47景』

環境問題をキャッチーに分かりやすく伝えるために

ーはじめに、川上さんが『未来47景』に取り組まれることになった経緯を教えていただけますか?

川上:もともと、僕が在籍しているCHERRYから独立したクリエイティブディレクターの増田総成さんが長い間WWFさんを担当されてたことから、『未来47景』の以前にも、動物たちがセルフィーを撮り自分たちの住処の環境問題を訴える『#ANIMAL_SELFIE』や、環境に優しいハンバーガーの基準を策定し、さらに環境に優しい包み紙でラッピングして、『EARTH BURGER』として全国的に売り出す施策等も携わらせていただいていました。

そうした経緯もあり、継続的に環境問題をキャッチーに楽しく、そして分かりやすく伝えることのできる施策を目指す中で、『未来47景』でも、プロデューサーとして携わらせていただきました。 今回は、気候危機・気候変動について取り扱うことになりましたが、当初のブリーフ段階では様々な課題や切り口があり、打ち出す施策について、チームから提案させていただきながら、気候危機についてフォーカスしたような流れでした。

ーその後、マテリアルと組むことになった経緯を教えて下さい。

WWFジャパンさんの『WITH STAMP』という施策をはじめ、以前からマテリアルさんとご一緒させていただいていたこともあり、今回田中さんを紹介していただきました。

ーPR会社を探す際の決め手は何かありますか?

川上:得意とする商材のカテゴリや媒体など、PR会社さんにもそれぞれ特色があると思うので、ゴールや企画にその特色がマッチしているかというところはもちろんありますが、目指すところや企画の趣旨を理解してくれて、前向きに取り組んでもらえる点が一番の決め手かなと思っています。PRは、時間も限られている中で、状況を見ながら臨機応変に判断していかなくてはいけません。スピード感のある中、さらに追加でアイデア提案をしていくこともあるので、そこに対して意思を持って一緒に取り組んでもらえるかどうかは重視しています。企画の趣旨を説明した際に、「一緒に楽しんでもらえそうだな」と思えると個人的にも嬉しいですね。今回の企画でも、田中さんをはじめマテリアルの皆様がブリーフィングのタイミングから、露出やその分析、改善まで力強くパートナーとして並走していただいたことが本当にありがたかったです。


2.誰もが持つ地元の風景と自分ゴト化

“入り口は可愛い”けれど、気候危機の課題をきちんと反映している

ーどのようにして『未来47景』というアイデアが生まれたのでしょうか?

川上:環境問題はなかなか理解が難しいですし、とっつきにくいテーマでもあります。また、少しセンシティブな問題だからこそ発言のしにくさもある。そのような中で、興味のない人にとっても「分かりやすく」かつ「自分ゴト化できる」ことを大切にしています。そして、どんなに小さなことでもいいので、何かしらのアクションを実行していってほしいという思いもありました。

また、気候危機は世界規模で重要な課題です。日本も非常に大きな影響を受けているのですが、日々を暮らす中ではその影響をイメージしにくい部分もあると思います。そのような課題に対して、将来実際に身近で起こりうるかもしれない危機を分かりやすく、かつキャッチーに描く。さらに、誰もが持っている“地元の風景”と結びつけることで、自分ゴト化してもらうというアイデアが出来上がっていきました。このまま対策をしなければ、自分たちの身近な地元の風景がどう風に変わってしまうのか。恐怖を煽るようなリアルなフォトではなく、可愛らしさのあるイラストで伝えることで、興味を持ってもらうきっかけや、SNSなどで発言しやすい空気を作りたいと考えました。

田中:いつも、WWFジャパンさんが打ち出しているクリエイティブは、「入り口が可愛い」のに、よく見ると背景や課題についてきちんと伝えているものが非常に多いなと思って見ています。

川上:そこはまさに、クリエイティブディレクターである増田さんが大切にしているポイントですね。


各地域に根付いた文脈で取り上げてもらうために

ー『未来47景』を実施するなかで意識したことは何ですか?

田中:今回、都道府県別に47種のクリエイティブがあったので、そこに住む方々が「自分たちのこと」だと思ってもらえるように、各地域に適した文脈で取り上げてもらうことを最も意識しました。メディアの方々もターゲットである地元のひとりの人間です。だからこそ、その方の心を揺さぶれるかどうかを考えながら取り組んでいました。そうした観点で、リリースの出し方も工夫しており、日本全国を12地域に分けて、タイトルとキャッチーコピーをそれぞれの地域にあわせて思案しました。

川上:田中さんのおっしゃる通り、その地域に根付いた文脈で取り上げてもらう点は一番大切にしていました。また、これらのイラストに関するファクトもかなり意識しています。たとえイラストがキャッチーでも、その背景が未来で実際に起こりうる気候危機でないと現実味のない嘘になってしまいます。また、見た時の分かりやすさとインパクトも大切に、扱うテーマも幅広く持たせたいと思っていたのですが、どの地域でどのような危機が起こる可能性があり、どこまでイラストで表現することができるのか、専門家であるWWFジャパンさんとも綿密にすり合わせを行いながら定着させていきました。

田中:やはりメディアの方々は、そのファクトがどれだけ正しくてどれだけ事実に基づいているのかを徹底的に見ています。ファクトが曖昧だと記事化にも影響が出るため、そこを理解して、力を入れていただけたことも結果に繋がったポイントだと思っています。


ゆるキャラを活用した話題の波及

ーPRで苦戦したことなどはありましたか?

川上:まず、イラストとコピーは47都道府県分制作したので、思い返してもかなり大変だったと思います(笑)また、PR施策においては、マテリアルさんに本当にご尽力いただいたのですが、その中でもゆるキャラ投稿のキャンペーンは、アプローチも含めて非常に大変だったのではないでしょうか。

田中:そうですね。普段から環境問題に関心が高く、かつ地域に根差したステークホルダーから発信してもらうことが重要であると考え、ゆるキャラに協力を求めようと考えました。しかし、ただ協力を仰ぐだけでなく、そのインセンティブとして、ゆるキャラと各地域のコラボイラストを制作して贈呈するというアプローチをさせていただきました。また、取り組みに賛同して協力してくれるゆるキャラをゼロから探したため、47都道府県のイラストがある中で、その地域にピンポイントで関係しているゆるキャラがどの程度いるのかも含めてリストアップし、アプローチできるのかどうかを地道にリサーチしていきました。

川上:今回の『未来47景』は、サイト公開がメインでしたので、SNSからの流入が非常に重要でした。マテリアルさんに、このゆるキャラ施策を丁寧かつ綿密に行っていただけたおかげで、各地域のゆるキャラたちの投稿がSNSでの拡散の火種となったので、最終的なリーチ数も大きく伸ばすことができました。


3.パートナー企業としてのこれから

老若男女問わず環境問題を伝えていくために

ー『未来47景』の取り組みを踏まえて、今後取り組みたいお仕事はありますか?

川上:せっかくこういった取り組みの機会を頂けたので、これからも環境問題の施策は継続していきたいと思っています。最近では、ゴミ拾い活動を行うNPO法人グリーンバードさんや有志のメンバーで、『リプラモ』というプラスチックゴミからプラモデルを作るプロジェクトを立ち上げました。Webページからの販売の他に、ビーチクリーンのイベントを開催して、そのイベント中に参加メンバーたちが拾ったプラスチックゴミを洗浄・加工して制作したプラモデルを参加者に届ける活動も行っており、購入金額の一部はグリーンバードさんの活動支援に充てられています。第一弾のプロダクトはウミガメですが、ゴミの色柄になっているので実はひとつも同じ柄はないんです。こうした活動を通して、子供たちにも環境問題を届けるきっかけになれたらいいなと思っています。

田中:ひとつの施策がこうしてビジネスとしても成り立っているのがまた凄いですよね。

今回のような47都道府県の視点でお話すると、より地域に関わる施策に携わっていきたいと思っています。今回、多くのメディアの方々とお話する中で、彼ら自身も自分たちが住んでいる地域が好きだというのが非常に伝わってきました。実際、「ここのモニュメントがこんな風になるかもしれないんです。」というお話をすると、かなり興味を持ってくださりました。自分たちの地域を何とかしていこうという気持ちが伝わってきたこともあり、将来的には僕の地元でもある大阪をより活性化できるような施策に携わっていきたいと思っています。また、地域に根ざした施策では、距離が近いからこそクライアント様とも同じ喜びを分かち合える点も魅力的だと思います。


より良い文脈で露出させることに親身に寄り添ってもらった

ーマテリアルから川上さんへ、メッセージをお願いします!

田中:2年前からオンラインでは何度もお話させていただいていましたが、やっと直接お会いできたのでその嬉しさが非常に大きいです(笑)PRは予算や制限が多い中で、施策としての結果を非常に求められる立場でもあります。そうした中で、より良い文脈で露出させていくためには、的確な情報や要素・素材が必要です。川上さんをはじめ、チームのみなさまには、そこを理解して親身に寄り添っていただきました。特に、企業やブランドの意向も大きい中で、成果が予測できない不確かなモノに向かって走らないといけません。そこに対して、PR会社だけが全力疾走しても孤独感やすれ違いが生まれてしまいます。今回、チーム全員が一緒になって汗をかくことができたおかげで、より良い結果を得られたと思っています!


ーさいごに、川上さんからもマテリアルへメッセージをいただけますか?

川上:これまで電話やオンラインで何度もお話させていたので勝手ながら身近に感じていましたが、確かにお会いできていなかったんですよね(笑)こうしてお会いできて僕も本当に嬉しいです。マテリアルさん、田中さんは、予算やスケジュールもかなり限られている中で、一緒に前のめりになってくださりました。また、ウェブや地方紙を中心に、難しいと言われていたテレビでの露出や、SNSでの拡散設計にもしっかりコミットしていただきました。特にPRは、細かくて迅速な対応が求められますが、そこが結果が分かれるポイントでもあります。本当に信頼できるパートナーだと思っています。これからもよろしくお願いします!

※2021年11月時点の情報です。


マテリアルグループ広報 時田友里香

マテリアル2018年入社の広報担当。好きな食べ物は羊羹。広報業務のほかMATERIAL MAGAZINEの執筆を担当しています。世の中のひとがもっともっとマテリアルグループを知って、好きになってもらえるよう日々勉強中。

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